バスで医療センターまではどれくれいかかるんだろう?
それもわからず、私はバスに乗り込んだ。
私の中で「バス」というのがその時の最善で最速の方法であったわけだし。
私の住んでいる町は市内でも駅前で栄えている場所で、
病院のある場所は市内の奥の方だった。
中学校や、部活では市内の奥に行くことはあったが、
普段はまったくいかない場所なので、
見慣れない風景が流れる車窓をぼんやりと眺めながら、
お母さんのことや、就職活動のことを考えていた。
だいじょうぶかな。まだ病院にいるかな。
元気になって、職場に戻ってたらどうしよう。
それだけはいやだなぁ~。無駄足になっちゃうし。
今日一日くらいはのんびりしてくれたらいいんだけど。
なんて、考えながら、就活スーツに就活バックにハイヒールの私は、
市内の病院に向かうバスに乗っていた。
その時、ブーッブーッと携帯がなる。
企業からかな?
と思ってみると、私たちの市の市外局番からの電話だ。
病院から?
なんだろうと思って、電話に出る。
バスは病院のひとつ前の停留所を通過しようとしていた。
「もしもし?」
「もしもし。私○○医療センターの□□と申します。
ハルナさんの携帯電話でよろしいですか?」
「はい。そうですけど・・・」
「今、どこですか?家ですか?」
「いえ、バスで、今笹根(ひとつ前の停留所)です」
「ささね!?わかりました。
医療センターについたら、2FのICUに来てください。
インターホンがあるので、それを押してください」
「わかりました。2FのICUですね。
もう間もなくつくので、すぐに向かいます。」
バスの中で携帯を取り出したりしていたら、
ちょっと取り乱してしまって、荷物がころがって、てんやわんやになってしまいながら、
電話を切った。
ICU
ICU???
集中治療室。
さすが、救急車で運ばれるとそこに運び込まれるのか。
ふつうは、ICUって聞いたら焦るのかな。
でもその時の私はなんか、「ICU」っていう響きにもびびらなかった。
なぜなら、
「母がいる場所」=「ICU」なのであって、
「母がいる場所」≠「危険な場所」なんだ。
「母がいる場所」=「安全な場所」に違いない。
だから、普通ならおかしいだろうけど、
「ICUって大したことない場所なんだな」って。
正気で、思った私が居た。
でも、ちょっとだけ、電話越しの看護士さんの焦った声に、
はじめてその時、いやな予感と、変な胸騒ぎを実感した。
そして、「ICU」という言葉を発したとき、
バスの中の雰囲気がちょっと変わったのも、私は感じていた。
とにかく、急いできてくださいと言われたので、私はまっさきにバスを降りると、
ハイヒールを鳴らしながら、少し駆け足に医療センターに入って行った。
「今日医療センターにいってきたのよ」
「医療センターまでいかなきゃー」
なんて、母がぼやいていたのを思い出す。
聞いてはいたけど来るのははじめてだった。
大きな病院で、内装も明るくてきれいだった。
取り乱すことなく、平然を保ちながら、私は目についたエスカレーターで上にあがった。
でも場所がわからず、地図をみたりしたけどわからない。
近くの清掃員の人に、
「すみません、ICUってどこにありますか?」
ときくと、その人は少しだけ血相をかえて、
「ICUはここじゃないよ!一階だよ!」
と教えてくれました。
「でも、二階のICUって言われたんですけど・・・」
と言ったか言わないかは忘れたけど、とりあえず一階におりて探してみる。
そうしたらさっきの清掃員の人が追いかけてきてくれて、
「ICUは二階だった!このエレベーターからいけるから!
と、来たエレベーターのドアを押さえながら教えてくれた。
また、ICUという言葉に周りの雰囲気が変わったのを感じた。
だんだんと不安な気持ちと胸騒ぎと変な焦燥感と、
でも不謹慎なことにちょっとした好奇心にかられて、
私は周りにせかされるように二階のICUへと向かった。
エレベーターのドアが開いたその場所は、ちょっと薄暗くて、
それでいて変な静けさがあって、
私は何かにせかされるように少し駆け足で、
お母さんのいるICUのインターホンを、
少し気持ちをおちつけて押した。
↑参加してます↑
それもわからず、私はバスに乗り込んだ。
私の中で「バス」というのがその時の最善で最速の方法であったわけだし。
私の住んでいる町は市内でも駅前で栄えている場所で、
病院のある場所は市内の奥の方だった。
中学校や、部活では市内の奥に行くことはあったが、
普段はまったくいかない場所なので、
見慣れない風景が流れる車窓をぼんやりと眺めながら、
お母さんのことや、就職活動のことを考えていた。
だいじょうぶかな。まだ病院にいるかな。
元気になって、職場に戻ってたらどうしよう。
それだけはいやだなぁ~。無駄足になっちゃうし。
今日一日くらいはのんびりしてくれたらいいんだけど。
なんて、考えながら、就活スーツに就活バックにハイヒールの私は、
市内の病院に向かうバスに乗っていた。
その時、ブーッブーッと携帯がなる。
企業からかな?
と思ってみると、私たちの市の市外局番からの電話だ。
病院から?
なんだろうと思って、電話に出る。
バスは病院のひとつ前の停留所を通過しようとしていた。
「もしもし?」
「もしもし。私○○医療センターの□□と申します。
ハルナさんの携帯電話でよろしいですか?」
「はい。そうですけど・・・」
「今、どこですか?家ですか?」
「いえ、バスで、今笹根(ひとつ前の停留所)です」
「ささね!?わかりました。
医療センターについたら、2FのICUに来てください。
インターホンがあるので、それを押してください」
「わかりました。2FのICUですね。
もう間もなくつくので、すぐに向かいます。」
バスの中で携帯を取り出したりしていたら、
ちょっと取り乱してしまって、荷物がころがって、てんやわんやになってしまいながら、
電話を切った。
ICU
ICU???
集中治療室。
さすが、救急車で運ばれるとそこに運び込まれるのか。
ふつうは、ICUって聞いたら焦るのかな。
でもその時の私はなんか、「ICU」っていう響きにもびびらなかった。
なぜなら、
「母がいる場所」=「ICU」なのであって、
「母がいる場所」≠「危険な場所」なんだ。
「母がいる場所」=「安全な場所」に違いない。
だから、普通ならおかしいだろうけど、
「ICUって大したことない場所なんだな」って。
正気で、思った私が居た。
でも、ちょっとだけ、電話越しの看護士さんの焦った声に、
はじめてその時、いやな予感と、変な胸騒ぎを実感した。
そして、「ICU」という言葉を発したとき、
バスの中の雰囲気がちょっと変わったのも、私は感じていた。
とにかく、急いできてくださいと言われたので、私はまっさきにバスを降りると、
ハイヒールを鳴らしながら、少し駆け足に医療センターに入って行った。
「今日医療センターにいってきたのよ」
「医療センターまでいかなきゃー」
なんて、母がぼやいていたのを思い出す。
聞いてはいたけど来るのははじめてだった。
大きな病院で、内装も明るくてきれいだった。
取り乱すことなく、平然を保ちながら、私は目についたエスカレーターで上にあがった。
でも場所がわからず、地図をみたりしたけどわからない。
近くの清掃員の人に、
「すみません、ICUってどこにありますか?」
ときくと、その人は少しだけ血相をかえて、
「ICUはここじゃないよ!一階だよ!」
と教えてくれました。
「でも、二階のICUって言われたんですけど・・・」
と言ったか言わないかは忘れたけど、とりあえず一階におりて探してみる。
そうしたらさっきの清掃員の人が追いかけてきてくれて、
「ICUは二階だった!このエレベーターからいけるから!
と、来たエレベーターのドアを押さえながら教えてくれた。
また、ICUという言葉に周りの雰囲気が変わったのを感じた。
だんだんと不安な気持ちと胸騒ぎと変な焦燥感と、
でも不謹慎なことにちょっとした好奇心にかられて、
私は周りにせかされるように二階のICUへと向かった。
エレベーターのドアが開いたその場所は、ちょっと薄暗くて、
それでいて変な静けさがあって、
私は何かにせかされるように少し駆け足で、
お母さんのいるICUのインターホンを、
少し気持ちをおちつけて押した。
↑参加してます↑