お母さんを手術室に送った後、私はまっさきに携帯を握りしめて玄関に向かった。
涙は、やっぱりとまらなくて、
スーツ姿に就活ヘアーの私の顔は涙でボロボロで、
私はそれをぬぐうこともせず、玄関に向かった。
周りの視線は全く気にならなかった。
親戚のおばさん、私のお母さんの姉に当たるおばさんに、電話をかけた。
「もしも~し?どうしたの??」
いつもの明るいトーンの声が受話器越しに聞こえた。
「もしもし?ハルナだけど。
落ち着いてきいてね?」
「なに?どうしたの??」
「お母さんが倒れて、救急車で搬送された。今手術室に入ったから…」
「え!?え!?え!?なに!?うそでしょ!?!?!?」
その時のおばさんの声は、今もなぜか耳に残ってる。
うわずった声で何回か聞き返したあと、うそでしょ!?と言った。
もともと早口な人だけど、こんなに動揺しているのははじめてで、
それは受話器越しの私にもわかるほどだった。
「うそー?うそー?うそでしょう?」
泣きそうな声でおばさんはそう繰り返した。
「ほんとなんだ。」
「今どこにいるの?」
「医療センターだよ。今ひとりなの。今からこられる?」
「うそでしょー・・・
今家だから、これから向かうね、そしたら、おばあちゃんも連れて行ったほうがいいよね?」
「うん。あと・・・
お姉さんに連絡してもらえる?私連絡先しらないから」
「わかった、おばあちゃんに連絡して、おばあちゃんを拾って、
お姉さんに連絡すればいいのね。」
「うん・・・お願い・・・」
姉と仲の悪い私は実の姉妹ながら連絡先をしらなかったため、こんな会話になった。
電話を切って、おばさんと話したことで現実味がわいて、
また涙があふれた。
ここからちょっと覚えていないんだけど、入口のところで思いっきり泣いた。
普通の人もたくさんいるんだけど、
入口の自動ドアのわきにうずくまって、いっぱい泣いた。
それからおばさんとおばあちゃんが到着するまでは、地獄のような時間だったって思う。
早くきて、早く誰か来て。
って、うわごとのように言いながら、私はずっと待合室で泣いていた。
この壁一枚向こう側で、お母さんが戦っている。
さっきの先生が、手術をしている。
おねがいします、おねがいします、私のお母さんをつれていかないでください!
おねがいです、おねがいですから。
まだ別れたくないんです、まだ思い出もたくさん作りたいんです。
おねがい、おねがい、ねぇ、おじいちゃん、おねがいだからお母さんをつれていかないで!
お母さん、お母さん、絶対にいかないで、もどってきて!
またいっぱい笑おうよ、またくだらない話でもして、一緒に笑おうよ。
おねがいだから、おねがいだから、生きてください。
それから、ちょっと冷静になって、目は腫れて、顔はぐちゃぐちゃだけど、
タオルを買いに行った。涙がふけないから。
「おしぼりタオル」っていうタオルで、病院の売店で買った。
売店は一階にあって、外来患者やお見舞いの人がいた。
子供が元気に走り回っていたし、
笑いながら歩いている人もいた。
そう思えば。
ICUに戻れば、これから手術室にはいる小さな命があった。
そして、私は必死に、お母さんの命が続くことをただひたすら祈っていた。
命の重さを感じた。病院って、変なところだ。
そしてまた、私はたくさん泣いた。そしてたくさん祈った。
絶対にありえない。おかあさんが死ぬなんて、ありえない!!!
おねがいします、おねがいします!
ただ、ただ、祈った。
おねがい、だれか、はやく来て。もう一人じゃむりだよ。
↑参加してます↑
涙は、やっぱりとまらなくて、
スーツ姿に就活ヘアーの私の顔は涙でボロボロで、
私はそれをぬぐうこともせず、玄関に向かった。
周りの視線は全く気にならなかった。
親戚のおばさん、私のお母さんの姉に当たるおばさんに、電話をかけた。
「もしも~し?どうしたの??」
いつもの明るいトーンの声が受話器越しに聞こえた。
「もしもし?ハルナだけど。
落ち着いてきいてね?」
「なに?どうしたの??」
「お母さんが倒れて、救急車で搬送された。今手術室に入ったから…」
「え!?え!?え!?なに!?うそでしょ!?!?!?」
その時のおばさんの声は、今もなぜか耳に残ってる。
うわずった声で何回か聞き返したあと、うそでしょ!?と言った。
もともと早口な人だけど、こんなに動揺しているのははじめてで、
それは受話器越しの私にもわかるほどだった。
「うそー?うそー?うそでしょう?」
泣きそうな声でおばさんはそう繰り返した。
「ほんとなんだ。」
「今どこにいるの?」
「医療センターだよ。今ひとりなの。今からこられる?」
「うそでしょー・・・
今家だから、これから向かうね、そしたら、おばあちゃんも連れて行ったほうがいいよね?」
「うん。あと・・・
お姉さんに連絡してもらえる?私連絡先しらないから」
「わかった、おばあちゃんに連絡して、おばあちゃんを拾って、
お姉さんに連絡すればいいのね。」
「うん・・・お願い・・・」
姉と仲の悪い私は実の姉妹ながら連絡先をしらなかったため、こんな会話になった。
電話を切って、おばさんと話したことで現実味がわいて、
また涙があふれた。
ここからちょっと覚えていないんだけど、入口のところで思いっきり泣いた。
普通の人もたくさんいるんだけど、
入口の自動ドアのわきにうずくまって、いっぱい泣いた。
それからおばさんとおばあちゃんが到着するまでは、地獄のような時間だったって思う。
早くきて、早く誰か来て。
って、うわごとのように言いながら、私はずっと待合室で泣いていた。
この壁一枚向こう側で、お母さんが戦っている。
さっきの先生が、手術をしている。
おねがいします、おねがいします、私のお母さんをつれていかないでください!
おねがいです、おねがいですから。
まだ別れたくないんです、まだ思い出もたくさん作りたいんです。
おねがい、おねがい、ねぇ、おじいちゃん、おねがいだからお母さんをつれていかないで!
お母さん、お母さん、絶対にいかないで、もどってきて!
またいっぱい笑おうよ、またくだらない話でもして、一緒に笑おうよ。
おねがいだから、おねがいだから、生きてください。
それから、ちょっと冷静になって、目は腫れて、顔はぐちゃぐちゃだけど、
タオルを買いに行った。涙がふけないから。
「おしぼりタオル」っていうタオルで、病院の売店で買った。
売店は一階にあって、外来患者やお見舞いの人がいた。
子供が元気に走り回っていたし、
笑いながら歩いている人もいた。
そう思えば。
ICUに戻れば、これから手術室にはいる小さな命があった。
そして、私は必死に、お母さんの命が続くことをただひたすら祈っていた。
命の重さを感じた。病院って、変なところだ。
そしてまた、私はたくさん泣いた。そしてたくさん祈った。
絶対にありえない。おかあさんが死ぬなんて、ありえない!!!
おねがいします、おねがいします!
ただ、ただ、祈った。
おねがい、だれか、はやく来て。もう一人じゃむりだよ。
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