自由間接話法とは何か | |
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1. はじめに 2. 自由間接話法の定義 3. 指標の存在 3.1 外的指標 3.2 内的指標 4. 自由間接話法のメリット 4.1 感情の同時表\現 4.2 アイロニーの効果 4.3 文体における利点 5. 自由間接話法の問題点 6. まとめ 参考文献 | |
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1. はじめに 外国語大学の英米学科に通っていると、「自由間接話法」という用語を見聞きすることは多い。しかしその詳しい定義や用途についてはまったくと言っていいほど知らず、その言葉に行き当たるたびに「自由話法と間接話法の中間的な話法なのだろう」という読んで字の如くかつ抽象的な定義しかしてこなかった。加えてわたしはVirginia Woolfの小説が好きなのだが、Woolf評論の際必ずと言っていいほど言及される「意識の流れの手法」に自由間接話法が大きく関わっていることもあり、一度しっかりと自分の中で定義付けをしておきたいという気持ちがあった。このレポートでは、中川ゆきこ『自由間接話法―英語の小説にみる形態と機能―』(1983)を中心に、自由間接話法がどのような文法的特徴を持ち、どのような意図を持って使われるのかをまとめてみる。 2. 自由間接話法の定義 自由間接話法を簡潔に説明すると、次のようになる。 全体のテキストが語り手の語る人称と時称(ふつうは三人称直接過去形)によって表現され、構文論的形式においては語り手のパートである地の文でありながら、意味内容的には、実際は登場人物のパートである発言・思考が表現されている部分テキストのこと。(中川、1983) これを自由話法、間接話法と対比させながら示した例文は次のようになる。 (1)direct speech: He stopped and said to himself, ' Is that the car I saw here yesterday? ' (2)indirect speech: He stopped and asked himself if that was the car he had seen there the day before. (3)free indirect speech: He stopped. Was that the car he had seen here yesterday? これらの例を見ると、自由間接話法が文字通り自由話法、間接話法の中間段階だということがわかるだろう。しかし自由間接話法が単体で文章の中に出てきた場合、それが自由間接話法かどうかを見分けることは難しい。そこで3では自由間接話法を見分ける手がかりを挙げてみる。 3. 指標の存在 1で自由間接話法がどのような文法的特徴を持つのかをまとめてみると書いたが、英語の自由間接話法には、はっきりとした文法的特徴は少ない。自由間接話法を見いだすためには、文法的特徴よりもむしろその中に組み込まれる外的指標・内的指標が役立つだろう。このふたつの指標を詳しく説明してみよう。 | |
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自由間接話法, 意識の流れ, ウルフ |