法律の周辺

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抵抗感の強い成人年齢の引き下げについて

2008-09-13 19:37:13 | Weblog
18歳成人に反対69% 内閣府調査,引き下げに抵抗感 - さきがけ on the Web

 国民投票法第3条には「日本国民で年齢満十八年以上の者は,国民投票の投票権を有する。」とあるところ,同附則第3条第1項には「国は,この法律が施行されるまでの間に,年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう,選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法,成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とある。
第3条第1項の「満十八年以上」は,附則第3条第2項により,法制上の措置が講ぜられるまで「満二十年以上」と読み替えられる。
法制審民法成年年齢部会の第1回会議の配布資料「国民投票法との関係について」には,上記附則に関し,次のようにある。

 この附則を設けた理由については,同法案の国会審議における同法案の提出者の答弁等において,①公職選挙法の選挙年齢を戦後20歳に引き下げた理由として,民法の成年年齢が20歳であることが挙げられており,民法上の判断能力と参政権の判断能力とは一致すべきであること,②公職選挙法の選挙年齢と国民投票の投票権年齢は同じ参政権であることから,一致すべきであること,また,③諸外国においても,成年年齢に合わせて18歳以上の国民に投票権・選挙権を与える例が非常に多いことが挙げられている。

さて,法制審民法成年年齢部会,この世論調査をどう見るだろう。因みに,同じく第1回会議の配布資料「今回の検討の対象について」の中には,次のようにもある。

2 仮に現時点では民法の成年年齢を引き下げるような状況にはないといった結論になった場合,いかなる条件・環境整備(例えば,中学校や高等学校における法教育の徹底等)が整えば,成年年齢を引き下げてよいか,また,それにはどの程度の期間を要するのかということも検討の対象となる。

最後になったが,国民投票法の施行日は平成22年5月18日。

政府広報オンライン 「国民投票法」って何だろう?


「日本国憲法の改正手続に関する法律」の関連条文

(趣旨)
第一条  この法律は,日本国憲法第九十六条に定める日本国憲法の改正(以下「憲法改正」という。)について,国民の承認に係る投票(以下「国民投票」という。)に関する手続を定めるとともに,あわせて憲法改正の発議に係る手続の整備を行うものとする。

(国民投票の期日)
第二条  国民投票は,国会が憲法改正を発議した日(国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第六十八条の五第一項の規定により国会が日本国憲法第九十六条第一項に定める日本国憲法の改正の発議をし,国民に提案したものとされる日をいう。)から起算して六十日以後百八十日以内において,国会の議決した期日に行う。
2  内閣は,国会法第六十五条第一項の規定により国民投票の期日に係る議案の送付を受けたときは,速やかに,総務大臣を経由して,当該国民投票の期日を中央選挙管理会に通知しなければならない。
3  中央選挙管理会は,前項の通知があったときは,速やかに,国民投票の期日を官報で告示しなければならない。

(投票権)
第三条  日本国民で年齢満十八年以上の者は,国民投票の投票権を有する。

(投票権を有しない者)
第四条  成年被後見人は,国民投票の投票権を有しない。

(協議会)
第十一条  国民投票広報協議会(以下この節において「協議会」という。)については,国会法に定めるもののほか,この節の定めるところによる。

(協議会の組織)
第十二条  協議会の委員(以下この節において「委員」という。)は,協議会が存続する間,その任にあるものとする。
2  委員の員数は,憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とし,その予備員の員数は,当該発議がされた際衆議院議員であった者及び当該発議がされた際参議院議員であった者各十人とする。
3  委員は,各議院における各会派の所属議員数の比率により,各会派に割り当て選任する。ただし,各会派の所属議員数の比率により各会派に割り当て選任した場合には憲法改正の発議に係る議決において反対の表決を行った議員の所属する会派から委員が選任されないこととなるときは,各議院において,当該会派にも委員を割り当て選任するようできる限り配慮するものとする。
4  前項の規定は,予備員の選任について準用する。
5  委員に事故のある場合又は委員が欠けた場合は,憲法改正の発議がされた際にその者の属していた議院の議員であった予備員のうちから協議会の会長が指名する者が,その委員の職務を行う。

(会長の権限)
第十三条  協議会の会長は,協議会の議事を整理し,秩序を保持し,協議会を代表する。

(協議会の事務)
第十四条  協議会は,次に掲げる事務を行う。
一  国会の発議に係る日本国憲法の改正案(以下「憲法改正案」という。)及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明並びに憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を掲載した国民投票公報の原稿の作成
二  第六十五条の憲法改正案の要旨の作成
三  第百六条及び第百七条の規定によりその権限に属する事務
四  前三号に掲げるもののほか憲法改正案の広報に関する事務
2  協議会が,前項第一号,第二号及び第四号の事務を行うに当たっては,憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関する分かりやすい説明に関する記載等については客観的かつ中立的に行うとともに,憲法改正案に対する賛成意見及び反対意見の記載等については公正かつ平等に扱うものとする。

(協議会の議事)
第十五条  協議会は,憲法改正の発議がされた際衆議院議員であった委員及び当該発議がされた際参議院議員であった委員がそれぞれ七人以上出席しなければ,議事を開き議決することができない。
2  協議会の議事は,出席委員の三分の二以上の多数で決する。

(国民投票公報の印刷及び配布)
第十八条  協議会は,第十四条第一項第一号の国民投票公報の原稿を作成したときは,これを国民投票の期日前三十日までに中央選挙管理会に送付しなければならない。
2  中央選挙管理会は,前項の国民投票公報の原稿の送付があったときは,速やかに,その写しを都道府県の選挙管理委員会に送付しなければならない。
3  都道府県の選挙管理委員会は,前項の国民投票公報の原稿の写しの送付があったときは,速やかに,国民投票公報を印刷しなければならない。この場合においては,当該写しを原文のまま印刷しなければならない。
4  公職選挙法第百七十条第一項本文及び第二項の規定は,国民投票公報の配布について準用する。この場合において,同条第一項中「当該選挙に用うべき選挙人名簿」とあるのは「投票人名簿」と,「選挙の期日前二日」とあるのは「国民投票の期日前十日」と,同条第二項中「選挙人」とあるのは「投票人」と読み替えるものとする。

(国民投票の方法等に関する周知等)
第十九条  総務大臣,中央選挙管理会,都道府県の選挙管理委員会及び市町村の選挙管理委員会は,国民投票に際し,国民投票の方法,この法律に規定する規制その他国民投票の手続に関し必要と認める事項を投票人に周知させなければならない。
2  中央選挙管理会は,国民投票の結果を国民に対して速やかに知らせるように努めなければならない。
3  投票人に対しては,特別の事情がない限り,国民投票の当日,その投票権を行使するために必要な時間を与えるよう措置されなければならない。

(投票人名簿)
第二十条  市町村の選挙管理委員会は,国民投票が行われる場合においては,投票人名簿を調製しなければならない。
2  投票人名簿は,政令で定めるところにより,磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもって調製することができる。
3  国民投票を行う場合において必要があるときは,投票人名簿の抄本(前項の規定により磁気ディスクをもって投票人名簿を調製している市町村の選挙管理委員会にあっては,当該投票人名簿に記録されている全部若しくは一部の事項又は当該事項を記載した書類。第三十二条において同じ。)を用いることができる。
4  投票人名簿の調製については,行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条の規定は,適用しない。
5  第一項の規定により調製された投票人名簿は,当該国民投票に限り,その効力を有する。

(投票人名簿の記載事項等)
第二十一条  投票人名簿には,投票人の氏名,住所,性別及び生年月日等の記載(前条第二項の規定により磁気ディスクをもって調製する投票人名簿にあっては,記録)をしなければならない。
2  投票人名簿は,市町村の区域を分けて数投票区を設けた場合には,その投票区ごとに編製しなければならない。
3  前二項に規定するもののほか,投票人名簿の様式その他必要な事項は,政令で定める。

(被登録資格等)
第二十二条  投票人名簿の登録は,国民投票の期日現在で年齢満十八年以上の日本国民(第四条の規定により投票権を有しない者を除く。)で,次のいずれかに該当するものについて行う。
一  国民投票の期日前五十日に当たる日(以下「登録基準日」という。)において,当該市町村の住民基本台帳に記録されている者
二  登録基準日の翌日から十四日以内に当該市町村の住民基本台帳に記録された者であって,登録基準日においていずれの市町村の住民基本台帳にも記録されていないもの(登録基準日後当該住民基本台帳に記録された日までの間に他の市町村の住民基本台帳に記録されたことがある者及び当該住民基本台帳に記録された日においていずれかの市町村の在外投票人名簿に登録されている者を除く。)
2  市町村の選挙管理委員会は,政令で定めるところにより,当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を調査し,その者を投票人名簿に登録するための整理をしておかなければならない。

(登録)
第二十三条  市町村の選挙管理委員会は,中央選挙管理会が定めるところにより,当該市町村の投票人名簿に登録される資格を有する者を投票人名簿に登録しなければならない。

(縦覧)
第二十四条  市町村の選挙管理委員会は,投票人名簿を調製したときは,中央選挙管理会が定める期間,市役所,町村役場又は当該市町村の選挙管理委員会が指定した場所において,前条の規定により投票人名簿に登録した者の氏名,住所及び生年月日を記載した書面を縦覧に供さなければならない。
2  市町村の選挙管理委員会は,縦覧開始の日前三日までに縦覧の場所を告示しなければならない。

附則

(施行期日)
第一条  この法律は,公布の日から起算して三年を経過した日から施行する。ただし,第六章の規定(国会法第十一章の二の次に一章を加える改正規定を除く。)並びに附則第四条,第六条及び第七条の規定は公布の日以後初めて召集される国会の召集の日から,附則第三条第一項,第十一条及び第十二条の規定は公布の日から施行する。

(法制上の措置)
第三条  国は,この法律が施行されるまでの間に,年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう,選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法,成年年齢を定める民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする。
2  前項の法制上の措置が講ぜられ,年齢満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加すること等ができるまでの間,第三条,第二十二条第一項,第三十五条及び第三十六条第一項の規定の適用については,これらの規定中「満十八年以上」とあるのは,「満二十年以上」とする。

(憲法改正問題についての国民投票制度に関する検討)
第十二条  国は,この規定の施行後速やかに,憲法改正を要する問題及び憲法改正の対象となり得る問題についての国民投票制度に関し,その意義及び必要性の有無について,日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え,必要な措置を講ずるものとする。

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