はなますDiary...

One day at a Flower shop in Kyoto

花あしらいSOS

2006-04-22 | Flower shop
花を弱らせる第一の原因、水の汚れやすい花材を見分けるには
<表面がザラザラした茎よりはツルツルした茎のほうが水を汚しにくい>
まずは茎の質感に注目。表面がザラザラした柔らかい茎にはバクテリアが付着しやすいけれど、ロウ質で覆われたようなツルツルした茎には付着しにくい。そのぶん水も濁りにくいのです。

<ザラザラした茎とツルツルした茎、代表的なのは?>
ザラザラした茎の具体的な例は、ガーべラ、キクなどキク科の花材。ツルツルした茎の代表例は、ユリ科などの球根類や、カーネーション、トルコキキョウなど。ツルツルの茎はたっぷりの水を、ザラザラの茎は浅水を好みます。
花を長持ちさせるためには器やいける水の清潔さをキープ
いくら夏に強い花材をいい花屋さんで選んでも、バクテリアが発生しないわけではありません。やっぱり長持ちさせる一番のコツは水を新鮮に保つこと。花が弱るのは水が濁りやすくなるため。水温が高いとバクテリアが発生し茎に付着、増殖して水が濁り、導管を詰まらせてしまうからです。また温度が高いと花材そのものからもエチレンガスが発生し、蒸れや腐りを促進してしまいます。効果的な予防策は涼しい場所に置いてこまめに水替えをすることと、ちょっとした工夫です。

<延命剤、漂白剤を使うと水が腐りにくくなります>
市販の切花延命剤はやはり効果的。でも水を腐らせない目的なら、キッチン用や洗濯用の漂白剤にも効果があります。いける水1リットルに対し5cc位の漂白剤を溶かせばOK.但し、ランやユリなど花びらに水分の多い花材に使うと色があせてくることも。また、漂白剤を入れた場合でも水替えは必要。そのたびに漂白剤を入れ直します。

<とにかく水の温度を上げない工夫を>
バクテリアやエチレンガスの発生を抑えるには、とにかく水温の上昇を防ぐこと。まずは涼しい場所に置くことが大前提ですが、暑さが増す日中などは、水中に氷を入れることも有効。水あげ自体には効果はありませんが、一時的でも温度を下げることは出来ます。

<除菌効果が期待できる材質の器もあります>
備前焼の器にいけると花が長持ちする…?ちょっと迷信のように聞こえますが、これは事実。焼き締めの器には水をろ過する効果があり、バクテリアの発生を抑えてくれるのです。また銅製の器にも、銅イオンの除菌効果があります。10円玉を水中に沈めても除菌効果はありますが、汚れていると逆効果になる恐れもあるので、酢酸で洗ってから。
花そのものにも水あげを促し、傷みを防ぐ下処理を施しましょう
夏は花が弱ると言うけれど、実は地植えなら植物が一年で一番活性化する生長期。切花も健康であればあるほど、花はすぐに開き、茎も伸び水をぐんぐん吸って蒸散させる…。つまり生長が早い分、寿命が短くなると言うこと。でもいけた花は出来るだけ長持ちさせたい。それには水の吸収を促進しつつ生長を抑制するという、相反することを同時に行う必要があります。植物の生長を促進させるのは果物などから発生するのと同じエチレンガス。これを抑えれば老化を遅らせることが可能。

<エチレンガスの発生を抑制すると同時に栄養分も与える、延命剤が効果的です>
エチレンガスもまた、温度が高いと多く発生し、密閉されたところで増幅。バクテリアの好む環境と似ています。但しバクテリアは水中で増えますがエチレンガスはおもに葉から放出されるため、空気がこもらない器やいけ方を選び風通しの良い場所に置けば予防できます。またバクテリアに有効な漂白剤もエチレンガスの発生まで抑えることは出来ません。切花延命剤には栄養剤の他に除菌成分、さらにエチレンガス抑制する成分も含まれているので、長持ちさせるのに効果的。ただし延命剤と漂白剤を併用すると、成分を相殺することもあるので入れるときは片方だけ。

<蒸れ、水落ち、水腐れの元になる葉をなるべく取り去って
花に栄養を行き渡らせる>
花材が水落ちするときは、まず葉からしなびてきます。葉がついてるとそれだけで水分の蒸散、エチレンガスの発生も促進され、蒸れの原因になるのです。水揚げの悪い花や、見た目に影響しない部分の葉は、取っておいた方が、花にも水が行き渡りやすくなります。水に浸かる部分の葉は必ず全て取り去った方が良いです。
給水スポンジを使うときもこんなことに気をつけて。

<給水スポンジを乾燥させないよう絶えず水を補給して>
給水スポンジを使うときは不透明な器に入れる場合が多く、スポンジ表面も見えにくいので、水が減ったことも分り難い。茎はスポンジの数㎝にしか挿していないので、少し水が減っただけでも乾燥してしまいます。こまめに何度も水を注ぎ足しましょう。このときスポンジの表面までひたひたに水を入れることが大切です。
切り口を新鮮に、水を清潔に保つことが花を長持ちさせます
暑さや水の汚れが花を傷める直接の原因になるのではなく、それによって導管が詰まることが原因なのです。もっとも大切なのは、水と茎の切り口を新しくし、給水力をキープすること。漂白剤を入れたとしても、水替えで新しい水にしたほうがより清潔だし、延命剤は栄養剤も含まれているのでバクテリアが発生しやすく、やはり交換する必要があります。つまり、他の方法はあくまでも予防策。基本は水替えと切り戻しだと心得ておきましょう。

<水替えと切り戻しは最低でも1日1回を心がけて>
茎の導管は水を花に送り込む為のポンプとフィルターの役割を兼ねている為、水を吸い上げている間に切り口が詰まってきます。暑い時は吸収も水の汚れ活発になるため、導管もすぐに目詰まりし、水を吸い上げにくくします。水の交換と、茎の切り戻しは最低でも1日1回を心がけましょう。方法は水切りと同様、茎を洗ってから水中に浸けたまま、最低1㎝はカット。茎が変色したり傷んでいる部分があれば、その上まで切り戻します。

<水替えのたびに花器もそのつどきれいに洗いましょう>
見た目は濁っていなくても、花をいけて1日たてば、水も花器も汚れています。汚れが残った花器に新しい水を入れても、すぐにまた汚れてしまうだけ。使い終わったあとはもちろんのこと、水替えのたびに中性洗剤や、汚れがひどいときは漂白剤で、器の内側のぬるつきがとれるまで、しっかり洗いましょう。洗い終わったらタオルなどで拭くと雑菌が附着しやすいので、器の内側は自然な乾燥がお勧めです。

<傷んだ花を見つけたらすぐに取り除いて!>
最初から茎が傷ついていたか、バクテリアが入っていた場合、一緒にいけていても1本だけ枯れてしまったり、茎が腐ってしまうことがあります。そんな花を見つけたら、すぐに丸ごと取り除いて、水も入れ替えましょう。傷んだ花はエチレンガスを大量に出すうえ、汚れもうつしてしまうので、他の花まで傷む原因に。古い花と新しい花を一緒にいけるのも、新しい花の寿命を短くしてしまいます。

だんだん暖かくなってきましたので、切花を長持ちさせる方法を要約してみました。お花好きの皆さんに、ちょっとした工夫で切花を長持ちさせて楽しんでもらおうと書いてみました。参考になりますでしょうか?



京都・嵯峨の花屋 hanamasu(花ます)