すこぶる…日記 

室長のアートな日々

ドラマ「洞窟おじさん」

2015-09-29 21:40:42 | 日記
 先日、NHK BSで放送されていたドラマ「洞窟おじさん」を見ました。このドラマはスコブル面白かったです!

 このドラマを見ようと思った動機は、映画「野火」で好演していたリリー・フランキーが、このドラマの主人公洞窟おじさんをやっていたからです。このドラマでは全裸で走ったり、暴れたり、わめいたり、号泣したり、体をはって熱演していました。

 原作が加村一馬著「洞窟オジサン荒野の43年」。衝撃の実話!親の虐待から逃れわずか13歳で山奥に逃亡、洞窟に隠れ住む。その後、43年間ものサバイバル生活を経て発見された男。

 43年(昭和35年=1960~平成15年=2003)13歳から56歳までの間に、世間とは隔絶した環境で、別れがあったり、出会いがあったり、裏切られたり、失望したり、恋したり、学んだり、逃走したり、といろんな体験や困難にあってもサバイバルした洞窟おじさんに感動しました。

 なんと、うれしい事に、このドラマの完全版(全4話)が放送されます。

 10月1日(木)pm9:00~9:59
 10月8日(木)pm9:00~9:59
 10月15日(木)pm9:00~9:59
 10月22日(木)pm9:00~9:59

 興味を持たれた方は、ぜひぜひ!

 

青春小説

2015-09-21 21:33:32 | 日記
 読書の秋に、おすすめの青春小説3つ。

 まず、中学生時代。川上健一著「翼よいつまでも」(集英社文庫)。主人公は、中学三年生の野球部の補欠部員。大人たちの理不尽な要求に怒りを覚えたり、性のめざめに妄想をふくらましたり、そんなもんもんとしたエネルギーを、衝撃を受けたビートルズの音楽によって爆発させる熱き青春ストーリー。

 次は、高校生時代。恩田陸著「夜のピクニック」(新潮文庫)。高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは、全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。それぞれ事情や悩みをかかえている高校生が、この行事を通して、それらを克服していく爽快な青春ストーリー。

 最後は、大学時代。三浦しをん著「風が強く吹いている」(新潮文庫)。弱小の大学駅伝チームが、厳しい練習や状況に打ち勝って、夢であった箱根駅伝の出場を果たし、番狂わせを起こす活躍をする。この作品の魅力は、10人の選手のキャラがたっていて面白い!そして、駅伝の持つ醍醐味が端々に表現されていて、惹きこまれる。箱根駅伝ファンにはたまらない内容。汗と涙の青春スポーツストーリー。

 また、最近読んだ、佐々木マキ著「ノ―・シューズ」(亜紀書房)は、著者(漫画雑誌「ガロ」でナンセンス漫画で注目され、その後絵本作家として活躍し、村上春樹の著書のイラストレーションでも有名)の自伝的エッセーですが、その中で、神戸の下町で過ごした幼少の頃の思い出(著者の記憶力にびっくり)が秀逸!ひさびさにイッキ読みしたおもしろい本でした。こちらもおすすめです。

アート情報

2015-09-15 21:29:14 | 日記
朝夕涼しくなって芸術の秋が近づいて参りました。で、オススメの展覧会3つ!

 まず、京都国立博物館で開催される「京を彩る琳派」(10月10日・土~11月23日・月祝)。琳派誕生四百年のとりにふさわしい展覧会で、光悦、宗達、光琳、抱一、スーパースターの競演!俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」も出品。極上の琳派マッサージを体感せよ!?

 次は、兵庫県立美術館で開催される「パウル・クレー展」(9月19日・土~11月23日・月祝)色彩と線の魔術師、巨匠パウル・クレー(1879~1940)の個人的な記念や画業展覧の鍵となった作品約40点を含む110点あまりが出品される。クレーファンとしては、期待度大の展覧会です。

 そして、伊丹市美術館で開催される「鴨居玲展」(10月31日・土~12月23日・水祝) 人間の内面を見つめ、自己の存在を問い続けた孤高の画家鴨居玲(1928~1985)の画業を回顧できる貴重な展覧会です。こちらも期待度大です。

日本のいちばん長い日

2015-09-09 21:10:57 | 日記
半籐一利著「日本のいちばん長い日」(文春文庫)→ 昭和二十年八月六日、広島に原爆投下、そして、ソ連軍の満州侵略と、最早日本の命運は尽きた...。しかるに日本政府は、徹底抗戦を叫ぶ陸軍に引きずられ、先に出されたポツダム宣言に対し判断を決められない。八月十五日をめぐる二十四時間を、綿密な取材と証言を基に再現する、史上最も長い一日を活写したノンフィクション。

 この本を原作とする原田眞人監督作品、映画「日本のいちばん長い日」(2015)を見ました。この作品を見る前に、BSで放送のあった岡本喜八監督作品、映画「日本のいちばん長い日」(1967)を見ていたので、今回原田監督がどう映画化しているのか楽しみでした。

 見た感想は、リアルでした。戦後70年で史実があきらかになったせいなのか、岡本監督作品では、あまり天皇の事が描かれてなかったけれど、今回は昭和天皇の事がクローズアップされていて興味深かったです。また、阿南陸軍大臣の事も、前回では軍人として苦悩する姿を表現していたが、今回は、家庭人としての姿も描かれていて、よりその人となりが解ってよかったです。キャストとしては、天皇を演じた元木雅弘と阿南陸軍大臣を演じた役所広司はもちろんよかったのですが、私は、鈴木貫太郎総理大臣を演じた山崎努と畑中少佐を演じた松坂桃李がよかったです!

 この原作者の半藤氏が、この本を書こうと思ったきっかけは、昭和三十八年(1963年)六月に開かれた座談会の司会をした経験からだそうです。その座談会に参加した三十人には、この映画にも登場する政治や軍部の中枢にいた人や、前線にいた人、捕虜収容所にいた人、銃後の人などこの戦争を体験した人たちです。この座談会をまとめた本が半藤一利編「日本のいちばん長い夏」(文春新書)です。この本は映画を見たのち読みましたが、参加者一人一人の戦争体験の感想が様々なので驚きました。また映画を見てから、この本を読んだので内容が理解しやすくとても面白かったです。

 現在は、原作の半藤一利著「日本のいちばん長い日」を読書中です。

 戦争終結に向けて、命を賭けた政治や軍部の中枢にいた人達の覚悟に感動しました!今の日本にこれだけ日本の未来に向けて覚悟を決め責任を取る政治家はいるのでしょうか...。

東京百話

2015-09-01 21:26:15 | 日記
今、読んでいる本は、種村季弘編「東京百話(人の巻)」(ちくま文庫)。この本は、昭和の東京について書かれた名エッセイ、短編小説を選りすぐりの3冊(天の巻・地の巻・人の巻)にまとめたアンソロジーです。すでに天の巻と地の巻は読了しました。昭和の民衆の歴史、風俗、街、人々、暮らしなどが書かれていてとても興味深い内容です。

 編集したドイツ文学者種村季弘氏は、博覧強記の人、セレクトした執筆陣も個性あふれています。たとえば、田中小実昌、四谷シモン、つげ義春、赤瀬川源平、色川武大、澁澤龍彦、金子光晴、武田百合子、植草甚一、滝田ゆう、横尾忠則etc。

 その中でも特に印象に残ったエッセイが、内田栄一著「松本兼吉のこと」です。

 ― 兼さんは、私の父親の生まれる数年前、祖父が経営していたころの美家古へ入店った。明治十八年、兼さんが十六歳の時であった、美家古は、私で四代目になる。兼さんは二代目の祖父の代から三代目のわたしの親父の代に亘る六十余年の長い間、わき目も振らずシャリ炊の兼さんとあだ名されて終始一貫、鮨飯炊きに生涯を打ちこんだ男である。 ―   東京百話(人の巻)より

 そんな兼さんの炊く鮨飯には定評があったが、もっともっと良いシャリ炊きになるんだと酒も煙草も絶って精進をつづけ、周囲のすべての人々からもその無欲恬淡な人柄を愛された。

 兼さんはプライベートでは、江戸の華火事場が好きで、芝居が好きで、うまいものが好きで、寄席が好きだった。

 ここまで読んで、松本兼吉と言う人は、愛すべき人だったんだと思っていたら最後の文章でショックを受けました。

 ― 兼さんは昭和二十年三月十日の夜、六十余年働きつづけてきた店内の防空壕に退避していて、B29の投下した直撃弾をうけて、店もろとも木端微塵に散華した。そしてその夜、私の父も、店の附近の路上で無残に焼死したのである。兼さんは終生独身で過ごした。兼さんが女房を持たなかった理由は、わからない。 ―

 この文章で、戦争の理不尽さに怒りを覚えましたし、戦争はしてはいけないと強く思いました。