霧島市にあるショッピングセンターに用事があり,ついでに2階の駄菓子屋さんを覗いてみた。
昭和レトロブームの影響なのか最近テナント形態の駄菓子屋さんが増えている。店番をしているのは割烹着を着たおばあちゃんではなく,制服を着たお姉さんである。商品の中身は昔と変わらないものの,個別包装され衛生的な配慮がなされている。小さい頃10円玉を握りしめて胸を弾ませながら通った駄菓子屋さんのイメージとはほど遠い。
最初に手にしたお菓子は「チロルチョコレート」の復刻版(31円)である。今のチロルチョコは正方形の一山タイプ(20円)となっているが,我々が食べていたのは3つ山に分かれた長方形のものだった。当時の会社名は「松尾製菓」で「♪10円あったらチロルチョコ」というCMソングを流していた。
現社名は「チロルチョコ株式会社」に変更され,製造工場は福岡県にあるが販売会社は東京になっている。「チロルチョコ」という一商品だけでここまで会社が発展してこれたのは,たゆまぬ商品開発のおかげであると新聞で読んだことがある。毎年新作のチロルチョコを開発販売しており,それを心待ちにしているファンまでいるらしい。
チロルチョコは全部がチョコではなく,中にミルクヌガーが入っている。当時の私のお気に入りの食べ方は,次のとおりである。
1 一山を割って口に入れる。
2 かまずに中のヌガーが現れるまで溶けたチョコを味わう。
3 外のチョコがなくなったらヌガーをかんで味わう。
山は3つあるので,3山×2味=6回も楽しめるのである。
さて,復刻版「チロルチョコ」食べてみよう。一山を割ってみる。あれっ,中が昔と違っている。昔のミルクヌガーは3山通しで入っていたが復刻版では一山ごと独立している。生産ラインの関係かも知れない。一山を口に入れて,昔と同じ方法で味わう。昔の素朴な味と違って,洗練された味がした。原料や製法に改良が加えられた成果であろうと想像する。残りの二山は口に入れて,即かみ砕くという贅沢な方法で食べてしまった。
次に手にしたのは「ゴリラの鼻くそ」というなんともふざけたネーミングのお菓子(157円)である。小学校低学年くらいまでは「うんこ」,「しっこ」,「はなくそ」など大人にすれば下品な言葉に興味をもつ年代である。そんな子供たちをターゲットにした商品は「ゴリラの鼻くそ」以外にも数点並んでいた。「ゴリラの鼻くそ」のパッケージ裏の商品説明を引用してみよう。
「笑い1番 味1番 『ゴリラの鼻くそ』は,名前はユニークですが,中身は良質の黒大豆を使い,オーソドックスに仕上げた黒豆薄甘納豆です。美味しく食べて頂いた上に,『ゴリラの鼻くそ』というネーミングが家族の,近所の,職場の話の種になれば幸いです。笑いと黒豆は健康のもとです。 店主敬白」とある。
すごい。「ゴリラの鼻くそ」という珍妙なネーミングには,最近薄れがちな家族,近所,職場のコミュニケーション活性化を図るという深遠な目的が隠されていたのである。あっぱれ「(有)岡以三郎商店」(島根県出雲市)!!
でも、駄菓子屋をなつかしむ気持ちは同じようですね。
昔と変わらずあまり体には良くなさそうなお菓子がいっぱいです。親が止めるとどんな味がするのか食べてみたくなるものでした。