2007年2月の句

暖冬の動物園がふくらみぬ

背を丸めたる寒牡丹骨太し

2007年1月の句

暖冬の人体絵図の骨に艶

2006年12月の句

人体図の大きな骨格年つまる

めらと火を放ちてみたき枯尾花

2006年11月の句

二人居て一つの黙となる紅葉
大くしゃめ吹っ飛んで行く百花園

赤レンガ倉庫ひねもす秋陽焚く

熟れ柿を天にのこして村消ゆる

2006年10月の句

朝あけの湖の混雑水尾の秋

到着の白鳥の肩揉んでやろ

竹薮の暗きをまとふ曼珠沙華

2006年9月の句

雷門くぐり夏服終りとす

2006年8月の句

ぶんぶんが雷門を素通りす

盆踊りリズムなんとなくタンゴ

八月の匂ひ八月の池の蓮

2006年7月の句

どうにでもなれと投げ出す梅雨の欝

かなかなの鳴き出し手術成功す

さがり花下がりつかれて梅雨しとど

2006年6月の句

紫陽花をとことん咲かす村起し

てんと虫八十才を黙殺す
夏荒れて底引網の出番無し

2006年5月の句

夏といふ大きな崖が近づきぬ

遺跡の蝶夏蝶となりあらあらし

2006年4月の句

虚子の句碑素通りしたる花吹雪

春雷を一発食らひ命長

攫はれて行くやうに散る桜かな

2006年3月の句

遠足弁当蓋の米粒から食べる
春日傘キリンの首を素通りす

花吹雪年をとったらでしゃばらず

通るたび雛あられを呼びとめる

2006年2月の句

一列に泳ぎて春の鯉となる

雪解水すぐ本流となる気負ひ

2006年1月の句

十トンの雪を下ろして無口なり

日本列島くの字に曲る大寒波

2005年12月の句

句帖落として大白鳥をおどろかす

栓抜きが天井で啼くクリスマス

逆光の冬の木立は唯の棒

十二月の音聞きたくて竹叩く