Toscanini's First Concert with the NBC Symphony Orchestra [from US] [Import]
トスカニーニがその後1954年に引退するまで、手兵としていたNBC交響楽団との記念すべき初めての演奏会の録音。1937年12月25日。ラジオ放送のアナウンスにつづけて、ヴィヴァルディの作品3の11の合奏協奏曲、モーツァルトの40番ト短調交響曲、そしてブラームスの第1交響曲が収められている。音質は案外鮮明で、ヘッドフォンでも十分楽しめる。
頑固一徹でストイックな音楽作りはここでも顕れているが、晩年の解釈に比べると加えてよりしなやかな運動が聴かれる。モーツァルトのほの暗い情熱、ブラームスのドラマティックなフレーズの振幅など、ザッハリヒと評されがちなトスカニーニのロマンティックな側面を聴くことができる。100円スピーカでも、そうしたニュアンスが伝わってくる。
ブラームスの1番は、BMG(RCA)にある同じオーケストラを指揮した後年のものや、Testamentにあるフィルハーモニア管とのものと比較するのもおもしろいだろう。案外、なめらかな熱いその歌い口に驚かされるかもしれない。ちなみに私は、演奏内容に関していえば、この最初の演奏会のものに惹かれるところが大きい。貴重な記録である。(MYTO)