やっと救急車は到着する。
(拙者) 「こちらです」
(救命士) 「おばあちゃん、大丈夫ですか」
(母) 「・・・・・・・・」
(救命士) 「頭部より出血。意識は?」
(拙者) 「耳が遠いので、大きな声でお願いします。」
(救命士) 「(大きな声で)おばあちゃん、大丈夫ですか。」
(母) 「側溝の水に濡れて、少し 寒いね」
(救急士) 「(大きな声で)出血がありますので、包帯をしますよ。」
(救急士) 「(大きな声で)手足は痛くないですか。1m近い深さの側溝ですよ。」
(母) 「コンクリートに頭をぶつけて、手足も少し痛いね。」
(救急士) 「これから、病院へ行きます。」
(拙者) 「どこの病院ですか、近くの病院をお願いします。」
(救急士) 「本部からの指示は笠松病院です。」
(拙者) 「どうして遠くの病院になるのですか。」
(救急士) 「本日夜間の救急の当番病院は笠松病院なのです。」
拙者は聞いたことのない病院・・・行ったことのない病院・・・・
(拙者) 「・・・・お願いします。」
(救急士) 「息子さんはこの車に乗って笠松病院まで行きますか?」
母は不安そうな顔で拙者を見る。
(拙者) 「勿論、この救急車で母に付いて行きます。」
救急士は電話連絡をしている。
救急車は走る、笠松病院へ。
笠松病院の緊急車両出入口に看護婦が立っていた。
直ぐに担当医は現れる。
(担当医) 「おばあちゃん、大丈夫ですか。」
(母) 「・・・・・・・」
(拙者) 「耳が遠いので、大きな声でお願いします。」
(担当医) 「(少し大きな声で)簡単な検査をしますよ、ご気分はどうですか?」
(母) 「少し寒いです」
(担当医) 「念のため 入院しましょう。」
拙者は覚悟した、即入院。
しかも、母の着替えはない、お金もない。 どうしよう・・・と。
(看護婦)「先生、ベットがありません。」
(担当医) 「お聞きの通り、今日は入院できないので、明日一番に来てください。」
拙者は内心ホットした。
近くのタクシーを呼び、瑞穂市の拙者の駐車場にもどり、自分の車で家に戻る。
長い一日がようやく終わった。
(次回へ続く)