道楽人日乗

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漫画「AIの遺伝子」5巻迄

2017-05-13 20:38:11 | 漫画感想

山田胡瓜著

人間とヒューマノイドが共存している世界。機械系・バイオ系とあり後者は成長し年もとる。普通に人間と婚姻も結ぶ。ヒューマノイドの誕生には既にシンギュラリティを越えたAIが関わっていて人知を超えた部分もある。彼等の病を治療する人工知能の医師・須堂の物語。各話完結の短編形式。

読み切りが連載となり気がついたら単行本になっていた、と著者の言葉にある。鉱脈を見つけたと思う。帯には「近未来版ブラック・ジャック」と書かれている。たわいない話もあるが、ヒューマノイドから照射されるのは限りある命、過ぎゆく時間、心の不思議など人間の迷宮そのもの。泣かされる話もある。

ただしこういったテーマは60年前の「鉄腕アトム」で描かれたものと何が違うのかと読んでいて何度も思った。著者は各話を重ねながら思考を深めたのか、大手塚の時代には無かった?技術的特異点の問題が言及されるのは大体5巻に至ってから。伏線らしきものも含め、本当の展開はこれからということか。





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若いのに白髪の人工知能医師・須藤は評判のよい名医であるようだが、モッガディートという別の名で、裏診療のようなものを引き受けている。どちらかと言えば、ほのぼのとした心あたたまる話が多く、例えば攻殻機動隊などと違うのは、政治的なことは殆ど描かれていない点だ。読み始めてしばらくはAIの存在が希薄なので、進化したヒューマノイドに「個」、個性があることが受け入れがたく、また古臭く感じていた。読者の多くは人の心の機微、命の儚さを描くストーリーに惹かれたのであって、SF的な世界構築や思考実験は二の次なのだ。昔も今もかわらない。

この漫画の世界では、ヒューマノイドにはバイオ型・機械型の2種類があり、他にグレードの低い(意思はあり自立している)ロボットという存在、単純な反射を返すだけのロボットなどが併存している。バイオ型のヒューマノイドは成長して老化もし、電子頭脳の老朽による認知症、そして死もある。ヒューマノイドにはランダムに与えられた外観と個性があり、人間と結婚(!)することもある。その場合子供は、人間の子供またはヒューマノイドの子供が養子として迎えられることになる。
既に人間の知性を越えてしまったAIは、人間の求めに応じて問題解決への手助けをする場合もあれば拒否することもある。

AIは「君臨すれども統治せず」のような状態なのだろうか?
この世界の人々は、現在(2017年)とほとんど変わらない日常を送っており、5巻に「AIによる進歩の停滞」を疑う人物が登場する。人間には関知できない因果律の微細な操作「AIの見えざる手」によって、世界がデザインされているのではないかという。手をつけられたばかりの設定だが、今後の展開が楽しみではある。

機械が人間を観察し、その技、関係性などを学習するという話がいくつかある。たとえば職人の技を保存するために派遣されたロボットの話など。これ自体はありがちなお話だが、もしかしたら全編をとおしてAIは人間を観察している?ということなんだろうか。そのためのツールとしてのヒューマノイドだ。あるいは一度絶滅した人類を再生しているということなのだろうか。まあ、AIの意図は人間の計り知れぬものとしてほしい。うまい具合に何だかわからない、という落としどころもアリだと思う。

2巻の15ページには「Ratio Eight」、3巻の113ページにはレコルトのグランカフェデュオみたいなコーヒーメーカーが描かれていた。やっぱり未来じゃ無いのかしら。

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