おぉ!?と思う本の日記

私、ギャーがなんとなくニオう本の感想をダラダラ更新します

無伴奏

2008-07-31 17:12:30 | 小池 真理子
小池 真理子著 (新潮文庫) 『無伴奏』
 内容:その果てに待つものを知らず、私はあなたを求めた―。多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。渉に影のように寄り添う友人の祐之介と、その恋人エマ。彼らの共有する秘密の匂いが響子を苛み、不安を孕んで漂う四角形のような関係は、遂に悲劇へと疾走しはじめる。濃密な性の気配、甘美なまでの死の予感。『恋』『欲望』へと連なる傑作ロマン。

この小説は姉と私が交互で繰り返し読むのを繰り返したせいで、4年前(だったかな)に買ったのにカバーもボソボソになってしまいました。今でも大切に読む本の一つに入っています。

 私この本を読んだあとに猛烈にパッヘルベルのカノンがいつも聴きたくなります。
 これは1969~70年仙台や全国で学生運動の嵐が吹き荒れていた時代を舞台とした小説です。私の母親や父親(年代50~60代)が学生だった頃の話。残念ながら父親は研究室にこもりっぱなしで全然そういう運動から遠いところにおり、母親も全く興味がなかったようでちっともそんな話は聞けません↓↓
 文章の力のスゴイところって、やっぱり【ここは1969年、学生運動の嵐が吹き荒れる仙台】って書かれたら一気にその世界に入っていけることだと思う。まぁ中には そんなアホな・・・ と完ぺき白けちゃうような文章を書く作家もいるけど。。   小池氏はいつの時代にも連れってくれます。 私は読み始めた瞬間から灰色の仙台に入り込むことが出来ました。
 主人公は高校での問題児 野間 響子、同級生で友人 男勝りで行動力のあるジュリー、趣味は自殺の方法を考えることで、若者のヤル気とか生き生きしているのとはほど遠い存在の美人 レイコ。美しい渉と渉の影のように寄り添う友人の裕之介、裕之介の恋人エマ。  この登場人物のみでほとんど物語は展開していきます。 ジュリーに連れられて入ったバロック喫茶無伴奏 で、渉と裕之介、エマと出会う。これで歯車がガラガラと音を立てて回り始める。。


どうにも言葉にならないくらい切ない話なんです。 完ぺきな美しさの渉に恋をした響子。だけどどうしても中に入って行けない。。この響子のもどかしさも切ないんですが、私は渉と裕之介の関係が本当に切なかった。 学生運動に情熱を傾けることもせず、かと言って勉学に打ち込むわけでもない。狭い離れの部屋で二人は音楽を聴き、コーヒーを飲み、本を読む。愛し会っているお互いを意識しながらもギリギリの状態を保っていた渉と裕之介。それぞれが不器用ながら精一杯今の状態を維持していこうとするその悲しいほどの決心に何度読んでも涙が出ます。
 最後はお互いを想うあまりに過ちを犯してしまいます。 渉の遺書にたった一言書かれた言葉 これでやっと静かに眠れる には本当に今までのギリギリの状態に心底疲れていたのが伝わってきます。

この小説は邪推しなくても充分!っていうか邪推する隙間が全然ない小説で、みっちりと濃く、しかし透明な空気が流れています。。

熱氷

2008-07-30 10:44:05 | 五條 瑛
内容:姉弟として育てられた朱音の突然の訃報を、氷山ハンター石沢恒星はカナダ沖の氷山採取船で聞く。帰国後、朱音の遺児・光晴と心を通わせるが、光晴は誘拐されてしまう。「俺は人は撃たない。撃つのは氷だけだ」という石沢に、総理を狙うテロリストは、解放の条件として“仕事”を課した。息詰まる3日間の攻防。

 この小説を読んで、氷山のハンターがいるってことを初めて知りました。微妙な位置を見分けて、必要な分だけハントするなんて人間ってまだまだ野生の血が残ってるんだなぁと感じました。
さて、主人公石澤恒星が乗ったカナダの船に一通の電報が届きます。それは義姉の朱音の死を伝えるものだった。恒星は急遽数年ぶりの日本へ帰って来る。飛行機で一緒になった滑川は同じ氷山ハンター仲間だ。 朱音の忘れ形見、光晴と少しずつ心を通わせるが、学校の遠足の帰り、光晴は誘拐されてしまう。誘拐犯はなんと光晴の実の父親だった!光晴を解放する条件として要人狙撃を指示。・・・石澤にライフルを提供する密売屋の美貌の兄妹スワローとグースは、自分たちには無い石澤の人柄に惹かれ、光晴捜索に協力します。
 この小説は沢山の登場人物がいて、色んなところで色んな風に絡まってるんですが、混乱することなく読めます! 恒星の仕事仲間、滑川純。 純の仲間、マヤ、飛麗。飛麗を愛した元警察官、鎌倉。  武器密売人の双子の兄妹、スワローとグース。  政界の大物の家、菅原家側の尾道、赤柳、野村。。

 なんつーか。色々と妄想すれば果てしなく妄想が広がっていっちゃいそうだ(笑) ただ、恒星がホントに色んな人から愛されるキャラだよなぁと思います。恒星と朱音の関係は姉弟以外のなにものでもないんだけど、血が繋がってないために、外部から(育ての親からも)邪推されて歯がゆい思いをしてます。読み進めていくうちに、恒星の中を占めている朱音の存在の大きさに気づきます。朱音はどんなときでも恒星の味方。絶対的に信頼し、励まして応援してくれる存在だったんですねぇ。朱音が亡くなって、恒星は自分の半身をとられたように感じたことでしょう。。
 朱音の遺児、光晴も超カワイイ!!光晴には色や形が人とは違ったように見えるのですが、朱音はそれは悪いことじゃなくて個性、特別なんだよ と光晴に教えます(さすが朱音!!)光晴は人と同じに見えなくても匂いにとても敏感。最後にこの匂いで光晴の居場所が分かるのですが、これは読んでからの楽しみにしておいた方がいいか(^^)
 滑川とマヤの関係も不思議だなぁ~。普段滑川が主導権握ってるけど、マヤが運転中に性格が変わっちゃう様子をみてたじろぐ滑川が面白かった(笑) 同じ施設で育ったせいか、愛というより一心同体みたいな感じがします。 だけど、マヤが化粧を落として素顔になった時、滑川が「会いたかったぜ。真矢」 鏡ごしに笑顔で「オレもだよ。純」という二人にドキーーー!!としました(笑)

 恒星とスワローとグースも超見所満載ですよ(爆)恒星のとこが大好きになっちゃったスワローとグース。二人は恒星が第二のオズワルドになるのを必死にくい止める為に自分ができることを精一杯頑張るところが超カワイイ♪スワローは襲撃の時まで恒星にベッタリだし、外が恐くて外出出来ないグースはネットを駆使して情報を集めまくるし。。

 最後に同じ答えにたどり着いたマヤとグースが一緒に光晴を探すところはなんかちょっと微笑ましくてニヤニヤしながら読んでしまった(汗)  

グースもこの事件をきっかけに外出恐怖症を克服できたし、恒星や光晴、マヤとの交流もこれから楽しみだ♪  ていうか恒星の取り合いになりそう(笑)
読み終わってからも余韻を残してくれるので果てしなく妄想しまくって一人ムフムフしてしまいました~~(死)

レディ・ジョーカー

2008-07-29 14:47:23 | 高村 薫
高村 薫著 (毎日新聞社)『レディ・ジョーカー 上・下』 内容:(上巻) 人質は350万キロリットルのビールだ―業界のガリバー・日之出麦酒を狙った未曾有の企業テロは、なぜ起こったか。男たちを呑み込む闇社会の凄絶な営みと暴力を描いて、いま、人間存在の深淵を覗く、前人未到の物語が始まる。 (下巻)犯罪が犯罪を呼び、増殖し続けるレディ・ジョーカー事件。犯人たちの狂奔と、それを覆い尽くす地下金融の腐臭は、いつ止むのか。そして、合田雄一郎を待つ驚愕の運命とは―高村文学の新たな頂点を記す、壮大な闇の叙事詩、ここに完結。

 差別あり、国差別あり、大企業の裏事情あり・・・。 日の出麦酒の社長の姪が不用意に交際相手に伝えた言葉。 ここからどんな風に話を展開してくつもりなのかと思いながら上巻を読み終えました。大体の誘拐の仕方が判明したと思ったら日の出麦酒の社長が誘拐されて、上巻が終わるまで一度も犯人側の視点で語られることがないんです。あ~すごかった!!ていうか、犯人側の視点から一切語られないので次にどういう行動を起こすのか全然予測がつかず、スリル満点でした~。 日の出社長 城山さんは何を考えている人なのか最期まで全然掴みどころのない人だったなぁ。  で、そこら辺はどうでもいいんです!!(←オイ) 合田刑事と加納祐介の関係ですよ!問題は!!!

え~っと。一応合田刑事と加納検事についての人物紹介です。 ウィキから勝手に抜き出ししてきました。
合田 雄一郎・・・警視庁捜査一課第3強行犯捜査班7係主任。階級は警部補。33歳。大阪出身者だが、母親の故郷である東京で大学生活を送る。加納祐介とは大学の同期で登山のパートナーであり元義兄である。加納と共に司法試験を受験するが合田は失敗。その後警視庁に入庁。離婚歴有り。元妻は祐介の双子の妹。時に関西弁を交えて話すことがある。 忍耐の塊とも言うべき刑事。
加納 祐介・・・東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)検事。茨城県出身。双子の妹貴代子は合田の元妻。貴代子が原発反対運動に関わっていたとされ、その事がきっかけで福井地方検察庁へ左遷。その後京都など10年余りの地方勤務を経て、東京地検特捜部に赴任した。合田の自宅の合い鍵を持ち、暇をみては部屋の掃除や服のアイロンがけをしている。

 あの加納祐介の合田雄一郎へのつくしっぷりったら・・・(汗)だって合い鍵持ってるんですよ!?しかも家事までやってくれてるんです。雄一郎が「アイロンがけなんかしなくていいのに」みたいな事を言うと、祐介が「君にはいつもきちんとした格好をしていてもらいたいんだ」とか言っちゃってるし! 祐介が雄一郎の世話を焼きたくて焼きたくてしょうがない感がめっちゃ出てて超オイシイところです♪雄一郎が「祐介」と呼びかけるところは、いつもせっぱ詰まってるっていうか、切実な思いっていうかなんか色んな思いを込めて精一杯呼びかけてるって感じがイイ!祐介もそんな雄一郎を理解してるから、包むように優しく耳を傾けてるのが文中からよく分かるな~♪♪ どっちかっていうと雄一郎は暗めな性格だけど、祐介がいるからかろうじて顔が影にならない程度に上げてられるって感じがします。祐介が雄一郎の精神安定剤みたいなモンですかね(^^)  雄一郎は我慢・忍耐の塊みたいな人間だから、自分が崩壊するギリギリまで祐介に会いたいって言わない。思ってても言わない。。 だからかな?祐介がしょっちゅう雄一郎の家に行って(会えなくても) ちゃんとそばにいるよみたいな痕跡を残していくのは♪♪雄一郎の全てを理解して側で支えて(自分が死にそうに忙しくても)いつも穏やかに接している祐介がステキ!!!! 雄一郎の関西弁が出る時って、心底腹に据えかねてブチギレ寸前な時か、心底安心して力を抜いてる時に出るみたいです。   祐介と話しているときに雄一郎の関西弁が出るとなんか嬉しい(*^^*) 多分祐介も嬉しくなるだろうな~♪ 私の希望としては、このまま誰にも邪魔されず、ずーっと二人で穏やかに生きていってもらいたいなぁ~

ヨリックの饗宴

2008-07-28 13:58:41 | 五條 瑛
五條 瑛著 (春秋文庫) 『ヨリックの饗宴』
 内容:妻子を虐待した末、失踪した兄。その消息を追うハメになった耀二は、やがて長年にわたって隠蔽されてきた政府機密の存在に気づく。政権をゆるがすほど多くの人間の野望と復讐を織り込んだ重大な計画…兄は一体何をしようとしていたのか!?ハムレットの登場人物になぞらえられた人々が長年にわたって隠し続けてきた日本政府の機密とは何か。「国家」と「家族」、「愛」と「憎悪」に翻弄される兄弟の運命を描いた、傑作長編ミステリ。



 すって~きな兄弟愛の物語♪ いや、本当は全然違います。内容 の通り、隠蔽され続け、政権を揺るがすほどの重大な計画に巻き込まれていくんですけど。   だけどちょっと妄想を働かせれば、容易に苦境に巻き込まれた兄弟の愛の物語として読むことができちゃうんですよ~(痛)

 主な登場人物としては、優しく強く格好良かった和久田家の兄:栄一  そんな兄に憧れる弟:耀二  栄一の妻:真知子  栄一の子供:裕介とゆかり
 謎の女悠子がカッコイイですよ♪ 『スリーウェイ・ワルツ』で出てきた由沙に似てる。五條さんの作品には、美しい男とカッコイイ男。謎で強い女がでてくる確率が高いので、毎回ワクワクしながら読めます!だって妄想の宝庫ですもの♪



 結婚前の強くて優しくて格好良いい兄。どんなことでも助けてくれた兄、憧れて尊敬していたからこそなおさら栄一の結婚後の豹変ぶりが理解出来ない弟耀二。なぜこんなことになってしまったのか。兄は何故行方をくらましたのか。。。兄の消息をたどるうちにヨリックという名の人物が浮かび上がるんですけど、、    耀二と栄一の再会のシーン。横断歩道ごしにお互いの顔を見つめる数秒。絡まる視線 ウッキャー!!と大興奮しちゃいました(痛)

 結構前に繰り返し読んだ作品でして、兄弟愛が度を超しててとってもオイシイ作品だってことは覚えているんだけど細かい内容はあんまり記憶に残ってないなぁ~。ただ、妻の真知子が儚げな人物だと思ってたら全然違ってしたたかでねちっこい人物だった。これには耀二同様読者もビックリ仰天でしょうねぇ~。
 栄一は妻子より大切、何があっても守り抜くと決めた。耀二を守り抜こうと力の限り努力します。耀二も道ばたで再会した栄一を見た瞬間、今の今まで妻子に虐待した兄を憎んだハズなのに、あっという間にそんな気持ちは吹き飛んで懐かしい気持ちと兄を慕う気持ちでいっぱいになっちゃう耀二がカワイイです♪(そんな耀二だからこそ、栄一も全力で守ろうと思うんでしょう♪)

 小説の内容自体は、国家の秘密を守るためなので、その秘密の内容やら、どうして秘密なんだかっていうところは全てあやふやなまんまで終わっちゃったのがちょっと残念。
由沙(違った)悠子と耀二の関係もあやふやだったし、、ラスト。「ぐあぁぁ~~~!!あの二人どうなるのーー!」と叫びながら読み終わりました。 あ。でも栄一が耀二の目につくところにいる限り、耀二が悠子と一緒になることはないんじゃないかな(妄)栄一の方も、 耀二を誰よりも理解しているのはオレだ! みたいなアッピールで多分耀二に寄ってくる女達を一蹴するんじゃ。。 

  妄想  エンドレスです(危)




李歐

2008-07-25 14:28:56 | 高村 薫
高村 薫著 (講談社文庫) 『李歐』
内容:惚れたって言えよ―。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。



惚れたって言えよ-- この帯タイトルで購入決めたと言っても過言じゃないです(笑)
もう、この小説は一言で言えば一彰と李歐の愛の物語(寒)です。
なんなんですか?このラブラブっぷりはっ!!ハーレークイン小説の主人公も真っ青なセリフを李歐がはきまくり、一彰を口説き落とします。  この小説のジャンルは一体なんだろう。ハードボイルド?ミステリー?恋愛小説??ていうか冒険小説?どのジャンルに分けても若干はみ出るって感じは否めないなぁ~ てジャンル分けはどうでもいいんですけど(汗)
 
一彰が初めて李歐に会った夜。一彰がバイトをしているバーの非常階段の下で優雅に舞いを舞っている李歐を発見。お互い一瞬で恋に落ちちゃうんですねぇ~v あ。多分李歐は瞬時に自分が恋に落ちたって分かっただろうけど、一彰の方はあんまり自覚はなさそう。。でも、李歐に会ううちに、李歐から口説かれまくって自分が李歐に惚れた自覚がどっか~んと出てくるっぽい(笑)

李歐と共謀して組織を出し抜いたあと、李歐と一彰は一時別れます。李歐は約束します。「必ず迎えに来る。」 ←あ~もう一彰を姫扱いですよ(爆) 一彰の方も、李歐と再会する長い年月をこの一言の約束を信じて待ち続けるんですよねぇ。あの飄々としてどんな世界でも一人で生きていける李歐が約束するに値する自分 に若干の誇りと李歐に対してのトキメキがあるからでしょう。 だからどんなに他の男に言い寄られようと(塀の中で知り合って、一緒に島の温泉にも二人で入っちゃうようなヤクザのボス)、結婚しようと心はいつでも李歐を追い求める・・・

 他人に心を許さず、素性を明かさず、薄い氷りの上を渡り歩くような危険な男が、自分に美しい夢のような約束を誓い、必ず迎えに来るから待っていてくれと懇願する。。例えではなく、李歐に関しては文字通り命がけの約束。そんな約束をされたら誰だってどんなに時間がかかっても待ち続けようと思っちゃいますよね♪ましてお互い恋いに落ちた相手ならなおさら。。
 李歐と再会するまでの時間は本当に長い。だから一彰も色々あるわけです。ヤクザのボスに言い寄られ、工場を救う代わりに拳銃作れ と言われたり、ボス所有の島に二人で温泉に出かけて一緒に入っちゃったり。  工場の元主の娘(幼なじみ)と結婚し、子供が産まれ、育て、離婚したり、、そんなこんなしている間にも李歐は着々と一彰との約束を果たすため準備しています。 (これは李歐の幻が一彰の所に現れた時のセリフ)→今年も千本植えるつもりだ。来年も千本。再来年も千本。桜は全部あんたに差し上げよう。 その近くに、家も建てよう。大陸を旅して、桜の季節だけ帰ってくる家だ---
 幻とはいえ、数年ぶりに会った李歐は一彰の意向は全くお構いなしでますます俺様に磨きがかかってました。でも、こんなステキな俺様ならいいなぁ~。
どこか現実離れしていて、普通に暮らしていれば体験しない過酷な出来事に放り込まれても恍惚とした幸せに二人が包まれて見えるのはなんででしょう。胸がきしむほど切ない気持ちになるのはなんででしょう。。



そしてラストの父子三人像。。こ、、、これは・・(爆!!!)念願の約束が叶って、一彰と息子、そして李歐は5千本の桜がある村へ移り住みます。べ・・・ベッドで三人並んで寝るって。。アワワ。・。・    ってことは父が二人!?あ、いや違うな。寡黙だけど李歐をこよなく愛し、李歐と桜がそばにあれば満ち足りた思いでいられるお母さん役(一彰)。 ワイルドで舞いが得意で一彰をこよなく愛し、一緒にいても口説き文句を炸裂させるお父さん役(李歐)に育てられてすくすくと育っていく息子。。。            うぎゃぁぁぁ~。この続き気になる!!

スノウ・グッピー

2008-07-24 14:26:21 | 五條 瑛
五條 瑛著 (光文社文庫)『スノウ・グッピー』
内容:訓練飛行中の自衛隊機が北陸沖に墜落した―!一方、休暇中に緊急の連絡を受けた関東電子機器の三津谷は、急遽金沢へ。旧知の宇佐見二佐が三津谷を出迎え、告げた。「“グッピー”を一匹失いました」と。そして、三津谷の同僚の技術者が一人、失踪したことも。事態は、謎の“グッピー”をめぐる国際的な謀略戦へ!いま最注目の大薮賞作家が放つ国際スパイ小説の傑作。

 五條氏は実際に防衛庁に就職し、調査専門職として勤務。 主に極東の軍事情報および国内情報分析を担当していた方です。(Wikipedia参照)だからでしょうか、いくらフィクションと言ってもすごい説得力があってとてもじゃないけど「ふ~ん」じゃ終わらない小説です。日本無防備すぎるよ!! と思わず叫んでしまいました。
 で。。私の好きな傾向としては、自分じゃ全然自覚ないのにみんなから愛されキャラとして扱われている男性にトキメキを感じてしまうようです(笑) あ、実際の男性は違いますけど、あくまでニオウ小説の登場人物でです(^^;)この小説に出てくる男性はみんな○モっぽいニオイがする(笑)っていうか、実際に基本みんな 三津谷さんLOVE です。 緊急事態でしかも三津谷の同僚が行方不明(ていうか逃亡)したっていうのに金沢の駅に自ら迎えに行く宇佐見さん♪三津谷と同じ会社の研究員(名前忘れた)も飄々としている感じだけどナニゲに三津谷さんが研究所に訪ねてくればいそいそとコーヒーを入れておもてなし♪犯罪者まがいの行為をやったり突然三津谷の自宅に上がり込んで来て三津谷達の極秘計画を探りだそうとしながらもちゃっかり居着いちゃって三津谷がピンチの時には助け、三津谷が風邪を引いたらオムライス(もどき)を作って看病し。。昇進なんかには全然興味がなく、ただただ自分の夢を目をきらきらさせて語るその純粋さに登場人物の多くの人が魅せられ、自分は無くしてしまったこの純粋さの塊を汚したくない という思いから多分みんな三津谷には重要な事は教えず、宇佐見さんは汚い事や苦しい事は全面的に自分一人でなんとかし、三津谷を色んな意味で守っている感じがとってもステキです♪
 内容自体もとても興味深く、空と海で繰り広げられる民間人には知り得ない各国との電子戦のすさまじさの構想を描く五條氏は素晴らしい!!筆者の前職からしてこのような「陰謀」が本当に行われていてもおかしくないなぁと感じさせるほどの現実味があります。
 最後に大大どんでん返しがあって全てが明らかになって読者の方は仰天させられます。・・・あの人も関わっていたなんて私的にはちょっとショックだったなぁ~~あ!あと、上司に三津谷からもらった素焼きのマグカップを誉められた宇佐見さんの反応・・・あれは絶対#&%*だよなぁ~とニヤニヤ。・。・  江崎も三津谷の事を ハニー って呼んで気に入っているみたいだし♪
 (あ、ここからは私の妄想の世界になります。。)最後は江崎は沖縄に帰っちゃうんですけど、絶対突然帰って来そうだ!三津谷が仕事から帰ってきて玄関明けたら江崎がすでにくつろいでて三津谷もムスッとしながらも強引に追い出したりしなさそうだし(爆) で、三津谷と江崎が同棲しているっていう裏からの情報を受けて宇佐見さんが三津谷宅に殴り込みをかける。 女房ともとっくに離婚したことだし三津谷さん!同棲しよう!! とか言って(キャー)  江崎と宇佐見が争っている間に三津谷の会社の研究員(ダメだ。全然名前思い出せないスマン)が「なんか大変そうですねぇ。落ち着くまで僕の家に来ませんか?」とか言ってまんまと三津谷を手に入れちゃったりして♪♪ 
・・・だめだ。。自分の妄想癖に段々嫌気が差してきた↓↓
 三津谷は母親譲りの綺麗な顔に、泣きぼくろがあり、女装が得意(?)な人らしいです。 ←これだけでもご飯三杯・・ゲホゲホ・。・なんでもないです↓↓

碧空

2008-07-24 10:33:23 | 長野 まゆみ
長野 まゆみ著 (集英社文庫) 『青空』
内容:等部に上がって新聞部で写真を撮り始めた凛一は、遠く京都の大学へ入学しフットボール部で活躍を続ける氷川を思いながら、ひとり過ごしていた。そんなある日、有沢という謎めいた上級生が現れ、凛一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。有沢に魅かれ、孤独な心を乱す凛一。はなればなれになりながらもお互いを求める少年たちの思いの行方は…。


『白昼堂々』に引き続き、凛一シリーズ第二弾です!!
 『白昼堂々』ですったもんだがあったけど、日頃の成績や素行が幸いして無事に高等部へ進学できた凛一。しかし氷川もまた大学に無事に合格し、東京と遠く離れた京都の大学へ進学してしまう。たまに電話をくれるものの、会えない毎日。。フットボール部で活躍する氷川を想いながらも凛一は高校へ通います。・・・って!ここまでだと超切ない感じなんですけど、凛一ったらその手の男にめっちゃモテモテなんですって!!!(笑)従弟然り、実の叔父の千尋然り、千尋の異母兄弟の千早(だっけ?)然り。。。この千尋と千早は一筋縄ではいかないけど、すっごい凛一のこと大好きなんですって(笑)
 多分、凛一からみればオモチャにされている感が強いんだろうけど、ひねくれまくった千尋達にとっては精一杯愛を注ぎ、面倒を見るのがこういう形でしか表現できないんだろうなぁ~~とニヤニヤしながら読みました(爆)


 ここで、新らたな登場人物、有沢が出てきます!!なにやら影のある上級生。。有沢は凛一を写真のモデルにしたいと誘ってきます。氷川がそばにいなくなり、寂しい思いをしていた凛一の心は乱れます。 も~!ここでも凛一モテすぎなんだっつーの(笑) ってか、凛一は白昼堂々の時は健気で一途っぽい感じだったのに、ここへ来てナニゲに節操なしだってことが判明しました(笑)
や、別にいいんですけど。有沢から凛一へのコンタクトの取り方も、凛一から氷川へのコンタクトの取り方も不器用で色々気を回しつつ、それでも会いたい、話したいという気持ちでなんとか行動出来るってところが切なくて大好きなんで!

 有沢と凛一のTELでのやりとり。。    有沢:「最後くらい、名前で呼べよ、」  凛一:「・・・・・改」   有沢:「よく聞こえないぜ、もう一度、」   凛一:「改」
どうですかこの会話!私この章読んでいて身もだえして訳も分からず「%#@×*+%&●~!!」と叫んでしまいましたよ。
 

 凛一はまだあんまり気づいてないんです。両親と早くに死別し、祖母といえども家元とその跡継ぎとしての関係が強い同居人。
 手放しで助けを求められる人がいないと孤独を感じる凛一を、そばで、もしくは遠くから見守っていて、凛一一人でどうにもならない状況に陥ったときには全力で支える準備ができている人がいること。。
 これから凛一がシリーズを通して成長し、そのことに気づき始めるのを見守るのもこのシリーズの美味しいところだと思います。

 
 身体が丈夫でなく、両親のように短い生涯を終えるのでは?とふと不安がよぎったり、華道の世継ぎとして大勢のお弟子さんをまとめる将来の重圧と闘いながらも、それでもなんとか一人で立っていようとするアンバランスで美しい凛一がとっても魅力的です(^^)

重力ピエロ

2008-07-23 15:55:20 | 伊坂 幸太郎
伊坂 幸太郎著 (新潮文庫) 『重力ピエロ』
内容:兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。



途中途中でオイオイ泣きながら読んだ小説。姉に感想を訪ねたら、「え?そんなに泣くところあった??」だったので、多分私の感情の入れようが激しかったからでしょう(汗)

兄の泉水は遺伝子の会社に勤め、カッコ良くて運動ができて頭がよくて絵がとても上手な弟の春。どっちも英語でいえば「スプリング」。どうにか兄弟だという繋がりを感じさせたかった両親の思いが伝わってきてウルッとしました。
この二人の父親が本当に素晴らしい!!過去にこの家族に降りかかった出来事にも負けず、家族がバラバラにもならず(一応)真っ直ぐに息子達が育ったのも分かるなぁ~と思った。母親の方も本当にステキ!自分に起こったヒドイ過去に決別する為に競馬場で馬券を選択する基準がスゴイ!本当に自分の息子達を心から信頼しているんだなぁとひしひしと感じました(^^)

で、、春ちゃんなんですけど、超カワイイんです★色々屈折(?)しているところがあったり、自分のルールにひたすら忠実だったり、性的なものを極端に嫌う男の子だけど、家族(主に兄)に対しては読んでいるこっちがニヤけてしまいそうなくらい素直。本っ当に全面的に信頼して安心しきっているので、あぁ、春に心休まる場所があって本当に良かった。。とここでまたホロリ。・。・。
 小さい頃の春ちゃんの口癖は「僕とお兄ちゃんは最強なんだ!!」です♪ どうですか?(←なにが?)  超カワイイっ!!!!  兄の泉水も温厚な性格で常に春を温かく見守っている感じがたまんないんですよ~(壊)兄にとって春以上に大切な人っていないんじゃないでしょうかね。この先結婚しても春になにかあれば多分全部うっちゃって春の元へ直行だと思うな~~♪♪

 え~っと。伊坂氏の本って色々あってほとんど読んでいるんですけど、私は『重力ピエロ』が一番好きです。伊坂氏の小説は、本当に綿密な構成の基書かれているため、 どーなっちゃうの!!? と思うような展開になっても最後にはきちんと着地するというか、すっこ~んと終わってくれるので安心して読むことができます。

これからの伊坂氏の作品にも期待が高まります(^^)

白昼堂々

2008-07-22 15:13:06 | 長野 まゆみ

長野 まゆみ著 (集英社文庫)『白昼堂々』
内容:1976年初冬。由緒ある華道家元の若き跡継ぎである原岡凛一は、従姉・省子の男ともだちだったアメリカンフットボール部のエース氷川享介と出逢う。その邂逅が、やがて二人の運命を変えていくことに…。冬から春、やがて夏へと移ろう季節の中で、彼等の思いはどこへ向かうのか。凛一の希みは叶えられるのか。少年たちの切ない恋を描く好評シリーズ第一弾。


 おぉ!これは??というよりモロな感じ。だけど邪推するのが申し訳ないほど一途というか清らかな感じで凛一と享介を見守ってやりたくなります。1976年の冬に凛一は高等部に上がる為の試験を受けるので、1976年時点ではまだ15歳。ってことは2008年現在は47歳になっているということです。今頃の彼らはどうなっているんでしょうかねぇ~♪相変わらず控えめに、、だけどきっと一緒にいる気がします。

 華道家元の世継ぎである原岡凛一は、とある男子中高一貫の私立に通っている。1976年の冬に、高等部に上がる為の試験が行われたが、もともと身体が丈夫でない凛一は試験の当日具合を悪くして寝込んでしまう。凛一が寝込んでいるため、現華道家元の祖母が一族を集め、凛一に背格好が似ている従姉の省子を身代わりにしたて、試験を受けさせることにする。世間ではあり得ない祖母の意見は原岡家ではまかり通ってしまうのです。 目覚めた凛一に省子は、試験を身代わりで受けた見返りに、今度は自分の変わりに学芸員の係りを押しつける。 マスクで顔を隠し、省子の服を着て出かけた凛一はそこで氷川享介に省子と間違われてしまう。--そこから凛一の切ない片思いが始まります~ 原岡家に関係する男性はそろいもそろって一筋縄ではいかない。凛一の兄を自称する叔父の千尋兄さん、凛一の従兄弟で茶道の家元である正午(まひる)とその兄・・・
 雨の日をこんなに美しく描く作家さんってそういないんじゃないかなぁと思います。雨が降る中の空気、止んだ後のけぶるような草木の様子・・・実際雨が降ったら気分はどんよりなのですが、長野まゆみ氏の描く文章の中の雨を体験してみたいものです(^^)

初!投稿★

2008-07-22 13:49:20 | Weblog
初めまして。ギャーと申します。本が大好き!っていうか完全に命を捧げるほど愛しております(笑)毎日毎日本屋に行き、 なんがおもじろい本ねぇが~?(訳:なんか面白い本ないかしら?(なまはげっぽく発音していただけると嬉しいです。))と棚の周りを徘徊しております。

そういえば最近色んなブログや話で聞くのが、♪ポ~ニョポーニョポニョ♪が頭から離れないという事です。あの歌はヤバイですよね。。一回聞いたらどうしたって頭の中でエンドレスですもの(汗)私もず~~っと頭の中でエンドレスです↓↓

あの曲はやっぱり久石さんが作っているのでしょうかねぇ?ていうか公開と同時に観に行こうと思っていたのにいつの間にか公開されていて遅れをとってしまった(><。)

ブログの使い方がイマイチよく分かっていなくて分類とかも超テキトーになるとは思いますが、ヨロシクお願いしまっす★