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おなかいたい

イタリアその2・アルベロベッロのトゥルッリ

2012-04-28 10:06:31 | 旅行

電車でバーリからアルベロベッロへ。マテーラと同じくバーリから1時間半くらいの町。ただし、マテーラ↔アルベロベッロ間はバスとか電車とかたぶんないので、両方行くには一旦バーリに戻らないといけませんでした。あと、マテーラ行きとアルベロベッロ行きは出る駅が違うので要注意。隣ですが。


アルベロベッロは終点じゃないし、放送とか電光掲示板とかもないので、いつ着くかわからずちょっとドキドキ。駅につく度にホームの標識をチェックしてました。
が、ちょうど1時間半を過ぎた辺りからモーレツな睡魔が、、、
しばらくうたた寝してしまい、ふと目を覚ますと電車は駅で止まっていました。おれの座席から駅名の標識が見えなかったんやけど、窓から見える景色は普通に“街”だったので、“集落”とか“村”と呼ばれてるアルベロベッロではないだろーと思いそのまま座って待つこと約10分。なかなか発車しないので外の空気でも吸おうと車両から出てみたら、遠くの標識になんとalberobelloの文字...!慌てて荷物とって降りました。。あぶなかった。長めに停車してくれて助かりました。



アルベロベッロの街
駅から中心部にかけてはトゥルッリはあんまり見えず、地上階が店舗になった中層のアパートが立ち並んでいました。
この時点でまずイメージが崩れる(笑)


中心部はこんな感じ。なぜか街路樹がみんな角刈りです。

角刈り広場




ただ、その辺りにもトゥルッリはぽつぽつあって、建物の隙間からときどき顔をのぞかせます。




市街地を抜けるとついにトゥルッリのエリアに。

めっちゃあるw

アルベロベッロのトゥルッリ地区は2つ、市街地に隣接するaia piccola地区と、市街地からちょっとした谷状になってる広場を挟んだmonti地区があります。
aia piccola地区はトゥルッリの住宅街という感じで、静かでいい雰囲気なんですが...monti地区はばりばりの観光エリア。ここまで観光地化してるとは知らず、ここで完全にイメージ崩壊。観光地化について後ほど書きます。

教会もトゥルッリです。






トゥリッリについて

aia piccola地区のトゥルッリ

トゥルッロが生まれたのは16世紀。たぶん。
当時の領主ジャンジローラモⅡ世は、ナポリ王へ払う税金をごまかすため、すぐに解体できる家づくりを命じます。当時の税金は家の数で決められていて、調査(?)のときに解体して数を減らしていたらしいです。
そこで生まれたのがトゥルッリ(単数形トゥルッロ)でした。


この辺りの主な生業は農業ですが、アルベロベッロ周辺の地盤は石灰岩で覆われていて、農地をつくるためにはそれらを取り除かなければなりませんでした。その石を利用するトゥルッリは農民にとっても都合がよかったため、広まっていきました。安く造れて快適な家だったんです。


あるおみやげ屋さんが、トゥルッリの構造がよく分かる模型を作っていました。



基本的にはブロック状に加工した石灰岩を積んでつくられています。
平面プランは四角形の組み合わせ。壁は二重になっていて、間には砕石や砂利が詰め込まれています。
そこから教会建築でいうペンデンティブの要領で徐々に円形に近づけていき、ドーム屋根をつくります。そして屋根は別の薄い板上の石で仕上げ。
多くの場合、途中で丸太をかませて屋根裏部屋がつくられています。

しかしよくできてるな、この模型。なんと本物の石を使い、本物と同じ作り方で、2週間かけて作ったそうで。


今は殆どの建物の壁が漆喰で塗られていますが、たまにそうじゃないものを見かけると、ほんとに石積んだだけってのがよく分かります。



トゥルッリは夏は涼しくて快適ですが、冬は寒いうえに湿気がたまりやすいため、冬の日中は戸を開け放して対処するそうです。

屋根頂部にはピナクルがつけられ、また白で模様が描かれているものもあります。これらには、昔から言い伝えられてきた魔除けだったりキリスト教絡みのおまじないだったりの意味があります。




ただでさえ特徴的な建物群なのに、こんな模様やらがあるので本当に不思議な景色です。

ちなみに、トゥルッリはアルベロベッロだけにあるものではありません。
プーリア州のあちこちにありますが、まとまって残っているのがここ、というわけです。
アルベロベッロやマテーラに行く途中の電車の車窓からは、農地にポツポツたつ素朴なトゥルッリがけっこう見れますよ。





観光地化について

monti地区。

アルベロベッロ、特にmonti地区は、バリバリの観光地。おみやげ屋が立ち並び、店員が日本語を駆使し、しつこく客引きしてきます...
ただ、なぜかみんな同じフレーズを使います。

オミヤゲ!
ミルダケ!!
アーモンドガシ!!!
チョットマッテ!!!!



みんなで日本語勉強会でもしてるんだろうか...?
(ちなみにアーモンド菓子はこの辺の名物)

ガイドブックとかには「アルベロベッロでは女性が家の前で編み物をする」みたいなことが書いてあると思ったら

ばっちり演出。(あからさまに飾りでした。実際に編み物をしてる人は滞在中には一人も見かけず。)


こういう大量のおみやげ屋と、テーマパーク的演出は好きじゃない。
けど、やっぱり観光で保ってる街はこうならざるを得ないのかなぁ。
なんとかうまいこと自然な生活感を残せないものか...。
というか今にあってはおみやげ屋が並び客引きの声が飛び交い、また観光客を楽しませるためにテーマパーク的になる、この状況のほうがある意味自然なんだろうか...。
観光地として成り立ってなかったら今頃“トゥルッリ集落”は完全に立て替えられてしまっていたかもしれない。そう考えると、うーん...


ただ、民家で有名になった観光地だけに、その辺のおみやげ屋でもトゥルッリについてかなり詳しかったり、住民たちもそれが価値のあるものだと認識していたりっていう点はやっぱりいいですよね。
さっきの模型とかもそうだし、おみやげ屋の看板にトゥルッリの図面が載ってたり。これはそのための図面データが出回ってるようで。




ちなみに、アルベロベッロではトゥルッリに泊まれます。高いけど。(€50くらいした)
1室型なので1軒貸切状態。設備も整っててすげーキレイ。



屋根裏のつくりがわかるようになってるw


もちろんここでの宿泊と“トゥルッリでの生活”は全く別物であって、このトゥルッリは“ホンモノ”とは言えないかもしれないけど、それでも(躯体だけでも)伝統的民家に泊まるっていうのは観光客には楽しくて、誰でも簡単にこういう体験ができるのは観光地の利点ですよね。

観光地化自体は悪くない、てかお金のこととかも考えると歓迎すべきものかもしれないけど、保全のしかた、街のデザインのしかた(ハード面でもソフト面でも)、伝統的建物の利用のしかたなどのバランスはしっかり考えないといけないよなー。


という感じのことを悶々と考えている今日この頃です。


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