日々の寝言~Daily Nonsense~

衝突軽減ブレーキの誤作動(ファントム・ブレーキ)

引き続き、運転支援機能のコア機能である
衝突軽減ブレーキについて調べていたのだが、
誤作動によるリコール等もときどきでているようだ。

2019年7月19日
N-BOX、N-BOX Custom、シビックのサービスキャンペーン
前方障害物衝突軽減制御装置(衝突軽減ブレーキシステム)装着車において、障害物認識プログラムが不適切なため、
踏切前で停車した後に先行車との車間距離が離れると、踏切のレールを前方障害物と誤認識することがあります。
そのため、発進後の低速走行時に衝突軽減ブレーキが作動するおそれがあります。

2019年12月19日
MAZDA3、CX-30の改善対策について
車両制御コンピュータにおいて、スマート・ブレーキ・サポート(SBS)の制御プログラムが不適切なため、
S字路の路肩に停車した車両や大きな道路標識などを正しく認識できないことがあります。
そのため、衝突の可能性がないにもかかわらず障害物との接近を知らせる警報音が鳴り、
ディスプレイに警告表示が出て、最悪の場合、衝突被害軽減ブレーキが作動し、急制動がかかるおそれがあります。

2021年11月18日
レヴォーグの改善対策について
運転支援装置において、衝突被害軽減ブレーキの制御プログラムが不適切なため、
カーブ路での対向車や路外障害物に対しシステムが衝突対象として過敏に反応することがある。
そのため、意図しないところで障害物との接近を知らせる警報音が鳴り、衝突被害軽減ブレーキが作動するおそれがある。

また、調査中の案件として、

2022年2月24日づけの日経新聞の記事
米当局、ホンダの自動ブレーキを調査 173万台対象
米国の運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)がホンダのアコードと CRV の
自動ブレーキのシステムに不具合がないか調査するという内容。
前方に障害物が無い状況で、自動ブレーキが誤作動したという報告が 278件あり、
うち、6件は軽度の衝突事故だったという。

いわゆる自動ブレーキの種類や作動する条件はいくつかあって、
たとえば、フィット4のホンダセンシングだと、
衝突軽減ブレーキ(CMBS:Collision Mitigation Brake System)や、
近距離衝突軽減ブレーキ(踏み間違い衝突軽減システムの一部)がある。

そして、誤作動には、
1)動作すべき場合に動作しない
2)動作してはいけない場合に動作する
の2種類がある。

どちらかといえば1)つまり
障害物の検知ミスのほうが言及されがちだが、
2)の誤作動も、後ろの車に追突されたり、
交差点や踏切などで急停車することにつながるので、
こちらのほうが怖いとも言える。

別の言い方をすれば、1)は、事故を防げない、あるいは
被害を軽減できないだけだが、
2)は、本来起きなかった事故を引き起こす可能性があるのだ。

上の3件のリコールやサービスキャンペーンや
米国での調査も、2)の誤作動に関するものだと思われる。

確かに、少し考えれば、カーブした道で対向車がある状況は、
直進方向に障害物があるわけで、単に直進方向の距離だけでは
区別できないことは容易にわかる。

カーブ以外でも、登り坂や、踏切の盛り上がり、交差点の右折時など、
誤検知につながりそうな状況はいろいろ考えられる。

ホンダセンシングの取扱い説明書にも、

衝突軽減ブレーキについては
衝突の可能性がなくても、以下のとき、CMBSが作動することがあります。
・左折、または右折している前方車両がいるとき、または右左折待ちの車両がいるとき
・前走車を追い越すときに車両に接近して走行する場合
・交差点などで車両に接近して走行する場合
・低いゲートや狭いゲートなどの間を規制速度を超えるような速度で通過しようとするとき
・カーブ途中の道路脇に標識やガードレールなどの構造物があるとき
・カーブ走行などで自車の正面に対向車両がいるとき
・駐車時など、停止している車両や壁に接近するとき

近距離衝突軽減ブレーキについては、
次のような場合は衝突の可能性がなくてもシステムが作動する場合があります
・低いゲートや狭いゲートなどの間を通過しようとするとき
・凸凹な路面や、草地、段差がある場所を走行するとき
・高い位置に斜めの柱や壁などが突き出しているとき
・道路脇に障害物があるとき
・旗や幕、木の枝、踏切やETCゲートのバーなどに向かって走行するとき
・冠水した道を走行するとき

と、結構怖いことが、さらっと記載してある。

推測だが、フィット4の場合は、
衝突軽減ブレーキは、単眼カメラの情報に基づいて制御され、
近距離衝突軽減ブレーキは、近接探知用の超音波ソナーの情報に基づいて
制御されているのかもしれない。

特に、前者の右折時の誤動作はかなり怖い。
カメラの認識にはタイムラグがあるだろうし、
対向の直進車が通り過ぎたと思って動きだしたら急停止、
みたいなことも起りえるということだ。

そして、テスラについても、
2022年 2月24日の GIZMODE の記事
テスラ車を突然襲う「ファントムブレーキ」、米NHTSAが調査に本腰
にあるように、原因が特に無いのにブレーキが誤動作する
ファントム・ブレーキ(Phantom Breaking)は頻発しているらしい。

しかも、この記事のよると、テスラがミリ波レーダーをやめて
環境認識センサをカメラ(8台ついているらしい)だけにした後の
ソフトウェアアップデートで多発したとか。

うーん・・・フィット4は大丈夫か?

1)を防ぐために検知力を上げれば
2)の誤検知が増えることになるので、
安全装備が 100% になることはない。

現状、装備車の事故は減っているようなので
有効性はあるわけだから、装備されなくなることは無いだろうが、
人間ならほとんどしないようなことを
システムがしてしまう可能性があることは、
もっと認知されても良いと思う。

自分が、安全装備つきの車を運転しているときには、
従来よりも余裕をもって運転することを心がけるとともに、
ついていない車を運転している場合でも、
前の車が急停止したりしても驚かないように、
これまでよりも前車との車間距離を取るように気を付けたほうが良い
ということだろう。

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