ゆーこりんの葡萄狩三昧

葡萄牙とかいてポルトガルとよみます。

かたちあるもの

2008-10-20 06:32:10 | ポルトガルの日常(Portugal_life)

ベビオと映画祭に行きました。
数多くのドキュメンタリー作品が集められています。
ベビオがチョイスしたのは、
詩人、谷川俊太郎と寺山修二のビデオレター。

―生きているとは何か。
―意味とは何か。
―では、無意味とは何か。
―いのちとは意味以上のものである。
―意味と無意味の間は、意味ありげなものである。
―我々は言葉にこだわりすぎて、意味ありげなものに陥っていないか。
―意味と無意味が混沌とした時代だからこそ、言葉が必要である。
―わたしとは何か。
―名前でも写真でも表すことはできない。
―わたしとは透明なものか。
―わたしとが何かを他人にゆだねることはできない。
―行為の中に、わたしが現れる。
―言葉が眠るとき、何が目覚めるのだろうか。

1985年、わたしが生まれたころ、
彼らはこんなやりとりをしていたのです。
ビデオテープにメッセージをしたためて。
編集はどこまでもアナログですが、工夫を凝らして。
印象に残った映像がいくつかありました。
あるものは、
ヒイラギの葉っぱの重なりを次々と焦点を変えてはボカしながら撮ったものに、
宇宙戦争のような効果音をかぶせ、
意味のブレや捉え方について考えていました。
またあるものは、
谷川俊太郎を食べ物にたとえると?値段は?数字は?
とたくさんの人や犬や物にインタビューしたものなど、さまざま。

二人の映像の絡み合いの濃密さに、
テープの劣化による映像や音声の揺れに、
わたしは映画館で初めて酔いました。

ところでわたしにも、
いまだに手紙を交わす友人がひとりだけいます。
もうすぐポルトガルに手紙を送ってくれるそうです。
これまでの手紙は地層のように引き出しの中に溜まっています。
アナログだからこそ、かたちあるもの。
大切にしていきたいと思います。

※広告の層の重みで、いつか壁が剥がれ落ちるんじゃないだろうか。
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