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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

いきなり実験

2006-10-30 | 研究ノート
・久しぶりに職場復帰.出張中の業務が山積みになっているかと思いきや,案外,たいして何もなかった.今日からここで研修会があるので,皆その対応に追われており,そもそも人口密度が低い.ホッとしつつ,2週間もいなくても大丈夫なことに,本当はホッとしてはいけないのか!?,などとも思ったりして.

・ところで,今日は晴天だったが,放射冷却の影響で,明け方の気温はマイナスだったようだ.家でも既にストーブは欠かせず,出勤途中にいつも眺める芦別岳も既に冬の装いである.



・実は,とんぼ返りの出張で,あさってから再び東京である.短い期間に色々と済ませてしまおうと,あちこちへと手紙を書いたり,申請書を送付したり,といった業務を進める.今回,せっかく東京入りするので,シーケンサーを使ってタイピングしてしまおうという予定を立てて,合間にあたふたと実験を行う.対象樹種は,ヤチダモ,アカエゾマツである.

・今回,自分で開発したヤチダモ・プライマー4ペアを試すのが,一番の楽しみである.果たして上手く増幅し,きれいな波形が得られるだろうか.既に,プライマーを使いたいという人達の手も上がっており,期待しつつPCRをかける.

カラマツ黄葉と雪山

2006-10-29 | その他あれこれ
・久しぶりに北海道に戻ると,既にカラマツの黄葉がずいぶん進んでいる.さすがに2週間ぶりともなると,季節がもはや違ってしまっている。ヤチダモ,クルミなど,気の早い樹種は既に葉を落としている.大雪山系の雪もかなり下まで降りてきた.フィールドワークができるシーズンも残りわずか.11月になれば暇になるはずだとして,残しておいた調査を計画的にこなしていかないと・・・.リハビリしつつ,明日から久しぶりの職場復帰である.




大田市場にて

2006-10-28 | その他あれこれ
・昨晩は東京泊まりだった.なぜか,今回はアーバンホテル大田市場というホテルに宿泊.ホテル自体はとてもきれいで特に不満はないのだが,JRや地下鉄の駅からのアクセスが意外と悪く,到着するまで苦労した.確かに,羽田には近いのだが,東京では物理的距離よりもアクセスが大事だと実感.



・しかし,この大田市場というところ,なかなか面白い.よく知らないが,おそらく,野菜,水産物の超大型の市場で,大勢の人々が行き来している.夜4時くらいに目を覚まし,ふと窓の外に目をやると,既に集配車らしきものが忙しく動き回っている.我々が富良野のスーパーで何気なく品物を買えるのも,こうした人たちの努力によるのかと,何だか有難い気持ちになり,合掌.



上海から日本へ

2006-10-27 | フィールドから
・長かった中国出張もついに終わり.上海から成田へ.このごろになると,飛行機にもすっかり慣れ,淡々と出国手続きやら搭乗手続きやらを済ませる.この国を語るにはあまりに短く,訪れた場所も限られているが(それでも結構移動した・・・),現時点での自分なりの感想をまとめてみたい.

・中国の経済成長について
 TVなどでは何度となく伝えられているが,実際に中国に行ってみても,肌で感じられるほどの勢いを感じる.その一方で,様々な弊害も生じているようである.例えば,環境汚染の深刻さ,また都市部と農村部の格差拡大による人々の気持ちの荒廃が心配になった.また,以前はメイヨーの国といわれた中国のサービスもだいぶ向上したとパンフレットにかかれていたが,やっぱり色んなトラブルはつき物で,サービス的にはまだまだ発展途上だ.

・言葉について
 想像以上に英語が通じないというのは,はっきり言って見込みが甘かった.これまで,なんとかコミュニケーションできるだろうとタカをくくっていたのだが,やはりそれなりに中国語の単語や簡単なフレーズぐらいは覚えていないと何もできない.訪問する国の言葉を覚えるというのは,海外旅行では鉄則だろうが,今回はサボりすぎだと反省.

・食について
 中華料理と一口に言っても,広州,海南島,武夷山,南京とそれぞれに地方色があり,まるで飽きなかった.広州と海南島はかなり甘めでシーフードが美味しく,南京,武夷山はちょっと辛くてこれまた美味である.ただし,個人的には香草パクチーがやはり苦手で,分からずに噛んでしまうと後悔するほど(ただし,それほど頻度は高くなかった).とにかく,中国の人たちは食事が好きで,骨付きの肉,かに,エビ,魚など”食べにくいが美味しい”ところには目がない.

・人について
 以前のブログにも書いたが,中国の人たちの友達に対する寛容さ,度量の広さはとても心に残った.どこの国でも色んな人がいて,たまたま会った人の印象でその国の印象は違ってしまうわけで,今回もその一例にすぎないのかもしれないが,愉快な仲間が増えたことはやっぱり嬉しい.あの度量の深さはどこに根ざしているのだろか,やはり歴史のなせる技なのだろうか・・・.

・さて,成田に到着して入国審査が終わると,あっという間に日本である.中国について様々な感想を持ったわけだが,一番の収穫は,この国に今まで以上に興味を持てたことだろう.歴史のこと,政治のこと,言葉のこと,この大きな隣国について,これからはもっともっと注目していきたいと思う.

ふたたび,ポプラに(南京から上海へ)

2006-10-26 | フィールドから
・電車に乗って,南京から上海まで移動.駅までは,Tさんが車で送ってくれた.Tさんと再会を約束して別れ,電車に乗り込む.駅はヨーロッパのような雰囲気で,非常に広い.日本のように,7号車はここに並ぶようにといった指定がないので,みんな漠然と立って待ち,電車が来ると入り口に殺到する.そういえば中国では,あまりきちんと並ぶという習慣がないようだ.



・「電車に乗り込むときにスリに注意するように」と言われていたので少々緊張したが,今回は軟車(指定席)だったせいか,待合室入口や列車入口でチケットのチェックが入り,結果的に安全な雰囲気であった.列車は,2階建ての特急である.座席は向いがけの4人席だが,日本よりも車幅や座席の間隔はむしろ広くなかなか快適である.中国の歌がうっすらとBGMでかかっているがうるさいほどではなく,乗客の多くは目を閉じている.

・本当は,車窓からの風景を楽しみにしていたのだが,5時半にはすっかり日が暮れて,暗闇に中をひた走るのみである.指定席のせいか,外国人の姿も目に付き,たまに日本語も聞こえてくる.この電車でも,車内販売があるのだが,弁当だけでなく,お茶をやかんで持ってくるのが面白かった.また,おかしや果物(ここでは,必ずスイカが含まれる)を持ってきたり,となかなか面白い.

・3時間で到着するとのことだったが,どうも着く気配がない.聞けば30分遅れているとのこと.しかし,だからといって特に申し訳なさそうな顔をしているわけでもなく,この程度の遅れは日常茶飯事らしい.9時すぎに小雨交じりの上海駅に到着.空港行きのバスターミナルを探すが見当たらない.やはり,夜になるとよからぬ輩が声をかけてきたり・・・.結局,本日のバスはもうないことが分かり,ふっかけてくる個人タクシーのやくざな運ちゃんを何とかふりきり,ちゃんとしたタクシー乗り場でタクシーを利用.

・へとへとになりつつ,タクシーのシートにもたれる.タクシーの運転手はまだ若く,聴けば31歳とのこと.ドライビング・テクニックには自信があるらしく,暗闇の上海を疾走する.上海の街では,高層ビルが競うように立ち並び,イルミネーションの彩りが美しい.それにしても,地震のこととか考えていなそうな設計が多い.広州では,ほとんど一度も地震を経験していない,といっていた人がいたが,ここでも同様なのだろうか.市街地を抜けるともはや灯りは乏しくなり,ポプラの陰が黒く映るのみである.ホテルに到着する頃にはもはや気力を使い果たし,シャワーを浴びた後,ふたたびポプラに臥す,のであった.

Burczyk et al. (2006) Genetics読解

2006-10-25 | 研究ノート
・午前中,こちらの学生とともに,長江などを見せてもらった.頼みの綱のRさんは別行動なので,それなりに緊張したが,一人になれば何とかそれなりにやっていけるものである.もちろん,学生がある程度英語を話せたからではあるのだが,中国語も少しずつ覚えつつある.長江にかかる南大橋に立って川(というよりも海?)を眺めていると,あまりの雄大さにしばし言葉を失う.川は決してきれいではなく,川の途中で微妙だが確かに異なる二色がぶつかっている.その二色が交わるとも,交わらないともなく,ただ流されていくのを見ていると,なぜか「清濁併せ呑む」という言葉が浮かぶ.



・ホテルに戻り,久しぶりに論文指導作業など.それも一段落したので,度重なるフライト中に読んだBuczyk et al. (2006) Using genetic markers to directly estimate gene flow and reproductive success parameters in plants on the basis of naturally regenerated seedlings. Genetics 173: 363-372の読解を試みる.この論文はBurczykの自信作で(直接,話したわけじゃないが,メールを読む限り・・・),とにかく一度は読んでおかないと仕方がない論文なのである.

・この論文は,母樹別種子とその周囲の成木から花粉散布パターンを推定するNeighborhood model (Burczyk et al. 2002 Mol Ecol)を実生の親子解析用に改良したモデルが紹介されている.論文の構成は,まずモデルの概念,シュミレーションによる妥当性の検証,既存データを使った結果の検討,となっている.今回は,モデルの概念と既存データを使った結果について概説してみよう.

・このモデルで必要なデータセットは,1)実生の位置座標と遺伝子型,2)プロット(こちらで決めた半径の円形プロット)内の親の位置座標と遺伝子型(親の形質,DBHや開花量のデータがあってもよいし,なくてもよい),3)プロット外の親の遺伝子頻度(この論文では,プロット内の遺伝子頻度がプロット外にも適用できるとして単純化している)である.

・ここで気をつけなくてはいけないのは,まずは稚樹の周囲に一定範囲の母親候補を押さえる必要があり,母親候補からみてさらに同じ範囲の父親候補を押さえる必要があることだ.したがって,3重の円形プロットを設定するのが最も効率的だと思う.



・モデルの概念について説明しよう.おそらく式(1)を見ると,多くの人が逃げ出したくなるはずだ(当方もそうだったからよく分かる).しかし,この式が意味するところは,実は単純である.まず,実生のうち,母親プロットの外からの移入率をmsとして,(1-ms)の割合が母親プロット内から散布されたとする.このとき,距離が離れれば指数関数的に各母親候補の相対的な貢献度が下がるような指数関数のパラメータを決めるのだが,観察値(メンデル確率)が得られる確率が最も高くなるような指数関数を選んでやろうというわけだ.

・次に,母親プロット内から散布された実生について,今度は花粉散布パターンの推定を行う.これは,花粉散布のNeighborhoodモデルと全く同じで,交配を自殖(s),プロット外からの移住(mp),プロット内交配(割合1-mp-s)の3つに分割してやる.ここでsとmpはパラメータである.プロット内交配については母親同様,距離に応じて減少するような指数関数を選び,各父親候補の相対貢献度を推定してやるわけである.この論文では,花粉散布kernelは単純な指数関数を使い,また距離とサイズの効果などは単に線形で結合させている.もちろん,種子や花粉の散布がこんなに単純に記述できれば苦労はないのだが,モデル的にはこの単純さがミソなのである.

・既存データの適用例では,ヨーロッパアカマツ(525実生,313成木,166本/ha,アロザイム8座,排斥率=0.72)とナラ(320実生,450成木,147本/ha,マイクロサテライト3座,排斥率0.95)の既存データセットを用いて,パラメータの推定を行っている.円形プロットの半径はいずれも40mである.今回のパラメータ推定を行っているのは,種子移入率ms,花粉移入率mp,プロット内母親候補の距離の効果γ,プロット内父親候補の距離の効果β,自殖率sの5つである.つまり,個体サイズのデータとかは本論文では扱っていない.

・結果を見ると,半径40mの円形プロットを想定した場合,種子移入率はヨーロッパアカマツで45%,ナラで6%ともっともらしい値である.花粉移入率は同じ順番で92%と62%である.種子散布と花粉散布における距離の効果だが,いずれも値はマイナスであり,距離が離れるほど相対的な貢献度が下がることが分かる.詳しくみると,ヨーロッパアカマツの種子散布はマイナスだけれども,-0.04と非常に弱い関係なのに対し,ナラでは-0.2とだいぶ強い関係がある.花粉の方はヨーロッパアカマツでは,この程度の半径では距離の効果はないに等しく,ナラでも非常に弱い(0.01).自殖率は,ヨーロッパアカマツで6%,ナラで1%である.

・このように見ると,それなりに推定できているようで,思ったよりは使えるモデルかもしれないと思う.ちなみに,既にプログラムがリリースされていて,J. Chybickiにメールを送ったら,すぐに送ってくれた(実は,一度Chybickiとは別件でメールのやりとりをしたことがあったのである).そのうち,このプログラムSNM ver.1.0を使って,ほぼ完璧に親子解析ができている当方のデータセットに適用してみようと思っている.

・さて,この論文についての感想だが,何よりも勿体なく感じるのは,せっかく父親候補の位置と遺伝子型を押さえているのに,母親プロットと父親プロットの合間にいる個体の情報が母親解析で使えないところである(もしかしたら,うまい補正のやり方があるのかもしれない・・・).また,プロット外からの種子や花粉の移入について,その割合は割合と精度よく推定できそうだが,全体の種子散布や花粉散布のパターン推定はできない(ヤチダモ論文ではやっている・・・強引だけど).散布曲線も指数分布しか使えないというのは,やはり無理がありそうである.

・しかし,特に実生の親子解析の場合,単純排除でいけるほど多型性の高いマーカーが得られないような種も多いはずである.そう考えると,CERVUSなどで無理に親子判定をしてから,距離分布を調べるようなことをするよりは,最初からこのモデルを使うことを想定したサンプリング行うというのも一案かもしれないと思えてきた.何より,モデルの基礎を試しながら実感できるという点では,単純なだけにいいかもしれないな,と思った次第である.

パーソナル・コミュニケーション能力

2006-10-24 | フィールドから
・再び,南京農業大学を訪問.国家重点課題に選ばれることが非常に重要らしく,ちょうど日本でいうところのCOEと似た形式を取っているようである.最近の中国は大学,場所,分野によっては,かなりアメリカナイズされて,業績至上主義的なところもあるなと感じる.学術論文の1ページ目を拡大コピーして額に入れて飾ってあるのは初めて見た.

・ここまで,中国を旅して感じるのは,特に田舎では想像以上に英語が通じないことである.また,同時に,自分自身は中国語のごく簡単な単語も知らないので,一人きりになると非常に強い不安にかられてしまうということも分かった.これはかなり情けない状況である.英語も決して堪能ではないのだが,断片的には会話の中からそれなりに情報を得ていたことに今更のように気がつく.もはや遅いのだが,まずは,たくさんの単語を覚えてみようかと思う.発音は勿論難しいのだが,無理やりにでも使えば,皆が喜んで直してくれるということも分かった.

・今回,こちらで会った人物の中には,わずかな日本の滞在経験にもかかわらず,日本語を話す(あるいは話そうとする)人がいる.これは,国民性の違いなどという生易しいものではなく,生きるための力(パーソナル・コミュニケーション能力)の違いだと痛感する.素直であること,人の話を聞けること,そして何よりも,生きようとする力が強いこと・・・.今日も傑出した人物に会ったのだが,あっただけで,こちらまでパワーをもらうことができる.これから先,こういう人物に何人出会えるだろうか・・・そう考えていると訳もなく楽しくなる.

南京農業大学のキャンパスめぐり

2006-10-23 | フィールドから
10月23日(月)
・朝,7:55の飛行機で南京入り.空港から市街地までは高速道路がよく整備されている.いきなりの肌寒さに驚くが,だいぶ南から北へと移動して(戻って)きたのだと実感する.

・ホテルで休憩した後,中山陵へ.ヒマラヤスギの並木が美しい.昔は背の高い建物は南京農業大学だけだったそうだが,今ではたくさんの建築物が目に付き,どれが大学かを判別するのは難しくなったそうだ.



・散策するうちに,見覚えのある風景に出くわす.実は,南京には10年前に一度来ているのだが,この桜並木は覚えがあり,たしか日本から送った桜だったと思う.のんびりと散策するうちに,少しずつ記憶がよみがえる.

・南京農業大学にマングローブ調査で一緒だったT先生の研究室を訪ねる.この大学の周囲にはプラタナスが植栽されており,その木陰が学生達の憩いの場となっている.それにしても広いことに驚くが,現在では2万5千人もの生徒を抱えているという.



・T先生の研究室は,教員7名,院生40名ほどの所帯である.果樹の育種が専門なので,ウメ,ブドウなどの組織培養,遺伝解析などが行われている.専門に近いだけに,とても興味深い.果樹の育種は,林業でも参考になるも多いのではないだろうか.少しマジメに調べてみる必要があるな,と感じるのであった.

*10月18日から10月22日までの写真をアップロードしました.ようやく,LAN接続できる環境になった,ということで・・・.

武夷山自然保護区にて

2006-10-22 | フィールドから
・武夷山自然保護区は,本日,竹の国際文化市が開催されているとのことで,大変な賑わいである.まずは,中腹の展望台に行く.兵士が管理していて,少々物々しい雰囲気であるが,彼らの見せる笑顔にほっとする.展望台では,見事なV字型の地形が見渡せる.この付近は二次林らしいが,場所によっては植えた孟宗竹が広がり,「竹の海」と表現される場所もある.竹は重要な収入資源らしく,あちこちでトラックに積み込んでいる姿を目撃する.



・自然博物館で詳しい説明を受ける.ガイドの女の子は,とてもハキハキして気持ちがいいし,よく動くし,声もよく通る.ここ武夷山は5万haが保護区となっており,300-1500mは常緑広葉樹林,1100-1600mは針広混交林,1500-1800mは針葉樹林,1700-1900mは山地矮生林,1800-2158mは山地草地と,明瞭な標高別の植生変化が認められる.そうそう,昨日,アカマツっぽいといっていた松は馬尾松(Pinus massoniana)であった(全体的に形質は優良).

・保護区内の動物相は豊富で,鳥類は18目47科256種(うち,猛禽類25種),哺乳類は8目23科71種,魚類4目12科40種,両生類2目10科35種,爬虫類3目13科73種を数える.海南島もそうだが,中国では(もちろん,場所によるのだろうが),生物多様性が極めて高いところが残されているようだ.ここでも,世界唯一のカエル(二つの小さな角がある)が分布している,という話を聞く.

・昼食後,九曲川で岩山を見ながら,竹のいかだに乗って川下りをしつつ,世界遺産となっている景色を堪能する.岩山を何かに見立てるのは,世界共通のようだ.自分達で新たに命名しようと想像をめぐらせるが,意外に動物の顔から離れられず,自由な発想の乏しさに反省(?)したり・・・.



・武夷山からXIAMENまでは,なんと11:00PMのフライト.余りにも暇なので,空港でトランプを買って,大富豪に興じる.辺りを見渡せば,みんなトランプに熱中しており,ちょっと異様な光景である.といいつつ,夢中になってやっているうちにあっという間にフライトの時間となり,長い一日が終わる.

ウーロン茶の聖地へ

2006-10-21 | フィールドから
10月21日(土)
・海南島のスタッフと空港で別れ,広州空港を経由して武夷山へ向かう.本当は22日の夕方に,武夷山から南京までの18時間の汽車旅が予定されていたのだが,取れたはずの寝台指定が押さえられていなかったとのことで,急遽,飛行機の乗換えで南京まで行くことになる.中国では,2週間以上先の予定を決めておくことは今でも難しく,このようなハプニングはよく起こるようだ.とはいえ,18時間の旅程をひそかに恐れていたので,若干,ほっとしたりする.

・広州空港で両替したり,食事をしたりしつつ,3時間ほど待ち,さらに1時間ほどかけてようやく武夷山空港に到着.ここはかつて軍事空港だったようで,とても小さな空港である.武夷山という場所はあまり馴染みがないところかもしれないが,福建省に位置する地方都市である.ここは,福建省の名の通り,まさしくウーロン茶の聖地で,最も高い値段がつくウーロン茶の原木(Ortet)があるらしい.道そばには,ウーロン茶の段々畑が続き,遠くに目をやれば,岩が剥き出しになった山々に松が生えている(アカマツっぽいが,ちょっと違うかも)という独特の景観である.最近は,風光明媚な観光名所となっているようだ.





・南国の海南島から来るとその景観の違いに驚くが,無夷山の方が日本人にとっては馴染みある風景だろう.田舎の細道を,林野局のトラックに乗ってひた進む.中国では車は右側通行であるが,かなりオーバーランする車が多く,曲がり角ですれ違うたびにヒヤッとする.貧しい暮らしをしていることが見て取れるが,夕暮れ時という時間帯のせいか,やたらと人が多い.オートバイでガンガン突っ込んでくるので,あぶなっかしくて仕方がない.

・空港から1時間も走るとゲートがあり,ここから先は外国人は許可なしでは入ることができない自然保護区だという.景色はいよいよ勇壮な渓谷となるが,山道の感じといい,渓流の感じといい,秩父の景色ともよく似ている.民家もまばらになり,宿泊するところはどんなところだろうと思っていたら,案外,普通のホテルだった.明日は孟宗竹(?)の大会があるとかで,非常に込み合うらしい.着いた時には完全に日が落ちていたので,景色をよく見ることができなかったが,明日のフィールドが楽しみである.