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西東京市・北海道富良野の森林を舞台にした遺伝,育種,生態などに関する研究ノートの一部を紹介します

気になる斑入り

2008-05-28 | 研究ノート
・昨晩から散布カーネルとして、2成分以外の2dt、ワイブル、指数べき分布などで試してみようと苦闘している。コードはTくんからずいぶん前に送ってもらったものを自分なりに修正しつつ、トライ&エラーの繰り返し。思えば、あの頃、送ってもらったコードを解読しようとしていたのだが、そもそも単純なコードのルールが分からない状況では到底無理な相談であった

・今でも複雑なのだが、何が行われているか、コードを少しずつ動かしていくと分かるようになった。なぜか花粉散布でワイブル分布のパラメータ最適化ができないが、他の関数ではoptimも走るようになった。感動したのもつかの間、平均値を計算させてみると、とんでもない値になっている。

・それらしい値を初期値として与えてやっているのだが、なぜか暴走しているようで・・・。まだ、どこかに問題が残っているのかもしれないのだが、あーでもないこーでもないとやっているうちに既に11時になってしまった。い、いかん。



・お昼後の散歩が日課になりつつある。ふと目に留まったのは、斑入りらしい「アカメガシワ」。こんなのは初めて見たと思ったら、実は巷でも販売されているようである。ところで、この斑入りというものにも気になる事象の一つである。園芸樹木としての観賞価値が高いせいか、世の中には様々な種の斑入り個体が流通している。しかし、植物として見ると、いかにも光合成とか不利そうだ。しかし、アオキの斑入り個体は案外と林内にも更新していたりする。実は全然気にしていなかったりするんだろうか・・・。

・このアカメガシワも、どう見ても植えたものではなさそうである。庭木からの逸出なのだろうか・・・。そういえば、近くのスーパーの庭にはフキの斑入りらしきものがあった(こちらは病気かもしれないけど)。気になりだすと、目に付くものである。

・午後からrecruit limitation関連の文献調査。温帯でもJanzen-Connel仮説が成り立つというのはYさんがテーマにしていたが、Natureなど有名な論文でも取り上げられている(Packer & Clay 2000 Nature 404; Hille Ris Lambers et al. 2002 Nature 473)。やっぱり有名どころの論文をしっかり読むと、背景がしっかり書かれているので勉強になる。こうした時間をとるのは大事だねえ・・・。

蚊に刺されないということ

2008-05-27 | その他あれこれ
・トドマツ交雑論文がIくんから速攻で戻ってきた。再度、修正&チェックして、校閲に出す。今度はLさんが使っているというTextcheckを利用してみることに。まずは登録しようとしたら、過去に使ったことがあるらしく(忘れてた!)、実は既に登録済みだった。ログインすれば後は簡単で、あっという間に校閲依頼完了。こちらの方がかなり安価のようではあるが、校閲自体の出来については数日後に分かる、というわけだ。

・しつこいようだが、イイギリの花。朝、Mさんに「イイギリならすぐそこ(アジアセンターの裏)にあるよ」、といわれたので早速見に行ってみる。おっと初めてちゃんとした雌花がある。こいつはどう考えても完全に雌木だ。今から考えるに、初日に両性花と思っていたものが本当にそうだったのかが少し怪しい気もしてきた。もうしばらく観察と調べが必要そうだ。

・査読を1つ完了。2日後に迫ったR講習の準備。やっぱり、以前のバージョンだとそれなりに変なコードが発見されたりして、ちょこちょこと変更する。初心者向けということなので、あまり凝ってみても仕方がないのだが、こいつは”便利!”と思えるような使い方(例えば、樹木配置図に番号をふる方法とか)も入れたいと思っているうちに、徐々にコードが複雑になってしまった。

・5時半過ぎにウチの子供が遊びに来たので、ぐるりと二人で散策。西日がまぶしい。当場は、子どもにとってはパラダイスらしく、目を輝かせている。



・それにしても、最近はめっきり蚊やアブが増えてきて、うるさくつきまとうようになった。二人とも、虫除けのためのハッカ油をつけていたのだが、子どもはいきなり刺されている(当方は大丈夫だった)。昔は、他の人が大丈夫なのに、当方だけが刺されるということが多かったような気もするのだが、最近は耐性ができてきたのであろうか・・・。

・蚊に刺されないというのは嬉しいけれど、本当に喜んでいいのか少し疑わしい気もしている。もはや美味しくのだよ(涸れてきている?)と言われているようでもあり、少し気になる今日この頃である。

一夜漬け

2008-05-26 | 研究ノート
・久しぶりに終日試験地にいる。今日は一転快晴で、緑がまぶしい。午前中は色々と事務的な連絡などでいつの間にか時間が過ぎてしまう。10時半ごろからようやくトドマツ交雑論文の修正に取り掛かる。既に赤で修正していた原稿を見ながら、Texに反映させた後、もう一度プレビューして点検。さらに、もう一度プリントアウトして再チェック。なぜか、画面で見ただけでは気がつかないミスとかが残ってしまうんだよねえ。

・お昼時に、もう一度昨日のイイギリを見に行く。昨年多くの実がついたという個体は花がほとんど見えない。もしかしたら、豊凶が結構あるのだろうか。あるいは雌花は上のほうにしかつかないとか・・・。あちこちに落ちているのは、どう見てもシンプルな雄花序。個体によって花のつき方がずいぶんと違うのは間違いなさそうなのだが、肝心のことはよく分からない。



・Lさんから散布モデル関連の質問を頂き、久しぶりにRのコードを確認してみる。マニュアルでブートストラップのヒストグラムは実測値であることは確認できたが、確認のために、Tくんにメールを送る。と、なぜか北海道から(!)電話をもらう。2成分正規分布モデルを1成分正規分布モデルに変えると、どれくらいダメになるかというのを確認したい、という内容のメールも同時に送っていたのだが、電話で言われるままにコードを書き換えると、何とか動いた。

・結果を見てみると、なにやらそれらしい値になっている。AICでみると、花粉散布の場合、1成分では2987なのに、2成分にすると2804とかなり改善されている。29日には自分がRの講習をする予定になっているのだが、今更ながら、作図の保存方法などについてもIくんに教えてもらったりして・・・。相変わらず、切羽詰らないとやらないというところが、我ながらダメだねえ。

イイギリの花

2008-05-25 | フィールドから
・本日は、当機関の子ども対象公開イベント「樹木博士」の日である。昨晩からの予報では、午前中はかなり崩れる模様。朝9時半にいよいよ出発という段になって、雨足が強まって本降り。当方にはありがちな天気だが、子どもたちには、いかにも気の毒。さすがに、このまま強行するのは厳しいということで、急きょ、講義室に移動。

・応援に駆けつけてくれたAさんが用意してくれたネイチャーゲームは、かなり素朴なクイズだったのだが、何故か(?)子ども達には大人気。ひとしきり盛り上がったところで、ちょうど雨も小降りとなり、樹木の名前を覚えつつ、くるりと試験地内を回っていく。

・当方も子どもと一緒に樹木の名前を覚えるべく、生徒として頑張った。改めて覚えようとすると、やっぱり照葉樹が問題である。どうにもみんな同じに見えてしまう。裏返したときの色が見分け方のポイントになることなどが分かった。



・雨が降っていたせいか、カエル、カタツムリ、昆虫たちも元気である。メタリックな輝きを持つ「アカスジキンカメムシ」も初めて見ることができた。聞く所によると、当試験地では結構たくさんいるらしい。

・今回は普段から当試験地で定期観察会を行われている市民の方々もスタッフとしてたくさん参加してくださり、一緒に回ることができた。やはり、常に見ている方々のお話は参考になる。当方にとっても、ずいぶんと勉強になった。

・イイギリはちょうど花が咲いている。この樹種は、秋にはオレンジ色の実が目立つのだが、仙台の青葉山で「埋土種子(土に埋まっている種子)」として結構出現していたタイプの樹種である。初めてイイギリの花というものをしげしげと眺めることができたのだが、結構、派手な花である。現地では、この木が雌雄異株かどうかということが話題になった。

・一般にイイギリ科は雌雄異株が多いようで、イイギリ自体も雌雄異株とするものも多いのだが(同株としているものもある・・・)、どうやら「雑居性」のようでもあり、かなり複雑な性表現をしているようだ。この樹種については、もう少し真面目に性表現について調べてみても面白そうである。



・いつの間にか、雨も上がり、お昼は外で食べることができた。昼食後、少しゲームの続き。いつの間にか、子ども達のオリジナル・ゲームに変わっている。初めて出会ったはずの子ども達が同じチームとして協力しており、いい雰囲気であった。その後、いよいよ樹木博士の問題に挑戦し、それぞれに博士の称号を付与してイベント終了。これを機に、参加してくれた子ども達が樹木や森・自然が好きになってくれれば嬉しい限りである。

マイナー昆虫

2008-05-24 | その他あれこれ
・朝起きて、子供と約束したとおりに近くの森に虫探しへ。既に犬の散歩の人々が活動をしている。樹液が出ている木を中心に探すが、全くおらず、失意のうちに帰宅。この付近の森は、競争率が高いのであろうか・・・。

・午後から吉祥寺に行く。友人の新築祝いを選んだり、夏物の服を少し購入するなど。途中で二手に別れ、当方は子供と近くの公園へ。やはりここにも虫がいない。都会では虫よりも人の方が多いのか・・・。



・と思ったら、見本林のようなところで、見たことのない甲虫がいるではないか!。コメツキムシの仲間かと思ったのだが、どうやら調べてみると、「ヨツボシオオキスイ(オオキスイ科)」ではないかと思われる。その後、小さなカミキリムシとゾウムシにも遭遇。いずれもマイナー昆虫だが、じっくりと眺めているとかわいい。

小説の手ごたえ

2008-05-23 | その他あれこれ
・午後から弥生にてゼミ。最近,弥生の行き返りで小説を読むことが多い。一仕事をするには乗換えが多すぎるのと,1回の乗車時間が微妙に短くて,論文をチェックするのには短い。3回の往復で,東野圭吾の「流星の絆」を読みきってしまった。本の帯には「登場人物が書かせた」とあるが、確かに筆が乗っているという感じである。ぐいぐいと引き込まれて,意外な展開。最後は少し切ない小説であった。

・当たり前のことだけれど,小説というのは,ページをめくる手の感触で”終わり”が近くなるのが分かってしまう。いい小説ほど,早く続きを知りたいような,もったいないような独特の感覚がある。現在、我が家には第5回本屋大賞の受賞作、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」が手付かずで残っている。今しばらくは通勤時間を楽しめそうである。

地下鉄ストップ

2008-05-22 | その他あれこれ
・弥生にて朝から会議ということで,東西線で高田の馬場から飯田橋まで行こうとして電車に乗り込んだ途端,東西線が不通に・・・。なんでもドアの不具合とのことで,いつになったら復旧するかが分からない状態。都会の人たちはなれているのか,じたばたしても仕方ないという達観した表情である。

・しばらく待ってみるものの,埒が開きそうにもなく,JRで行くことにしたところ,改札で乗り換えの手続きをしている最中に「問題解決」との案内。こういうときにいつまで待つかという判断は難しい。当方の場合,こうした判断は往々にして間違ってしまうわけだが・・・。それにしても、地下鉄も色々とありますなあ・・・。

ピリ辛調味料

2008-05-20 | 研究ノート
・関東地方は大嵐である。いきなりの大雨に気がめいる。合羽を二重に着込み、自転車で職場に向かう。午後からは止むとのことだが・・・。トドマツ交雑論文を再チェック。雑誌の体裁に合わせるのはいつのもことだけれど、結構、面倒。と同時に、もう一度、全体を見渡してみると、あちこちにほころびが・・・。やはり、集中して修正しないと仕上がりにはなかなか近づかない。

・29日に行う予定のR講習の準備。少しだけ、追加したり・・・と。それしても、部屋の中がじめじめしている。これから梅雨の季節が来ると思うと、またもや憂鬱である。まぬけなことに、電源コードを自宅に忘れてしまったので、パソコンを使える時間が限られている。こういうときこそ、じっくりと原稿のチェックなどを行うべきなんだが、どうにも集中できない。時差ぼけは直っているはずなのだが、やはり現実世界への復帰にはもうしばらく時間がかかりそうで、ふわふわとさまよっている感じである。



・午後になって、ようやく少し集中・・・。トドマツ交雑論文の修正に再びとりかかる。TEXで直してPDFで見る作業を繰り返す。そのほか、現在進行中の各種論文もそれぞれに少しずつステージが進みつつある・・・。突然だけど、夕食のときに登場したピエトロのピリ辛調味料。これはいけます。こんな感じで当方もピリッとしないと・・・!

帰国

2008-05-18 | その他あれこれ
・朝食後,Hekkiに教えてもらった樹木園に行く。樹木園といっても,樹木の小さなネームプレートがあるだけの公園である(しかもプレートがやたらと高い位置)。シナ,ナラなど主要の樹木の学名が確認できて,それなりに有意義であった。ヨーロッパブナの変種なのか,枝垂れブナの大木があり,面白い景観を呈していた。





・ホテルへの帰り際にブラウ・ミュンスターに立ち寄る。中では集会らしきものをやっていたので,邪魔をしないようにそっと教会の椅子に座って,ステンドグラスを眺める。なるほど,これは見事である。写真撮影は禁止なので残念ながら画像はないが,チューリヒに行ったら一度は見ておいても損はない。



・ホテルで荷物をまとめて空港へ。プラットホームと時刻を確認し,間違いなく乗り込んだ,ところまではよかったのだが,2駅目だと勘違いして乗り過ごしてしまい,一つ先の駅まで行ってしまった。最後の最後まで,何をやっているのやら。今度は逆方向の列車に乗って空港に戻る。どたばたとチェックインをして,少々慌てつつ,成田行きの搭乗口を確認しようとしたら,いきなり13:00発が14:00発に変更になっているではないか・・・。到着機遅れとのことだったが,がっくり拍子抜け。



・そんなこんなで,ようやくフライト開始。スイスともお別れである。11時間15分のフライトだったが,トムハンクスのチャーリー・ウイルソンズ・ウォーを観たり,マングローブ原稿チェック&考察のたたき台作成などをしつつ,仮眠を取っていたらいつの間にか到着。全然,苦にならんかった。ヨーロッパの町並みは本当に素晴らしかった。ついに,現実に引き戻されてしまうのかと思うとちょっと残念・・・だ。

・家に戻って、お土産を開けたところ、なんとチューリッヒで購入した珈琲(エスプレッソ粉)が気圧の関係で爆発していた・・・。お土産と着替えは珈琲まみれとなり、すさまじい状態であった。最後の最後まで色んなことが起こる旅である。

ゲルスバッハ

2008-05-17 | フィールドから
・現地検討、最終日。ホテルでIさんと待ち合わせて,ゲルスバッハへ。1時間ほどアウトバーンを飛ばす。待ち合わせ場所はドイツとヨーロッパでグランプリを取った美しい村である。絵本さながらの景観を楽しみつつ,大規模架線集材跡の現場を見せてもらう。9時半,リーガー氏と合流し,現地へ。リーガーさんは子犬を連れていて,それがまた可愛い。





・ゲルスバッハは,ローム層の地質のためにかなり成長がよく,他のシュバルツバルトとは比べにくいという。リーガーさんの話で印象的だったのは,ここはいわゆる“Plenter林”ではないという言葉である。施業自体も単木択伐というより群状択伐に近いところもある。中にはPlenter林的なサイトもあるが,既に成熟した一斉林もある。施業区を見せてもらうと,その変革がよく分かる。



・中にはヨーロッパブナの純林に近いような林もあったりして,これまたなかなか面白い。ブナの林では林道側に針葉樹がびっしりと更新し,カエデ(Acer psuedoplatanus)が実生バンクを形成し,ブナ自体もあちらこちらで更新している。そうそう,ゲルスバッハがこれまでの森林と違う点のもう一つは,カエデが少し目立つことである。



・これまでの3箇所ではヨーロッパトウヒがメインで択伐が回っているという印象があったが,ここでは,“この環境に適応している”というモミをとても大事にしているのが印象に残った。ノロジカはモミの稚樹を食害するので,それがやはり大きな問題になっているようである。モミの木の大木を見せてもらいながら,そのような話を聞く。



・お昼は,リーガーさんがハンター仲間と自分達で建築したという山小屋に連れて行っていただいて,フランスパンと地元のゲルスバッハ産のハムとチーズを頂く。最後に,ゲルスバッハはサイトによって林相が異なり,それが時間とともに変化していくが,全体としては様々な齢級が途切れることはないこと,皆伐をすると造林するためのコストがかかり,しかも成林しないリスクがあることを強調されていた。



午後からはIさんの案内で,フランスの平地ナラ林を見せてもらう。ドイツからライン川を渡りフランスへ入る。なんと普通乗用車で怪しい車でなければパスポートのチェックをされることはないらしく,今回もフリーである。平地ナラ林ではナラと燃料用のシデを同時に仕立てるという施業を行っており,シデは5-7年ぐらいで薪炭用として萌芽更新で回し,ナラは大径木に仕立てようとしているらしい。



・ナラは10m間隔で植栽し,その間にシデを植え,萌芽更新によって束状になったシデがナラの樹冠下を占めることから不定芽の発生が抑えられるという話だったのだが,肝心のナラがまばらなのと形質があまりよくなかったのが気になった。おそらく,この現場ではシデの燃料材生産に重点を置いているのであろう。こうして,スイス,ドイツ,フランスと3国をまたにかけた現地調査は完了。それにしても,当方にとっては天気に恵まれたのは奇跡というしかない。