連合は5日の定期大会で神津里季生会長の続投など首脳人事を決定し、新執行部体制がスタートした。最大の課題は、今夏の労働基準法改正案をめぐる対応で、執行部の独断専行が問題視された組織内の合意形成プロセスの見直しだ。新執行部は、傘下の産業別労組を含めた対話を重ね、意見集約を丁寧に進める方針を示したが、傘下組合の執行部への不信感は拭い切れていない。

 一方、10日公示の衆院選への対応では、大会後の臨時中央執行委員会で、特定政党への支援を見送り、民進党出身者を中心に個別に応援する方針を確認した。今後は「選挙後の政治情勢を見極めた上で決める」(神津会長)としている政党支持のあり方をどうするかも、重要な検討課題となる。

 労基法改正問題では今年7月、これまで「残業代ゼロ」法案と批判してきた改正案について、連合内部で十分な討議がなされないまま執行部が「容認」の動きをしたことに傘下労組から異論が噴出。当初見込んだ政労使合意が見送られた。

 神津会長は再任決定後、「遠慮のないコミュニケーションで結束を強めねばならない」と強調。さらに大会後の記者会見ではこの発言について「前期の問題が頭になかったわけではない」とし、労基法改正をめぐる混乱の反省も念頭に置いたものであることを認めた。連合の意思決定の手続きについても、今後見直す考えを示唆した