昭和の歌謡曲を振り返る、「五木寛之 わが人生の歌がたり」は、
NHK「ラジオ深夜便」で、月に一回、4時台の特集コーナーで放送される。
毎回楽しみに聴いています。
しかし、昨日、9月28日(日)朝4:00~(昭和49年の特集)は、
最初の方だけ聴いて、眠入ってしまい、残念。
番組の最初の部分で聴いた曲は、
◎「私は泣いています」 作詞・作曲・歌リリィ
「私は泣いています ベッドの上で」~
このフレーズは何度もくり返され、最後は、
「あなたの幸せ 願っているわ 私だけは いつまでも」をくり返す。
歌っていた、リリィは、1972年、東芝EMIより歌手デビュー。
独特のハスキーヴォイスで一世を風靡。
1974年のシングル「私は泣いています」が大ヒットになった。
76万枚とも100万枚ともいわれている。
また、近年、リリィは、テレビドラマにも出演。
「嫌われ松子の一生」(2006)
「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」(2007)に、
徳本洋子役で出演している。
◎「昭和枯れすすき」作詩山田孝雄 作曲むつひろし 歌さくらと一郎
・「貧しさに負けた いえ世間に負けた」
「花さえも咲かぬ 二人は枯れすすき」
・「踏まれても耐えた そう傷つきながら」
「流れ星見つめ 二人は枯れすすき」
・「世間の風の 冷たさに こみあげる涙」
「苦しみに耐える 二人は枯れすすき」
*この曲を昔聴いた頃は、ただ、暗い歌で、
世相にマッチしていないように思った。
しかし、36年後、平成の昨今、この歌を聴くと、現実味を感じる。
時代を超え、格差社会で、この歌が蘇ったのか。
◎「酒場にて」山上路夫作詞 鈴木邦彦作曲 江利チエミ歌
「好きでお酒を 飲んじゃいないわ
家にひとり帰る時が こわい私よ
あのドアを開けてみたって
あなたはいない
暗い闇が私を 待ってるだけよ
また長い夜をどうして すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋」
*この曲は、通勤の行き帰り、車の8トラックカーステレオでよく聴いた。
このカセットの歌手は井上ひろしだったが、
愛に破れた女の悲痛な叫びをうまく歌っていて、
当時、私のお気に入りの曲だった。
いま、この曲を聴いて、江利チエミの実像と重ね合わせる。
「どうぞお店が終わる時まで ここにおいて
ひとりだけで 飲んでいるから
死ぬことも出来ず今でも
あなたを想い
今日もひとり酒場で 泣いてる私
また長い夜をどうして すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋」
*江利チエミは、デビュー曲「テネシーワルツ/家へおいでよ」でスタート。
「ガイ・イズ・ア・ガイ」など、ジャズ・ポップスを皮切りに、
ミュージカル、そしてオリジナルもポップス系から演歌と、
幅広い楽曲をこなすレパートリーの広い歌手で、
歌と共に、飛び抜けて明るいキャラクターとアクションが魅力だった。
江利チエミ・美空ひばり・雪村いづみとともに「三人娘」と呼ばれ、
一世を風靡、「ジャンケン娘(30年)」などの一連の映画で共演した。
映画の「サザエさん」シリーズ(31年から全10作が作られた)もヒット。
のちにテレビドラマ(40年~42年)、舞台化もされ、生涯の当たり役。
昭和57年(1982年)2月13日、
自宅マンションの部屋でうつ伏せの状態で倒れているのを
マネージャーに発見されたが、既に呼吸が止まっており死亡が確認された。
死因は脳卒中と、胃から戻した食物が喉に詰まっての窒息によるもので、
45歳という若さでの死だった。
異父姉との葛藤、経済的試練、高倉健との離婚、
華々しい芸能活動の裏側での悲運も多く、家庭運に恵まれなかった。
◎この年、リチャード・バック作、哲学的寓話「かもめのジョナサン」が、
五木寛之訳で発売、3ヵ月でミリオンセラーになった。
五木さんは、海外旅行中、この本が、どの書店店頭に並んでいた。
読んでみたところ、易しい英語で書かれ、時代にマッチしている。
早速、翻訳、出版に至った経緯を聴く。
残念ながら、五木さんの現在の感想は、聞き洩らしてしまった。
「ひとりぼっちが寂しいなんて嘘さ。もっと速く遠くに飛んでいくんだ。」
そう、重要なのは食べることではなく、飛ぶことだ。
風になることだ。急降下、宙返り、きりもみ、そして全速力
――飛ぶことだけのよろこびを味わうために、
光りかがやく空の果てまで飛んでいく一羽のかもめ、
ジョナサン・リヴィングストン。
群れから追放された異端のかもめは、
強い意志と静かな勇気をもって、今日もスピードの限界に挑戦する。
夢と幻想のあふれる現代の寓話。」(新潮文庫より)
◆昭和49年(1974年)には、こんなことが・・・
(参照:第17回 あの日あの時 昭和49(1949)年)
http://www.jrt.co.jp/radio/natsumero/anohi/anohi17-S49.htm
●出来事
・「三木武夫内閣誕生」(田中前首相の金権問題の真相究明へ意欲 国民の政治不信払拭に努力)
・「ニクソン大統領辞任」(アメリカ最大の疑獄事件「ウォーターゲート事件」の責任をとり辞任 )
・「フォード米大統領来日」(米現職大統領として初の公式訪問 日米首脳会談を行い、天皇のアメリカ訪問を正式要請)
・「佐藤栄作元首相ノーベル平和賞受賞」(核兵器反対など国際和解の推進が主な理由 首相在任中の諸政策で批判の声も)
・「三菱重工ビル爆破事件」(「東アジア反日武装戦線」がビル前に爆弾をしかけ爆発 8人死亡376人が重軽傷を負うテロ事件)
・「小野田寛郎元日本兵帰国」(フィリピン・ルバング島に28年間潜伏した元陸軍少尉帰国。その後ブラジルに渡り農場を開き、社会活動)
●スポーツ
・「長嶋茂雄引退」(選手生活17年で最優秀選手5回・首位打者6回など。後楽園球場での引退挨拶、「わが巨人軍は永久に不滅です」)
・「中日20年ぶり優勝」(V9巨人の10連覇をはばみ2度目の優勝。 日本シリーズはロッテに敗れる)
・「さわやかイレブン」(選抜高校野球で蔦監督率いる部員11人の池田高校が準優勝)
・「尾崎将司ゴルフ日本シリーズ制覇」(この年の公式戦四大タイトル獲得 4年連続賞金ランキング1位)
・「北の湖史上最年少横綱に」(大関在位3場所で第55代横綱に 21才2ヵ月・引退後相撲協会理事長就任、今年引責辞任)
・新システム「アメダス」(地域気象観測システム 全国の自動観測器と気象庁を通信回線で結び降雨量などを瞬時に観測)
・「コンビニ1号店開店」(セブンイレブンが東京都江東区豊洲に開店 小規模店舗で長時間営業。コンビニの先駆け。朝7時出勤、夜11時退社、企業戦士へのハッパ材料ともなった)
●映画&テレビ
・「エクソシスト」(少女に乗り移った悪霊と神父が闘う恐怖映画で配給収入30億円 オカルトブームを巻き起こす。不気味でも怖いもの見たさ)
・「ニュースセンター9時」(キャスターがニュースを伝え解説や意見を述べる新しい報道番組 後の報道番組に影響を与える)
・「寺内貫太郎一家」(作曲家・小林亜星が頑固で涙もろい父親役で初出演したホームコメディー。卓袱台をひっくり返し、怒り狂う父親は今?)
●芸能界
・「花菱アチャコ死去」(横山エンタツとコンビを組み話術だけで笑わす「しゃべくり漫才」の基礎を確立 77才。無茶苦茶ではなかった。)
・「中年御三家がんばる」(若手歌手の新御三家に対抗して永六輔・野坂昭如・小沢昭一が武道館でコンサート。憎まれ爺御三家までは・・)
●流行
・「超能力ブーム」(イスラエル生まれの超能力者「ユリ・ゲラー」がテレビに登場 「スプーン曲げ」などがブームに。我が家でも盛んに試す)
・「ロングスカート」(石油ショック後ファッションも保守化し復古調やフォークロア調に人気が移る。高校生の頃、生物の女教師がいつもロングスカート姿で教壇に立ち、つけたニックネームがロングスカート。)
・「かばん持ち」(ジャンケンで負けた者が全員のカバンを決められた場所まで運ぶ エライ人のかばんは持ったが、これはやったことなし)
・「あやかり切符」(国鉄広尾線「愛国駅」から「幸福駅」行きの切符 前年7枚が300万枚を越すブームに)
・「かもめのジョナサン」(リチャード・バック作・五木寛之訳の哲学的寓話 発売3ヵ月でミリオンセラーに)
●流行語
・「青天の霹靂」(せいてんのへきれき)(大方の予想に反して三木武夫氏が指名されたことで三木氏自身が発した言葉)
・「クリーン」(清潔・誠実を掲げた三木武夫首相が「クリーン三木」をキャッチフレーズにして流行。昨今はグレー、ブラックの流行)
・「パンダ型社員」(おとなしいが人に慣れにくく飼い方を誤るとすぐ退社するタイヤ<自動車>が好きな新入社員をさす)
・「ストリーキング」(全裸になって公共の場を走ること アメリカの大学で始まり日本でも各地に出没した。今でもお好きな御仁が時折出没)
・「英語でやってごらんよ」(テレビCMで流行 「クイントリックス」と連呼する外国人に坊屋三郎が発音を直すとぼけた内容)
●人気商品
・「蛍光ラインマーカー」(蛍光染料インクで文字が光って見える「暗記ペン」1年後月産250万本の大ヒット、1本70円。資料がカラフルに)
・「あさげ」(フリーズドライ方式で風味が損なわれない粉末即席みそ汁 「ひるげ」「ゆうげ」とシリーズ化。意外と旨い。主婦労働の省力化、単身赴任者にも恩恵)
・「ゲイラカイト」(三角の翼が特徴のビニール製の凧 半年で60万枚以上を販売 電線に絡む事故も急増 750円。子供に良く買わされた)
・「防水型ポータブルラジオ」(水に浮く2バンドラジオ レジャー用・災害時用に使用される 17900円)
・「くるくるドライヤー」(美容院で使用しているものと同じ設計で寝ぐせ直しやカールが簡単にでき人気 5900円。我が家でも早々に導入)
●ヒット曲
・あじさいの雨/渡哲也
・あなたにあげる/西川峰子
・甘い生活/野口五郎
・妹/かぐや姫
・うそ/中条きよし
・宇宙戦艦ヤマト/佐々木功
・おかあさん/森昌子
・学校の先生/坂上二郎
・傷だらけのローラ/西城秀樹
・結婚するって本当ですか/ダ・カーポ
・酒場にて/江利チエミ
・下町の青い空/森昌子
・十九の春/田端義夫
・精霊流し/グレープ
・昭和枯れすすき/さくらと一郎
・青春の影/チューリップ
・そんな夕子にほれました/増位山太志郎
・母に捧げるバラード/海援隊
・ひまわり娘/伊藤咲子
・二人でお酒を/梓みちよ
・ふれあい/中村雅俊
・星に願いを/アグネス・チャン
・岬めぐり/山本コータローとウイークエンド
・燃えよドラゴンズ/板東英二
・旅愁/西崎みどり
・わたし祈ってます/敏いとうとハッピー&ブルー