goo blog サービス終了のお知らせ 

ニューヨーク・メディア探検記

これからのジャーナリズムの行方は。新聞、テレビ、ネット最前線をNY在住の一線ジャーナリストが探る。コメントなど大歓迎。

メディア再編 狂想曲

2007-05-09 14:12:55 | ニュース 

  今日もメディア再編に関する動きがいろいろあった。マードックのメディア買収話に関して、香港の金持ち夫婦がインサイダー取引でSECに起訴された。ウォールストリートジャーナルhttp://online.wsj.com/article/SB117863910433195908.html?mod=home_whats_news_us

によると、夫婦はダウ・ジョーンズの役員で香港の有力銀行の会長を兼務する銀行家と親しく、この銀行家が情報源ではと書いている。 WSJの編集幹部らは4月中旬頃から、マードックの提案を知っていたのに、5月1日にケーブルテレビのCNBCがすっぱ抜くまで書かなかった。これだけ長い間、情報を握っていたため、SECはWSJ関係者もインサイダーの情報漏れの一つのソースではないかと、調査を進め、同社から事情を聞いている。ニューヨークタイムズが詳しく書いている。

http://www.nytimes.com/2007/05/08/business/media/08journal.html?ex=1336363200&en=f3ec75e2539900b1&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink


それだけに、WSJの編集幹部らは、火の粉を振り払おうと必至なのだろう。普通なら、この手の報道にSECの感触をいれるものだが、それを抜きで状況証拠だけで、銀行家を「灰色」としている。そうした焦りを感じる報道だ。

 一方で、ロイターとカナダのトムソンの合併が決まった。

http://www.nytimes.com/2007/05/09/business/media/09reuters.html?ex=1336363200&en=7605b58947303753&ei=5124&partner=permalink&exprod=permalink

株式、債券情報では巨人になりそうで、ブルームバーグとの闘いが熾烈になりそうだ。

 ロイター、トムソン、WSJと、このところのメディア再編の主役は、経済メディアだ。ネットの世界では無料が常識化している一般の新聞や、テレビと異なり、企業やトレーダーが相手の経済メディアは、課金をしている。WSJは課金方式でないと、ほとんどオンラインでの記事は読めない。この点が強みで、株価の下落幅(いまはマードック氏のお陰で高い)も、5年前の半分以下になっているニューヨークタイムズやワシントンポストなどに対して、緩やかだ。

 トリビューンや昨年のナイトリッダーが株主の声に押されて、泣く泣く身売りを迫られたのに対して、WSJはマードック氏が時価の二倍もオファーしての「三顧の礼」の買収案だ。ロイター、トムソンもお互いにメリットのある前向きな戦略的提携だ。雑誌の世界でも総合ニュース紙のTIMEやリーダースダイジェストがぼろぼろになっているのに対して、英「エコノミスト」は強い。

 コンテンツがユニークであるほど、ネットの世界では生き残りやすい。単純にハードコピーをネットに移し替えただけで、課金ができるというわけ。これに対して一般の新聞も、地域情報というユニークなコンテンツを持っているのだが、それから利益を生み出すのに各社とも四苦八苦している。

かつてNYタイムズがWSJの買収を持ちかけて、蹴られたことがあるが、いまはむしろWSJの方が経営的にはまだ楽な状態だ。

 


最新の画像もっと見る