山さんの竹やり三段

現在興味のあることや趣味・日常の感じたことをなげやり形式に紹介

私のコンビに事情

2006年01月15日 20時53分31秒 | Weblog
 1月15日、今日も一日、体も心も清く過ごせた。そんな夕方に、事件は起こった。場所は某○Kコンビ二。無事仕事を終え、「ふーやれやれ、手土産でもかって帰るか」などど入店した私は、早速いつものごとくに店内をうろついた。本棚に目ぼしい物がないことを0.5秒で流し見ると、冷凍庫・パスタ・おにぎり、お茶、カップ麺と巡視する。ところどころで、これぞという品々を優雅な手つきで籠に乗せると、満足げに頷く。声にこそ出さないが、心の中では「うむ、よい」などと5万石の国主のごとき台詞が繰り返される。
 入れたいだけ放り込み、合計2000円ほどとなった頃、ここからが合戦の始まりだ。今度は、ルートを逆に戻り籠の中身の吟味を始める(最低の客だ)。お茶のコーナーへ行き、籠の中の1リットルボトルとショーケースの500mlのお茶をみくらべ、戦うに値しない敵であったと立ち去る。
次、パスタコーナー。トマトスープスパ260㌔カロリーという文字が幾度となくショーケースの中でちらついたが、籠の中におわす600㌔カロリー明太子パスタの神々しさには勝てず、不本意ながら快勝。
次、おにぎりコーナー。籠の中身は鮭おにぎり186㌔カロリー、対するはショーケースのえび太巻きセット(仮)550㌔カロリー。これはなかなかに競り合った。大量に網にかかる海老のうちの二匹か…グリズリーが川で必死に掬い投げたかもしれないシャケ1匹の数十分の一か。迷う。どうしても迷う。その時、ふと人の気配がして斜め後ろを振り返る。帽子に黒ぶち眼鏡にパーカーの推定年齢23歳の男。彼の目は海老セットに注がれている……。い、いかん。このままでは、海老はこの眼鏡君に奪われてしまう。危機的状況に瀕した戦国武将の本能というべきか。獲物を捕獲するカメレオンの舌よりも早い手つきで、私は海老を狩ることに成功した。あっけにとられる青年に笑顔で会釈一つ返し心の中で「この世は弱肉強食なんだよ。若者」とほくそえんだ。
次、冷凍庫と言う具合に、各地で戦いを終えた私はレジにむかった。
 いうなれば戦国時代、群雄割拠のはびこる中ようやく勝ち抜き京の都にたどりついた。店長よりの「こちらは暖めますか」との言葉は商品を選び抜き疲弊した心には染み渡った。「はい、お願いします」私は力一ぱい答えた……。ここまではよかった。
私は、店長が手にしようとしたパスタを手前に引き戻し、海老の寿司まきセットを指先で店長がわへおしやった。
一瞬沈黙する店長。
店長:「パスタをあっためるんですよね?」
当然だろ?という口調。
私:「いいえ、海老のほうです」
店長:「寿司ですよ」
私:「はい、寿司です」
ここまでいいきれば暖めるだろう。私は、思った。しかし、流石は店長。無駄な光熱費は使いたくないのか、悪魔でこだわる。
店長:「寿・司・です」
私:「パスタは結構です。寿司を温めてください」
おのれ、店長、早くあっためい(怒)!!
店長:「寿司は普通あっためません」
普通の寿司って。だってこれは海老天ロール。普通の寿司じゃない。王道じゃない。もはや市民権を得たと言っても歴史は浅い。ならば暖めたっていいじゃない。
よし、そういってやる。
私は決意し店長の顔を見据えた。
私:「……」
店長は某金融業者アイフ○のチワワCMでおなじみの中年俳優にどことなくにているではないか。スカウターで測定したらば、スーパーサイヤ人並みの戦闘能力はあっただろう私のパワーは一気にしぼんでしまった。
この人もきっといろいろあるんだ。妻は出て行き、娘は一緒に洗濯したくないなどといい、愛犬だけが待っている。そんな生活かもしれない。この人と戦っちゃーいけない・・・。
そうして、私は海老天を暖めることは断念した。 






私:「……」

ブーツの踵、つまりはヒール

2006年01月14日 23時53分06秒 | Weblog
新年早々、まったくどうでもいいことだが、ブーツの踵に穴が開いた。いや、待て、それはどういうこったい。踵は折れるものでは?そうおもうっしょ。しかし、それはピンヒール。ピンでなくそこそこ踵の大きなヒールは、しかも、安物は踵が空洞になってたりするのだ。そこにうまい具合に、誰が仕組んだのか、小石が入り込んだ日にゃあ、そりゃ、カランコロンなりますよ。まるで某ゲゲゲの○太郎のげたのように鳴る鳴る。
一人の時ならばそれも乙だなどど自分をごまかしてみたりもできよう。しかし、人通りでは目だってしょうがない。だから、わたしは決心した。石をとってやるのだ。先ずは、ブーツを裏返し、あちらこちらへと傾けて、「石よ出ろ」と念じてみる。が、石は頑として出てはこない。
石:「けっ、出せるもんなら出してみろ」
私:「おのれ、ここであったが100年目。必ず引きずりだしてみせるわ」
敵はなかなかに手ごわい。それでも、私は負けない。
約5分間にも及ぶ熾烈な戦いのあと、ついに石がコロンと床に落ちた。
私:「っしゃあ。正義はカーツ」
意気揚々とブーツを履く。
力強く1歩・2歩と進みだす。
「かこーん、かこーん」
私:「なんか、変な音がする……」
心なしか先ほどより音が大きいではないか。これは一体どういうことか。
私は後ろ向きに足をけりだし、底を確かめた。
す、すると、ブーツの底がめり込み、実質底というものはなくなっていた。踵という名の枠はある。普通にたつ分には問題ない。しかし、底辺がない。うーんわかりにくい。私なりにわかり易く言うならば、セルクル?あるいはクッキーの型のような物をヒールとして、上に靴がのっかってる感じ?
とにかく、かこーん・かこーん、さっきより凄まじい。
私は小石との勝負に勝って、踵を失った。でもこのブーツの色落ち・履き心地はそう簡単に手放せるものではない。なにより、三足しかないブーツのうち、体内水分の貯留により変幻自在な私のふくらはぎについてこれるのはこいつだけだ。
私は考えた。それもすぐに解決できる方法を。
空を見る、星を見る、道路を見て、行き交う人を見る。どうやら、すぐには踵をどうにかしてくれそうな物も人材も見当たらないようだ。
ああ、困った。今度は花壇を見る、そして石を見る。石・・・、嫌、だめだ。大き目の石を詰めてみようなんて、そんなことは絶対に認められない。
では、何をつめよう、重くなく、手を汚さず、隙間なくジャストフィットする物体。
新年早々難問だ。その時だ。はあーっと、ため息をついた私のりんごのような頬に、冷たい雪が舞い落ちる。
私:「そうだ雪だ」
雪があった。踵に雪をねじりこむ。アスファルトで余分な雪をそぎ落とす。
即席、完全なる踵の出来上がりだ。
音はない。若干のすべりはあるものの、重さもさほど気にならない。
ああ、私よ万歳。雪よ万歳。すべての生きとし生けるものに万歳。
私は、文字通り、足取りも軽やかに家路についた。
翌日、ブーツの雪が溶け出した下駄箱が多少水っぽくなっていたことは、まだ家人の誰にもばれてはいない。