フルートおじさんの八ヶ岳日記

美しい雑木林の四季、人々との交流、いびつなフルートの音

楊逸(ヤン・イー)「時が滲む朝」

2015-01-28 | 濫読

中国人の作家が日本語で小説を書き、芥川賞(2008年第139回)を取った作品ということで、一度読んでみたいと思っていた。

1988年の7月、中国西北部に住む謝志強、梁浩遠は大学への入学試験を受け、二人そろって、秦漢大学(架空の大学のようだ)に合格する。二人は将来の夢を語り合いながら、大学生活を楽しむ。ところが1989年6月(第2次)天安門事件が起こり、彼らは国を愛する気持ちから運動に参加していく。

運動の指導者として学生を指導する甘先生や、英露という女性活動家とも親しくなる。
民主化を求める運動は政府により弾圧される。ある日二人は飲み屋で運動をめぐって市民と論争となり、殴り合いとなって当局に逮捕され、大学退学処分を受ける。

梁浩遠は日本の残留孤児、梅と結婚して日本にわたり、東京で中国の民主化、香港の中国返還反対、北京オリンピック開催阻止の署名活動などを続ける。謝志強は、中国に残ってデザイナーとして生計を立てる。

しかし、1997年に香港が中国に返還さんれるや、世界の中国同朋が狂ったように喜ぶ姿を見ると、梁浩遠も心を動かさざるを得なかった。梁浩遠の運動への賛同者も一人一人と少なくなっていく。

2000年末に、亡命していた甘先生と英露が中国に帰る途上東京に立ち寄り、梁浩遠に会う。これから、小学校の教師として暮らすと言って中国に帰っていくところで物語は終わる。

この本の帯に「中国民主化勢力の青春と挫折」と書かれているので、政治的な展開になるのかなと思っていたが、ほとんど突っ込んだ展開はない。現代中国の大きな流れに抗しながらも、結局は、中国人として生きていかざるを得ない主人公たちが、淡々とほろ苦く描枯れていた。

読後、主人公たちによって歌われる尾崎豊の「I Love You」の切ない旋律が心の中に響いた。

(参考)

 1989年11月 ベルリンの壁崩壊

 1991年12月 ソ連邦解体

 2001年7月  北京オリンピック開催決定

 


2015山行き計画を話し合う

2015-01-26 | 山登り

今日は、2015年度の山行き計画を話し合うため、いつものように根城である、ミナミの「」に集まった。

まずは、軽く乾杯したあと、料理を食べながら、このほどギリシャ旅行から帰ってきたMさんの話を聞く。

ギリシャは人口1000万人ぐらいで国土の広さは、日本の三分の一ぐらい。意外と小さな国だ。英語は通じるが町の人は英語はあまり話せない。

アクロポリスやパルテンノン神殿など、国中いたるところに世界遺産がある。

治安は良い、財政危機と言われているが、人々は、陽気に暮らしている、などなど。記念にマグネット」を頂いた。


その後、本題の今年の山登りの話となった。毎年、「日本百名山」を登ってきているが、
清里周辺の「甲武信岳(こぶしたけ)」はどうか、との提案あり。甲武信岳は、文字通り

山梨県・埼玉県・長野県の3県の境にある標高2,475mの山で、これまで登った瑞牆山、金峰山の続きにある
山だ。塩山から入っていく。山小屋もあるので、歩きやすい、とのこと。

無理をせずに体力にあわせてのんびり登山を楽しむのがこの会の趣旨だから、「歩きやすい」ということで、皆さん大いに納得。

日程は5月中下旬になるが、それまで、足慣らしをしておこう、ということで散会した。


「東欧ノスタルジー」の美しい音楽に浸る

2015-01-25 | アダージョの森

今日は富田林の「すばるホール」に足を運ぶ。ここでは「私の街でクラッシク」と題して、富田林在住の音楽家による、演奏会が定期的に開催されている。

今回は、そのシリーズの11回目だ。題して「東欧のノスタルジー」。ドボルザークをはじめとした東欧音楽の演奏会だった。

バイオリン奏者でもある奥田章子さんから、「何故、東欧音楽は私たちの心のふるさとのよう
に響くのか」との解説があった。それは「4,7抜きの5音音階」(東アジアでは古代中国以来
,ドレミソラの音階が理論的に基本とされる。)とのことだ。「5音音階」の曲では、「蛍の光 」

「麦畑」「アメージンググレース」「浜千鳥」「上を向いて歩こう」など、皆さんよくご存じの曲が紹介された。

前半はバイオリンの演奏だ。ポルムベスクの「望郷のバラード」は天満敦子さんの演奏で知
られるようになった。ルーマニアを愛するポルムベスクは投獄され、29歳の若さで夭逝した。
故郷ルーマニアへの思いが切々と歌われるこの曲は、何度聞いても心が打たれる。

後半は大阪センチュリー交響楽団首席フルート奏者だった長山慶子さんのフルート演奏。
ドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」を聴く。太く、軽やかで、美しい。第3楽章が実に感動的だった。
同じくドップラーの「森の小鳥」は、飼っているオカメインコの囀りのように演奏したい、とのこと。

マルティヌーの「スケルッツオ」はジャズのような雰囲気のなか超絶技巧で最後まで駆け抜けるという曲だった。

1時間30分ほどの間、ゆったりクラッシクを楽しんだ。これが1000円というリーズナブルな入場料なのも嬉しい。


閑静な住宅街にある「Café&gallery」を訪ねる

2015-01-23 | 日記

今日は、南海電車浜寺公園駅近くの静かな住宅街の中にある「Café&galleryFiume Rosso 」を訪ねた。

浜寺公園周辺の旧浜寺町一帯は大正から昭和初期にかけて別荘地となり、夏期は海水浴場として大変な賑わいを見せたところで

現在でもその雰囲気が残されている。

「Café&gallery Fiume Rosso 」は、私のフルート友だちが実家を解放してギャラリーとされているところだ。

実に瀟洒な建物で、入り口に本日オープンの表示がされてる。

建物の中に入ると、入り口に、パッチワークのタペストリーが飾られていた。

「Fiume Rosso」のオープンは不定期だが、開業中は手作り作品の展示とミニコンサートがある。

2時30分からピアノ、フルート、チェロの三重奏を聴かせていただいた。最後の「Fly me to the moon」のジャズアレンジが良かった。

別室の会場には、カラフルなパッチワーク作品が展示されていた。

ケーキセットは600円で、手作りのケーキはまろやかな味だった。

南側には手入れのいきとどいた庭が、冬の光を受けて明るく広がっている。

冬の一日、実にさわやかな時間を過ごさせていただいた。
「Fiume Rosso」とは直訳すると「紅い河」ということだが、どんな思いが込められているのだろうか。


書を楽しむ 「第30回記念 毎日現代書 関西代表作家展」

2015-01-19 | 日記

実に久しぶりにに書の展覧会に行った。阿倍野ハルカス「近鉄アート館」で行われている「第30回記念毎日現代書 関西代表作家展」。

入ってみて驚いたのは、入館者の多さだ。書を愛好している人の裾野の広さを感じだ。出品作家の揮毫会が行われているところは、大変な賑わいだ。

同時に、昭和6年(1931年)の「5・15事件」で凶弾に倒れた「犬養毅の書」も陳列されていた。犬養毅は政治家でありながらよく書をものにした。号を「木堂」という。「恕」(思いやる)という字が心に残った。

作品展を出たところで、いろんな書の本が売られていた。記念に「ほっとする論語」(杉谷みどり文 石飛博光書)を買った。石飛博光さんの字に親しみを感じる。

「近き者説(よろこべば)、遠き者来たらん」(自分たちがまず幸せを満喫してこそ、幸せを説く口が信用される)

今日は良く晴れた日だったので、ハルカスの窓から、北の方高層ビルが見える。