第15章 神に選ばれし者と選ばれざる者(11)
その飛行物体群は、ササ・グエンズの罠などではなく、マリア
達を追跡していたクウ3兄弟(長男・アグニ、次男・インドラ、三男・
スーリヤ)とその一族郎党15人の計18人の編隊が、グミ・マロスの
微弱なテレパシーを、三男・スーリヤがなんとか察知して、「クリテの
おいぼれが死んだそうだ。ビーセント将軍の精鋭部隊が、イリアスの一大
食料庫のクリアデント平野に急行したそうだ。後に続け。そして、
ビーセント隊を出し抜いて手柄を横取りしろ。千才一隅のチャンスだ。絶対
に物にしろ。失敗したら、全員捕まえて処刑だ。わかったな」との命令の
ままに、予定を変更して、ビーセント隊に続いて、クリアデント平野に、
空から急行したものだったのだ。「フン。あんなうす汚いカラス野郎どもと
我等、ビーセント精鋭部隊を一緒にするな。なればこそ、その首、こちらが
先に頂くぞ。うっ、き・・貴様。この水は一体?」そう言うと、全身が
痺れて痙攣を起こしたグエンズと周りにいた部下達も、次々にうなり声を
上げながらも倒れていった。「やっと効いたか。さすがにしぶとい奴等だ。
先程、お前らに浴びせたのはその通りに、ただの普通の水(軽水)では
ない。自然界にはその含有率が極めて微量な重水で、生物の細胞を破壊する
極めて毒性の強い物だ。しかし、実は両刃のやいばでな。その変換には、
恐ろしく膨大なエネルギーがいる。俺ももう限界だ。共に死すのみだ」と、
言うと、突然にトートも愛馬・ヴェガサスから落馬して地面に落ちた。
驚いたヴェガサスが、トートを咥えようとしても、銀の鎧が邪魔をして
うまくはいかないのだった。「もういいぞ。お前一人で逃げろ。世話に
なった。さらばだ。ヴェガサス」と叫ぶトートに迫る影が。
((去年は本当にお世話になりました。本年も嫌でなかったら、
わたしの拙いブログにどうかお付き合いくださいますように。
よろしくお願いいたします。では次回に続く。))