ちょっとした恒例のパーティに参加した。
高齢者の多い会合だが、いつも必ず出席しているひとりの姿が見えない。
たまたま隣に座ったこれも顔なじみのじいさんに
「あの方、今日は、お見えでないですね」と訊いてみた。
欠席している彼と、隣席のじいさんは、同じグループで活動をしていて親交があるはずである。
当然消息が分かると思ったのだが、
「誰のことかなあ」という。
名前が出てこない。
「ほら、彼ですよ、あなたとよく一緒にいるじゃないですか」
首を傾げている。
身体的な特徴をいうのは失礼なので、控えていたが、思いだしてもらうためには仕方がない。
「あの、身体の悪い方ですよ」
「僕のまわりは、みんな身体が悪いからなあ」
「足の不自由な方ですよ」
「みんな足が不自由だからなあ」
じいさんは、皮肉でも冗談でもなく、首を傾げていた。
どっちを向いても、あれ、あれ、あれ、ほらほらほら……のパーティだったが、それでも結構楽しかったから不思議だ。