CBTセンター

認知行動療法の使用感・使用例などを具体的に書き込む

自宅で自分でOCDを治すということ

2005-09-23 | 強迫性障害
全てのエクスポージャーは、病院で治療者の目の前でやってもらうやり方や入院でやってもらうやり方ではなく、自宅で自分でやってもらう事にしている。

OCDで入院治療をするのは、ちょうど不潔恐怖の引越しがそうであるように一時的な強い回避をもたらし、その後猛烈にOCDの仕組みを強化する危険な選択肢である可能性を思わなくてはならない。
同様に病院やクリニック内で治療者の前でエクスポージャーをしてもらうのもおなじ。「後で家帰ったら洗うもんねー」とか思っている可能性を思わなくてはいけない。
ま、どうしようもないと入院や治療者効果はありだと思うけど。

「『自宅で自分で』だとやってくれない」というパターンで入院というのは最悪。治療者の動機付け力の低さを患者さんに責任転嫁している可能性大。

とにかく「今困っている場所で治療をする」事が基本。そうじゃない場所で幾ら治療をしても再発する可能性が常にあるし、二度手間。例えば入院して治療して、退院して再発とか、病院で治療して家に帰って再発とか、治療者に見守られて治療して、一人になって再発とか・・・etc.
再発を防ぐと言う事はおそらく、「自力でどれだけ治療という建造物を構築したか」によってくると思う。
治療者がが手伝う割合が高ければ高いほど、セルフヘルプというCBTの基礎がオカシイ事になる。ひょっとしたら薬物療法の再発率の高さもこの辺に由来しているんじゃないかと思うぐらい。
でも薬物療法を試みる場合、インフォームドコンセントで中断後の再発率にも言及するべきかは、ちょっとわからない。このご時世調べたらすぐにわかるけどね。

とにかく言いたいことは、症状の重さによらず「最初のエクスポージャーは入院して治療者の前でしなくてはならない」という決まりはないということ。そして自宅で自分でやってもらうような促しおよびフィードバックの部分が治療者の働きかけの中で最も重要で、エクスポージャーそのもののサポートはメインじゃないのではないかというお話。

知り合いの心理士で今までずっと一度病院でエクスポージャーをしてから、家でやってもらうことにしていた人がいて、その方にこの事を話したら、それから最初から家でのエクスポージャーに切り替えた。
曰く、「今までやってみようと思わなかったけど、やってみたら普通にできる。でも、数人はやっぱり病院でした方がいい人もいる」だそうな。
いやはやすごいものだと脱帽した。


3 コメント

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?? (mahiko)
2007-03-26 11:21:48
思い切りのよいコメントが魅力のブログですが
治療に関しては患者さまへの影響もあることですから
あまり極論するのはどうかと思います・・・
私は看護職ですが、
自宅が不安刺激だらけで自主的曝露にとりくんでも
不安が下がる前に他の不安刺激にさらされてしまい
反応妨害がなかなか完遂しない患者さまに対して
入院治療で不安刺激が限定される病棟でこそ
一つ一つの曝露にきちんととりくむことができ、
ERPを身に着けた後は外出外泊で自分で曝露に
とりくむこともでき、退院後も無事によい状態を
維持できている患者さんを知っています。
それに、なかなか外来診療で希望する方すべてが
保険診療でERPを受けられるような体制ではない
現状では、入院してから熱心な病棟医が試行錯誤で
ERPにとりくみ、CBTの専門家を探してスーパーバイズ
受けたりしているわけです。
管理人さまの技量はさぞ素晴らしいのでしょうが、
こういう患者さまもおられるということも
知っていただきたく、コメントさせていただきました

Unknown (管理人)
2007-03-26 14:37:01
自宅で反応妨害がなかなか完遂しない患者さんは難しいところですね。
むしろほとんど全ての患者さんは「なかなか完遂しない」ように思います。
しかし、そこをどうするかが治療のメインだと思います。つまりそのようなうまくいかない状況で患者さんがあれこれ工夫しながら模索するプロセスがメインであって、ひとつのエクスポージャーを完遂する/しないはサブなんじゃないかなぁと思っています。

ともあれ、「入院治療は悪だ」のように言いきってしまうのはさすがに誤解を招くので、「闇雲な入院治療は必要ない」ぐらいにお詫びして訂正します。
本人に自傷・他害の恐れがあるときなどは入院治療が必要でしょう。家族に対する過度の巻き込みも他害の一種だと思います。

また本人の必要性とは別に、CBT施術者が普及していないという理由から入院になる事や、入院になるから病棟スタッフがCBTを勉強する事はよくあることだと思います。
このように病院にとって入院が必要な場合も、現実的には入院治療になると思います。

つまり本人か、病院かどちらか一方に入院の必要性があれば、入院が必要だと思います。
入院と自宅 (こころ)
2007-04-14 12:12:49
どちらでCBTを受けるか、というよりどちらにしても当事者の動機付けの高さと治療者のスキルの高さが問題では

強迫性障害の入院は、認知行動療法を受けるためという方より、少し問題整理を、家族への巻き込みが激しいからその休息の為とか,自傷行為のどが出てきたため,とか。私が知る範囲では,適切な治療の為は少ないですし,退院後に必要なセルフコントロールでも,自分でだと継続できている方いない方と様々です。やはり専門家の自宅でのサポートもいるようです。
どちら似せよ,治療者が断然少ない,保険診療外も多いこの2点の改善をしてもらいたい。病気の治療法は投薬・認知行動療法の併用がもっとも効果があると,治療法が分かっているのに,どこでも誰でも受けれないことが最大の問題点と思います。ちょっと的がずれて、すみません。