●本書は、わたしの、文字どおりのライフ・ワークである。最初に小栗にとりくんでから、かれこれ30年になるのではなかろうか。資料はあつまり、構想は練られたけど、なかなか一冊の本にはならず、今日になってしまった。
本書の約三分の二は、わたしの元気な間に執筆された。残りの三分の一は、肺ガンを病んで、痛みと苦しみのなかで、執筆された。東京女子医大病院中央病棟11階で、深夜ウンウンうなりながら、書きすすめられた。生きているうちに、何とか完成させたい、と思ったからである。途中、淋巴節その他への転移があり、絶望的ななかで、筆をすすめたこともある。
もっと突込んで研究したい個所も何個所かある。会って話をききたかった人、資料を探しに旅行したかった場所など、結局、あきらめないわけにはいかなかった。また、理論面でも、たとえば、兵庫商社が日本最初の株式会社であることの立証などについては、さらに深く考えたいが、それをやれば、まだ2年や3年はかかるだろう。それまで生きているという保証はない。
(著者の執筆メモより)
感動します、病床でのメモ、死を賭して、運命と悟り粛々と・・・
念願の小栗上野介を上程する。
思い返すと、胸に迫りくるものを感じる。
ー坂本藤良著書一例ー
「現代経営者の意識と行動」・・・これは小生が出版した坂本藤良著書です。
「経営学入門」がベストセラーとなり、次々と著書を世に送り出す。
周囲の反対を押し切り、家業の製薬会社を立て直そうとするが、失敗する。世間のヒンシュク(経営学は机上論)など少しも気にせず。逆手に取り倒産学、再建学などを出す。学者である一方、実践者でもあった。
―坂本藤良先生のこと③―では酒、神楽坂料亭、赤坂クラブの恋人など先生との思い出、エピソードを紹介します。-つづくー
坂本先生の著書は書店では絶版などで難しいので神田神保町古書店、または図書館で読んでください。