シナリオ同好会

シナリオのコンクールに応募する日々。
いつか、素敵なシナリオが書けますように☆

NHKドラマ万葉ラブストーリー…の作品です

2009年10月24日 | シナリオ
ドラマ万葉ラブストーリーにシナリオ送ったのだけれど、
もう、受賞作品決まってるのね。
はやっ、すっかり落ちてましたよー。
もし良かったら読んでくださいね。


タイトル
   「もう一度」

登場人物


立川絵美(28)万葉文化館、職員
立川康弘(30)観光タクシーの運転手
       絵美の夫
宮元愛子(28)絵美の同級生

田中明子(22)観光客
田中義男(27)観光客
佐藤登(38)会社員
鈴木悟(35)会社員
中井健(32)会社員
赤石リカ(20)万葉文化館 アルバイト








○ 道路
   走るタクシー。車側面に『奈良観光タ
   クシー』と広告が、貼られている。

○ 唐招提寺・駐車場
   止まっている先ほどのタクシー。
   車内にある時計は午後三時を示す。
明子の声「ひどーい」
   タクシーの前、乗務員姿の立川康弘
  (30)が田中明子(22)と田中義男(27)
   に頭を下げている。
康弘「すんません、すんません」
明子「元興寺の火渡り見たかったのに」
義男「普通、忘れてとばすか、そんな時に」
康弘「申し訳ありません、今から元興寺に」
義男「ばか!三時の火渡りにどうやって間に
 合うんだよ!」
康弘「(頭を下げ)すんません、俺どうかして」
義男「もういいよ、唐招提寺見てくるから」
   明子と義男は腕を組み歩き出す。
   康弘は、二人に向かって頭を下げる。

○ タクシーの中
   運転席に座っている康弘。胸のポケッ
   トから封筒を取り出す。
康弘「(ため息)やっぱあかんよ…俺」
   封筒の中から離婚届を出す康弘。
   康弘は、離婚届に 記入を始める。
   ×  ×  ×
   全ての項目に、記入捺印された離婚届。
   離婚届を見つめる康弘。ふいに離婚届
   の空欄に鉛筆で万葉集を書き始める。
   『今更に 妹に逢はめやと 思へかも
   ここだく我が胸 いぶせくあらなむ』
   タクシー窓を叩く音。康弘は急いで離
   婚届を封筒に入れる。

○ 飛鳥坐神社・鳥居前の道
   立川絵美(28)が怒った顔で歩いてい
   る。怒りのあまりに徐々に足早になる。

○ 同・神殿前
   怒りながら手を叩く絵美。
絵美「バチがあたったのよ!」

○ 病院の診察室(絵美の回想)
   医者の前にいる絵美。
医者「ガンの疑いがあるので再検査を」
絵美「主人がですか」
       (回想終わり)

○ 飛鳥坐神社・神殿前(元の場所)
   神殿に手を合わせ真剣に拝む絵美。
   メインタイトル「もう一度」

○ 立川家・玄関外(夜)
   コート姿の康弘、息が白く震えている。

○ 同・玄関中(夜)
   康弘が入ってくると絵美が急いで来る。
絵美「話があるの!」
康弘「わかってんねん」
絵美「え?」

○ 同・ダイニングキッチン(夜)
   部屋の隅にはストーブに火が灯ってい
   る。テーブルには、夕飯の支度がされ
   ており、康弘と絵美が、向かい合い座
   っている。絵美がポケットから病院の
   予約券を出そうとする。
絵美「こないだの、検査結果なんだけど…」
   康弘は、絵美に封筒を突き出す。
絵美「え…なに?」
康弘「絵美の欲しがってた物やから」
   封筒から離婚届を出す絵美、驚く。
絵美「これって…」
康弘「遅くなってしもた、悪かったやな」
絵美「(動揺しつつ)本当よ、遅すぎ…」
   流し台の汚れ物を洗い出す絵美。
   手が震えている。
   康弘はストーブに手をかざす。
康弘「(つぶやく)こんなに暖かいのにな」

○ 居酒屋・店内
   六人がけのテーブル席に絵美とスーツ
   姿の宮元愛子(28)が座っている。
愛子「たかが一回の浮気で、離婚する事ない
 でしょ」
絵美「脅しだったの! あの離婚届…は」
愛子「真面目だからなー、康弘君」
絵美「真面目に離婚するつもりなのよ、だか
 ら私だって、こうやって愛子に頼んで…」
愛子「真面目に離婚するつもりですか」
絵美「そうよ。あーあ私も東京戻ろうかなー」
愛子「東京捨てた人間が、よくいいますこと」
   佐藤登(38)、鈴木悟(35)、中井健(32)
   が現れる。皆、髪の毛が薄く太り気味。
佐藤「すんません、遅くなりまして」
鈴木「いやー、こんなベッピンさんと合コン
 できるなんてなあ」
中井「ほんま嬉しいです」
   愛想笑いの絵美。絵美は愛子に耳打ち。
絵美「ちょっと、おじさんじゃない」
愛子「(小声で)仕方ないでしょ、高齢者向け
 合コン探すの大変なんだから」
絵美「(自分を指差し)高齢者?」
中井「あのーそちらさん方は? 結婚してお
 られるんですか?」
   絵美の手、左手の薬指に指輪。
愛子「私は、独身です。こちらは…」
   絵美は、指輪を外す。
愛子「こちらは…バツいち…よね」
絵美「ええ、バツいちですから」

○ ホテル街
   中井の後ろ、絵美が歩いている。
   絵美は辺りを見渡し怯えた表情。
   中井は後ろを振り返る。
中井「旨いラーメン屋、すぐそこやから…」
   中井の後ろ絵美がいなくなっている。
中井「あれ?」

○ 道(夜)
   暗い道、絵美が後ろを振り返りながら
   走っている。

○ 立川家・玄関中(夜)
   息の荒い絵美、慌てて入ってくる。

○ 同・リビング(夜)
   ソファで寝ている康弘。絵美が入って
   きて康弘に近づく。康弘の背中に手を
   伸ばす絵美、触れようとするのだが止
   める。部屋を出て行く絵美。

○ 万葉文化館・ミュージアムショップ
   商品を並べている絵美。
   荷物を持ってくる赤石リカ(20)
リカ「これで、終わりやて」
絵美「じゃ早いとこ並べちゃいましょ」
リカ「はい」
   商品を並べている絵美とリカ。
   リカが万葉集の本を見てにやっと笑う。
リカ「ねえ、先輩。最近いいことあったん?」
絵美「ないわよ」
リカ「ずるーい、隠さんといてよ」
絵美「(ムッとして)隠してなんか…」
リカ「うち知っとるんよー。旦那様の事」
絵美「(真剣になる)え、なに?」
リカ「この間、万葉集の本、すごくたくさん
 買って行かれたんや」
絵美「ここで?」
リカ「先輩に頼まれたんですかって聞いたら
 なあ…」
絵美「なに、なんて言ったの!」
リカ「先輩に嫌われそうだから、万葉集でも
 読もうかと思ってやて。もうけなるいです
 ぅ。リカもそんな旦那様欲しかよ」
   絵美、真剣な表情。

○ 立川家・玄関中
   大きな荷物を持った康弘が立っている。
康弘「ほな」
絵美「あの…なんでもない」
康弘「離婚届だしたん?」
絵美「もうとっくに」
康弘「なら、良かった」
絵美「今度は浮気しない人探す」
康弘「うん…ほな」
   康弘が出て行く。涙を溜めている絵美。

○ 同・リビング(夜)
   ソファの前のテーブル、お菓子、ケー
   キお酒が所狭しと置いてある。髪はボ
   サボサの絵美。ソファに横たわる。

○万葉文化館・ロビー
   リカと館長(50)が話している。
リカ「離婚やて!」
   リカの後ろにやつれた絵美がいる。
絵美「ちょっと役所まで行ってきます」

○ 区役所内
   絵美は離婚届を職員に渡すが、手を離
   さない。職員は離婚届を強く引く。
   離婚届は職員の手の中に入る。
   離婚届の裏に薄く文字が見える。
   『今更に 妹に逢はめやと思へかも
   ここだく我が胸 いぶせくあらなむ』と
   書いてある。つぶやく絵美。
絵美「今更に 妹に逢はめやと 思へかも
 ここだく我が胸 いぶせくあらなむ…」
   ハッとする絵美。事務員の胸座を掴む。
絵美「返して、返しなさいよ」

○ 道
   離婚届を握り締め走っている絵美。
   絵美の声「今更に 妹に逢はめやと 思へか
   もここだく我が胸 いぶせくあらなむ」

○ 奈良病院・前
   息を切らした絵美が病院を見上げる。
康弘の声「もう、あなたに逢えないと思うか
 らか」

○ 同・待合室
   絵美は康弘を探している。
康弘の声「こんなにも私の心は晴れ晴れとし
 ないんだ」
   うなだれ座っている康弘。
   康弘の手を握る手。絵美の手である。
   驚く康弘絵美を見る。微笑む絵美。
受付の声「立川さん診察室へお入りください」
絵美「一緒に」
康弘「ああ」
   立ち上がる絵美と康弘。

               終わり

二日前です。

2009年10月19日 | にゃんこ
いつもいつも生きようと必死だったね。
亡くなる二日前なのに、しゃんとしてる。
まともに歩けないくせに、階段から転がるように落ちて子供の部屋に行ったよね。
さよならの挨拶、忘れずにしてくれたんだよね。
最後の夜、必死な声で呼んでくれたね。
その日の夜は、何年かぶりでいつもの寝床で寝ていて驚きました。
呼吸が止まってるのに、しばらく動いていたリュウの心臓、強かったです。

ゆっくり、休むんだよ。