レ・ミゼラブル観劇 archive

こちらは2007年以前のレ・ミゼラブルの観劇記、それからフィギュアスケートとテニス関連の記事を保管してあります。

レ・ミゼラブル 6/9(土)ソワレ (1)

2007-06-11 00:30:03 | レ・ミゼラブル観劇記

キャスト:別所哲也、鹿賀丈史、藤岡正明、坂本真綾、渚あき、菊池美香、岡幸二郎、斎藤晴彦、阿知波悟美、ほか

ついに2007年のレ・ミゼラブルが始まりました。
興奮冷めやらぬ今日この頃。
私のレ・ミゼ初日は昨日でした。初めての2階席。
1階席ではわからなかった石畳の模様や、舞台・セットの奥行きをまじまじと堪能。
幾分音が小さいようにも感じられたけれど、舞台全体を見下ろすのも一興。
1階席では見上げていたバリケードを見下ろすというのはなかなかいいものです。

なんにしろ1年以上ぶりのレ・ミゼ。新しいキャストも加わり、新たな演出もあるということでひたすら興奮して、こちらまで緊張。
全体的なことを言えば、今年からのキャストはとにかくこの「レ・ミゼラブル」という壮大な物語を歌いきるだけで精一杯という感じで、続投のキャストとの差がありありと出てしまっていました。だからどうしても一体感というかまとまりには欠けました。やはり場数ということでしょうか。これからに期待しましょう。

久々にレポ。新キャストから。

渚ファンティーヌ
元宝塚の娘役トップという前知識しかなかった彼女。
2階席というのもあったかもしれませんが、思っていたより声が出ていませんでした。去年のファンテに比べ、癖の無いストレートな歌声は悪くないので頑張って欲しいです。

菊池コゼット
彼女の場合は思っていたより声楽的な声がだせているな、という印象。キレイな声でした。ただ演技がすこし幼すぎというかおてんばというか。家に忍び込んできたマリウスが「コゼットを困らせた」と慌てて外に戻ろうとするシーンで菊池コゼット、追いかけすぎです。転びそうになるくらいマリウスに近づく。清楚というよりは可愛い印象で、それもいいんですが、どうしても去年の剱持コゼットと比べてしまう。

坂本エポニーヌ
女性のプリンシパル(コゼットとファンティーヌ)が新メンバーの中、彼女はやはり古株。演技も声も安定していて、とてもよかったです。しかも去年より歌がうまくなっている。今までより音程などに余裕があって安定感が増していました。坂本さんナイス!!彼女の「恵みの雨」は相変わらず切ない。

藤岡マリウス
なんというか成長しましたね~
彼は加わった当初からその歌声に安定感、伸び共に問題ありませんでしたが、今回も岡アンジョという大先輩を相手に引けをとらないマリウスだったと思います。去年までは若さ溢れるぶっきらぼうなマリウスだったけれど、深みを増したように感じました。岡田マリウスが抜けたこともあってか、藤岡マリウスに“苦悩”の片鱗をみるとは。嬉しい驚きでした。

さて、もう随分長くなりましたが、ここからが本番です。

別所バルジャン
やはり久々にみても演技の細やかさに感動しっぱなしです。もう彼のバルジャンに心を鷲掴みされてから、早何年。演技がまた変わりましたよね。未だに新たなバルジャンを見ることが出来るなんて。
彼のバルジャンはその行動一つ一つにそれを裏付ける気持ちがとてもよく見える。
行動や表情からジャンバルジャンの人生が透けて見えてくる。
今回の舞台でもいろいろと感動させられたしぐさがありますが、普段以上にぐっと来てしまったのは「彼を帰して」の一幕。別所バルジャンは「まるで我が子です」と歌いながら眠るマリウスに手を差し伸べ、そして自分の年老いた手をみて自分の衰えをひしひしと感じているのが伝わってくる。その演技が次に歌う「月日の波に追われてやがて私は死ぬでしょう」というフレーズになんとも言えぬ月日の重さを与えていて、わけもなく泣けてきました。
別所バルジャンはエピローグでも老いをまざまざと感じさせるのですが、「生きてみよう」とコゼットに言いながら、自分の死が背後にまで迫っていることを首の動きと目線だけで表現する彼の演技は絶品です。
司教様からもらった銀の燭台を宝物のように、そして戒めのように口付けるこの問い続けるバルジャンを、本当に私は愛してやまないのです。

鹿賀ジャベール
とにかくその存在感に圧倒されっぱなし。
それが他の役どころとジャベールという役の大きな違いなんですが、私の中のジャベール像は2種類あるんです。
ざっくり言うと、冷徹でクールなジャベール泥臭いジャベール
去年のキャストでは岡ジャベや今ジャベは前者で綜馬ジャベはどちらかと言うと後者。どちらも私にとってはまさにジャベールでだったんですが、なんというか鹿賀ジャベールはそういう問題ではないような位置でジャベールそのものなんですよね。長年ジャベールという人間の人生を舞台の上で演じてきたからでしょうか。

そしてなんといっても岡アンジョルラス
そうです。
岡アンジョルラスです。
伝説にもなっている(?)という岡アンジョルラスです。
岡アンジョの清廉潔白なこと!

もう奮死するかと思いました。というか多分一回死んだんだと思います。あの時。
あんなに赤いチョッキが似合う人見たことないです。岡アンジョからはリーダー、そしてカリスマの風格があらゆるところから感じられます。もう「付いていきます!!」と言ってしまいそうな程に。岡さんという大先輩を前に周りのキャストはかなり緊張していたことでしょう。あの日本人離れしたスタイルも手伝って、目立ちすぎです。
仲間というよりは、真のリーダーといった感じの岡アンジョ。マリウスの恋心にも確固たる革命家の態度で接します。でもエポニーヌの亡骸を追いかけるマリウスをしかと抱きとめる岡アンジョ。もう本当に号泣。
舞台の一体感ということを脇に置かせていただければ、何もかもがPerfectでした。

最後にひとつ書きたいのは岡さんの後姿の美しさについて。
それはジャベールの時もそうなんですが、彼は後姿で語ることが出来る俳優だと思います。前を向いている時以上に彼が背を向けている姿に惹き付けられます。一体今どんな表情をしているんだろうか、と。

実はまだまだ新たな演出についてなど書きたいことがあるんですが、明日も仕事。お風呂も沸いた。というわけで、次回に持ち越します。


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