風吹く夜のひとりごと

僕、風待月の独り言のブログです。
小説の掲載から日々の出来事、くだらない(?)企画まで何でもそろえています。

【小説】泣き声のひびく夜に(その壱.伍)

2007年10月16日 22時37分18秒 | 短編連作
 【小説】泣き声ひびく夜に(その壱.伍)


 ヒナから頼まれる事は大抵私の興味を引くものばかりだ。
 だから、口にはあまり出さないけれども、それなりに感謝している。
 心霊ツアー前日、私は意気揚々とバッグにあれこれ詰め込みながらまだ見ぬ世界に夢を馳せていた。
 明日のために報道部から支給されたデジカメの使い方も覚えて、行く予定の場所の情報も完全熟知。
 明日に向けての用意はほぼ完璧だった。

 「――――――――でも、ヒナって何処にいくつもりなのかしら?」

 自分の準備は終えたものの、私にはそれが少しだけ気になっていた。
 何せ、ヒナが興味を持った事は自分で調べてみないと気が済まない性格だ。
 そんなヒナが今回の企画を私とユーイチに任せるのはどうもおかしな話だと思う。

 ――――――――気になる、すっごい気になる。

 私は手元の携帯に電話をかける。
 相手はもちろん、

 『――――――――ん~、もしもし? 一体全体どーしたの?』

 ヒナはすぐに出てくれた。おそらく手元にあったのだろう。
 とりあえず、用件は一つだったので私は早速聞いてみる事にする。

 「うん、今回の取材って私とユーイチが担当してるでしょ? 珍しくヒナが自分でやらないんだなぁ~と思ってさ」
 『あ~、そういえば二人に言ってなかったけ。今回、私たち報道部は別の場所へ取材に行くつもりなの』
 「別の取材?」
 『そう、私たちが総力を挙げての取材よ。だから、そっちはあくまでオマケってとこかしら?』

 その口調からイタズラっぽく笑っているヒナの表情がよく想像できた。
 私たちはオマケかい…………ちょっとやる気が萎えちゃったじゃない。

 『あ~、嘘だよ、う・そ! こっちの取材で人員がさけなかったからあなた達に頼るしかなかったのよ。それに、舞ちゃんだって嬉しそうだったじゃない』
 「はいはい分かりました。実際、ヒナのおかげで退屈しのぎになりそうだし、その辺は感謝してるわ。ところでさ、その取材場所ってのは何処なの?」
 『今回行くところ? う~ん……』

 ここで珍しく渋るように押し黙る。
 え、そんなに秘密にしたい程なの?

 『まぁ、ね。今回の取材は結構遠くまで行く事になってるし、私が部長になってから最初の大仕事でもあるからさ、なるべく内緒にしようと思ってね』
 「ふ~ん……ま、分かった。じゃあ、期待して待ってる。あんまり調子に乗るんじゃないわよ。ヒナったら時々暴走しちゃうし」
 『それはお互い様。くれぐれもユーイチ君に迷惑かけるんじゃないわよ~』
 「な…………わ、分かってるわよ! じゃあ切るよっ」
 『は~いはい、じゃ、また今度会いましょうね~』

 手を振るヒナの姿を想像しながら私は電話を切る。
 ヒナが何処へ行くのか気になるのではあったけれど、これも楽しみに取っておくのがいいと思う。
 とりあえずやる事は全て終了。後はやるべき事はただ一つ!

 「明日に備えてぇぇ~~~~、就寝っ!!」


 <あとがき>
 こんばんは(^^)/ 連続更新のために時間と労力を削って小説のほうをUPしてみました(汗
 今回の話は心霊ツアー前日の舞と比奈乃のやりとりがメインです。
 最初、今回の話を執筆する時、いつもの二人に加えて比奈乃以外未登場の報道部メンバーも登場させる予定でした。
 ですが、そんな事をすると大人数でキャラクター描写の処理が恐ろしい事になるのではと直感して報道部は別任務という事にしました。
 報道部の愉快な仲間たちには本当にゴメンなさいです(苦笑
 
 さて、次回は第弐回となります。
 番外編は……多分やらないです。比奈乃たちが何処へ行ったかは……まぁ、そのうち分かるでしょう(オイ
 それではまた~、風待月でした(^_^)/~

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 果たして週末に第弐回は完成するんだろうか……

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