横浜FCユース・Junger FULIE

横浜FCユース友の会(私設後援会)によるユース応援BLOG

※試合などの予定はオフィシャルへ確認して下さいね(汗)

有終の美・札幌ユース戦1-0 (がる~だ)

2004-11-21 23:36:38 | 8.サポの声
現実はとても厳しくて、言葉でどんなに美辞麗句や正論を並べても報われないことがある。
勝負の世界では尚更だ。
私はその事が良く判っている大人だ。だから、目標を切り替えていた。

『1点でいい、自らの力で得点すること』

Jユース杯を5試合戦い、ここまで5敗、29失点、1得点。しかもオウンゴールのみ。
彼らに、1点でいいから取らせてあげたい。そう思ってスタンドから参戦した。

いつも15分迄は押し込める。が、その後失点、大量失点となる。
しかし、今日は20分もった、いや、まだまだ押し込めている。

いつも彼らに言ってきた。
「君らはやれるよ」
「負けても悔しかっただろ」
「経験になっただろ」
「1分、1秒の瞬間に感じるものがあったたろ」
「満足なんかしてないだろ」
「だからやれるよ」
最初は試合終盤に諦めてた彼らが、最後まで諦めなくなった。
ラストの数試合は、結果が出ずに悔し泣きする子が増えた。
第5戦、リベンジを懸けて望んだ市原戦は0―7と返り討ちにあった。
翌日、キャプテンの坂口と累積で最終戦出場停止となる大槻が謝りに来た。
「7点も取られてすみませんでした」
日本代表、ジーコ代表をきりきり舞いさせた市原ユース相手に彼らは真っ向勝負を挑んだ。あわや得点というチャンスを3回も作り、市原ベストメンバを慌てさせた。
しかし、最後は惨敗だった。
その結果は、散々煽り続けた、私の責任でもある。
私らの煽りが、守りを固める戦術を採用し辛くしている。

そして惨敗の結果は、選手である彼らを傷付ける。

最終戦、札幌戦の目標は「せめて1得点、決めてくれ」だった。
勿論、彼らには言えない、私だけの目標。
しかし、それは常に勝利を目標として来た彼らに対する「裏切り」、私自身が言い続けて来たことに対する裏切りでもあった。

前半35分まで0―0で凌いだ。いや防戦一方ではなく、サイドから崩せた。
中盤で奪えた。
スーパーセーブが冴えた。
どれも鬼気迫る気迫のプレーだった。

「悔いを残すな」
「最後の試合、全てを出し尽くせ」
その言葉に、彼らは全力で応えていたんだ。

私は、自分の目標が恥ずかしくなったね。
申し訳なくなった。

太陽のシュートが弾かれ、ゴール前の混戦。
こぼれ球を前田が押し込み先制。
6試合目で初めての得点
初めての先制だった。

札幌は選手交替と共に激しく圧力を掛けてきた。
ズルズルと下げられる最終ライン。
両翼もボランチも吸収され、7バックの様な危険な状態になってしまった。

私達はたった6人の声出しサポ。
しかしその中には、数人でアウェーに乗り込み、数百、数千の敵サポを相手する歴戦の勇者もいる。
札幌サポは30人程度だが、全く負けない、いや、勝負にすらならない。
それほど腹の底から大声でサポートした。
そして
「ズルズル下がるな」とピッチを戒めた。
しかし、札幌の圧力は高まって行く。

私は居ても立ってもいられなかった。
ピッチで踏ん張る彼らに対する後ろめたさもあった。
もっと支えなきゃと思ったが、最大限の声を張り上げる私達。
もう出来ることは、たった一つしかない。

小机競技場の横浜側を埋める観客。
100名位だろうか。
私は、真ん中最前列に走り、叫んだ。

「今日はどうしても彼らを勝たせたいんです。」
「一緒に応援して下さい。」
「手拍子だけでもかまいません。」
「皆さんの力で、彼らを勝たせて下さい。」

椅子に頭が着くほど、深々と頭を下げた。
サングラスをかけ、ガタイのでかい強面の男が突然出てきて大声を張り上げたものだから、観客は面食らっていた。
しかし、直ぐに、客席のあちらこちらから「おお」という返事とも何ともいえない雄叫びが一斉に上がった。
スタンドは、今日の只ならぬ雰囲気、いつも以上に踏ん張るピッチの雰囲気を感じていたのだろう。
そして客席全体から、コールに合わせた手拍子が始まった。

私は、もうまともにピッチを見られない位にボロボロと涙が溢れた。

ただ、その一瞬もピッチは闘い続けている。
直ぐに気持ちを切り替え、声出しに集中した。

やがて、DFの前田が相手との接触と同時に足を攣らせた。
全く動けず、のたうち回る。
雰囲気に呑まれ、ボールの行方を追いかけるベンチ。

「ゴッサン、ケア、ケア!!」

私の声に、後藤義一監督があわてて立ち上がり、前田のケアと交代要員の準備を指示する。

絶対勝て
絶対勝て

終了を告げるホイッスル。
一斉に両手を天高く突き上げ、飛び上がるピッチ、ベンチ、スタンド。

勝った。

あるんだ。
絶対的な実力差、埋められないと思われた差。
どんなに努力しても得られない結果。
そんな『常識』の全てがひっくり返った瞬間。
いや、ひっくり返した、ついに掴み取った結果。

あり得ないことが起きる
起こすことが出来る
こういうことが
あるんだ。

最高の卒業式になった。
3年生6人、坂口、大槻、山岸、竹田、清水、山口にとって、忘れられない最終戦になったに違いない。


試合後、今日お披露目をしたユース専用横断幕の前で、選手全員で記念写真を撮った。
卒業する6人には、真新しい横断幕へ自分達のサインを書き込んで貰った。
今日の勝利を喜ぶ選手の中、坂口と大槻はどこか淋しげな表情を浮かべていた。
折角出来上がってきたチームがこれで終わってしまうのは正直淋しい。
だけどみんなが頑張ったことは絶対に忘れない。

ここから歴史を刻むんだ。

これからもずっと続けよう。
継続することだ。
これで終わりじゃない。これが始まりなんだよね。
私はそう感じた。

弱小、横浜ユース。
でも、何も無いところからここまで上がってきた横浜ユース。
その戦いを1年間追いかけ、サポートした。
そして有終の美、悔しかった日々と死に物狂いの努力の日々の結実に立ち会うことが出来た。

これが誇りだよ。
これこそが誇りだ。
「Junger FULIE」
若い翼たち

本当にありがとう。


PS.
最終戦、出場停止だったエースストライカー大槻は、当然ベンチ入りはかなわず、1Fのスタッフ控え場所にいた。
しかし、彼もともに戦っていた。
「俺、ここで応援してました」
勝利の後、大槻はそう言って笑った。
ベンチの選手達にもっとも近付ける場所で、大槻は応援していた。
「俺達と一緒に応援やろう」「スタンドで待ってる」と前節に話したが、今はこれで良かったのだと思う。
大槻はサポではない。
俺達の夢を託したプレーヤーだから。
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