ふくらく通信

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おもちのきもちの「黒ずんだ」(仙台市若林区) :2009年05月23日の食べ歩記

2013-11-17 19:59:34 | 食べ歩記
広瀬橋から、東方面へ向かうと沖野という地区があり、沖野の南隣には上飯田という地区があって、六郷堀の流れが見える。

六郷堀は、江戸時代に、愛宕堰から東方面の田畑に水を引くために作られた用水路の一部で、上飯田には六郷堀だけでなく二郷堀という分水路も通っている。

広瀬橋の河原町側から、旅立ち稲荷の脇を通って東へ伸びる道路は、上飯田で六郷堀沿いを通る。「井土長町線」とも呼ばれている道だ。

さて、この「井土長町線」を行くと、上飯田3丁目のバス停の手前で、電信柱に気になる広告が付いているのを見つけた。

「黒ずんだ餅」と書かれている。
「黒ずんだって、何だろう。」
「店の名前、おもちのきもち、というのも気になるね。行ってみよう。」
電信柱の広告によると、そこから1キロ先までいくというので、まっすぐ道なりに進んだ。

そのうち、「黒ずんだもち 右」という看板を発見し、道を曲がるとすぐ左手に、あったあった。黒い暖簾と紫の幕を飾った、洒落た店先。  

実はこのお店、昔は米ヶ袋にあった「竹村餅店」が閉じた後、息子さんが昨年新たに起こしたお店なのだそう。
米ヶ袋の「竹村餅店」で、当時作っていたのが「ゆず餅」であり、この味は今でも受け継がれていた。

「ゆず餅」は、柚子餅と書く「ゆべし」のことだが、仙台では柚子よりも手に入りやすかった胡桃が主流で、胡桃のものが「ゆべし」、柚子のものは「ゆず餅」と言ったらしい。

そして、目当ての「黒ずんだ餅」はというと、これこれ、見事な黒だ。  
黒豆が枝豆のずんだに混ぜてある。

さらに竹炭や、餅にも黒米が入っていた。
黒豆によって、豆の匂いが穏やかになり、まろやかでコクのある豆の味はしっかりと味わえた。

もうひとつ、きな粉をまぶした涼しい味わいの「わらび餅」もあり、心地よい食感と黒糖の柔らかな甘味で、大変美味しかった。

「黒ずんだ餅」という奇抜な菓子も素晴らしいが、この店の魅力は、「ゆず餅」のように、ちゃんと昔ながらの味も受け継いでいる事だろう。

この「餅処おもちのきもち」というお店は、伝統の味に新たな発想を加え、調和の取れた新しい菓子を作っている、素敵なお店であった。

※追記:今も洒落た店構えは変わらず、同じ場所で営業しています。時々、百貨店や大型食料品店などでも見かけます。道の駅や高速道SAなどでも販売され、通販も行っています。


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