フランス映画です。
フランスの映画を観るのはいつ以来だろうか。「
ラマン」以来か?よく分からない。(「ラマン」って言いたかっただけ)
医者の男と恋人関係にある美術大生アンジェリク。彼には妊娠中の妻がいるけど離婚寸前。彼のこと思い浮かべるだけでウキウキしたりワクワクしたり、彼との旅行の計画に胸ときめかせたりして、実にフランスっぽい。フランスって多分こんな国だ。
・彼の肖像画を彼の病院に送ってあげたわっ!
・友だちから借りたスクーター、転んでブッ壊しちゃったっ!
・あれだけ計画した旅行に彼は来てくれなかった!なんでっ!
上記のようなエピソードを織り交ぜつつ、物語中盤で時間が物語開始時にまで巻き戻り、驚愕の「種明かし編」がはじまる!!!
などと言いつつ、言うほど驚愕でもなく、いわゆる「犯人はヤス」で言い表せる映画です。
以下からネタバレ入ります。ご注意下さい。
「彼女はストーカー」 がこの映画の種明かし。
彼女は随分彼に入れ込んでいるが、彼は彼女の事を「隣の家に住んでる女の子」としか認識していない。当然恋人でも何でもない。むしろ彼は妊娠中のカミさんを溺愛してるいい奴。
ゆえに先ほど挙げたエピソードも
・彼の肖像画を彼の病院に送ってあげたわっ!
→彼にしてみたら完全に身に覚え無し。ていうか突然自分の画が送られてきて怖い。しかも画の裏に愛の言葉とか書いてあって奥さん激怒。マジなんなんだよこの画。
・友だちから借りたスクーター、転んでブッ壊しちゃったっ!
→転んでない。彼の奥さんを撥ね飛ばしてきた。あわれ奥さん流産。まさに鬼畜の所業。
・あれだけ計画した旅行に彼は来てくれなかった!なんでっ!
→来る訳ない。てか旅行の存在を彼は知らない。「計画」は完全に彼女の脳内に存在しているだけ。
などという具合に回収されており、「種明かし編」ではアンジェリクの一方的な愛に溢れた奇行を、誰の仕業か分からぬ恐ろしい出来事として恐怖する男の姿が描かれる。
なんというか「怖い映画」を観たくて、怖いらしいと聞いた本作を予習ゼロで観てみました。んで、医者の彼がストーカーを怖がっているのは分かるのですが、観てるこっちとしてはそれほど彼の恐怖に共感を感じなかったので、ちょっと想像していた「怖い映画」とは違うかな、と。
オドレイ・トトゥが演ずるアンジェリクはストーカーな割には大変キュートなので、きっとこの映画を観た殿方の大半は俺だ!アンジェリク!結婚してくれ!という気分になったに違いない。ゆえにそんな気分では「怖い映画」にはなりにくい。
最近よく「かわいいは正義」というフレーズを聞きますが、この映画では必ずしもかわいいは正義ではなかったようで。でもたまにはそんな事があってもいいじゃないか。
作品紹介はこちら