彷徨者のネット小説レビュー

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人妖奇譚

2012-05-22 18:00:00 | 魔法先生ネギま!

原作名:魔法先生ネギま!
作者:桂樹緑
最終更新日:完結済み
評価:B
サイト:桂樹通信
    http://keijyu.blog.ocn.ne.jp/ktu/2015/01/ss_a6d4.html

[あらすじ]
 獣となって人に追われ、狩られて殺される悪夢で飛び起きた長谷川千雨。
 悪い夢の汗を流そうとシャワーを浴び、ふと鏡を見て絶句。鏡に映るのは、先端の黒い三角形の獣耳。本来の場所に耳は感じられず。半分腰を抜かして座り込めば、尻の下に感じるのはタイルではなくて二本の尻尾。
 これは夢なんだと自分に言い聞かせ気絶するも、現実はそう甘くもなく。耳と尻尾は隠せても、実際に生えているものは否定のしようもない。迫ってくるのは、自身が人外と言うどうしようもない事実。
 人外になって初めて気づく麻帆良の現状。幽霊に吸血鬼にロボットに魔法使いに、人外の匂いを漂わせるクラスメートがちらほら。「てめえら、あたしの常識を返せ」と叫んでも、自身が非常識の代表では虚しいばかり。
 自称常識人な千雨が、ある日突然人外の自身に覚醒し、ネギ関連のあれやこれやに巻き込まれたり、首を突っ込んだりする話。

[文章]
 三人称。気がついた誤字脱字はない。文章力は高く、読ませる丁寧な書き方をしている。距離や速度の表現に誇張すぎな感のあるのが気になる程度。

[総評]
 千雨魔改造、ほぼ最強物。これまで常識人だと思っていたのに、ある日突然、非常識の塊な狐の妖怪になっていた。始めのうちこそ戸惑いや困惑や将来の心配に頭を悩ませていたものの、「そんなものか」とかなり早いうちに開き直り(諦観?)。
 次の問題が、妖怪として覚醒した事による強烈な飢え。それに耐えられなくなり、ついつい通りすがりの魔法使いにちょっかいをかけ、精気(魔力)をつまみ食い。その傍ら、麻帆良が異常者の集まりであると学んでいく。
 妖怪とくれば、刹那との衝突は免れず。あっさりとモラトリアム終了の千雨と、延々モラトリアム続行中の刹那との対比は、読んでいて面白い。
 後は魔法使いを襲った事でネギが、共に人外の絡みでエヴァが絡んで来るかと思いきや、意外な人物が間に立ち塞がり。事態はややこしい方向に転がっていく。
 ネギま千雨魔改造物はそれなりに読んできたけれど、この作品の組み合わせ方は初見。
 本編は修学旅行で完結。東方シリーズに絡んだ続編が、数話公開されている。本編だけでも満足のいく出来な作品である。



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