陳 満咲杜の「為替の真実」

陳満咲杜のFXブログです。ブログ引っ越ししました。新ブログはhttp://chinfx.blog136.fc2.com/

キャシュ・バブル

2008年10月30日 16時40分04秒 | FXの真実
為替マーケットほど一般個人投資家にとって酷なマーケットはないだろう。何しろ、その気まぐれさと変化のスピードに翻弄されずに済むには、相当な経験と健全なマインドが必要だし、たとえベテランでも対応しきれない時が多い。レバレッジを利かせた投機である以上、わずかなタイミングのズレで命取りになるケースも多い。

一方、株式市場に臨む場合、目下の「歴史的な金融危機」に対応する方法と基準はシンプルで極めて明確だ。PBR、PERやテクニカル指標が揃って「歴史的な割安」の状況を示している以上、買いのみで対応すればよい。もちろん、レバレッジなしの投資に限る話だ。

「毎回同じ物語が繰り返される。相場が危機に陥った時、今度こそ俺の出る幕だと思っていた投資者が今回の危機でも買えなかった。というのは、危機と呼ばれる以上、その深刻さに驚き、今度こそ違うと思うようになったからだ。危機が過ぎ去りやっとわかったことは、今回も歴史教科書に書かれている前例と大した差がなかった」とAndré Kostolany氏は喝破していた。(André Kostolany氏はハンガリー出身の投機家、ドイツに住んでいたため、ドイツのバフェットといわれるほど成功を収めた人物。バフェット氏と違い、彼は投資に関する著作が多く、その哲学とユーモアを以って一世風靡した作家でもある。残念ながら、彼の著作の日本語版は出ていないようだ)

未曾有とされるドルの暴騰と金融相場の混乱はヘッジファンドを主体とする「反レバレッジ化」がもたらす結果であれば、目下の状況では、キャシュ・バブルの可能性も否定できない。ただ、長続きはしない。何しろ、現金だけでは何も収益を生まず、インフレに蝕まれる運命である以上、いずれ投資に回る。日経平均がこれから6000円台まで落ちるかもしれないが、「日本バーゲン」の意味では8000円台と大した差がない。というのは、ベテランほど底値で買えないということをよくわかっているし、底値狙いの発想自身が素人の証明だ。

お隣さんと違うことをやる、という原則に基づき、先週からほぼ毎日日経ETFの買い増しに走った。買い過ぎて、今日のディナーがクレジット・カードを使える店にしか入れないほどだ。ここまでやれたのも、まず、「危」こそ「機」と見なす原則、また「プロとド素人が妙に合致した時点で逆張り」という原則に基づくもの。

具体的には、ある著名銀行系アナリストが政府に株式市場の閉鎖を提言しており、このブログも連日のように何人の「ガキ」から嫌がらせ(いわゆるお前の言葉を信じて買ったのに損しているとか、見通しが間違っていたから、責任をとれ云々。もちろん、当方は彼らの行動を指示した覚えもないし、このブログを見てくれとさえ頼んでいない)のコメントがあったので、当方に勇気と判断の基準を与えてくれた。

ちなみに、目下の為替相場における雰囲気が正常な状態に戻りつつある、という気がする。根拠は以下のほぼ同時発表されたニュースにある。

1、State Street Global MarketsアナリストのCarlin Doyle氏は、キャリートレードの終焉を理由に、来年年末まで豪ドル/ドルが0.4700まで下げると予想。

2、Sonray Capital Markets首席経済学家のClifford Bennett氏は来年年末まで
、豪ドル/ドルが1.0000の大台を乗せる可能性に言及、年末まで0.7900あるいはそれ以上の回復があると予想。

これこそ正常だ。マーケットは常に混沌と相反、相違の中にいなければならない。そうでなければ、相場の内部構造が大きな転換と再構築リスクに晒されると悟るべきである。もちろん、そういう時こそ、ビッグチャンスでもあるが、自らの行動原則を持てばの話だ。


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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございました (睡眠不足)
2008-10-30 18:44:55
質問へのご返事頂きありがとうございました。
本当にお忙しそうですね。
御身体お大事にして下さい。
Unknown (ライチ)
2008-10-30 19:37:29
こんばんわ。負けた時は、文句を言いたいのが人間の性でしょうねぇ。私も、陳さんのブログを見て、大損をしましたし、得もしましたよ(笑)。でも、このブログは、大好きです。人間は、神様ではないですから・・・。ブログは、続けて下さい。

日本株・ドル/円は、来年にかけて上昇するんでしょうか?参考に、お聞かせ下さいね。
豪ドルは・・・ (高田)
2008-10-30 19:40:32
サイクル的には、下降するべき時期にキャリー・トレードのため上昇していましたが、今回の暴落は帳尻を合わせるかの如く、本来の位置に戻りつつあると感じました。

先日、ウクライナの米ドル不足をニュースで見ましたが、自国通貨が信用できない国ではなく、日本に生まれてよかったと思った次第です


大変良い言葉を頂きました。 (しゃんぱん)
2008-10-31 10:29:55
「プロとド素人が妙に合致した時点で逆張り」
ありがとうございます。
勝ち組になるために (太一)
2008-10-31 12:14:10
「批評家の言葉に耳を貸してはならない。なぜなら人を批判する者の石像が建てられた例は無い。」
という名言がありましたが、まさにそのままのことが起こっていますね。
自分で考える重要性に気付けない方は大変ですね。
陳様、こんにちは。 (CLOUD9)
2008-10-31 12:46:03
陳様、こんにちは。
非常にご多忙な日々を送られているようで、陳様こそお体に気をつけてください。
今回の記事をもってご見解をお答え頂き、感謝致しております。
しかし・・・ドル不足のニュースにしろ何にしろおっかないですね~。w
そして米国の社会保障制度と高齢者医療保険制度のツインタワーは何時崩壊するのでしょうか。。。(滝汗)
勿論、相場の値動きとは別にしての話ですが。(別ではないかもしれない)
Unknown (オニタン)
2008-10-31 13:23:15
一方通行の相場は間違いを含んでいて自律修正を行おうとするということでしょうか。
ソロスが相場は常に間違っているとか言ったとか言わないとか。

今は私を含め素人もたくさんFXに参加しているし素人感覚の動きをまったく無視はできないでしょうし。
複雑ですね。
でもますます味があるなあ相場は。

「ガキ」は退場したので無視 (さっちん)
2008-10-31 16:16:29
「ガキ」が文句を言ってくるという・・・
さすが・・・陳節炸裂ですね。
それでこそ陳さんらしい!
これからもその切れ味鋭い陳節でバカなド素人個人投資家を目覚めさせてやって下さい!

これからも活躍を期待しています!
書籍の出版楽しみにしています。
驚きです!! (M.KEY)
2008-10-31 18:16:29
はじめまして。
友人の評判を聞いて、はじめて訪れました。そして、衝撃が走りました!!驚きです。これほど勉強になるブログは他にありません。
「ベテランほど底値で買えないということをよくわかっているし、底値狙いの発想自身が素人の証明」
・・・納得です。

私は投資の心理について勉強しています。大変恐縮ですが、宜しければ、プロとしてのアドバイスをいただけると幸いです。

 「投資心理の教室」http://mkey.seesaa.net/ 

Unknown (いわざき)
2008-11-02 19:29:39
陳さま、こんにちは。

ドル円が今年最安値を更新したことで、2009年~2010年にくるであろう歴史的最安値の更新は見送られる(少しずれる)のでしょうか?陳様の本で、サイクル論を読みながら、とても興味を持ちました。

そして、少し話しはそれるのですが、最安値を更新したらさらなる安値が待っているということで、トレンドに逆らわず為替取引をと誓ったのですが、クロス円に関しては、特にオージー円なのですが、最安値更新したところでショート追加で取引したところ、底値でした。なかなか難しいものです。取引の基準としては間違えではないと思うのですが・・・