2008年の作品アップの前に、公募展に出品、没った童話を少しアップしたいと思います。
これも湧いてきた言葉の羅列でできた文章ではありますが、文字数の関係等で、かなり文章に手を加えてあります。(失敗した?)
━ウサギとカメのお話━
「うわ~ん。」
泣き声がして、台所からお母さんが飛んできました。
「ボクのおもちゃなのにぃ!」おにいちゃんが怒っています。お母さんは、やれやれという顔をして、
「どうして兄弟仲良くできないの。」と、泣いている弟の頭を撫でながら、やさしく二人に言いました。
「だぁって!」
「うわ~ん。」
ちょうどそこに、
「ただいまー。あー、暑い暑い。外は日差しが強くて…よっこらしょ。」おばあちゃんが帰ってきました。
「おばあちゃんだ!」
「おばあちゃーん。」子どもたちはおばあちゃんのところに駆け寄りました。
「ボクのおもちゃなのに勝手に使うのって良くないよねー?だからボク、取り返して怒ったんだ。ボク、悪くないよねー?」と、おにいちゃんが訴えるように言うと、
「ボク、貸してって言ったもん!ボク、悪くないよねー?」と、弟。
「ボク、いいって言ってないもん!」
またまた喧嘩が始まりそうです。おばあちゃんはニコニコして汗を拭きながら、
「じゃあ、おばあちゃんがお話をしてあげようかね。」と、言いました。
「うん!」二人は声をそろえたように言い、そして、弟はおばあちゃんの膝の上に乗り、おにいちゃんはおばあちゃんの背中におぶさるようにして顔を覗かせました。いつものお決まりの場所です。
「おばあちゃんは帰ってきたばかりで暑いのよ。」仕方ないわねという風にそう言いながら、お母さんは台所へ戻りました。
*
「昔々、あるところにウサギとカメがいました。」
「えー、ボク知ってる。ウサギとカメの話しー。」
「ボクも知ってるー。」
「最後まで聞いて。」と、おばあちゃんは話しを続けました。
「カメはのろまで自信がなく、悩んでいました。ウサギはそれに気づいていて、カメのために何かしてあげたいと思っていました。
♪ もしもしカメよカメさんよー。世界で一番お前ほどー、歩みののろい者はないー。どうしてそんなにのろいのかー。
と、カメを挑発しました。カメは怒って、
『それなら、向こうの山のふもとまで、どちらが早いか競争しよう。』と、言いました。そして次の日、二匹は
『よーい、ドン。』と、走り始めました。ウサギはあっという間にゴールの近くまで走り、昼寝をして、カメを待ちました。目が覚めても、まだカメがゴールした様子はありません。仕方なく、ウサギはもう一度寝ることにしました。気がつくと、カメがゴールして喜んでいたので、ウサギは安心して、自分もゴールしました。
その後、町では噂が広まり、皆は、カメにはゆっくりでいいからコツコツと続ける仕事を、ウサギには急いでやらなくちゃいけなくてすぐに終わる仕事を、頼むようになりました。二匹とも、とても満足でした。
こうして、カメは自信を持つことができるようになりましたが、それはウサギが気遣ってわざとカメを挑発したおかげだと、感じていました。ウサギが本当にカメをのろまだと思って馬鹿にしたのなら、勝って当たり前負けたら悔しい思いをするようなカメとの競争をするはずがないと、思ったからです。カメは、ウサギに感謝して、
『ありがとう。』と言いましたとサ。めでたし、めでたし。」
「ウサギは悪者じゃなかったのー?」
「悪者じゃなかったのー?」
「世の中に、本当の悪者なんていないのよ。いいとか悪いとかではなくて、どれだけ相手のことを考えられるか、どれだけ自分らしく行動できるか、そしてどれだけ感謝できるかが大切なのよ。」おばあちゃんはニコニコ笑って言いました。
おにいちゃんは、手にしっかりと持っていたおもちゃを差し出して、
「ボクのおもちゃ、貸してやるよ!ボクはおにいちゃんだからな!」と、ちょっとだけ偉そうに、言いました。
「ありがとう。」弟はちょっと照れながらそう言って、おにいちゃんに抱きつきました。
おばあちゃんはニコニコ笑っていました。
*
トンッ、トンッ、トンッ、トンッ
台所のお母さんの包丁の音も弾んでいました。
これも湧いてきた言葉の羅列でできた文章ではありますが、文字数の関係等で、かなり文章に手を加えてあります。(失敗した?)
━ウサギとカメのお話━
「うわ~ん。」
泣き声がして、台所からお母さんが飛んできました。
「ボクのおもちゃなのにぃ!」おにいちゃんが怒っています。お母さんは、やれやれという顔をして、
「どうして兄弟仲良くできないの。」と、泣いている弟の頭を撫でながら、やさしく二人に言いました。
「だぁって!」
「うわ~ん。」
ちょうどそこに、
「ただいまー。あー、暑い暑い。外は日差しが強くて…よっこらしょ。」おばあちゃんが帰ってきました。
「おばあちゃんだ!」
「おばあちゃーん。」子どもたちはおばあちゃんのところに駆け寄りました。
「ボクのおもちゃなのに勝手に使うのって良くないよねー?だからボク、取り返して怒ったんだ。ボク、悪くないよねー?」と、おにいちゃんが訴えるように言うと、
「ボク、貸してって言ったもん!ボク、悪くないよねー?」と、弟。
「ボク、いいって言ってないもん!」
またまた喧嘩が始まりそうです。おばあちゃんはニコニコして汗を拭きながら、
「じゃあ、おばあちゃんがお話をしてあげようかね。」と、言いました。
「うん!」二人は声をそろえたように言い、そして、弟はおばあちゃんの膝の上に乗り、おにいちゃんはおばあちゃんの背中におぶさるようにして顔を覗かせました。いつものお決まりの場所です。
「おばあちゃんは帰ってきたばかりで暑いのよ。」仕方ないわねという風にそう言いながら、お母さんは台所へ戻りました。
*
「昔々、あるところにウサギとカメがいました。」
「えー、ボク知ってる。ウサギとカメの話しー。」
「ボクも知ってるー。」
「最後まで聞いて。」と、おばあちゃんは話しを続けました。
「カメはのろまで自信がなく、悩んでいました。ウサギはそれに気づいていて、カメのために何かしてあげたいと思っていました。
♪ もしもしカメよカメさんよー。世界で一番お前ほどー、歩みののろい者はないー。どうしてそんなにのろいのかー。
と、カメを挑発しました。カメは怒って、
『それなら、向こうの山のふもとまで、どちらが早いか競争しよう。』と、言いました。そして次の日、二匹は
『よーい、ドン。』と、走り始めました。ウサギはあっという間にゴールの近くまで走り、昼寝をして、カメを待ちました。目が覚めても、まだカメがゴールした様子はありません。仕方なく、ウサギはもう一度寝ることにしました。気がつくと、カメがゴールして喜んでいたので、ウサギは安心して、自分もゴールしました。
その後、町では噂が広まり、皆は、カメにはゆっくりでいいからコツコツと続ける仕事を、ウサギには急いでやらなくちゃいけなくてすぐに終わる仕事を、頼むようになりました。二匹とも、とても満足でした。
こうして、カメは自信を持つことができるようになりましたが、それはウサギが気遣ってわざとカメを挑発したおかげだと、感じていました。ウサギが本当にカメをのろまだと思って馬鹿にしたのなら、勝って当たり前負けたら悔しい思いをするようなカメとの競争をするはずがないと、思ったからです。カメは、ウサギに感謝して、
『ありがとう。』と言いましたとサ。めでたし、めでたし。」
「ウサギは悪者じゃなかったのー?」
「悪者じゃなかったのー?」
「世の中に、本当の悪者なんていないのよ。いいとか悪いとかではなくて、どれだけ相手のことを考えられるか、どれだけ自分らしく行動できるか、そしてどれだけ感謝できるかが大切なのよ。」おばあちゃんはニコニコ笑って言いました。
おにいちゃんは、手にしっかりと持っていたおもちゃを差し出して、
「ボクのおもちゃ、貸してやるよ!ボクはおにいちゃんだからな!」と、ちょっとだけ偉そうに、言いました。
「ありがとう。」弟はちょっと照れながらそう言って、おにいちゃんに抱きつきました。
おばあちゃんはニコニコ笑っていました。
*
トンッ、トンッ、トンッ、トンッ
台所のお母さんの包丁の音も弾んでいました。