ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

強制→共生 

2006年11月28日 | 児童精神医学
クリニックでは児童のデイケアを細々と続けている。名目上は精神科デイケアだ。 我が国ではまだ児童精神医学自体が標榜を認められないけど、そんな児童を対象とするデイケアも必要だ。厚生省は常に後手に回る。 社会保険事務所提出書類では、1日30人のグループが参加することは可能だが、実際は1週間で延べ人数が3人なんてこともザラ。相変わらず、儲からないクリニックだ…
さて、デイケアには、居場所を提供するという大切な機能がある。フリースール友違う。 きっと社会保険庁の精神病院デイケアしか考えていないような硬い頭の官僚には分からないだろうが。

ポツポツ子どもが集まってくる。
一人はPCでインターネットゲームをしている。一人は漫画を読んでいる。一人はスタッフをからかっているようなコンタクトをとる。
全員がバラバラだ。
ある時、4人でトランプをしていることもあった。いいなあ・・・と見ていたが、翌日は同じメンバーが集まっても一緒にすることもなく、皆マイペースだった。
デイケアに参加すると、顔と名前はお互いに知っているので、少しは意識していることだろう。

デイケア室にいると笑顔も見える。
教師が見たらどうしてこんな元気な表情なのに登校できないのだろうといぶかしく思うのだろうか。
でも、彼ら彼女らは、強制されて学校に行くことが困難となっている。それぞれが、何かうまくいかない状況に置かれているのだろう。

人間関係が少し苦手な子たちが、数人参加するデイケア…
クリスマスツリーを出して、今日からデコレートしている。
女の子は楽しそうに飾り付けをしている。ちょっと照れ屋で粗雑な男子は、いたずらするような接し方で飾り付けの邪魔をする。(本当は邪魔なんてしていないのだろうが、人間関係が器用でないのだ。)
最初は皆、顔見知りしていたデイケアメンバーもクリスマスカードを作ったり、自然発生的に連帯感が出てきたようだ。連帯感でなくても、物理的にある時間を共有し共生しているとも言える。

そんな彼らから、最近は叫声さえ聞こえる。卓球でかけ声が出たり、ツリーの飾り付けで楽しそうに声を出したりする。ちょこっと盛り上がっているようだ。

クリニックは教育機関ではない。登校するように働きかけることは、あまりしない。それでも、結果的に登校し、進学する子たちがいる。
誰からも強制されずに、広い部屋でぶらぶらし、漫画を読み、ゲームをする。
デイケアを卒業したメンバーもいる。
忘れた頃にふらーっとデイケアに顔を出す子もいる。

何が良かったのかは、それぞれの胸のうちに秘めていて誰にも分からない。

卒業したメンバーもクリスマス会になると、今年もあるのかな・・・と気になっているようだ。
連絡をすると、毎年来てくれる子もいる。

強制よりも共生が良いよね。そしてみんなの元気な声を聞きたいね。

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6 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいですね。 (まさしく)
2006-11-29 08:55:35
 居心地の良い場所、強制されずに少しずつ自発的になれる場所があるというのは、すばらしいことだと思います。
 仲間に入れてもらえるかどうか解かりませんがカルタやトランプを持って遊びに行きたいです。
勉強は好きだけど (なかまた)
2006-11-29 13:20:01
学校には行けない子もいます。
またデイケアに来ることが出来るだけの力がある子は良いのでしょうね。
ただ、デイケアもホントに何もないんですよ。その時々の風向きが決めているといったところです。(いやー 沖縄的ですね。)

(まさしく)さん お久しぶりのコメントですね。これからもちょこちょこお願いします。
居場所があるっていい! (かめ)
2006-11-30 09:12:14
 実は私もその昔不登校児でした。私が学生の頃はデイサービスやそのほかも居場所がなく・・・・・色々ありました。私の考えを素直に言うと、子供の頃より、大人になってからのほうがずいぶんと生きやすくなりました。子供には学校へ行く、という選択しかありませんが、大人になると、もっと色々道はあります。ちなみに私は、中学は半分位しか登校していません。高校は行かず、通信制の短大を出ました。儲からずとも、子供達のデイケア-を続けている先生を尊敬しています。頑張ってください応援しています。
医学部へ進んで…… (kaetzchen)
2006-11-30 12:13:30
一番辛かったことは,やっぱり「毎日学校へ行って,朝から夕方まですし詰めのお勉強をしないといけない」ことだったかな(笑) 私はかめさんほどじゃないけど,高校は半分近くエスケープしてました。放課後に竹刀振り回すのが楽しみで学校へ行ってた感じ。

卒業したら卒業したで,一日中病院の中でしょ。こちらが病人になりそうでした。おかげで臨床医になれず,完全に落ちこぼれてしまいました(笑)
選択肢 (なかまた)
2006-12-01 11:23:00
学校で居づらい子たちがこれだけ多いのに、教育再生会議で集団に適応させ、軍国主義的な(ちょっと言葉は大げさですが)団体教育にしようとしているようでイヤですね。
どうして、教育がうまくいっている北欧の事例は持ってこないで、失敗した面もあるイギリスアメリカ型の教育制度のみを言い出すのか分かりません。
鬼畜米英に偏りがちなのは (kaetzchen)
2006-12-01 13:13:48
教育学者に英語しか読めない人種が多い,という理由もあるでしょうね。北欧の事例はほとんどがドイツ語に訳されてますから,言ってみればドイツ語とロシア語ができれば全ヨーロッパをカバーできます。つまり御用学者はドイツ語が読めないという証左でも(笑)

経済学者や外科医にアメリカ帰りしかいない,という現実と,何だか良く似ている気がします。要するに,語学の壁,なんじゃないでしょうか。(^^;)