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2008-02-22 22:03:37 | Weblog
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以 上

不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 解答と解説その1

2008-02-03 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


マンション管理士試験
平成19年度 解答と解説その1
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光

〔問 1〕 正解 4
1 誤り。「区分所有権」とは,建物の部分(専有部分)を目的とする所有権をいう(区分所有法2条1項)。共用部分の共有持分は入らない。
2 誤り。専有部分は,規約により共用部分とすることができる。また,規約共用部分とした規約の定めを廃止することによって,専有部分に戻すこともできる。
3 誤り。建物またはその敷地もしくは附属施設の管理または使用に関する区分所有者相互間の事項は,この法律に定めるもののほか,規約で定めることができる(30条1項)。ここで,建物とは,専有部分も共用部分も含む。
4 正しく正解。この法律において「共用部分」とは,専有部分以外の建物の部分,専有部分に属しない建物の附属物および規約共用部分とされた附属の建物をいう(2条4項)。したがって,建物の各部分は,専有部分かそうでないものは共用部分である。
楽学マンション管理士 p.135「総説」,p.138「専有部分と共用部分」

〔問 2〕 正解 3
ア 当てはまらない。管理者は,その職務に関し,区分所有者を代理する(区分所有法26条2項)。これに対して,管理組合法人の場合は,「管理組合法人は,その事務に関し,区分所有者を代理する」のであり,管理組合法人の理事が代理するのではない(47条6項)。ただし,管理組合法人の理事は,管理組合法人を代表する(49条2項)。
イ 当てはまらない。理事には当てはまるが,管理者については,任期の規定はない(49条5項)。
ウ 当てはまる。区分所有者は,規約に別段の定めがない限り集会の決議によって,管理者を選任し,または解任することができる(25条1項)。この規定が,理事に準用されている(49条7項)。
エ 当てはまる。管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは,各区分所有者は,その解任を裁判所に請求することができる(25条2項)。この規定が,理事に準用されている(49条7項)。
 以上により,当てはまるものの組合せはウとエであるから,3が正解。
楽学マンション管理士 p.168「管理者」,p.204「理事」

〔問 3〕 正解 2
 区分所有法第6条第1項は,「区分所有者は,建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定める。本問は,この「共同の利益に反する行為」か否かを問うものである。
1 該当する。専有部分に危険物を持ち込む行為は,専有部分の不当使用として,「共同の利益に反する行為」である。
2 該当しないので正解。中傷ビラの配布は,管理者に対する不法行為とはなりえても,区分所有者の共同の利益に反する行為とはいえない。
3 該当する。規約で禁止された動物の飼育は,共同生活上の不当行為として「共同の利益に反する行為」となる。
4 該当する。無許可の看板設置は,不当使用である。
楽学マンション管理士 p.145「区分所有者の権利義務等」

〔問 4〕 正解 2
1 誤り。区分所有者は,共用部分,建物の敷地もしくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権または規約もしくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について,債務者の区分所有権(共用部分に関する権利および敷地利用権を含む)および建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者または管理組合法人がその職務または業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても,同様とする(区分所有法7条1項)。区分所有者も先取特権を取得する(となりの区分所有者の管理費を立て替えた場合など)。
2 正しく正解。先取特権の客体として「区分所有権」があり,それが賃貸されている場合は,民法上の物上代位権(民法304条)を行使して,賃料に対しても行使できる。
3 誤り。「建物に備え付けた動産」も目的物となる(区分所有法7条1項)。
4 誤り。この先取特権は,優先権の順位および効力については,共益費用の先取特権とみなされる(7条2項)。共益費用の先取特権は一般の先取特権であるが,その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する(民法329条2項ただし書)。

〔問 5〕 正解 1
1 できるので正解。管理者は,規約または集会の決議により,その職務に関し,区分所有者のために,原告または被告となることができる(区分所有法26条4項)。また,管理組合法人は,規約または集会の決議により,その事務に関し,区分所有者のために,原告または被告となることができる(47条8項)。
2 できない。共用部分の変更(その形状または効用の著しい変更を伴わないものを除く)は,区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし,この区分所有者の定数は,規約でその過半数まで減ずることができる(17条1項)。規約でのみ減ずることができる。
3 できない。集会の招集の通知は,会日より少なくとも1週間前に,会議の目的たる事項を示して,各区分所有者に発しなければならない。ただし,この期間は,規約で伸縮することができる(35条1項)。規約でのみ伸縮することができる。
4 できない。管理者または集会において指定された区分所有者は,集会の決議により,他の区分所有者の全員のために,行為の停止を請求する訴訟を提起することができる(57条3項)。集会の決議によらなければならない。
楽学マンション管理士 p.179「規約」,p.210「区分所有者・占有者に対する違反行為の差止請求」

〔問 6〕 正解 4
 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合で,分離処分が禁止されているときは,民法第255条の規定は,敷地利用権には適用しない(区分所有法24条)。民法第255条は,「共有者の1人が,その持分を放棄したとき,又は死亡して相続人がないときは,その持分は,他の共有者に帰属する」と定めている。民法第255条を適用してしまうと,マンションの専有部分は,持主のいない不動産として,国のものとなり(民法239条2項),敷地利用権は他の区分所有者のものとなり,結局は専有部分と敷地利用権の所有者が分離してしまう。これを防ぐのが,区分所有法第24条である。
1 正しい。相続人も特別縁故者もいない場合は,無主の不動産として,専有部分も敷地利用権も国のものとなる。
2 正しい。特別縁故者がいる場合には,相続人がいないと確定したときに,財産分与がなされる(最判平元・11・24)。
3 正しい。相続人の全員が相続を放棄すれば相続人がいないことになり,特別縁故者もいなければ,国のものとなる。
4 誤りで正解。専有部分が共有である場合も,相続人がいなければ,まず,特別縁故者に分与される。
楽学マンション管理士 p.153「持分の放棄等」

〔問 7〕 正解 2
1 誤り。Bも区分所有者なので,集会の開催を通知しなければならない(区分所有法35条1項)。
2 正しく正解。規約の設定,変更または廃止は,区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。この場合において,規約の設定,変更または廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは,その承諾を得なければならない(31条1項)。駐車場部分について修繕積立金を徴収するとの変更は「特別の影響」を及ぼすものではないので,Bの承諾は必要ではない。
3 誤り。Bは,区分所有者として,議決権を行使することができる(38条)。
4 誤り。区分所有者の議決権は,規約に特別の定めのない限り,専有部分の床面積の割合となる(38条,14条)。この議決権は,規約をもってしても奪うことはできない。
楽学マンション管理士 p.191「集会」

〔問 8〕 正解 3
1 該当しない。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は,会議の目的たる事項につき「利害関係を有する場合」には,集会に出席して意見を述べることができる(区分所有法44条1項)。そして,専有部分の賃借人は,管理費の増額により,賃料の増額が生じるという影響を受ける可能性があるが,それは間接的な影響にすぎず,この場合は,「利害関係を有する場合」に該当しない。したがって,当該賃借人は,集会に出席して意見を述べることができる者に該当しない。
2 該当するとは限らない。駐車場の専用使用権者は,「専有部分の占有者」であるとは限らない(マンション標準管理規約(単棟型)15条3項)。したがって,駐車場の専用使用権者は,専有部分の占有者でないときは,集会に出席して意見を述べることができる者に該当しない(区分所有法44条1項)。
3 該当するので正解。ペットの飼育を禁止する規約を定めれば,ペットを飼育している専有部分の賃借人は,直接に不利益を被ることになる。したがって,当該賃借人は,集会に出席して意見を述べることができる者に該当する(44条1項)。
4 該当しない。抵当権者は,目的物を使用することができず,「専有部分の占有者」に該当しない。したがって,抵当権者は,集会に出席して意見を述べることができる者に該当しない(44条1項)。
楽学マンション管理士 p.191「集会」

〔問 9〕 正解 1
1 正しく正解。建物の価格の 1
2 を超える部分が滅失したため,滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた場合,その決議の日から2週間を経過したときは,決議賛成者以外の区分所有者は,決議賛成者の全部または一部に対し,建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる(区分所有法61条7項)。
2 誤り。決議賛成者以外の区分所有者であるCが,決議賛成者であるAに対して買取請求権を行使した場合でも,決議賛成者以外の区分所有者であるDは,Aに対して買取請求権を行使することができる(61条7項)。
3 誤り。買取請求を受けた決議賛成者は,他の決議賛成者の全部または一部に対し,「決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合(共用部分の持分の割合)に応じて」,当該建物およびその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる(61条7項)。したがって,Aは,Bに対し,Cの建物等の権利の「全部」を買い取るべきことを請求することはできない。
4 誤り。Dから買取請求を受けたBは,他の決議賛成者全員に対し,決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第14条に定める割合(共用部分の持分の割合)に応じて,Dの建物等の権利を時価で買い取るべきことを請求することができる(61条7項)。
楽学マンション管理士 p.216「復旧・建替え」

〔問 10〕 正解 3
1 請求を行うことができない。区分所有法第57条の規定による行為の停止等の請求の対象となる行為は,「建物の保存に有害な行為」と「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」である(区分所有法6条1項)。そして,PTAの集会を開く際に,参加者が階段付近へ数台の自転車を乱雑に置く行為は,「建物の保存に有害な行為」にも「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」にも該当しない。したがって,行為の停止等の請求を行うことができない(6条1項,57条)。
2 請求を行うことができない。床騒音に悩まされているのは,Aのみであるから,当該行為は「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当しない。また,当該行為は,「建物の保存に有害な行為」にも該当しない。したがって,行為の停止等の請求を行うことができない(6条1項,57条)。
3 請求を行うことができるので正解。共用部分であるベランダを温室に改造し,直接大量の土を盛り草花を植え付けてガーデニングを行う行為は,「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当する。したがって,行為の停止等の請求を行うことができる(6条1項,57条)。
4 請求を行うことができない。早朝のシャワー使用による排水の流水音によって悩まされているのは,Cのみであるから,当該行為は「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当しない。また,当該行為は,「建物の保存に有害な行為」にも該当しない。したがって,行為の停止等の請求を行うことができない(6条1項,57条)。
楽学マンション管理士 p.209「義務違反者に対する措置」

〔問 11〕 正解 1
1 誤りで正解。解散した管理組合法人の残余財産は,規約に別段の定めがある場合を除いて,区分所有法第14条に定める割合と同一の割合(共用部分の持分の割合)で,各区分所有者に帰属する(区分所有法56条)。
2 正しい。解散した管理組合法人の残余財産は,規約に別段の定めがある場合を除いて,区分所有法第14条に定める割合と同一の割合(共用部分の持分の割合)で,各区分所有者に帰属する(56条)。そして,共用部分の持分の割合は,規約に別段の定めがない限り,専有部分の床面積の割合によるので(14条1項・4項),本肢の記述は正しい。
3 正しい。集会の決議(55条1項3号)により管理組合法人が解散した場合には,なお区分所有法第3条の団体が存続するから,規約に別段の定めがない限り,残余財産は,当該団体に帰属すると解すべきである(56条)。
4 正しい。建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより,管理組合法人が解散した場合には,区分所有法第3条の団体は存続しないから,規約に別段の定めがない限り,残余財産は,各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する(56条,14条1項・4項)。
楽学マンション管理士 p.203「管理組合法人」

〔問 12〕 正解 4
1 正しい。AとBの区分所有者は,団地内の「土地」を共有しているので,これらの区分所有者を構成員とする団地管理組合が成立する。また,CとDの区分所有者も,団地内の「土地」を共有しているので,これらの区分所有者を構成員とする団地管理組合が成立する(区分所有法65条)。
2 正しい。A~Dの区分所有者は,団地内の「土地(または附属施設)」を共有しているので,これらの区分所有者を構成員とする団地管理組合が成立する(65条)。
3 正しい。甲地をAとBの,乙地をCとDの区分所有者が共有していても,A~Dの区分所有者が,全員で,団地内の土地または附属施設を共有していなければ,A~D全体の団地管理組合は成立しない(65条)。
4 誤りで正解。複数の団地管理組合が重層的に成立することもある。本肢の場合は,①甲地を共有しているAとBの区分所有者を構成員とする団地管理組合,②乙地を共有しているCとDの区分所有者を構成員とする団地管理組合,③駐車場を共有しているA~Dの区分所有者を構成員とする団地管理組合が,重層的に成立する(65条)。
楽学マンション管理士 p.227「団地」

〔問 13〕 正解 2
1 正しい。不在者がその財産管理人を置かなかったときは,利害関係人は,家庭裁判所に対し,不在者の財産管理人の選任を請求することができる(民法25条1項)。
2 誤りで正解。家庭裁判所が選任した不在者の財産管理人は,「①保存行為および②物または権利の性質を変えない範囲内の利用・改良行為」の範囲を超える行為を行うときは,家庭裁判所の許可を得なければならない(28条,103条)。しかし,期限の到来した債務の弁済は,「保存行為」に該当するので,家庭裁判所の許可を得なくても,滞納管理費を支払うことができる。
3 正しい。Bの財産管理人が選任されても,Bが債務者であることに変わりはないから,Aは,Bに対し,滞納管理費を請求することができる。
4 正しい。Bが失踪宣告を受けた場合,Bは,一定の時期に死亡したものとみなされる(31条)。その結果,相続が開始するので(882条),Bの包括承継人(相続人)は,Bの滞納管理費の支払債務を承継することになる(896条)。したがって,Aは,Bの包括承継人に対し,滞納管理費を請求することができる。

〔問 14〕 正解 1
1 正しく正解。AのBに対する瑕疵修補請求権(民法634条1項)は,AB間の請負契約(632条)に基づいて認められるものだから,特約がない限り,AC間の売買契約による301号室の所有権の移転に伴ってCには移転しない。
2 誤り。AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権は「債権」であり,債権者Aは,債務者Bの承諾を得なくても,当該債権を第三者Cに譲渡することができる(466条1項)。
3 誤り。請負人の注文者に対する請負代金債権と,注文者の請負人に対する瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は,同時履行の関係にあるが,相互に現実の履行をなすべき特別の利益はないから,両債権の間で対当額において相殺をすることができる(634条2項,505条1項,最判昭53・9・21)。
4 誤り。仕事の目的物の瑕疵が,注文者の指示によって生じたものである場合でも,請負人がその指示が不適当なことを知りながら注文者にこれを告げなかったときは,請負人は瑕疵担保責任を負う(636条)。
楽学マンション管理士 p.76「各種の契約」

〔問 15〕 正解 3
 失火ノ責任ニ関スル法律(以下「失火責任法」)によれば,民法第709条の規定は失火の場合には適用しないが,失火者に重過失がある場合はこの限りではないとされている。
1 誤り。責任無能力者の監督者の責任(民法714条)においては,失火責任法の規定は監督者の過失の判断に組み込まれる(最判平7・1・24)。したがって,監督者に重過失がなければ,監督者は民法第714条の責任を負わない。
2 誤り。使用者責任(民法715条)においては,失火責任法の規定は被用者の過失の判断に組み込まれる。したがって,被用者に重過失があることは必要であるが,使用者に重過失があることは必要でない(最判昭42・6・30)。
3 正しく正解。Aから賃借している者とBとの間には契約関係がないので,Bの損害賠償請求の根拠は不法行為責任である。ここでは失火責任法が適用され,賃借人に軽過失しかない本肢では,Bは損害賠償を請求することができない。これに対し,Aと賃借人とは契約関係にあるので,Aは債務不履行責任を追及することができる。そして,失火責任法は不法行為責任に関する規定であるから,債務不履行責任には適用されない(最判昭30・3・25)。したがって,賃借人に軽過失しかない本肢でも,Aは損害賠償を請求することができる。
4 誤り。Bの損害賠償請求の根拠は不法行為責任であり,失火責任法が適用される。したがって,Bは,失火者Aに重過失があれば,Aに対し損害賠償を請求することができる。
楽学マンション管理士 p.118「不法行為」

〔問 16〕 正解 1
 民事上の不法行為である名誉毀損は,①その行為が公共の利害に関する事実に係る,②もっぱら公益を図る目的に出たという要件と,③摘示された事実が真実であるか,または④その行為者においてその事実を真実と信ずるについて相当の理由があるという要件が立証されれば成立しない(最判昭41・6・23)。したがって,Aが①と②と③または①と②と④を立証すれば,名誉毀損は成立しない。
ア 配付した行為が社会全体の利益に係るものであることは,①にあたる。
イ 配付の目的がもっぱら修繕積立金の適正な管理を図るためであることは,②にあたる。
ウ 事実が真実であると信じるについて相当の理由があることは,④にあたる。
エ 文書の配付によらなければBの行為を阻止できないことは,①~④のどれにもあたらない。
 以上により,Aが立証すれば名誉毀損が成立しないものとされる組合せはアとイとウであるから,1が正解。

〔問 17〕 正解 2
1 誤り。可分債務は,当然に各相続人の相続分に応じて分割される(最判昭29・4・8)。配偶者と子が相続人の場合,配偶者の相続分が 1/2,子の相続分が 1/2 であり,子が複数のときは,その相続分は原則として等しい(民法900条1号・4号)。したがって,妻Cは10万円,子D・Eはそれぞれ5万円の債務を相続するので,Bは,その額しか請求することができない。
2 正しく正解。C・D・Eは上記の額の債務を負うので,それをCが負担するとの合意は免責的債務引受けにあたる。免責的債務引受けには債権者の同意が必要なので,Bの同意がない本問では,Bは,Cに10万円,D・Eにそれぞれ5万円を請求することができる。
3 誤り。上記のとおり,可分債務は当然に各相続人の相続分に応じて分割される。本肢の合意は,各相続人が相続した債務をそのまま負うという内容であるから,対外的にも有効である。したがって,Bは,Cに10万円,D・Eにそれぞれ5万円しか請求することができない。
4 誤り。債権の消滅時効は,権利を行使することができる時から進行する(166条1項)。すなわち,期限の定めがある場合は期限到来の時から,期限の定めがない場合は債権成立の時から進行する。
楽学マンション管理士 p.128「相続分」,p.49「消滅時効」

〔問 18〕 正解 4
1 誤り。一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には,敷地権の目的である土地の符号,所在および地番,地目,地積,敷地権に係る登記の年月日等が記載される(不動産登記規則4条3項,118条,別表三)。
2 誤り。区分所有建物の表題部の敷地権の表示には,敷地権の目的である土地の符号,敷地権の種類,敷地権の割合,敷地権の登記原因及びその日付等が記載される(同規則4条3項,118条,別表三)。
3 誤り。敷地権とは,建物の区分所有等に関する法律2条6項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る)であって,同法第22条第1項本文の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないものをいう(不動産登記法44条1項9号)。敷地権には,所有権,地上権のほか,賃借権が含まれる。
4 正しく正解。登記官は,敷地権の表示をしたときは,当該敷地権の目的である土地の登記記録について,職権で,敷地権である旨の登記をしなければならない(46条)。
楽学マンション管理士 p.271「敷地権の登記」





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不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 解答と解説その2

2008-02-03 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


マンション管理士試験
平成19年度 解答と解説その2
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光


〔問 19〕 正解 2
1 誤り。施行者は,権利変換期日において,権利変換計画の定めるところに従い,保留敷地の所有権または借地権を取得する(マンションの建替えの円滑化等に関する法律70条3項)。
2 正しく正解。施行者は,権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは,施行マンションまたはその敷地を占有している者に対し,期限を定めて,その明渡しを求めることができる(80条1項)。
3 誤り。施行マンションの区分所有権等の上に存する登記された担保権等については,権利変換計画において,その権利の目的たる施行マンションの区分所有権または敷地利用権に対応して与えられるものとして定められた施行再建マンションの区分所有権または敷地利用権の上に存するものとして定められることになる(61条1項)。
4 誤り。施行者は,権利変換期日までに,補償金を支払わなければならない(75条)
楽学マンション管理士 p.244「マンション建替え円滑化法」

〔問 20〕 正解 1
1 誤りで正解。昇降機等の建築設備で特定行政庁が指定するものの所有者(所有者と管理者が異なる場合は,管理者)は,当該建築設備について,おおむね6カ月から1年までの間隔をおいて特定行政庁が定める時期に,一級建築士,二級建築士または国土交通大臣が定める資格を有する者に検査をさせて,その結果を特定行政庁に報告しなければならない(建築基準法12条3項,同施行規則6条1項)。問題文中の「おおむね2年ごとに」が誤りである。
2 正しい。特定行政庁は,昇降機の定期検査報告概要書について,閲覧の請求があった場合には,閲覧させなければならない(建築基準法93条の2,同施行規則11条の4第1項)。閲覧させても,所有者等の権利利益を不当に侵害するおそれがないものとされているからである。
3 正しい。特定行政庁は,昇降機の定期検査をした一級建築士,二級建築士または国土交通大臣が定める資格を有する者に対して,当該昇降機の状況に関する報告を求めることができる(建築基準法12条5項2号)。
4 正しい。建築主事は,使用制限その他の保安上必要な措置をとることを勧告するなどのために,必要な限度において,建築物内に立ち入り,昇降機等の建築設備を検査することができる(建築物の所有者等に対し必要な事項について質問することもできる)(建築基準法12条6項)。
楽学マンション管理士 p.541「昇降機設備・運行管理」

〔問 21〕 正解 3
1 耐火建築物としなければならない。防火地域内で耐火建築物としなければならないのは,階数3以上,または,延べ面積が100㎡超の建築物である。本肢の建築物は,延べ面積が400㎡なので,耐火建築物としなければならない(建築基準法61条1項)。
2 耐火建築物としなければならない。準防火地域内で,地階を除く階数が4以上または延べ面積が1,500㎡超の建築物は耐火建築物としなければならない。本肢の建築物は,延べ面積が1,800㎡なので,耐火建築物としなければならない(62条1項)。
3 耐火建築物としなくてもよいので正解。準防火地域内で,地階を除く階数3の建築物は,延べ面積が500㎡以下の場合は,耐火建築物,準耐火建築物または防火上必要な政令で定める技術的基準に適合する建築物に,延べ面積が500㎡超1,500㎡以下の場合は耐火建築物または準耐火建築物に,延べ面積が1,500㎡超の場合は耐火建築物にしなければならない(62条1項)。本肢の建築物は,階数3で延べ面積が900㎡なので,耐火建築物か準耐火建築物のどちらかにすればよい。なお,建築基準法第27条第1項により,3階建ての共同住宅は原則として耐火建築物としなければならないが,準防火地域内では,3階建ての共同住宅のうち一定の技術的基準を満たしているものについては,耐火建築物とすることを要しないとされ,準耐火建築物にすることができる(27条1項ただし書,同施行令115条の2の2)。
4 耐火建築物としなければならない。3階以上が共同住宅の用に供されている建築物は耐火建築物としなければならない(建築基準法27条1項1号,別表第一(2)項)。この規定は単体規定で,防火地域または準防火地域での耐火建築物の規定とは異なる。例外規定はあるが(27条1項ただし書,同施行令115条の2の2),本肢の階数4,延べ面積1,200㎡では例外規定には該当しないので,耐火建築物としなければならない。
楽学マンション管理士 p.327「防火地域・準防火地域内の制限」

〔問 22〕 正解 4
1 定めるものとされていない。高度地区では,建築物の高さの最高限度または最低限度(準都市計画区域内では,建築物の高さの最高限度)を都市計画で定める(都市計画法8条3項2号ト)。
2 定めるものとされていない。高層住居誘導地区では,建築物の容積率,建築物の建ぺい率の最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る)および建築物の敷地面積の最低限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る)を都市計画で定める(8条3項2号へ)。
3 定めるものとされていない。特例容積率適用地区では,当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に,「建築物の高さの最高限度」を都市計画で定める(8条3項2号ホ)。
4 定めるものとされているので正解。高度利用地区では,建築物の容積率の最高限度および最低限度,建築物の建ぺい率の最高限度,建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を都市計画で定める(8条3項2号チ)。
楽学マンション管理士 p.317「その他の地域地区」

〔問 23〕 正解 4
1 正しい。警備業者は,警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは,当該契約を締結するまでに,当該契約の概要について記載した内閣府令で定める書面をその者に交付しなければならない(警備業法19条1項,内閣府令33条)。
2 正しい。警備業者は,警備業務を行う契約を締結したときは,遅滞なく,内閣府令で定める一定事項について,当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない(警備業法19条2項,内閣府令34条)。
3 正しい。警備業者は,常に,その行う警備業務について,依頼者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない(警備業法20条)。
4 誤りで正解。警備業を営もうとする者は,警備業を営んではならないものとして警備業法第3条に定める事項のいずれにも該当しないことについて,都道府県公安委員会の認定を受けなければならない(警備業法4条)。都道府県知事の認定を受けるのではない。
楽学マンション管理士 p.343「警備業法」

〔問 24〕 正解 2
1 正しい。高層建築物や共同住宅などの政令で定める防火対象物(消防法施行令4条の3第1項,別表第一(5)ロ)において使用する防炎対象物品(どん帳,カーテン,展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるもの)は,政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない(消防法8条の3第1項,同施行令4条の3第3項)。
2 誤りで正解。寝具は政令で定める防炎対象物品(消防法8条の3第1項,同施行令4条の3第3項)ではないので,本肢は誤りである。
3 正しい。防炎対象物品またはその材料で政令で定める基準以上の防炎性能を有するものについては,その旨の表示を附することができる(消防法8条の3第2項)。
4 正しい。防火対象物の関係者は,当該防火対象物で使用する防炎対象物品やその材料に政令で定める基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは,その旨を明らかにしておかなければならない(消防法8条の3第5項)。

〔問 25〕 正解 3
1 適切でない。組合員は,総会に出席しないで,総会の招集者に書面を提出することにより,議決権を行使することができるが(マンション標準管理規約46条4項),議決権の行使をする書面は議案についての賛否を記載したものであることが必要である(マンション標準管理規約コメント46条関係④)。したがって,議決権行使書に署名捺印のみされていて各議案について賛否の記載がない場合は,賛成票,反対票のどちらにもすることはできない。
2 適切でない。各組合員の議決権割合は住戸ごとに定められているが(マンション標準管理規約46条1項,別表第5),複数の住戸を所有する組合員は,その所有する各住戸分の議決権割合の合計を議決権割合として,議決権を行使する。複数の住戸を所有する組合員が住戸によって賛成と反対を振り分けることはできない。
3 適切であり正解。組合員は,代理人を総会に出席させて,議決権を行使することができるが,代理人は,①その組合員本人と同居する者,②その組合員の住戸を借り受けた者(賃借人等),③他の組合員,④他の組合員と同居する者,のいずれかでなくてはならない(マンション標準管理規約46条5項)。したがって,隣接組合員の住戸の賃借人は代理人になることができない。隣接組合員の住戸の賃借人が代理人として出席しても,その者を出席者として数えることはできないので,本肢は適切なものとして正解肢になる。
4 適切でない。組合員が書面により議決権を行使する場合に,記名押印されており,各議案に対する賛否が記載されていれば,総会の招集者に提出する書面は,総会の召集通知に添付されていた委任状および議決権行使書でなくてもよい。したがって,総会の召集通知に添付されていた委任状および議決権行使書を使用しなかったからといって,すべての議案に反対する旨が記載されている書面を無効票とするのは適切ではない。
楽学マンション管理士 p.237「単棟型の標準管理規約」,p.705「マンション標準管理規約第45条(出席資格),第46条(議決権)」

〔問 26〕 正解 1
1 適切であり正解。区分所有法および規約に定める事項以外の管理者の権利義務については,民法等の委任に関する規定に従う(区分所有法28条)。委任は各当事者がいつでもその解除をすることができるので(民法651条1項),管理組合の理事長が辞任するにあたって,ほかの理事の承認は必要ではない。
2 適切でない。任期満了または辞任により退任する役員は後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う(マンション標準管理規約36条3項)が,解任された場合にはこの規定は適用されない。解任された者に引き続き職務を行わせるのは妥当ではないからである。
3 適切でない。組合員の資格は,区分所有者となったときに取得し,区分所有者でなくなったときに喪失する(30条)。また,役員が組合員でなくなった場合はその地位を失う(36条4項)。本肢では売却により区分所有者でなくなっているので,次の理事長が選任されるまでの間理事長にとどまることはできない。
4 適切でない。役員が組合員でなくなった場合はその地位を失う(36条4項)。本肢では配偶者への贈与により区分所有者でなくなった時点で,理事長の地位を失っている。
楽学マンション管理士 p.700「マンション標準管理規約第36条(役員の任期)」

〔問 27〕 正解 3
1 適切である。組合員が代理人によって議決権を行使するときは,代理人は代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない(マンション標準管理規約46条6項)。この書面は一般には委任状であり,委任状には委任の相手方や委任の内容が記載されていることが望ましいが(マンション標準管理規約46条関係コメント④),本肢のように白紙委任状の場合,それを理事長への有効な委任状として取り扱うことは許されている。
2 適切である。マンション標準管理規約は,総会の会議の目的が規約の変更や建替え決議などの特別決議を要する場合は,その議案の要領をも通知しなければならないとしている(マンション標準管理規約43条4項)。これは,特別決議事項について議案要領の通知を義務づけたもので,普通決議事項について議案の要領の通知を禁じたものではない。したがって,普通決議事項であっても,議案の要領を通知することは差し支えない。
3 適切でなく正解。電磁的方法による議決権行使は,書面による議決権行使のほかに付加的に認められるものである。電磁的方法による議決権行使を認めたからといって,書面による議決権行使の制度自体をやめてしまうことはできない。必ずしもすべての区分所有者が電磁的方法を利用できるとは限らないからである。
4 適切である。マンション標準管理規約は,電磁的方法による議決権行使の具体例として,電子メールの送信,ウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用などの方法をあげている(マンション標準管理規約44条関係コメント①)。
楽学マンション管理士 p.706「マンション標準管理規約第46条(議決権)」

〔問 28〕 正解 4
1 総会に諮る必要はない。玄関等に防犯カメラを設置すべきであるという意見は,当該総会の議題ではなく,このような意見を議長は取り上げる必要はない。
2 総会に諮る必要はない。修繕積立金の値上げに関しては総会決議が必要であるが(マンション標準管理規約48条3号),当該総会ではそれは議題となっていない。したがって,議長はこの意見を取り上げる必要はない。
3 総会に諮る必要はない。スロープの併設と手すりの設置によってもマンションの形状が著しく変更されるものではないから,特別多数決議は必要でない(47条3項2号)。したがって,議長はこの意見を取り上げる必要はない。
4 総会に諮る必要があり正解。手すりの設置箇所を半分に減らすべきという意見は,当該総会の議題ウに関するものであり,議長はこの意見を取り上げて総会に諮らなければならない。
楽学マンション管理士 p.707「マンション標準管理規約第47条(総会の会議及び議事)」

〔問 29〕 正解 2
1 適切である。組合員が,マンション標準管理規約第44条の規定に基づき,臨時総会の招集を請求したにもかかわらず,理事長が応じないときは,その者が臨時総会を招集することができる(マンション標準管理規約44条1項・2項)。そして役員の解任は総会決議事項であるから(48条13号),臨時総会において理事長の解任の決議を行うことができる。
2 適切でなく正解。理事会は,理事会決議により理事長の職を解任することはできる(35条3項)。しかし,理事としての資格を失わせるためには,総会の決議が必要である(48条13号)。本肢は,理事会決議で理事としての資格も失わせるとしている点で適切でない。
3 適切である。監事は,管理組合の業務の執行および財産の状況について不正があると認めるときは,臨時総会を招集することができる(41条2項)。そしてその総会で,管理組合の業務の執行および財産の状況の監査結果につき,報告しなければならない(41条1項)。また,役員の解任は総会の決議事項であるから(48条13号),総会で理事長の解任の方法について検討することもできる。
4 適切である。管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは,各区分所有者は,その解任を裁判所に請求することができる(区分所有法25条2項)。したがって,一人の区分所有者が,裁判所に対し,理事長に不正な行為があるとしてその解任を請求することは認められる。
楽学マンション管理士 p.710「マンション標準管理規約第48条(議決事項)」,p.204「理事」

〔問 30〕 正解 1
1 総会決議が必要であり正解。理事会は,専門委員会を設置し,特定事項の調査をさせることができる(マンション標準管理規約55条1項)。この場合,理事会活動に認められている必要経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合は,専門委員会の設置に総会の決議が必要となる(マンション標準管理規約第55条関係コメント①)。
2 総会決議は不要。区分所有者から提出された専有部分修繕等工事申請書(マンション標準管理規約17条)を審査して承認するかどうかは,理事会の権限である(54条5号)。したがって,理事会は,総会の決議を経ないでも,専有部分修繕等工事申請書の審査を行う専門委員会を設置できる(55条1項)。
3 総会決議は不要。規約に違反している区分所有者等に対する勧告または指示等を行うことは理事会の権限である(54条6号)。したがって,理事会は,総会の決議を経ないでも,その勧告または指示等を行うための調査をさせるために専門委員会を設置することができる(55条1項)。
4 総会決議は不要。専門委員会には,必要に応じ検討対象に関する専門知識を有する者(組合員以外も含む)の参加を求めることもできる(マンション標準管理規約55条関係コメント②)。したがって,理事会は,総会の決議を経ないで,組合員以外の第三者を参加させて専門委員会を設置することができる(マンション標準管理規約55条1項)。
楽学マンション管理士 p.715「マンション標準管理規約第55条(専門委員会の設置)」

〔問 31〕 正解 4
1 適切である。使用細則の制定は総会の決議事項であり(マンション標準管理規約48条4号),楽器の演奏時間等を制限する使用細則を制定することができる。
2 適切である。区分所有者の同居人が共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは,理事長は,理事会の決議を経てその者に対して是正等のために必要な警告を行うことができる(67条1項)。したがって,理事長が,理事会の決議を経て,Bに対し,周囲に迷惑をかけないよう音量,演奏時間等に配慮するよう警告することは適切である。
3 適切である。区分所有者は,その同居人が共同生活の秩序を乱す行為を行ったときは,その是正等のため必要な措置を講じなければならない(67条2項)。したがって,理事長が,理事会の決議を経て,Aに対し,周囲に迷惑をかけないよう防音の措置を講ずるよう勧告することは適切である(67条1項)。
4 適切でなく正解。理事長は,理事会の決議を経て,Bに対し,当該行為の差止めの訴訟を提起することができる(67条3項1号)。本肢は,監事が当該行為の差止めの訴訟を提起するとしている点で適切でない。
楽学マンション管理士 p.719「マンション標準管理規約第67条(理事長の勧告及び指示等)」

〔問 32〕 正解 1
1 適切で正解。理事長は,組合員から理由を付した書面による請求があった場合は,組合員名簿を閲覧させなければならない(マンション標準管理規約64条)。したがって,組合員から組合員名簿の閲覧請求があった場合,理事長が理由を付した書面を求める対応は適切である。
2 適切でない。理事長は総会議事録を保管し,組合員または利害関係人の書面による請求があったときは,議事録の閲覧をさせなければならない(49条3項)。そして,この利害関係人には,組合員の専有部分に対する担保権者が含まれる(マンション標準管理規約49条関係コメント①)。したがって,本肢の場合,総会議事録を閲覧させる必要がある。
3 適切でない。区分所有者または利害関係人の書面による請求があったときは,理事長は規約の内容を記載した書面の閲覧をさせなければならない(マンション標準管理規約72条4項)。閲覧の請求は書面によればいいのであって,理由を付した書面による必要はない。したがって,組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者から現に有効な規約の内容を記載した書面の閲覧を請求された場合,理事長が理由を付した書面を求めるという対応は適切でない。
4 適切でない。理事会の議事録については,総会の議事録の規定が準用されているので(53条2項),理事長は理事会の議事録を保管し,組合員または利害関係人の書面による請求があったときは,議事録の閲覧をさせなければならない(49条3項)。そして,この利害関係人には,組合員の専有部分の賃借人が含まれる(マンション標準管理規約49条関係コメント①)。
  したがって,本肢の場合,理事会の議事録を閲覧させる必要がある。
楽学マンション管理士 p.718「マンション標準管理規約第64条(帳票類の作成,保管),第49条(議事録の作成,保管等)」

〔問 33〕 正解 3
1 適切である。複合用途型のマンション標準管理規約においては,一部共用部分も含めて全体を管理組合が一元的に管理することとされている(全般関係コメント⑤)。
2 適切である。全体共用部分は区分所有者全員の,住宅一部共用部分は住戸部分の区分所有者のみの,店舗一部共用部分は店舗部分の区分所有者のみの共有とされる(9条)。そしてこれを前提として,それぞれの共有持分が定められる(10条,別表第3)。
3 適切でなく正解。店舗の前面の敷地については,当該店舗の区分所有者に専用使用権を設定できる(14条1項,別表第4)。しかし,その使用料については,その管理に要する費用に充てるほか,全体修繕積立金として積み立てることとされている(33条)。本肢は店舗一部修繕積立金として積み立てるとしており,その点が適切でない。
4 適切である。マンション標準管理規約(複合用途型)によれば,管理組合に,住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会および店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を置くとされる(60条1項)。したがって,本肢の説明は適切である。

〔問 34〕 正解 3
1 適切でない。資金の範囲には現金預金のみならず,未収金も含まれているので,収支報告書には管理費収入として計上されており,(仕訳:借方 未収金 / 貸方 管理費収入),管理費収入の反対勘定が貸借対照表に現金・預金として計上されようと,未収金として計上されようと管理費収入の当初予算からの差異はなく,未収金だから管理費収入の当初予算を下回るとするのは誤り。
2 適切でない。管理費の前受金が前期に比べて増加しても,収支報告書には反映しない(仕訳:借方 現金預金 / 貸方 前受金 となり,貸借対照表での計上のみで収支計算書への計上はない)ので収支報告書での当期収支差額への影響もない。したがって,当期収支差額の減少要因となるというのは誤り。
3 適切で正解。前期繰越収支差額に収支報告書上の当期収支差額を加減したものが次期繰越収支差額となる。したがって当期収支差額がマイナスになった場合には,次期繰越収支差額は前期繰越収支差額より当然減少することとなり,適切で正しい。
4 適切でない。5年満期積立型の損害保険料の一括払いについては,まず,危険保険料部分と積立保険料部分(満期返戻金部分)に分け,危険保険料部分中,当期の危険保険料が当期収支報告書の損害保険料,次期以降の保険部分が貸借対照表の前払保険料となり,積立保険料部分が,貸借対照表の保険積立金として計上される。当期の危険保険料部分は,収支報告書に計上されるので,収支報告書に記載されないとするのは誤り。
楽学マンション管理士 p.409「決算」






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不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 解答と解説その3

2008-02-03 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


マンション管理士試験
平成19年度 解答と解説その3
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光




〔問 35〕 正解 4
 アおよびイの取引について,決算修正の収支報告書および貸借対照表への影響を尋ねていることから,取引を仕訳に直してみる。
ア 平成19年3月決算前の時点
 借方 修繕費 100,000円(収支報告書:支出の部) / 貸方 未払金 100,000円(貸借対照表:負債の部)
 決算作成時
 平成19年4月実施ということが判明したため決算修正により,取引をなかったこととする(貸方 借方を逆にする)修正仕訳をおこす。
 借方 未払金 100,000円(貸借対照表:負債の部ただし減少) / 貸方 修繕費 100,000円(収支報告書:支出の部ただし減少)
イ 平成19年3月決算より前の時点で前期(平成18年3月31日時点)から計上済
 借方 前払金 100,000円(貸借対照表:資産の部) / 現金・預金等 100,000円(貸借対照表:資産の部ただし減少)
 決算作成時
 平成18年4月にすでに実施されているが,前払金のままであることが判明したため,前払金を減少させて,同額の修繕費を計上する修正仕訳をおこす。
 借方 修繕費 100,000円(収支報告書:支出の部)/ 貸方 前払金 100,000円(貸借対照表:資産の部ただし減少)
 この仕訳を前提に選択肢1~4を検討すると,
1 適切である。アおよびイの修正仕訳で収支報告書の修繕費は借方・貸方に同額計上され,プラスマイナスの増減はなく正しい。
2 適切である。アの修正仕訳により,貸借対照表の負債の部の未払金は100,000円減少しており,正しい。
3 適切である。イの修正仕訳により,貸借対照表の資産の部の前払金は100,000円減少しており,正しい。
4 適切でなく正解。収支報告書への計上はアとイの修正仕訳を通じて修繕費のみであり,それも貸方借方同額計上で増減はないことから,当期収支差額が200,000円増加するとするのは誤り。
楽学マンション管理士 p.409「決算」

〔問 36〕 正解 4
1 適切である。長期修繕計画の計画期間は,25年程度(新築時は30年程度)とされており(マンション標準管理規約(単棟型)コメント32条関係②(1),マンション管理標準指針4(2)1①),見直し時期は5年程度ごとに行うこととされている(同規約コメント32条関係②(3),同指針4(2)2)が,大規模修繕工事の実施予定が近くなってきた段階で,専門家を選定して,建物・設備の劣化の度合いを大まかに把握するため,予備調査・診断に着手することになる。
2 適切である。建物や設備の現状を把握するため,予備調査の一環として全戸アンケート調査により居住者から不具合や修繕要望を出してもらったり,設計図書や過去の修繕等の履歴の調査,現地の目視調査を行う。
3 適切である。予備調査・診断において,判断がつかないような場合には,さらに詳細な調査・診断へとステップを踏んで進め,劣化の要因を推定し,修繕や改修の要否の判断を行う。
4 適切でなく正解。修繕計画書には,工事の項目,工事の内容,工事のスケジュール,概算費用,課題等を記載するのであって,修繕工事の詳細な仕様・工法,修繕工事費の積算価額等を算出するのは「修繕設計」において行う。
楽学マンション管理士 p.560「大規模修繕」

〔問 37〕 正解 1
1 適切でなく正解。アルカリ骨材反応は,コンクリートに含まれるアルカリ分が,骨材(砂利や砂)の特定成分と反応し,異常膨張を起こし,コンクリートにひび割れを生じさせる劣化現象である。一方,エフロレッセンス(白華現象)は,硬化したコンクリートの表面に出た白色の物質をいい,セメントの中の石灰等が水に溶けて表面に染み出し,空気中の炭酸ガスと化合してできたものが主成分である。したがって,この組合せは適切でない。
2 適切である。ポップアウトは,コンクリート内部の部分的な膨張によって,コンクリート表面の小部分が円錐形のくぼみ状に破壊された状態をいうので,この組合せは適切である。
3 適切である。ひび割れは,コンクリートの乾燥収縮(コンクリートは硬化するときに収縮し,弱い部分にひび割れが発生する)などにより,コンクリートに許容される以上の変形や応力が作用して生じるコンクリートの部分的破壊現象といえるので,この組合せは適切である。
4 適切である。剥落は,浮いていたコンクリートが,躯体から剥がれ落ちた状態をいい,鉄筋の露出を伴うものと,伴わないものとがあるといわれているので,この組合せは適切である。
楽学マンション管理士 p.550「建物の診断」

〔問 38〕 正解 3
1 適切である。住生活基本計画(全国計画)が平成18年9月に閣議決定され,「計画期間が25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金を設定している分譲マンション管理組合の割合」を平成15年度の20%から平成27年度に50%とする指標が設定されている。
2 適切である。それぞれのマンションごとに,仕様や修繕履歴等を踏まえ調査・診断の結果に基づいて,独自の修繕周期を定める必要があるが,マンションの標準的な長期修繕計画においては,鉄部の塗装工事の修繕周期について,雨掛り部分は4年,非雨掛り部分は6年とされている。
3 適切でなく正解。修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については,修繕工事の一環としての経費であることから,原則として修繕積立金から取り崩すことになる(マンション標準管理規約(単棟型)コメント32条関係④ただし書)。管理費から充当するのではない。
4 適切である。長期修繕計画の見直しについては「5年程度ごとに見直しを行っている。」のを標準的な対応としている(マンション管理標準指針4(2)2)。そして,見直しの時期は,大規模修繕工事の実施時期により,大規模修繕工事の前に,その大規模修繕工事の基本計画の作成と併せて行う(見直し時期の前倒し)こともあるし,大規模修繕工事の終了後にその結果を踏まえて行う(見直し時期の先送り)こともある(マンション管理標準指針コメント4(2)2)。
楽学マンション管理士 p.544「長期修繕計画」

〔問 39〕 正解 2
1 適切である。溶融温度が低いタイプの防水工事用のアスファルトを用いることにより,マンションの大規模修繕工事を施工する際に,工事中の煙や臭いの発生を少なくすることができる。
2 適切でなく正解。音の大きさのレベルはデシベル(dB)で表し,騒音の大きさも,騒音レベルという騒音計の測定値により,デシベル(dB)で表す。日本建築学会推奨基準(室内騒音評価)によれば,集合住宅の居間や寝室の標準的な騒音レベルを40デシベル(dB)相当としている。したがって,本肢の記述は,適切ではない。
3 適切である。外壁塗装仕上げの修繕周期は12年周期で補修を行い,36年目(3回目)は,塗装仕上げを全面撤去の上,下地の劣化・損傷箇所の補修等の調整をし,塗り替える。
4 適切である。窓のアルミサッシの交換工事には,大別すると,かぶせ工法(旧枠を利用して取り替える)と撤去工法(旧枠を除去して取り替える)がある。かぶせ工法は,撤去工法に比べると交換工事がシンプルで工期が短いという特色がある。
楽学マンション管理士 p.560「大規模修繕」

〔問 40〕 正解 1
 耐震性能の不足の要因としては,①耐力の不足,②じん性の不足,③剛性のバランス不良,④材料の劣化・不良などがあり,このような耐震性能の弱点を補強する耐震補強の方法として,建築物の耐力の増大(建物の耐震性能のうち強度を高くして,地震エネルギーを吸収させる方法で,水平耐力そのものが低い建物,大きな水平変形を生じさせてはいけない建築物などに用いられる)……例として,a.耐震壁の増設,b.鉄骨のブレース(斜め材)の設置,c.壁の厚さの増大,柱・梁のじん性(ねばり強さ)の向上(建物の耐震性能のうちじん性を高め,強度をあまり落とすことなく水平変形能力を高め,地震エネルギーを吸収させる方法)……例として,a.柱や梁に鋼板や炭素繊維シートなどを巻くこと,b.柱に帯筋や溶接金網を巻きコンクリートを打設すること,免震装置または制震装置の設置などがある。
 以上により,選択肢2,選択肢3,選択肢4の組合せは適切である。
 選択肢1の外付け鉄骨フレームによる柱・梁の補強を行っても,梁の上下空間に履歴ダンパーを組み込まなければ地震力の低減に効果がないので,適切な組合せではなく,1が正解。

〔問 41〕 正解 3
1 適切である。平成18年8月21日基発第0821002号によれば,「平成18年9月1日から,法令に基づく規制の対象となる物の石綿の含有率(重量比)が1%から0.1%に改められることから,同日後は,石綿等がその重量の0.1%を超えて含有するか否かについて分析を行う必要がある。」としており,平成18年9月1日以降石綿および石綿を含有する建築材料の製造等は禁止されている。
2 適切である。石綿(アスベスト)は,天然の鉱物繊維であり,6種類に分類することができるが,建材などに使用されているのは,主にクリソタイル(白石綿),クロシドライト(青石綿)およびアモサイト(茶石綿)の3種類である。
3 適切でなく正解。吹付け石綿および石綿含有吹付けロックウールについては,増改築,大規模な修繕・模様替え時には,当該部分は除去,当該部分以外については以下のように石綿等の措置を行うことが義務付けられている。増改築部分の床面積が増改築前の 1
2 超のときは,除去。増改築部分の床面積が増改築前の 1
2 以下のときは,除去,封じ込めまたは囲い込み。大規模な修繕・模様替え時は,大規模修繕・模様替え部分以外の部分では,除去,封じ込めまたは囲い込み。
4 適切である。平成18年10月1日国土交通省「建築基準法による石綿規制の概要」で,大規模修繕時には,大規模修繕部分以外の部分について,吹付け石綿について除去以外にも封じ込めや囲い込みの措置を許容することとされている。

〔問 42〕 正解 2
1 適切である。平成18年経済産業省・国土交通省告示第3号「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」(以下「基準」という)によれば,特定建築物の所有者は,「外壁,屋根,床,窓及び開口部の清掃,補修等により,これらの断熱性の維持保全をすること」に配慮して,住宅の外壁および窓等を通じての熱の損失の防止を図らなければならないとしている。
2 適切でなく正解。受変電設備の制御システムの点検等により,採用した制御システムのエネルギーの利用効率を維持することに配慮せよ,との内容は「基準」にはない。
3 適切である。「基準」によれば,特定建築物の所有者は,熱源システムの点検等により,採用した熱源システムのエネルギーの利用効率を維持することに配慮して,空気調和設備に係るエネルギーの効率的利用を図らなければならないとしている。
4 適切である。「基準」によれば,特定建築物の所有者は,駆動装置の点検等により,採用した駆動装置のエネルギーの利用効率を維持することに配慮して,昇降機に係るエネルギーの効率的利用を図らなければならないとしている。

〔問 43〕 正解 2
1 適切である。これまで,アナログ方式であった地上テレビ放送は,平成23年には,地上デジタルテレビ放送に移行する。地上デジタル放送は,UHF帯域で放送されるため,受信にはUHF対応のアンテナが必要となる。
2 適切でなく正解。ガス管の材料は,以前は「白ガス管」と呼ばれる亜鉛めっき鋼管が主流であったが,現在は,埋設部に白ガス管を新設することは禁止されている。
3 適切である。初期微動(P波)感知型地震時管制運転装置とは,エレベーターの機械室や昇降路内の最下部などに初期微動感知器を設置し,地震の初期微動を感知すると,最寄り階まで自動的にエレベーターを移動運転させて戸を開き,強く揺れる前に利用者を安全に退避させるものをいう。
4 適切である。人感センサーとは,人が近づくと反応するセンサーであり,夜間弱点灯しているところに人が入ってくると強点灯する。照度センサーは,光に反応し,日中は明るいので,電灯を消し,日没になって暗くなると電灯を点灯させる仕組みである。人感センサーと照度センサーの組合せにより省エネルギー対策となる。
楽学マンション管理士 p.536「昇降機設備」

〔問 44〕 正解 4
1 適切である。火災の種類には,普通火災(A火災),油火災(B火災),電気火災(C火災)とあり,これら3つの火災に有効に対応できる消火器をABC消火器という。
2 適切である。屋内消火栓設備は,居住者による初期消火に使用されるもので,2号消火栓は,1号消火栓に比べて,操作が容易で,1人でも操作することができる。
3 適切である。連結送水管は,送水口,配管,放水口等から構成されており,消防ポンプ自動車のホースを送水口に接続して送水し,消防隊が建物内の放水口に放水用器具を接続して消火活動を行う。
 
4 適切でなく正解。消防用設備等は,消防設備士等の資格者により,機器点検や総合点検が行われ,その都度,消防長または消防署長に報告しなければならない。なお,消火器具や誘導灯等は機器点検を6カ月に1回行い,総合点検は行われない。配線は1年に1回総合点検が行われ,機器点検は行われない。屋内消火栓等は,6カ月に1回の機器点検および1年に1回の総合点検が行われる。
楽学マンション管理士 p.524「消防設備」

〔問 45〕 正解 4
1 適切である。マンションの受水槽の容量は,マンション全体での1日使用量の2分の1程度,高置水槽は10分の1程度で設定されており,1住戸の1日使用量平均は1●程度とされている。
2 適切である。特殊継ぎ手方式による伸頂通気方式とは,立て管継ぎ手部や立て管脚部に特殊な継ぎ手を用い,立て管内部の排水を旋回させ,管の中心に通気を確保する機能を持つもので,主に高層マンションや超高層マンションに採用されている。
3 適切である。増圧直結給水方式は,水道本管からの水を増圧給水ポンプで直接各住戸に給水する方式である。受水槽や高置水槽がなく,省スペース,設備コストの低減が図られる。この方式は,中規模の中高層マンションに採用される。
4 適切でなく正解。単相2線方式では200Ⅴを引き込むことはできない。単相3線式であれば200Ⅴを引き込むことができる。
楽学マンション管理士 p.459「建築設備」

〔問 46〕 正解 2
 選択肢を見れば分かるとおり,空欄Aには,アまたはキが入る。どちらが入っても文章としてはおかしくないので,覚えていないと断定はできないであろう。実際には,キの「最高自治規範」が入るが,覚えていなかった場合は,判断を保留して次の空欄を検討すべきである。
 空欄Bには,エの「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」またはオの「建物の区分所有等に関する法律」が入るが,管理規約のベースになる法律としては,区分所有法を挙げるほうが適切である。マンション管理適正化法は,マンションの管理のルールそのものを定める法律ではないからである。したがって,空欄Bには,オが入る。
 空欄Cには,ウの「必要に応じ」またはクの「5年ごとに」が入る。ここに入る文言は,規約の改正のタイミングを示すものであるから,ウの「必要に応じ」のほうが適切であることは分かるであろう。
 空欄Dには,イの「自立的な管理組合の運営」またはカの「快適な居住環境」が入る。文章の流れとしては,どちらが入ってもおかしくない感じだが,その後に続く文章を見ると,カの「快適な居住環境」が適切であることが分かる。「区分所有者等間のトラブルを未然に防止するため……マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておく」ことは,「自立的な管理組合の運営」というよりは,「快適な居住環境」を目指すものといえるからである。したがって,空欄Dには,カが入る。
 以上により,空欄A~Dには順にキ,オ,ウ,カと入るので,2が正解となる(マンション管理適正化指針二2)。
楽学マンション管理士 p.655「マンション管理適正化指針」

〔問 47〕 正解 3
1 誤り。マンション管理士が業務を行う際に,マンション管理士登録証を提示する必要はない。
2 誤り。マンション管理士は,5年ごとに国土交通大臣の登録を受けた者(登録講習機関)が行う講習を受けなければならないが(マンション管理適正化法41条,マンション管理適正化法施行規則41条),その際にマンション管理登録証を更新する必要はない。マンション管理登録証には,有効期間がなく,これを更新するという制度は存在しないのである。
3 正しく正解。マンション管理士は,氏名,住所,本籍に変更を生じたときは,遅滞なく,マンション管理士登録証を添えて国土交通大臣に届け出て,その訂正を受けなければならない(マンション管理適正化法32条,マンション管理適正化法施行規則28条)。
4 誤り。マンション管理士は,マンション管理士登録証を亡失し,滅失し,汚損し,または破損したときは,国土交通大臣に登録証の再交付を申請することができる(マンション管理適正化法施行規則29条1項)。「申請することができる」という表現から明らかなとおり,再交付の申請は任意であり,義務ではない。
楽学マンション管理士 p.582「マンション管理士」

〔問 48〕 正解 1
1 正しく正解。マンション管理業者は,管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については,これを「一括して」他人に委託してはならないとされている(マンション管理適正化法74条)。禁止されているのは「一括して」委託することであるから,「一部を」委託することはできる。
2 誤り。重要事項説明は,管理業務主任者をして行わせる必要があり(72条),マンション管理士に代替させることはできない。
3 誤り。人の居住の用に供する独立部分の数が5以下の管理組合のみから管理事務の委託を受けている事務所には,専任の管理業務主任者を置かなくてもよい(56条1項,マンション管理適正化法施行規則62条)。
4 誤り。マンション管理業者は,自社に所属する管理業務主任者が居住するマンションの管理組合であっても,管理事務の委託を受けてかまわない。
楽学マンション管理士 p.628「管理業者の業務」

〔問 49〕 正解 4
1 誤り。重要事項を記載した書面には,管理業務主任者の記名押印が必要であるが(マンション管理適正化法72条),区分所有者等の記名押印は必要ない。
2 誤り。契約期間を伸長する場合は,「同一条件」による契約の更新とはいえないので,重要事項の説明会の「1週間前」までに区分所有者等全員に対し,重要事項ならびに説明会の日時および場所を記載した書面を交付して行わなければならない(72条1項)。
3 誤り。事務所ごとに置かれる成年者である専任の管理業務主任者が重要事項の説明を担当するのが望ましいとされているが(通達第一3),法律上は,管理業務主任者であればだれでもよい。
4 正しく正解。同一条件で契約を更新する場合は,同一の契約内容について,すでに更新前の契約を締結する前に重要事項の説明が行われているので,区分所有者等全員を対象にした説明会の開催をする必要はなく,本肢のとおりの手続で行うことができる(マンション管理適正化法72条2項・3項)。
楽学マンション管理士 p.630「重要事項の説明」

〔問 50〕 正解 2
1 正しい。「収納代行方式」とは,マンション管理業者が,管理組合から委託を受けてマンションの区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭を当該マンション管理業者を名義人とする口座に預入し,当該口座から払出した金銭により管理事務を行うこととする当該修繕積立金等金銭の管理方法をいう(マンション管理適正化法施行規則87条3項)。
2 誤りで正解。預貯金通帳と印鑑の同時保管の禁止については,管理者が選任される前の比較的短い期間に限って例外を認める旨の規定がある(87条4項ただし書)。しかし,収納代行方式による場合の条件として,本肢のような規定はない。
3 正しい。収納代行方式による場合は,マンション管理業者が保証契約を締結していなければならない(87条3項)。収納代行方式では修繕積立金等金銭をマンション管理業者名義の口座に預け入れておくので,マンション管理業者が倒産等して,修繕積立金等金銭を管理組合に返還できなくなる事態に備えておく必要があるからである。
4 正しい。収納代行方式を採用する場合は,肢3の条件のほか,本肢のとおりの条件も課されている(87条3項)。長期間,マンション管理業者名義の口座に預け入れたままにしておくのは危険だからである。
楽学マンション管理士 p.638「財産の分別管理」




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不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 本試験問題 その2

2008-02-02 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
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マンション管理士試験
平成19年度 本試験問題 その2


〔問 26〕 管理組合の理事長に関する次の記述のうち,標準管理規約及び民法の規定によれば,適切なものはどれか。
1 理事長は,理事の互選により選任されるが,理事の承認を得ずにいつでも辞任することができる。
2 解任された理事長は,次の理事長が選任されるまでの間,引き続きその職務を行う。
3 その所有する住戸を他に売却した理事長は,次の理事長が選任されるまでの間,引き続きその職務を行う。
4 その所有する住戸を配偶者に贈与した理事長は,依然として理事長である。

〔問 27〕 理事会において,管理組合の総会を当日欠席する者の議決権行使について,次のような方法を採用することとした場合,標準管理規約(電磁的方法が利用可能な場合とする。)によれば,適切でないものはどれか。
1 署名押印はあるが,委任の相手方も委任の内容も記載のない委任状が提出された場合は,理事長への有効な委任状として取扱うこと。
2 会議の目的が普通決議事項であっても,議案の要領を通知すること。
3 書面による議決権行使をやめて,電磁的方法による議決権の行使に変更すること。
4 電磁的方法による議決権の行使は,電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用による方法等とすること。

〔問 28〕 甲マンション管理組合でア~エを議題とする総会が開催され,その席上,組合員から出た意見のうち,議長が取り上げてこの総会に諮らなければならないものは,標準管理規約によれば,次のうちどれか。
ア 大規模修繕工事の実施
イ 玄関の階段への車椅子用スロープの併設
ウ 共用廊下等への手すりの設置
エ ア~ウの費用についての修繕積立金の取崩し
1 高齢者対策のみでなく,盗難防止対策こそ急を要するものであり,玄関等に防犯カメラを設置すべきであるという意見。
2 この議題が可決されると修繕積立金が少なくなるから,修繕積立金を1割値上げすべきであるという意見。
3 スロープの併設と手すりの設置によりマンションの形状が変わるし多額の修繕積立金を取崩すのであるから,特別多数決議をすべきであるという意見。
4 この議題が可決されると修繕積立金が少なくなるから,手すりの設置箇所を半分に減らすべきであるという意見。

〔問 29〕 管理者である理事長に管理費等の横領などの不正の疑いがあり,かつ,通常総会の招集すらしないので,他の役員や組合員は,理事長を解任する方法を検討している。この場合にとり得る方法等に関する次の記述のうち,標準管理規約及び区分所有法の規定によれば,適切でないものはどれか。
1 組合員が,標準管理規約第44条の規定に基づき,理事長の解任を目的とする臨時総会の招集を請求したにもかかわらず,理事長が応じないときは,その者が臨時総会を招集して,その総会において理事長の解任の決議を行う方法。
2 理事会が,理事会決議により,理事長の職を解任し,かつ,理事としての資格を失わせ,改めて理事の互選により新たな理事長を選任する方法。
3 監事が,臨時総会を招集して,理事長の不正について報告し,その総会において理事長の解任の方法について検討すること。
4 一人の区分所有者が,裁判所に対し,理事長に不正な行為があるとしてその解任を請求する方法。

〔問 30〕 専門委員会の設置について,総会の決議を必要とするものは,標準管理規約によれば,次のうちどれか。
1 理事会活動に認められている経費以上の費用が必要な特定事項の調査を行わせるために設置する場合
2 区分所有者から提出された専有部分修繕等工事申請書を審査させるために設置する場合
3 規約等に違反している区分所有者等に対する勧告又は指示等を行うための調査をさせるために設置する場合
4 専門委員会の委員として組合員以外の第三者を参加させて設置する場合

〔問 31〕 区分所有者Aの同居人Bがほとんど毎日ピアノ演奏を行い,周囲の住民からたびたび苦情が寄せられている。この場合に管理組合としてとり得る措置に関する次の記述のうち,標準管理規約によれば,適切でないものはどれか。
1 総会において,楽器の演奏時間等を制限する使用細則を制定すること。
2 理事長が,理事会の決議を経て,Bに対し,周囲に迷惑をかけないよう音量,演奏時間等に配慮するよう警告すること。
3 理事長が,理事会の決議を経て,Aに対し,周囲に迷惑をかけないよう防音の措置を講ずるよう勧告すること。
4 理事会の決議を経て,監事がBに対し,当該行為の差止めの訴訟を提起すること。

〔問 32〕 管理組合の書類等について閲覧請求があった場合の理事長の対応に関する次の記述のうち,標準管理規約によれば,適切なものはどれか。
1 組合員から組合員名簿の閲覧を請求された場合,理由を付した書面を求める必要がある。
2 組合員の専有部分に対する担保権者から総会議事録の閲覧を書面により請求された場合であっても,これを閲覧させる必要はない。
3 組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者から現に有効な規約の内容を記載した書面の閲覧を請求された場合,理由を付した書面を求める必要がある。
4 組合員の専有部分の賃借人から理事会の議事録の閲覧を書面により請求された場合であっても,これを閲覧させる必要はない。

〔問 33〕 1階は店舗部分で2階から5階が住宅部分であるマンションの管理組合から規約の作成を依頼されたマンション管理士が同マンションの区分所有者に説明した次の記述のうち,マンション標準管理規約(複合用途型)によれば,適切でないものはどれか。
1 規約の対象物件のうち共用部分については,全体共用部分,住宅一部共用部分及び店舗一部共用部分に区分しますが,一部共用部分も含めて全体を管理組合が一元的に管理します。
2 全体共用部分は区分所有者全員の,住宅一部共用部分は住戸部分の区分所有者のみの,店舗一部共用部分は店舗部分の区分所有者のみの共有として,それぞれの共有持分を定めます。
3 店舗の前面の敷地については,当該店舗の区分所有者に専用使用権を設定しますが,使用料については,その管理に要する費用に充てるほか,店舗一部修繕積立金として積み立てます。
4 住宅部分について住戸部分の区分所有者で構成する住宅部会を設け,店舗部分について店舗部分の区分所有者で構成する店舗部会を設けることとします。

〔問 34〕 甲マンション管理組合の理事会において,会計担当理事が平成18年度(平成18年4月1日~平成19年3月31日)決算の管理費会計の収支報告書案について行った次の説明のうち,収支報告書又は貸借対照表作成の考え方として適切なものはどれか。ただし,会計処理は発生主義の原則によるものとし,資金の範囲は,現金預金,未収金,未払金,前受金及び前払金とする。
1 3月分の管理費の一部に未収金が発生したため,管理費収入が当初の予算を下回っています。
2 管理費の前受金が前期に比べて増加したことは,当期収支差額の減少要因となっています。
3 収支報告書上の当期収支差額がマイナスになった場合は,次期繰越収支差額は前期繰越収支差額より必ず減少します。
4 5年満期の積立型の損害保険料を一括払いしているが,これは5年後には戻ってくるので,貸借対照表には記載されるが,収支報告書には記載されません。

〔問 35〕 甲マンション管理組合の平成18年度(平成18年4月1日~平成19年3月31日)の決算に当たって,次のア及びイの事実が判明したため,適切な会計処理を行った。この処理を行ったことによる,甲マンション管理組合の収支報告書又は貸借対照表に与える影響について,適切でないものはどれか。ただし,会計処理は発生主義の原則によるものとし,資金の範囲は,現金預金,未収金,未払金,前受金及び前払金とする。
ア 平成19年3月に実施された修繕工事に係る費用100,000円については,平成19年3月に未払金が計上されているが,当該工事は業者の都合で平成19年4月に実施されたことが判明した。
イ 前会計期間の決算において前払金として処理されてきた修繕工事の代金100,000円については,当該工事が本会計年度の平成18年4月に実施されているが,前払金残高がそのまま残っていることが判明した。
1 修繕費は増減がない。
2 未払金は100,000円減少する。
3 前払金は100,000円減少する。
4 収支報告書の当期収支差額は200,000円増加する。

〔問 36〕 マンションの修繕工事のための一般的な調査・診断に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 長期修繕計画による大規模修繕工事の実施予定時期のおよそ1年半前になったので,専門家を選定して調査・診断を依頼することとした。
2 建物や設備の現状を把握するため,設計図書や過去の修繕等の履歴の調査,現地の目視調査及び居住者に対するアンケート調査を行うこととした。
3 調査・診断において,詳細な調査が必要な劣化症状があったので,劣化症状に応じたサンプリング試験等を行い,その原因を推定し,修繕の要否を判断することとした。
4 調査・診断により修繕工事が必要となったので,修繕工事の詳細な仕様・工法,修繕工事費の積算価額等について記載した修繕基本計画書を作成することとした。

〔問 37〕 マンションの建物(鉄筋コンクリート造)の劣化の原因と症状に関する次の組合せのうち,適切でないものはどれか。
1 コンクリートのアルカリ骨材反応
 エフロレッセンス
2 コンクリート内部の部分的な膨張圧
 ポップアウト  
3 コンクリートの乾燥収縮
 ひび割れ   
4 コンクリートの中性化による鉄筋の腐食
 剥落     

〔問 38〕 マンションの標準的な長期修繕計画に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 平成18年9月に閣議決定された住生活基本計画(全国計画)では,計画期間が25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している分譲マンション管理組合の割合を,平成27年度において50%に引き上げることを目標としている。
2 鉄部の塗装工事の修繕周期について,雨掛り部分は4年,非雨掛り部分は6年とした。
3 修繕工事のために行う調査・診断,修繕設計及び工事監理に係る費用については,管理費を充当することとした。
4 長期修繕計画について,前回の見直しから5年経過したが,現在大規模修繕の工事中であるため,この工事が完了する翌年3月に見直しを行うこととした。

〔問 39〕 マンションの大規模修繕工事に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 工事中の煙や臭いの発生を少なくするため,溶融温度が低いタイプの防水工事用アスファルトを用いた。
2 工事による騒音が,室内において40dB程度になると,不快感を訴える人が多くなる。
3 新築後12年目に行う外壁塗装工事においては,既存の塗膜の全面除去を行わないことが多い。
4 窓のアルミサッシの交換工事において,工期を短縮するためにかぶせ工法を採用した。

〔問 40〕 マンションの建物(鉄筋コンクリート造)の一般的な耐震改修工法とその目的に関する次の組合せのうち,適切でないものはどれか。
1 外付け鉄骨フレームによる柱・梁の補強
 地震力の低減        
2 枠付き鉄骨ブレースによる柱・梁の補強
 構造耐力の向上       
3 鋼板巻き立てによる柱の補強
 柱のじん性(粘り強さ)の向上
4 鉄筋コンクリート造耐震壁の増設
 構造上のバランスの改善   

〔問 41〕 マンションの大規模の修繕の工事を行う場合の石綿対策に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 平成18年9月1日以降,石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する建築材料の製造等は禁止されている。
2 既存建築物に使用されている石綿の種類は,一般的にクリソタイル,アモサイト,クロシドライトである。
3 大規模の修繕の工事部分において,吹付け石綿が使用されているときは,当該吹付け石綿について,可能な限り除去し,除去が困難な部分は封じ込め又は囲い込みの措置を行わなければならない。
4 大規模の修繕の工事部分以外の部分において,吹付け石綿が使用されているときは,当該吹付け石綿について,除去又は封じ込め若しくは囲い込みの措置を行わなければならない。

〔問 42〕 エネルギーの使用の合理化に関する法律に基づく「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」において,特定建築物の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては,管理者。)が配慮する必要がある事項に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 外壁,屋根,床,窓及び開口部の清掃,補修等により,これらの断熱性の維持保全をすること。
2 受変電設備の制御システムの点検等により,採用した制御システムのエネルギーの利用効率を維持すること。
3 空気調和設備の熱源システムの点検等により,採用した熱源システムのエネルギーの利用効率を維持すること。
4 昇降機の駆動装置の点検等により,採用した駆動装置のエネルギーの利用効率を維持すること。

〔問 43〕 マンションの設備に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 地上デジタルテレビ放送を受信するため,UHF対応のアンテナを新設した。
2 土中に埋設されていたガス管が腐食したため,白ガス管(亜鉛めっき鋼管)に交換して再び埋設した。
3 地震時のエレベーター内への閉じ込めの防止策の一つとして,初期微動(P波)感知型地震時管制運転装置を設置した。
4 省エネルギーのため,外気に開放された共用廊下,階段等の照明器具に,人感センサー及び照度センサーを組み合せた制御装置を取り付けた。

〔問 44〕 消防法に基づくマンションの消防用設備等に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 消火器で対応する火災の種類には,普通火災,油火災及び電気火災があるが,消火器には,いずれの種類の火災にも有効なものがある。
2 屋内消火栓設備は,居住者による初期消火に使用されるものであり,2号消火栓は1人でも操作することができる。
3 連結送水管は,送水口,配管,放水口等から構成され,消防ポンプ自動車から送水口に送水し,消防隊が放水口に放水用器具を接続して消火活動を行うものである。
4 消防用設備等は,消防設備士等の資格者により,6カ月に1回の機器点検及び1年に1回の総合点検を行い,その都度,消防長又は消防署長に報告しなければならない。

〔問 45〕 マンションの設備計画に関する次の記述のうち,適切でないものはどれか。
1 1住戸(4人家族)の1日の使用水量を約1●程度とした。
2 高層マンションにおける排水立て管の通気方式について,排水を管壁に沿って旋回させて排水の流下速度を抑え管の中心に通気を確保する機能を持つ排水用特殊継手を用いた,伸頂通気方式とした。
3 中層マンションにおける給水方式について,水道本管から分岐した水を受水槽を用いず増圧給水ポンプにより直接各住戸に給水する,増圧直結給水方式とした。
4 100V用の照明器具やコンセントのほか200V用の暖冷房機器に対応するため,住戸内配線を単相2線方式とした。

〔問 46〕 次の記述は,「マンションの管理の適正化に関する指針」において定められている「マンションの管理の適正化の推進のために管理組合が留意すべき基本的事項」に関するものである。空白となっているA~Dに下欄のア~クの語句を選んで文章を完成させた場合において,正しい組合せは,どれか。
 管理規約は,マンション管理の A であることから,その作成にあたっては,管理組合は, B に則り,(中略),当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ,適切なものを作成し, C ,その改正を行うことが重要である。さらに, Dを目指し,マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために,使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておくことが肝要である。
 
ア 基礎的な規範  イ 自立的な管理組合の運営  ウ 必要に応じ  エ マンションの管理の適正化の推進に関する法律  
オ 建物の区分所有等に関する法律  
カ 快適な居住環境  キ 最高自治規範
ク 5年ごとに
1 Aはア Bはエ Cはク Dはイ
2 Aはキ Bはオ Cはウ Dはカ
3 Aはア Bはオ Cはウ Dはイ
4 Aはキ Bはエ Cはク Dはカ

〔問 47〕 マンション管理士登録証に関する次の記述のうち,マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下「マンション管理適正化法」という。)の規定によれば,正しいものはどれか。ただし,国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録講習機関」という。)にマンション管理士の講習に関する事務を行わせているものとする。
1 マンション管理士は,その業務を行うに際し,マンションの区分所有者等その他関係者からの請求の有無にかかわらず,マンション管理士登録証を提示しなければならない。
2 マンション管理士は,5年ごとに登録講習機関が行う講習を受けて,マンション管理士登録証を更新しなければならない。
3 マンション管理士は,住所を移転した場合は,遅滞なくマンション管理士登録証を添えて国土交通大臣に届け出て,その訂正を受けなければならない。
4 マンション管理士は,マンション管理士登録証を亡失した場合においては,国土交通大臣にすみやかに再交付の申請をしなければならない。

〔問 48〕 マンション管理業者の業務に関する次の記述のうち,マンション管理適正化法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 マンション管理業者は,管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務の一部を,他人に委託することができる。
2 マンション管理業者は,あらかじめ国土交通大臣に届け出れば,マンションの区分所有者等に対して,管理業務主任者をしてする重要事項説明を,当該事務所に所属するマンション管理士にさせることができる。
3 マンション管理業者は,管理事務の委託を受けたマンションの住戸の数にかかわらず,全ての事務所に専任の管理業務主任者を置かなければならない。
4 マンション管理業者は,自社に所属する管理業務主任者が居住するマンションの管理組合から,管理事務の委託を受けてはならない。

〔問 49〕 マンション管理業者が,管理組合と管理受託契約を締結又は更新しようとする場合の重要事項説明に関する次の記述のうち,マンション管理適正化法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 管理受託契約を締結しようとする場合,区分所有者等全員に対して,管理業務主任者をして重要事項の説明をさせ,重要事項を記載した書面に区分所有者等全員に記名押印させなければならない。
2 従前の管理受託契約に比して更新後の契約期間を伸長しようとする場合の区分所有者等全員に対する重要事項の説明会は,開催日の3日前までに重要事項を記載した書面を交付して行わなければならない。
3 重要事項の説明は,管理事務の委託を受けた事務所に所属する管理業務主任者にさせなければならない。
4 従前の管理受託契約と同一の条件で契約を更新しようとする場合,あらかじめ区分所有者等全員に対し重要事項を記載した書面を交付するとともに,管理業務主任者をして,管理者等に対し重要事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。

〔問 50〕 Aマンション管理業者が,B管理組合から委託を受けて区分所有者等から徴収した修繕積立金等金銭をA名義の口座に預入し,当該口座から払出した金銭により管理事務を行っている場合に関する次の記述のうち,マンション管理適正化法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 この方法は,収納代行方式である。
2 この方法は,Bに管理者が選任されるまでの比較的短い期間に限られる。
3 この方法による場合,Aは保証契約を締結しなければならない。
4 この方法による場合,Aは,管理事務に要した費用を控除した残額を,徴収後1月以内にB名義の口座へ移し換えなければならない。
 
本誌は平成19年度本試験の再現問題と解答・解説を掲載しています。
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不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 本試験問題 その1

2008-02-02 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


マンション管理士試験
平成19年度 本試験問題その1

〔問 1〕 専有部分及び共用部分に関する次の記述のうち,建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 区分所有権とは,専有部分及び共用部分の共有持分を目的とする所有権である。
2 専有部分を共用部分にすることはできるが,共用部分を専有部分にすることはできない。
3 共用部分について規約を定めることができるが,専有部分について規約を定めることはできない。
4 一棟の建物の各部分は,専有部分か共用部分かのいずれか一方に属し,それ以外のものはない。

〔問 2〕 ア~エの記述のうち,管理組合(区分所有法第3条に規定する区分所有者の団体をいう。以下同じ。)の管理者と管理組合法人の理事の両者について当てはまるものの組合せは,区分所有法の規定によれば,次のうちどれか。
ア 職務又は事務に関し,区分所有者を代理する。
イ 任期は2年であるが,規約で3年以内において別段の期間を定めたときは,その期間とする。
ウ 区分所有者は,規約に別段の定めがない限り,集会の決議によって解任することができる。
エ 不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは,各区分所有者は,その解任を裁判所に請求することができる。
1 アとイ  2 イとウ
3 ウとエ  4 エとア

〔問 3〕 区分所有法第6条の区分所有者の共同の利益に反する行為に該当しないものは,区分所有法の規定によれば,次のうちどれか。
1 自己の専有部分への危険物の持込み
2 管理者の人格を中傷するビラの配布
3 規約で禁止された動物の飼育
4 ベランダへの無許可の看板の設置

〔問 4〕 区分所有法第7条の先取特権に関する次の記述のうち,区分所有法及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 この先取特権を有する者は,管理者又は管理組合法人に限られ,区分所有者は含まれない。
2 この先取特権は,債務者が専有部分を賃貸しているときは,物上代位により賃料に行使することができる。
3 この先取特権の目的物は,債務者である区分所有者の区分所有権に限られる。
4 この先取特権の優先権の順位は,不動産保存の先取特権と同順位である。

〔問 5〕 規約で定めることも集会の決議で決することもできる事項は,区分所有法の規定によれば,次のうちどれか。
1 管理者又は管理組合法人が,その職務又は事務に関し,区分所有者のために訴訟の当事者となること。
2 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)の決議について,区分所有者の定数を 3
4 以上から過半数に減ずること。
3 集会の招集の通知を各区分所有者に発する期間について,会日より少なくとも1週間前とする区分所有法の定めよりも伸縮すること。
4 区分所有者の共同の利益に反する行為をしている区分所有者に対して,管理者が,その行為の停止を請求する訴訟を提起すること。

〔問 6〕 敷地利用権が数人で有する所有権である場合において,区分所有者が死亡したときの専有部分及び当該専有部分に係る敷地利用権の帰属等に関する次の記述のうち,区分所有法及び民法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。ただし,受遺者はいないものとし,また,規約に別段の定めはないものとする。
1 相続人も特別縁故者もいない場合においては,国に帰属する。
2 特別縁故者がいる場合においては,相続人がいないことが確定し,相続財産の精算手続が終了したときに,当該特別縁故者への財産分与の対象となる。
3 特別縁故者がいないが相続人がいる場合において,相続人の全員が相続を放棄したときは,国に帰属する。
4 専有部分が共有である場合において,相続人がいないときは,当該専有部分の他の共有者に帰属し,特別縁故者に分与されることはない。

〔問 7〕 マンション(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第2条第1号イのマンションをいう。以下同じ。)の住戸と駐車場をそれぞれ専有部分として所有していたAが死亡し,住戸は妻が相続し,駐車場は子Bが相続した。駐車場部分の区分所有者の修繕積立金(以下この問いにおいて「修繕積立金」という。)及び議決権については,規約に何らの定めがされておらず,Aは修繕積立金を負担していなかった。この場合における,修繕積立金を負担させる規約の改正を決議する集会での管理者の説明について,区分所有法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 駐車場部分の区分所有者の議決権については,規約には何も規定されていないので,Bには集会の開催通知をしていません。
2 修繕積立金を負担させる規約の改正を決議するに当たって,Bの承諾は必要ありません。
3 Bは,議決権を行使することはできませんが,集会で意見を述べることはできるので,その旨掲示しました。
4 今後も,駐車場部分の区分所有者の議決権については,規約で定めないこととし,当該議決権は認めません。

〔問 8〕 会議の目的たる事項について利害関係を有するとして,区分所有法第44条第1項の規定により,集会に出席して意見を述べることができる者に該当するものは,次のうちどれか。
1 管理費を増額する規約の変更に係る集会の決議を行う場合における専有部分の賃借人
2 駐車場の専用使用料を値上げする集会の決議を行う場合における駐車場の専用使用権者
3 ペットの飼育を禁止する規約を定める集会の決議を行う場合におけるペットを飼育している専有部分の賃借人
4 店舗の営業時間を制限する集会の決議を行う場合における営業者から専有部分である店舗について担保権の設定を受けている抵当権者

〔問 9〕 甲マンションの建物価格の1/2を超える部分が滅失したために,滅失した共用部分を復旧する旨の決議がなされた。その決議において,区分所有者全員10名のうち,A,Bら8名は決議に賛成し,C及びDの2名は決議に賛成しなかった。この場合におけるC及びDが買取請求権を行使する場合に関する次の記述のうち,区分所有法の規定によれば,正しいものはどれか。ただし,その決議の日から2週間以内に買取指定者の指定がなされなかったものとする。
1 C及びDは,決議賛成者全員に対し,買取請求権を行使することができる。
2 CがAに対し買取請求権を行使したときは,DはA以外の決議賛成者に対し買取請求権を行使しなければならない。
3 CがAに対し買取請求権を行使したときに,Aは,Cの建物等の権利の全部をBに対して買い取るべきことを請求することができる。
4 DがBに対し買取請求権を行使したときに,Bは,他の決議賛成者全員に対し,Dの建物等の権利を共有持分の割合で買い取るべきことを請求することはできない。

〔問 10〕 甲マンションには,下図のとおり区分所有者A~Dが居住している。この場合におけるA~D等の行為が区分所有者の共同の利益に反する行為であるとして,区分所有法第57条の規定に基づき,管理者が集会の決議により行為の停止等の請求を行うことができるものは,次のうちどれか。
(甲マンション)
 
401号室 D 階 段 402号室 階 段 403号室
301号室 C 302号室 303号室
201号室 B 202号室 203号室
101号室 A 102号室 103号室
1 Aの妻の行為 Aの妻が101号室でPTAの集会を開く際に,参加者が階段付近へ数台の自転車を乱雑に置いている場合
2 Bの子供の行為 Bの3人の幼い子供達が一日中ドタバタと走りまわる床(フローリング)騒音にAが悩まされている場合
3 Cの行為 Cが301号室のベランダを温室に改造し,直接大量の土を盛り草花を植え付けてガーデニングを行っている場合
4 Dの行為 夜間勤務に従事しているDが早朝に帰宅しシャワーを使うため,排水の流水音でCがうるさいと感じている場合

〔問 11〕 管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する次の記述のうち,区分所有法及び民法の規定によれば,誤っているものはどれか。ただし,規約に別段の定めはないものとする。
1 建物に専有部分がなくなったことにより解散した管理組合法人の残余財産は,区分所有法第3条の団体に帰属する。
2 建物の全部の滅失により解散した管理組合法人の残余財産は,各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。
3 集会の決議により解散する管理組合法人の残余財産は,区分所有法第3条の団体に帰属する。
4 建替え決議に基づき建物を取り壊すことにより解散する管理組合法人の残余財産は,各共有者の専有部分の床面積の割合により各区分所有者に帰属する。

〔問 12〕 下図のとおり,専有部分のあるA~Dの建物がある。この場合においてA,B,C及びDの区分所有者で構成される団地管理組合(区分所有法第65条に規定する団体をいう。以下この問いにおいて同じ。)の成立に関する次の記述のうち,区分所有法の規定によれば,誤っているものはどれか。
 
甲地 駐 車 場 乙地




1 甲地をAとBの,乙地をCとDの区分所有者が共有する場合は,それぞれ団地管理組合が成立する。
2 駐車場をA~Dの区分所有者で共有している場合は,A~Dの団地管理組合が成立する。
3 甲地をAとBの,乙地をCとDの区分所有者が共有していても,それだけでは,A~D全体の団地管理組合が成立することはない。
4 甲地をAとBの,乙地をCとDの,駐車場をA~Dの,それぞれの区分所有者が共有している場合,A~Dにおいて,複数の団地管理組合が重層的に成立することはない。

〔問 13〕 甲マンションの管理組合(管理者A)に対し,管理費を滞納したまま不在者となった区分所有者Bの財産に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 Bが,財産の管理人(以下この問いにおいて「財産管理人」という。)を置かなかったとき,Aは,家庭裁判所に対し,Bの財産管理人の選任を請求することができる。
2 家庭裁判所が選任したBの財産管理人は,家庭裁判所の許可を得なければ,滞納管理費をAに支払うことができない。
3 Bが住所地に戻ってきた場合は,Bの財産管理人が選任されているときでも,Aは,Bに対し,滞納管理費を請求することができる。
4 Bが失踪宣告を受けた場合は,Aは,Bの包括承継人に対し,滞納管理費を請求することができる。

〔問 14〕 Aは,甲マンションのA所有の301号室の改装工事を内装業者Bに発注し,改装工事の終了後同室をCに売却したところ,当該改装工事に瑕疵があることが判明したため,当該瑕疵についてCからAに苦情があった。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。ただし,AB間及びAC間には,特約はないものとする。
1 AのBに対する当該瑕疵の修補請求権は,AC間の売買契約による301号室の所有権の移転に伴ってはCに移転しない。
2 AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権は,Bの承諾を得なければ,Aは,Cに譲渡することができない。
3 AがBに対して請負代金を支払っていない場合は,Aは,AのBに対する当該瑕疵の損害賠償請求権をもって当該請負代金債権と相殺することができない。
4 当該瑕疵がAの指示によって生じたものである場合において,Bは,Aの指示が不適当なことを知っていたときでも,瑕疵担保責任を負うことはない。

〔問 15〕 甲マンションのA所有の201号室で火災が発生し,当該火災により,同室及びその直下のB所有の101号室にそれぞれ損害が生じた。この場合に関する次の記述のうち,民法及び失火ノ責任ニ関スル法律の規定並びに判例によれば,正しいものはどれか。
1 当該火災がAの子(9歳)の火遊びによる場合において,Aに当該子の監督について軽過失があるとき,Bは,Aに対し,損害賠償を請求することができる。
2 当該火災が事業執行中におけるAの従業員の重過失による場合において,Aに当該従業員の監督について重過失がないとき,Bは,Aに対し,損害賠償を請求することができない。
3 当該火災が201号室をAから賃借している者の軽過失による場合,当該賃借人に対し,Bは損害賠償を請求することができないが,Aは債務不履行による損害賠償を請求することができる。
4 当該火災がAの行為による場合,Bは,Aの過失の程度のいかんを問わず,Aに対し,損害賠償を請求することができない。

〔問 16〕 甲マンションの区分所有者Aが「理事長Bが修繕積立金の不正流用により管理組合に損害を与えたので,その損害の弁償と理事長の辞任を要求する」旨の文書を各戸に配付した。これに対してBは,事実無根の名誉毀損であるとして,Aに対して不法行為に基づく損害賠償と謝罪を請求した。この場合において,ア~エについてAが立証すれば名誉毀損が成立しないものとされる組合せは,民法の規定及び判例によれば,次のうちどれか。
ア 配付した行為が違法行為の摘発という社会全体の利益に係るものであること。
イ 配付の目的がもっぱら修繕積立金の適正な管理を図るためのものであること。
ウ 文書に記載された事実が真実であると信じるについて相当の理由があること。
エ 文書の各戸への配付によらなければBの行為を阻止できないものであること。
1 アとイとウ  2 イとウとエ
3 ウとエとア  4 エとアとイ

〔問 17〕 区分所有者Aは,甲マンション管理組合(管理者B)に対し,管理費(20万円)を滞納したまま死亡した。Aに,妻C並びにAC間の子D及びEがいる場合の滞納管理費の請求等に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。ただし,C,D及びEはいずれも単純承認をし,また,相続人間における20万円の負担の合意についてBの同意はなかったものとする。
1 Bは,遺産分割前の場合,C,D又はEのいずれかに対し,20万円を請求することができる。
2 Bは,相続人間で20万円をCが負担するとの合意がなされた場合でも,Cに対し10万円,D及びEに対し各5万円を請求することができる。
3 Bは,相続人間で20万円を法定相続分どおり負担するとの合意がなされた場合でも,C,D又はEのいずれかに対し,20万円を請求することができる。
4 20万円に係る債権の消滅時効は,遺産分割が行われた時から進行する。

〔問 18〕 区分建物の敷地権の登記に関する次の記述のうち,不動産登記法によれば,正しいものはどれか。
1 一棟の建物の表題部の敷地権の目的たる土地の表示には,敷地権の種類,敷地権の割合,原因及びその日付,登記の日付が記載される。
2 区分建物の表題部の敷地権の表示には,所在地及び地番,地目,地積,登記の日付が記載される。
3 区分建物の敷地権の表示を登記する場合の敷地権の種類は,土地所有権又は登記された地上権に限られる。
4 申請により区分建物の登記記録に敷地権の表示登記がなされると,敷地権の目的である土地の登記記録には,職権で敷地権である旨の登記がなされる。

〔問 19〕 マンション建替事業の権利変換に関する次の記述のうち,マンションの建替えの円滑化等に関する法律の規定によれば,正しいものはどれか。
1 施行者は,保留敷地の所有権又は借地権を,自己に帰属するよう権利変換計画で定めることはできない。
2 施行者は,権利変換期日後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは,施行マンション又はその敷地を占有している者に対し,期限を定めて,その明渡しを求めることができる。
3 施行者は,施行マンションの区分所有権の上に存する登記された担保権等について,権利変換計画に基づき,補償金を支払って,これらの権利を消滅させることになる。
4 施行者は,権利変換計画に基づき補償金を支払う必要がある者に対して,施行再建マンションの建築工事完了の公告の日までに,当該補償金を支払わなければならない。

〔問 20〕 共同住宅の共用のエレベーターの検査及び報告に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 エレベーターの所有者(所有者と管理者が異なる場合においては,管理者。以下この問いにおいて同じ。)は,一級建築士,二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者(以下「一級建築士等」という。)におおむね2年ごとに検査をさせて,その結果を特定行政庁に報告しなければならない。
2 特定行政庁は,所有者が提出した定期検査報告概要書について閲覧の請求があった場合には,これを閲覧させなければならない。
3 特定行政庁は,エレベーターを検査した一級建築士等に対して,当該エレベーターに関する報告を求めることができる。
4 建築主事は,使用制限その他保安上必要な措置の勧告等のため,必要な限度において,共同住宅に立ち入り,エレベーターを検査することができる。

〔問 21〕 耐火建築物としなくてもよい共同住宅は,建築基準法の規定によれば,次のうちどれか。ただし,地階はないものとする。
1 防火地域内にあって,階数が2で延べ面積が400㎡の共同住宅
2 準防火地域内にあって,階数が3で延べ面積が1,800㎡の共同住宅
3 準防火地域内にあって,階数が3で延べ面積が900㎡の一定の技術的基準に適合している共同住宅
4 階数が4で延べ面積が1,200㎡の共同住宅

〔問 22〕 建築物の容積率の最高限度及び最低限度を都市計画に定めるものとされている地域地区は,都市計画法の規定によれば,次のうちどれか。
1 高度地区
2 高層住居誘導地区
3 特例容積率適用地区
4 高度利用地区

〔問 23〕 警備業に関する次の記述のうち,警備業法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 警備業者は,警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは,当該契約をするまでに,当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。
2 警備業者は,警備業務を行う契約を締結したときは,遅滞なく,当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。
3 警備業者は,常に,その行う警備業務について,依頼者からの苦情の適切な解決に努めなければならない。
4 警備業を営もうとする者は,一定の要件に該当しないことについて都道府県知事の認定を受けなければならない。

〔問 24〕 高さ31mを超えるマンション(以下この問いにおいて「高層マンション」という。)における防炎対象物品の防炎性能に関する次の記述のうち,消防法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 高層マンションで使用するカーテン等は,一定基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
2 寝具は,高層マンションで使用する防炎性能が必要な対象物品の一つである。
3 使用する防炎対象物品は,一定基準以上の防炎性能を有するものである旨の表示を附することができる。
4 高層マンションの関係者は,防炎性能を有していないカーテン等を購入し,業者等に委託して一定基準以上の防炎性能を与えるための処理をさせたときは,その旨を明らかにしておかなければならない。

〔問 25〕 管理組合の総会における議決権の行使に関する次の記述のうち,マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)によれば,適切なものはどれか。
1 署名押印のみで各議案について賛否の記載がない議決権行使書が提出されたが,各議案のいずれについても賛成票とした。
2 複数住戸を所有する組合員から,1住戸分のみを反対票とし残りの住戸分は賛成票として欲しいと要求されたので,そのように賛否を分けて取り扱った。
3 提出された委任状が隣接組合員の住戸の賃借人を代理人とするものだったので,「委任状による出席」にも数えなかった。
4 総会の招集通知に添付した委任状及び議決権行使書を使用せず,組合員から「すべての議案に反対する」と記載した書面が提出されたが,これを無効票として取り扱った。





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不動産受験新報2008年2月号 マンション管理士試験 出題傾向の分析

2008-02-01 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
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マンション管理士試験
マンション管理士試験
出題傾向の分析
合格ラインは36問前後

全体の講評
 各科目ごとの出題数は,以下のとおりである。
 
① マンションの管理に関する法令および実務に関すること 24問(問1~24)
② 管理組合の運営の円滑化に関すること 11問(問25~35)
③ マンションの建物および附属施設の構造および設備に関すること 10問(問36~45)
④ マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること 5問(問46~50)
 以上の科目ごとの出題数は,昨年の本試験とまったく同じである。
 全体的な問題の難易度は,昨年より少し難しくなったような印象を受ける。過去の本試験では問われたことがない知識からの出題が,いくつか見られたからである(たとえば,問15の失火責任法など)。ただ,このような未出題分野について,あらかじめ出題を予測して学習範囲を広げることは無理である。既出題分野を確実に得点できれば,合格できるはずであるから,このような出題に神経質になる必要はない。
管理に関する法令・実務(24問)
 区分所有法の問1,問2,問5に関しては,条文の細かな問題である。条文の問題なので容易に解けるかというとそうでもない。条文の正確な知識が要求されている。
 問3は,法的なセンスが問われている。判例を知っていれば容易に解けるであろうが,知らなくてもその場で考えれば解ける。良問と言ってもいいであろう。問4は,区分所有法と民法を横断する問題である。単なる知識ではなく,その応用力が試される良問である。問6は,判例の知識があれば簡単に解けるが,そうでないと難問である。問7は,かなりの難問である。判例の知識や条文の応用力が試される問題である。問8は,「占有者の意見陳述権」が認められるかどうか判断させる事例問題である。問9は,大規模滅失の復旧における買取請求権に関する問題であり,買取請求権の要件を細かく出題している。問10は,「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するかどうか判断させる事例問題である。問11は,管理組合法人が解散する場合の残余財産の帰属に関する難問である。問12は,団地管理組合の成立に関する事例問題である。問13は,管理費を滞納した不在者の財産管理に関する総合問題であり,失踪宣告等についても出題している。問14は,請負契約に関する総合問題であり,契約当事者の地位,債権譲渡,相殺についても出題している。
 問15~問17は,民法からの出題である。
 問15は,失火責任法と絡めた問題であり,責任無能力者の監督者の責任,使用者責任との関係に関する判例の知識も要求されるなど,かなり高度な問題である。問16は,名誉毀損の成否における真実性の証明に関する問題である。刑法の知識があれば,それと同様に考えればよいので容易であるが,マンション管理士試験では,刑法が出題科目に含まれていないので,難易度の高い問題と言える。問17は,可分債務の相続に関する問題である。平成17年度本試験問18で類似の出題がなされているため,過去問の学習を行っていれば容易に解けるものであった。
 全体的な傾向としては,区分所有法は,事例問題が多く,各事例が条文の要件に該当するかどうかの判断を求められている。ただし,過去問を研究し,常識的判断を心掛ければ,解ける問題である。これに対し,民法では,総合問題が出題されており,各分野について広く考えることが要求されている。
 問18は不動産登記法の区分所有建物の登記,問19は建替え円滑化法からの出題である。どちらも正解肢は基本事項からの出題なので,正解を出すことは比較的容易であったと考えられる。難しい肢に惑わされないことが肝心である。
 問20から問24の建築および設備の関係法令はこのところ,建築基準法2問,都市計画法1問,消防法1問,その他の法令1問である。平成19年度の問題は過去問から関連出題が予想できるものだったので,難易度はさほど高くはなかったと思われる。
 問20は,建築基準法の昇降機の検査,定期報告に関する問題で,管理業務主任者試験では平成13年,14年に出題されている。マンション管理士試験では初出題であるが,問われているのは基礎知識である。問21は,建築基準法の耐火建築物に関する問題である。平成17年に準防火地域内の耐火建築物の類似問題があるが,今回は防火地域・準防火地域での耐火建築物の規定(肢1,肢2)のほかに単体規定の27条1項(肢3,肢4)を知らないと戸惑ったかもしれない。問22は,都市計画法の補助的地域地区の都市計画で定める制限の出題で,平成13年に類題が出題されており,過去問を見ておけば解けるやさしい問題であった。問23は平成14年以来の警備業法からの出題であるが,基礎的な出題である。問24は消防法の高層建築物等に使用する防炎対象物品の防炎性能の出題である。防炎対象物品の細かい知識を問うているが,正解肢は常識でもある程度は解けるものであった。
管理組合の運営(11問)
 問25は議決権の行使についてのマンション標準管理規約(単棟型)からの出題である。例年のことながら,マンション標準管理規約の条文およびコメントをそのまま出題するのではなく,管理の現場でも遭遇する可能性の高い事例について適切かどうかを判断させる問題になっている。問26は管理組合の理事長についてのマンション標準管理規約,民法からの出題である。問25に比べれば比較的やさしい。
 標準管理規約に関する(一部区分所有法を含む)問27~問33については,内容的にも難易度的にもおおむね昨年並みと言ってよいだろう。ただし,今年度はかなり実務的な問題構成となっている点が特徴的である。
 まず,問27であるが,これは総会を当日欠席する者の議決権行使の扱い方を問うもので,かなり実務的な問題である。白紙委任状の取扱いに関する肢1は,普通のテキストには書いてないから迷った受験者も相当いると思われる。こういう選択肢がある場合は,他に明確な肢があるのが普通だが,本問もそういう点ではセオリーどおりであった。問28も,実務的という点で問27と同じ流れの問題である。こちらは,総会で組合員から出た意見のうち,議長が取り上げて総会に諮らなければならないものを,総会の議題との関係で選ばせる問題である。出題の形式にも工夫が見られ,しかも実務的であり,良問と言えるだろう。
 問29,問30は,標準管理規約(一部区分所有法)の条文とコメントの知識で対処できる従来型の問題である。問31も事例を用いているが,問うているのは条文の知識であり,これも同じ系譜の問題である。問32も,条文の知識を問うごく普通の問題である。合格のためには,これらの問題はしっかり得点しなければならない。
 問33は複合用途型の標準管理規約に関する問題である。ちょっと手薄になりがちなところかもしれないが,条文の知識さえあれば簡単に正解できる内容である。複合用途型の標準管理規約も,面倒がらずにしっかり目を通しておくことが必要だろう。
 管理組合の会計・税務に関する今年の出題は,管理費および保険料にかかわる主な取引についてそれらが収支報告書および貸借対照表にどのように影響するかを問う問題と未払金や前払金といった経過勘定項目の決算整理に関する問題の2問であった。両問とも取引を仕訳して,整理すれば解ける平易なものであった。なお決算整理は昨年も出題されている。仕訳上での修正は今後も要チェックである。
建物・附属施設の構造・設備(10問)
 問36は,マンションの修繕工事を行うための調査・診断の方法および流れについての全般的な出題である。修繕基本計画と修繕設計の違いが理解できていれば,正解肢に辿りつけたであろう。問37はコンクリートの劣化の原因と症状についての出題であり,エフロレッセンス(白華現象)を正確に理解していれば,正解できたであろう。問38は長期修繕計画についての総合問題であり,選択肢1で住生活基本計画からの出題に戸惑った受験生もいたであろうが,慌てずに選択肢の正誤を判別していけば,肢3が正解肢であることを導き出せたと思う。問39はマンションの大規模修繕工事のときの騒音に対して苦情が多い点を考慮しての出題で,選択肢2の40dB程度が通常の居間などの測定値であることを学習していた受験生には正誤が明確に判定できる問題あったであろう。問40は平成17年度,18年度に続いて3年連続となった建物の耐震性に関連する内容からの出題である。建物の耐震性および耐震改修についての基本的知識を十分理解していないと正解肢を導き出せなかったであろう。建築関連の分野が不得意な受験生にとっては,とっつきにくい出題だったと言える。
 問41は,難問であり得点できなくてもよい問題である。肢1の0.1%という数字は暗記していたかもしれないが,施行日までは暗記している受験生は極めて少数であろうと思われる。肢2の化学物質名を正確に暗記している受験生も少ないであろう。また,肢3と4も非常に難しく,根拠が分かっていても,それを読みこなすことは非常に困難である。とはいうものの,勘のよい受験生であれば,肢3と4に絞り込めれば,3だと気づけるように配慮してある。
 問42は,平成18年経済産業省・国土交通省告示第3号「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建築物の所有者の判断の基準」の問題である。これも問41と同様,難問であり,自信を持って解ける受験生はいないであろう。問43は通常レベルの問題である。答えの肢以外は理解できなくても,正解肢は比較的容易に見つけることができたと思われる。問44は通常レベルの問題であり,しっかり勉強した人であれば,すべての肢を理解できるはずである。少なくとも,機器点検だけ必要な消防用設備等と総合点検だけ必要な消防用設備等が存在することを理解していれば得点できたはずである。問45は,200Ⅴであれば単相2線方式ではなく,単相3線方式であることは容易に推測できたと思われる。また,正解肢が分からなかったとしても,肢1,2,3はすべて適切な内容だということは理解できるはずであるから,通常レベルの問題であると評価できる。
マンション管理適正化法(5問)
 本年度のマンション管理適正化法の問題は,全般的にやさしかった。
 問46のマンション管理適正化指針に関する問題は,内容を暗記していなくても,選択肢を見ながら空欄に入る言葉を絞り込んでいけば,容易に解答できたと思う。問47は,基礎知識があいまいな状態だと少し迷わされるおそれがあるが,オーソドックスにきちんと勉強していれば十分に対処できたはずである。問48は,正解肢以外の肢について若干迷ったかもしれないが,正解肢自体は簡単であった。問49は,頻出論点である重要事項の説明について,ていねいに学習してさえいれば,確実に得点できる問題である。問50は,頭の中を整理して,他の制度と混同しないようにすることが大切である。





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不動産受験新報2008年2月号マンション管理士試験 再現問題と解説 出題項目と正解番号

2008-01-31 09:00:00 | Weblog
特集2
平成19年度
マンション管理士試験
再現問題と解説 
出題項目と正解番号

問 正解 出題項目@ 難易度 問 正解 出題項目@ 難易度
1 4 専有部分と共用部分 C 26 1 管理組合の理事長 C
2 3 管理者と管理組合法人の理事 D 27 3 理事会の権限 B
3 2 共同の利益に反する行為 C 28 4 決議事項の制限 B
4 2 先取特権 C 29 2 理事長の解任 C
5 1 規約事項・集会の決議事項 B 30 1 専門委員会 C
6 4 区分所有者の死亡 B 31 4 義務違反者に対する措置 C
7 2 規約の改正等 B 32 1 書類等の閲覧 C
8 3 占有者の意見陳述権 C 33 3 複合用途型標準管理規約 B
9 1 大規模復旧の場合の買取請求権 C 34 3 収支決算 B
10 3 義務違反者に対する措置 B 35 4 会計処理 B
11 1 管理組合法人の解散 B 36 4 マンションの調査・診断 B
12 4 団地 D 37 1 コンクリートの劣化 C
13 2 不在者の財産の管理 A 38 3 長期修繕計画 C
14 1 請負人の担保責任 C 39 2 大規模修繕工事 A
15 3 不法行為・失火責任法 A 40 1 耐震改修 A
16 1 不法行為 A 41 3 石綿対策 A
17 2 相続 B 42 2 エネルギー使用の合理化 A
18 4 不動産登記法 D 43 2 マンションの設備 B
19 2 建替え円滑化法 B 44 4 消防用設備等 C
20 1 昇降機 C 45 4 マンションの設備計画 B
21 3 防火・準防火地域 C 46 2 適正化指針 D
22 4 都市計画法(地域地区) C 47 3 マンション管理士登録証 C
23 4 警備業法 C 48 1 マンション管理業者の業務 D
24 2 消防法 A 49 4 重要事項の説明 D
25 3 総会における議決権の行使 C 50 2 財産の分別管理 C
●難易度はA~Dの4段階。Aが最も難しく,Dが最もやさしい。



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不動産受験新報2008年2月号 平成19年度 管理業務主任者試験 解答と解説 その2

2008-01-30 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


管理業務主任者試験
平成19年度 解答と解説 その2
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光


【問 19】 正解 3
 昇降機の所有者(所有者と管理者が異なる場合は管理者)は,昇降機について,特定行政庁が定める時期に(少なくとも1年以内。なお,特定行政庁は6箇月まで短縮できる),一級建築士(肢1),二級建築士(肢2)または国土交通大臣が定める資格を有する者に検査をさせて,その結果を特定行政庁に報告しなければならない(建築基準法12条3項,同施行規則6条1項)。
 国土交通大臣が定める資格を有する者(昇降機検査資格者)とは,「建築基準適合判定資格者」(肢4),「国土交通大臣の登録を受けた昇降機検査資格者講習を修了した者」または「このほか国土交通大臣が定める資格を有する者」のうち,国土交通大臣が告示で定める要件を満たしている者(一定の欠格要件に該当しない者)をいう(建築基準法施行規則4条の20第2項,平成13年国土交通省告示356号)。
 肢3は,「昇降機以外の建築設備について検査を行う建築設備検査資格者」に該当するが,昇降機について定期検査をすることができる者が有する資格には適合しないので正解。
楽学管理業務主任者 p.356「昇降機定期検査」,p.366「昇降機設備定期検査」

【問 20】 正解 4
1 誤り。建築基準法施行令で定める乗用エレベーターのかごの積載荷重の最小値は,床面積が小さいものほど小さくなっているので,本肢は誤りである(建築基準法施行令129条の5第2項)。
2 誤り。乗用エレベーターの最大定員は,1人当たりの体重を65㎏として算定しなければならない(129条の6第5号)。
3 誤り。エレベーターの出入口の床先とかごの床先との水平距離は,4㎝以下としなければならない(129条の7第3号)。
4 正しく正解。昇降機の昇降路内には原則として配管設備や突出物を設けてはならないが,告示により,光ファイバーまたは光ファイバーケーブル(電気導体を組み込んだものを除く)で昇降機に必要な配管設備でないものについては,一定の要件を満たすことにより昇降路内に設けることができる(129条の2の5第1項3号ただし書,129条の7第4号ロ,平成17年国土交通省告示570号(1号ロ))。
楽学管理業務主任者 p.358「エレベーター設備」

【問 21】 正解 2
1 正しい。マンションの廊下や階段その他の通路で,照明装置の設置を通常要する部分には非常用の照明装置を設けなければならないが,マンション内の住戸についてはその必要はない(建築基準法施行令126条の4第1号)。
2 誤りで正解。非常用の照明は,直接照明とし,床面において1ルクス以上の照度を確保することができるものとしなければならない(126条の5第1号イ)。
3 正しい。非常用の照明装置には予備電源を設けなければならない(126条の5第1号ハ)が,予備電源は,常用の電源が断たれた場合に自動的に切り替えられて接続され,かつ,常用の電源が復旧した場合に切り替えられて復帰するものとしなければならない(平成12年建設省告示1405号(第3電源2号))。
4 正しい。非常用の照明装置は常温下で床面において水平面照度で1ルクス(蛍光灯を用いる場合は2ルクス)以上を確保しなければならないが,その水平面照度は,十分に補正された低照度測定用照度計を用いた物理測定方法によって測定されたものでなければならない(平成12年建設省告示1405号(第4その他))。

【問 22】 正解 4
1 適切。制御弁は,パイプシャフト,パイプダクトその他これらに類するものの中に設けるとともに,その外部から容易に操作でき,かつ,みだりに閉止できない措置が講じられていなければならない(平成18年消防庁告示17号(第二第2号))。
2 適切。スプリンクラーヘッドは,閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号)に規定する小区画型ヘッドのうち,感度種別が一種であるものに限る(平成18年消防庁告示17号(第二第1号))。
3 適切。共同住宅用スプリンクラー設備は,4個のスプリンクラーヘッドを同時に使用した場合,それぞれの先端において,放水圧力が0.1メガパスカル以上で,かつ,放水量は50リットル毎分以上で放水することができる性能のものでなければならない(特定共同住宅等における必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等に関する省令(以下,平成17年総務省令第40号)3条2項2号ホ)。
4 最も不適切で正解。共同住宅用スプリンクラー設備の水源の水量は,4●以上となるように設けなければならない(平成17年総務省令第40号)3条2項2号二)。2●以上ではないので本肢は誤りである。
楽学管理業務主任者 p.375「〔注3〕スプリンクラー設備」

【問 23】 正解 3
1 数値が明示されていない。
 
2 数値が明示されていない。
3 数値が明示されており正解。平成12年5月30日建設省告示1406号・昭和50年12月20日「建築物に設ける飲料水の配管設備及び排水のための配管設備の構造方法を定める件」によれば,給水タンクおよび貯水タンクを建築物の内部,屋上または最下階の床下に設ける場合,内部の保守点検を容易かつ安全に行うことができる位置に,直径60㎝以上の円が内接することができる構造としたマンホールを設けることとしている。
4 数値が明示されていない。
楽学管理業務主任者 p.395「クロスコネクションの禁止」,p.412「通気管」

【問 24】 正解 4
1 正しい。火を使用する設備または器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては,排気フードは,不燃材料で造らなければならない(建築基準法施行令20条の3第2項4号)。
2 正しい。換気上有効な排気のための換気扇を設けた場合には,給気口の設置高さに対する数値上の制限はない。
3 正しい。排気口または排気筒に換気扇等を設ける場合にあっては,その有効換気量は国土交通大臣が定める数値以上としなければならず(20条の3第2項1号),その数値とは本肢の記述のとおりである。
4 誤りで正解。建築物の調理室,浴室,その他の室でかまど,こんろ,その他火を使用する設備または器具を設けたものに設ける換気設備は,火を使用する設備または器具の通常の使用状態において,異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね20.5%以上に保つ換気ができるものとして,国土交通大臣の認定を受けたものとすることが必要である。したがって,酸素の含有率がおおむね15%以上に保つ換気ができる場合でも,有効換気量についての規制を受ける(20条の3第2項1号ロ)。

【問 25】 正解 2
1 不適切。平面自走式とは,地表面を自走して利用する方式であり,普通乗用車1台当たりの占める面積は,2.5m×5.0mである。
2 最も適切で正解。建築基準法第2条第1号によれば,土地に定着する工作物のうち,屋根および柱もしくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む)を,建築物という。したがって,立体自走式は,屋根,柱等を有する工作物であるから建築物に該当する。
3 不適切。建築物といえるためには,屋根が必要である。したがって,「屋根の有無を問わず建築基準法の建築物に該当する」との部分は明白な誤りである。
4 不適切。機械式駐車装置の保守点検の基準が建築基準法にすべて定められているわけではない。
楽学管理業務主任者 p.429「駐車場設備」

【問 26】 正解 4
1 適切。コンクリートの中性化は空気中の二酸化炭素により生じる。したがって,屋内では,人間から吐き出される二酸化炭素により,二酸化炭素の量が屋外より多いので,屋内側の方が中性化の進行が早い。
2 適切。ジャンカがあると,隙間が多いため,その周囲の中性化の進行度合いが大きい。
3 適切。コンクリートが中性化してもコンクリート自体の強度は低下しない。しかし,コンクリートが中性化することにより鉄筋が錆びて膨れ上がり,これにより,コンクリートが破壊され,強度が低下することになる。
4 最も不適切で正解。中性化は,空気中の二酸化炭素とコンクリートが化学反応を起こして発生する。空気中の酸素によって,コンクリートが中性化するのではない。
楽学管理業務主任者 p.472「診断方法」

【問 27】 正解 4
1 適切。建物の不同沈下により,建物の躯体コンクリートに亀裂が発生する。
2 適切。コンクリートの乾燥収縮によって,亀裂を生じる。
3 適切。夏は高温により,コンクリートが膨張し,冬の低温により,コンクリートが収縮し,この膨張・収縮の繰り返しにより亀裂を生じる。
4 最も不適切で正解。紫外線によりコンクリートに亀裂を生じることはない。
楽学管理業務主任者 p.474「コンクリートの劣化」

【問 28】 正解 3
1 適切。屋上の高置水槽に転倒等の防止のための補強をすることは,地震対策として適切である。
2 適切。1階ピロティ部分の開口部に鉄骨ブレースを入れるのは,ピロティ部分の補強になるので,地震対策として適切である。
3 最も不適切で正解。1階ピロティ部分の開口部を軽量ブロックで塞いだとしても,崩れやすいので,地震対策として適切とは言えない。
4 適切。1階ピロティ部分の柱に炭素繊維シートを巻くことは,柱の座屈を防止でき,地震対策として適切である。

【問 29】 正解 4
1 不適切。建物等の「管理又は使用」にかかわりがない事項は,規約として定めても無効である。したがって,専有部分の譲渡に関する制限を設ける本肢の規約は,無効である(区分所有法30条1項)。
2 不適切。専有部分の使用禁止の訴訟を提起する場合には,区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議を経なければならない(58条1項・2項)。したがって,本肢の規約は,無効である。
3 不適切。消防用設備等の点検のためであっても,専有部分内に立入るためには,原則として,区分所有者の承諾を得るべきである。したがって,本肢の規約は,区分所有者の利益を不当に害するものであり,無効である(30条1項)。
4 最も適切であり正解。「管理費滞納者に対し,遅延損害金のほか,違約金としての弁護士費用,督促及び徴収の諸費用を加算して請求することができる」旨の規約は,「建物等の管理に関する事項」についての規約として,有効である(30条1項)。
楽学管理業務主任者 p.57「規約」,p.89「区分所有者に対する使用禁止請求」

【問 30】 正解 4
1 適切。区分所有者から専有部分を賃借している者は,当該区分所有者の代理人として,総会に出席することができる(マンション標準管理規約(単棟型)46条5項)。そして,代理人は,代理権を証する書面(委任状)を理事長に提出しなければならない(46条6項)。
2 適切。組合員のほか,理事会が必要と認めた者は,総会に出席することができる(45条1項)。
3 適切。マンション管理業者の従業者は,組合員でない場合には,自己の属する管理業者が管理組合の総会運営の補助業務を受託していても,理事会が必要と認めない限り,総会に出席することができない(45条1項)。
4 最も不適切であり正解。自分の行為の規約違反を理由として総会の議題に取り上げられる場合でも,組合員である以上,総会に出席することができる。
楽学管理業務主任者 p.114「マンション標準管理規約」

【問 31】 正解 1
1 最も不適切であり正解。「組合員の氏名,部屋番号,電話番号,勤務先を記載した名簿を各組合員の同意なしに全組合員に配布する」行為は,区分所有者のプライバシー権を不当に侵害するものであるから,不適切な行為である。
2 適切。「ペット,騒音に関する苦情調査のため,部屋番号と氏名欄を設けたアンケート用紙を全居住者に配布する」行為は,「良好な住環境を確保するために必要な業務」として,許される(マンション標準管理規約(単棟型)32条17号)。
3 適切。「エレベーター内で発生した事件について,警察の求めに応じて監視カメラの映像記録を提出する」行為は,「組合管理部分の保安」業務の一環として,許される(32条1号)。
4 適切。「水漏れ事故の原因調査のため,被害者宅のほか水漏れの原因箇所と思われる住戸への立入りを請求する」行為は,「組合管理部分の保全」業務の一環として,許される(32条1号)。
楽学管理業務主任者 p.114「マンション標準管理規約」

【問 32】 正解 2
1 適切。専門的知識を有する者の活用に要する費用は,管理費から支出する(マンション標準管理規約(単棟型)27条9号)。
2 最も不適切であり正解。建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に要する費用は,修繕積立金から支出する(28条1項4号)。
3 適切。長期修繕計画の作成または変更に要する費用は,管理組合の財産状態等に応じて,管理費または修繕積立金から支出する(マンション標準管理規約(単棟型)コメント32条関係④)。
4 適切。共用設備の保守維持費や,経常的な補修費は,管理費から支出する(27条3号・6号)。
楽学管理業務主任者 p.114「マンション標準管理規約」

【問 33】 正解 1
1 最も適切であり正解。規約で,管理費の負担割合について,専有部分の床面積の大小を問わずに,区分所有者間で同一である旨を定めることは,専有部分の床面積が小さい区分所有者に実質上過度の負担を課すことになり,一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼすことになる。したがって,その者の承諾を得なければならない(区分所有法31条1項)。
2 不適切。独居高齢の区分所有者にとって,小型犬は,盲導犬のように飼主の日常生活・生存にとって不可欠なものとまでは言えないから,規約により犬猫等の動物の飼育を禁止しても,一部の区分所有者の権利に「特別の影響」を及ぼすとは言えない。したがって,その者の承諾を得る必要はない(31条1項,東京高判平6.8.4)。
3 不適切。夜間のピアノ演奏は午後8時までとする規約は,その影響が区分所有者全体に一律に及ぶから,「一部の区分所有者」に特別の影響を及ぼすとは言えない。したがって,音楽大学の受験生を子に持つ区分所有者の承諾を得る必要はない(31条1項)。
4 不適切。マンションの1階店舗部分について外装工事の制限を定める規約は,区分所有権に内在する一般的制約を具体化したもので,「一部の区分所有者」に特別の影響を及ぼすものではない。したがって,1階店舗をコンビニエンスストアに賃貸している区分所有者の承諾を得る必要はない(31条1項,東京地判昭63・11・28)。
楽学管理業務主任者 p.62「規約の設定・変更・廃止」

【問 34】 正解 2
1 適切。代理人は,代理権を証する書面(委任状)を理事長に提出しなければならない(マンション標準管理規約(単棟型)46条6項)。したがって,委任状の提出がない者に対し,会場からの退場を促すことは,適切な行為である。
2 最も不適切であり正解。総会の議事は,議長を含む出席組合員(書面または代理人によって議決権を行使する者を含む)の議決権の過半数で決議し,過半数の賛成を得られなかった議事は否決とする(マンション標準管理規約(単棟型)コメント47条関係①)。したがって,本肢の議長の行為は,不適切である。
3 適切。議長は,総会において議事を進行させる権限を有するから,「1つの議案の審議が合理的限度を超えて長時間に及んだ場合に,質疑討論を打ち切り,採決する」行為は,議事進行として適切な行為である。
4 適切。総会の議長は,理事長が務める(42条5項)。したがって,理事長が,議長を選任する手続をせずに,自ら議長を務めることは,適切な行為である。
楽学管理業務主任者 p.114「マンション標準管理規約」

【問 35】 正解 3
ア 正しい。敷地利用権とは,専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利である(区分所有法2条6項)。
イ 正しい。規約敷地は,区分所有者が建物および建物が所在する土地(法定敷地)と一体として管理または使用する庭,通路その他の土地を規約により建物の敷地としたものである(5条1項)。そして,規約敷地は,法定敷地と隣接していなくてもよい。
ウ 正しい。敷地利用権は,数人で有する所有権(共有)でなくてもよい。たとえば,数人で有する賃借権(準共有)でもよい。
エ 誤り。敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には,区分所有者は,その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができないが,規約で定めれば,両者を分離して処分することができる(22条1項)。したがって,本肢の規約は,有効である。
 以上により,正しいものはアイウの三つであり,3が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.26「敷地」



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不動産受験新報2008年2月号 平成19年度 管理業務主任者試験 解答と解説 その1

2008-01-30 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」2008年2月号
       (毎月1日発売 定価910円)


管理業務主任者試験
平成19年度 解答と解説その1
今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)伊藤陽三,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,高橋あや,十影 響,氷見敏明,福田隆光

【問 1】 正解 1
1 正しく正解。双務契約の当事者の一方は,相手方がその債務の履行を提供するまでは,自己の債務の履行を拒むことができるが,相手方の債務が弁済期にないときは,この限りではない(同時履行の抗弁権。民法533条)。
2 誤り。一定の役務の提供に対して報酬が与えられることが約された契約は,民法第534条,第535条のどれにも該当しない。したがって,当事者双方の責めに帰することができない事由によって役務の提供ができなくなったときは,民法第536条第1項が適用され,反対債権である報酬権も消滅する(危険負担における債務者主義)。
3 誤り。当事者の一方がその債務を履行しない場合,相手方は相当の期間を定めてその履行を催告し,その期間内に履行がないときに,契約の解除をすることができる(541条)。
4 誤り。解除権の行使は,損害賠償の請求を妨げない(545条3項)。したがって,債務不履行を理由に契約を解除しても,損害賠償の請求をすることができる。
楽学管理業務主任者 p.212「契約の解除」

【問 2】 正解 4
1 最も適切とはいえない。寄託は,当事者の一方が相手方のために保管をすることを約してある物を受け取ることにより成立する(民法657条)。融資を受けることは,寄託ではなく,金銭の消費貸借(587条)にあたる。すなわち,消費貸借は,当事者の一方が種類,品質および数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることにより成立し,金銭消費貸借はその代表的なものである。
2 最も適切とはいえない。請負は,当事者の一方がある仕事を完成することを約し,相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することにより成立する(632条)。相談に応じることは,仕事の完成を約することではないので,請負にはあたらない。
3 最も適切とはいえない。委任は,当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し,相手方がこれを承諾することにより成立する(643条)。ウは,保管することが契約内容になっているので,委任ではなく,寄託にあたる。
4 最も適切であり正解。組合は,各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することにより成立する(667条1項)。エは,各自資金を拠出して自然保護のための啓蒙活動という共同の事業を営むことを約しているので,組合にあたる。
楽学管理業務主任者 p.216「各種の契約」

【問 3】 正解 1
 物を無償で貸すことは,使用貸借(民法593条)にあたる。
1 正しく正解。使用貸借は,借主の死亡によって,その効力を失う(民法599条)。したがって,Bの相続人は,使用借権を承継しないので,本件専有部分を占有する権限がなく,本件専有部分を明け渡さなければならない。
2 誤り。使用貸借においては,借主は,借用物の通常の必要費を負担する(595条1項)。したがって,本件専有部分の通常の必要費は,借主Bが負担する。
3 誤り。使用貸借には,贈与者の担保責任の規定が準用され(596条),貸主は,使用貸借の目的である物の瑕疵につき,原則として担保責任を負わない(551条1項)。これに対し,賃貸借には,売主の担保責任の規定が準用され(559条),賃貸人は,賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があったときは,原則として担保責任を負う(570条,566条)。したがって,使用貸借の貸主Aが負う担保責任は,賃貸人の担保責任とは異なる。
4 誤り。使用貸借においては,借主は,契約に定めた時期に,借用物の返還をしなければならない(597条1項)。本肢のような,貸主に自己使用の必要があるときには,いつでも返還請求できる旨の規定はない。

【問 4】 正解 4
1 正しい。建物の賃貸人の先取特権は,賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する(民法313条2項)。したがって,Aの先取特権は,Bが本件専有部分に備え付けた動産について存在する。
2 正しい。賃借権の譲渡または転貸の場合には,賃貸人の先取特権は,譲受人または転借人の動産にも及ぶ(314条前段)。したがって,Aの先取特権は,転借人Cの動産にも及ぶ。
3 正しい。先取特権は,債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は,その動産について行使することができない(333条)。したがって,債務者Bが動産をDに売却して引き渡した後は,Aの先取特権は,その動産について行使することができない。
4 誤りで正解。先取特権は,その目的物の売却,賃貸,滅失または損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても,行使することができる(物上代位。304条1項本文)。Bが本件専有部分に備えた動産はAの先取特権の目的であるので(313条2項),Aの先取特権は,BがEから受けるべき金銭(売却代金)に対しても行使することができる。
楽学管理業務主任者 p.241「抵当権以外の担保物権」

【問 5】 正解 3
ア 誤り。共有物の管理に関する事項は,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決する(民法252条本文)。したがって,「頭数」および各持分の価格の各過半数をもって決するという本肢は誤り。
イ 正しい。各共有者は,いつでも共有物の分割を請求することができる(256条1項本文)。ただし,5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない(256条1項ただし書)。したがって,A,B,Cは,5年以内は分割をしない旨の契約がない限りは,いつでも分割を請求することができる。
ウ 正しい。占有者は,所有の意思をもって,善意で,平穏に,かつ,公然と占有をするものと推定される(186条1項)。
エ 誤り。共用部分は,原則として区分所有者の共有に属する(区分所有法11条1項本文)。そこで,専有部分を時効取得した者は,それと共に共用部分の持分を時効により取得すると考えられる。
 以上により,正しいもののみの組合せはイとウであり,3が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.17「専有部分と共用部分」,p.259「共有」

【問 6】 正解 4
1 正しい。AC間の転貸借契約は,他人物賃貸借契約として有効である(民法559条,560条)。したがって,Aは,Cに対して賃料の支払いを請求することができる。このことは,所有者(賃貸人)Bの承諾の有無に関係ない。
2 正しい。他人物賃貸借契約には,他人物売買の規定が準用され(559条),賃貸人が賃借人に目的物の使用収益をさせることができないときは,賃借人は,契約の解除をすることができる(561条前段)。したがって,Bの承諾が得られない場合には,Cは,Aに対してAC間の契約を解除することができる。
3 正しい。賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃借物の使用収益をさせたときは,賃貸人は,契約の解除をすることができる(612条2項)。したがって,AがBに無断で本件専有部分をCに転貸し,Cに使用させた本肢では,Bは,AB間の賃貸借契約を解除することができる。
4 誤りで正解。賃借権の無断譲渡・無断転貸の場合,賃貸人は,賃貸借契約を解除しなくても,譲受人・転借人に対して明渡しを請求することができる(最判昭26・5・31等)。なぜなら,無断譲受人・無断転借人は不法占拠者だからである。したがって,Bは,Aとの賃貸借契約を解除しなくても,Cに対して,所有権に基づいて明渡しを請求することができる。
楽学管理業務主任者 p.216「各種の契約」

【問 7】 正解 4
1 不適切。書面をもって開示する必要があるのは,「専有部分を除く」マンションの修繕の実施状況である(マンション標準管理委託契約書14条1項3号)。専有部分の修繕は各区分所有者が行うものなので,常時,マンション管理業者が把握しておいて,その情報を提供することはできないからである。
2 不適切。管理規約の写しを提供する際に,当該書面に管理業務主任者の記名押印をする必要はない(マンション標準管理委託契約書14条1項参照)。
3 不適切。管理規約が電磁的記録により作成されている場合には,記録された情報の内容を「書面に」表示して開示することとされている(マンション標準管理委託契約書コメント14条関係②)。管理規約の写しは,宅建業者が顧客に対し重要事項の説明を行う際に必要な資料として提供される。そうだとすると,内容が画面に表示されるだけでは,宅建業者としては困るであろう。
4 最も適切で正解。マンションの売却をする場合,宅建業者は,重要事項として修繕積立金積立総額を買主に説明しなければならない(宅建業法施行規則16条の2第6号)。それゆえ,管理組合の修繕積立金積立総額は,マンション管理業者から宅建業者に対して,書面をもって開示するものとされている(マンション標準管理委託契約書14条1項2号)。
楽学管理業務主任者 p.634「マンション標準管理委託契約書」

【問 8】 正解 3
ア 適切。管理事務を行う上で必要な管理員室,管理用倉庫,清掃員控室,器具,備品等は,管理事務の遂行に不可欠なものなので,無償で使用させるものとされている(マンション標準管理委託契約書7条1項,同コメント7条関係①)。
イ 適切。定額委託業務費以外の業務費とは,実施内容によって価額に変更が生じる場合があるため,各業務終了後に管理組合とマンション管理業者で精算を行う費用をいう。たとえば,業務の一部が専有部分内で行われる配水管の清掃業務,消防用設備等の保守点検業務などである(マンション標準管理委託契約書コメント6条関係②・③)。この定額委託業務費以外の業務費については,精算の必要があるので,本肢のとおりの方法で支払われることになっている(マンション標準管理委託契約書6条3項)。
ウ 適切。「定額」という言葉から分かるとおり,定額委託業務費とは,委託業務費のうち,その負担方法が定額でかつ精算を要しない費用をいう(6条2項)。
エ 不適切。マンション標準管理委託契約書においては,マンション管理業者が管理事務を実施するのに伴い必要となる水道光熱費,通信費,消耗品費等の諸費用は,管理組合が負担することとされている(6条4項)。協議によってその負担が決定されるのではない。
 以上により,適切な記述はアイウの三つであり,3が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.628~630「マンション標準管理委託契約書」

【問 9】 正解 1
1 最も不適切で正解。マンション管理業者は,出納業務として,管理組合の管理規約等の定めもしくは総会決議,組合員名簿もしくは組合員異動届または専用使用契約書に基づき,組合員別の1月当たりの管理費等の負担額の一覧表(組合員別管理費等負担額一覧表)を管理組合に提出しなければならない(マンション標準管理委託契約書別表第1・1(2)①一)が,その提出を「毎月」行う必要はない。一般的に,毎月の管理費等の負担額は変わらないので,毎月提出する意味はないからである。
2 適切。マンション管理業者は,マンションの維持または修繕に関する企画または実施の調整業務として,管理組合がマンションの維持または修繕(大規模修繕を除く修繕または保守点検等)を外注により第三者に行わせる場合の企画または実施の調整を行うものとされている(マンション標準管理委託契約書別表第1・1(3)二)。
3 適切。マンション管理業者は,基幹事務以外の事務管理業務として理事会支援業務を行うが,その理事会支援業務の一つとして,本肢のとおり組合員等の名簿の整備を行うこととされている(マンション標準管理委託契約書別表第1・2(1)①)。
4 適切。マンション管理業者は,基幹事務以外の事務管理業務として,理事会支援業務および総会支援業務のほか,本肢のとおり各種点検,検査等に基づく助言等の業務も行うものとされている(マンション標準管理委託契約書別表第1・2(3)①)。
楽学管理業務主任者 p.638~643「マンション標準管理委託契約書別表第1」

【問 10】 正解 2
1 誤り。管理費の支払債務のような金銭債務においては,その不履行があった場合,遅延損害金の定めがなくても,債権者は,法定利率による損害賠償金(遅延損害金)を請求することができる(民法419条1項)。
2 正しく正解。管理費の滞納者が,滞納の事実を認め,滞納管理費の一部であることを明示して支払った場合,債務者が自ら債務の全部の存在を承認したことになるから,全額について消滅時効が中断する(147条3号)。
3 誤り。相続を放棄した場合,その者は,はじめから相続人とならなかったものとみなされる(939条)。したがって,滞納した管理費の支払義務も相続しなかったことになるので,これに対し支払いを請求することはできない。
4 誤り。管理費等の債権は,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる(区分所有法8条)。特定承継人は,滞納の事実等について,善意無過失であっても,その支払義務を負う。
楽学管理業務主任者 p.210「金銭債務の特則」,p.206「承認」,p.269~270「相続の承認と放棄」,p.43「特定承継人の責任」

【問 11】 正解 3
ア 誤り。マンションを売却し,区分所有者でなくなったとしても,滞納管理費を支払う義務が消滅するわけではない。管理費を滞納した張本人なのだから,当然である。
イ 誤り。少額訴訟は,訴訟の目的の価額が「60万円以下」の場合でなければ利用することができない(民事訴訟法368条1項)。
ウ 正しい。滞納者が行方不明の場合は,公示送達という方法で被告に訴状を送達することによって,訴えを提起することができる(110条1項1号)。
エ 正しい。内容証明郵便による督促をしたとしても,それはあくまで裁判外の請求(催告)であるから,6箇月以内に,訴え提起等の所定の法的手続をとらないと時効中断の効力は生じない(民法153条)。
オ 誤り。破産手続により債務者が支払義務を免れるのは,破産手続開始の決定を受けたときではなく,その後,免責許可の決定が確定したときである(破産法253条1項)。また,免責によって支払義務を免れるのは,原則として,破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であり(253条1項,2条5項),破産手続開始の決定を受けた日以降に生じた債権は,免責の対象にはならない。
 以上により,正しいものはウとエであり,3が正解となる。
楽学管理業務主任者 p.350「少額訴訟制度」,p.342~343「時効の中断」

【問 12】 正解 1
1 最も不適切で正解。管理費等に不足を生じた場合には,管理組合は組合員に対して共用部分の共有持分に応じて,その都度必要な金額の負担を求めることができるが(マンション標準管理規約61条2項),その際に理事会の決議を経る必要はない(マンション標準管理規約54条参照)。
2 適切。収支予算は,総会の議決事項とされている(マンション標準管理規約48条2号)。この収支予算を理事の判断だけで変更できるとしたのでは,総会の議決事項として慎重に決定することにした意味がなくなるので,収支予算を変更しようとするときは,理事長は,その案を臨時総会に提出し,その承認を得なければならないこととされている(マンション標準管理規約58条2項)。
3 適切。管理組合は,特別の管理に要する経費に充当するため,必要な範囲内において,借入れをすることができるが(マンション標準管理規約63条),金銭の借入れは慎重に行う必要があるので,借入れをするには総会の決議が必要である(マンション標準管理規約48条6号)。
4 適切。修繕積立金の総額はかなり高額になるので,その保管および運営方法を決めるには,総会の決議が必要である(マンション標準管理規約48条8号)。
楽学管理業務主任者 p.114~118「マンション標準管理規約」

【問 13】 正解 4
1 適切。一般的に,すべての取引について(網羅性),検証可能な証拠に基づいて(検証性),秩序だって記帳されていれば(秩序性),正規の簿記の原則は満たすと考えられており,単式簿記が排除されるものではないが,複式簿記が適しており望ましい。これはマンション管理組合会計にもあてはまり,適切である。
2 適切。明瞭性の原則は,利害関係者に財務諸表に関する判断を誤らせないようにするためのものであり,適切である。
3 適切。単一性の原則は,種々の報告目的のために,異なる形式の財務諸表を作成する場合にも,その内容は信頼しうる会計記録に基づいて作成されなければならないというもので,二重帳簿の禁止を内容としており,適切である。
4 最も不適切で正解。継続性の原則は,会計処理の原則および手続を毎期継続して適用し,みだりにこれを変更してはならないとするもので,たとえば法令の改廃といった正当な理由がある場合には変更が認められる。したがって,いかなる場合でも変更を認めていないとするのは不適切である。
楽学管理業務主任者 p.295~p.297「管理組合会計の会計原則」

【問 14】 正解 3
1 誤り。平成19年4月1日以降,管理組合以外の第三者に,駐車場を貸し付けるに当たり,平成19年3月31日に敷金90,000円と平成19年4月分の駐車場使用料90,000円を受け取った場合,平成18年4月1日から平成19年3月31日の会計期間から考慮すると,平成19年3月31日に平成19年4月以降即ち次期に発生すべき駐車場使用料収入を計上することは,発生主義からして許されない。したがって,貸方:駐車場使用料収入とするのは誤り。
2 誤り。平成19年3月31日に受け取った駐車場に関する敷金の90,000円については,後日修繕等がなければ,返還義務を負う債務であるので貸方:預り金として計上するのは正しいが,上記同様次期に係る駐車場使用料収入を3月に計上するのは誤り。
3 正しく正解。駐車場に関する敷金90,000円については,貸方:預り金として計上し,前もって受け取った4月分駐車場については使用料の前受けを処理する勘定として貸方:前受金として計上するのは正しい処理であり,これが正解。
4 誤り。敷金90,000円については,4月以降のサービス提供によって解消するものでなく,返済を予定するものであるから,預り金として計上すべきであり,180,000円全額を貸方:前受金として計上するのは誤り。
楽学管理業務主任者 p.310~p.319「組合の決算」

【問 15】 正解 3
1 誤り。平成18年4月1日から平成19年3月31日会計期間から,発生主義を前提に平成19年3月分として計上すべき仕訳を考慮するとき,平成19年4月27日に支払われた平成19年5月分の管理委託費と,平成19年5月1日から平成20年4月30日の火災保険料は,サービスの提供も,対価の支払いも次期に関わり,平成19年3月分として計上すべきものではない。したがって,平成19年3月分として,借方:管理委託費 1,200,000円 借方:損害保険料 980,000円の仕訳は誤り。
2 誤り。普通預金から振込みにより支払われたのは,平成19年4月27日であって平成19年3月中ではない。したがって,貸方:普通預金2,378,000円の仕訳は誤り。
3 正しく正解。水道光熱費 113,000円と修繕費 85,000円は平成19年3月にサービスの提供を受けており,平成19年3月31日時点では未払いであるが,発生主義により経費計上しなければならない。したがって,借方:水道光熱費 113,000円 借方:修繕費 85,000円 貸方:未払金 198,000円とする仕訳は正しく正解。
4 誤り。普通預金から振込みにより支払われたのは,平成19年4月27日であって平成19年3月中ではない。したがって,貸方:普通預金198,000円の仕訳は誤り。
楽学管理業務主任者 p.310~p.319「組合の決算」

【問 16】 正解 2
1 正しい。国内において事業者が行った資産の譲渡,役務の提供等は一般に消費税の課税対象となり(消費税法4条),管理組合が支払う管理報酬,修繕費,備品の購入代,エレベーター管理保守料といったものも例外でなく正しい。
2 誤りで正解。事業者が国内において対価を得て行われる資産の譲渡および役務の提供は消費税の課税対象であり(4条),備品の譲渡は課税対象となり,課税売上高に含まれる。したがって,確かに課税売上高1,000万円以下の事業者は納税義務が免除されてはいるが(9条),備品の譲渡を除けば1,000万円を下回るので納税義務が生じないとするのは誤り。
3 正しい。消費税の納税義務者は事業者とされ(5条),また法人格のない社団は消費税法上法人と看做され(3条),非法人管理組合および管理組合法人は事業者として消費税の納税義務者となる。そのとおり。
4 正しい。給料・賃金といった従業員の人件費は,事業者が行った資産の譲渡,役務の提供等の対価に該当せず,不課税取引として消費税の対象とならない。これは管理組合の従業員にもあてはまり,正しい。
楽学管理業務主任者 p.335「管理組合と消費税」

【問 17】 正解 3
1 正しい。耐火性能とは,通常の火災が終了するまでの間当該火災による建築物の倒壊および延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう(建築基準法2条7号)。
2 正しい。準耐火性能とは,通常の火災による延焼を抑制するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう(2条7号の2)。
3 誤りで正解。防火性能とは,建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁または軒裏に必要とされる性能をいう(2条8号)。本肢では,周囲の他の建築物に延焼することを抑制するための性能となっているので不適切である。
4 正しい。遮炎性能とは,通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう(2条9号の2ロ)。

【問 18】 正解 1
1 算入しなければならないので正解。容積率の算定において,昇降機塔などの建築物の屋上部分について延べ面積に算入しないという取扱いはない。なお,建築物の高さの算定では,昇降機塔などの建築物の屋上部分について一定の範囲内で,建築物の高さに算入しない場合がある(建築基準法施行令2条1項6号)。
2 算入しない。容積率の算定において,自動車車庫の用途に供する部分の床面積は,敷地内の建築物の各階の床面積の合計(自動車車庫部分を含む)の5分の1を限度として,延べ面積に算入しない(2条1項4号・3項)。
3 算入しない。容積率の算定において,地階の天井が地盤面からの高さが1m以下にあるものを住宅の用途として使用する場合は,各階の住宅部分の床面積の合計の3分の1を限度として延べ面積に算入しない(建築基準法52条3項)。 
4 算入しない。容積率の算定において,共同住宅の共用廊下や階段部分の床面積は延べ面積に算入しない(52条6項)。




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