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◇ERP◇ “脱・メインフレーム”サービス事業を発表するベンダーがまた増えてきた

2006-06-25 12:25:17 | IT・視点

 メインフレームからオープン系サーバーへ移行する“脱・メインフレーム”は、数年前に大きなテーマとして浮上し、各社からマイグレーションサービスの発表が相次いだ時期があった。このときは機が熟していなかったのか、マスコミが騒いだだけに終わってしまった。暫くの間の沈黙の後、最近になり数社からマイグレーション事業への取り組みが発表された。メインフレームは最後に勝ち残ったのがIBM1社で、オープン系は攻めやすいはずであるのに、メインフレームユーザーのメインフレーム信仰はそう簡単になくなりはしなかった。それにIBMがオープン系の攻撃を逆手に取り“Linuxメインフレーム”を提供し、ユーザーから好評を得たという背景もあり、メインフレームは一時的な小康状態を保ってきた。ところが全体の流れはオープン系にあることは隠しようのない事実で、これまでメインフレームの牙城であった金融や製造市場でもメインフレームからオープン系サーバーに移行するユーザーが加速度的に増えてきている。この期をとらえ各ベンダーは再度マイグレーションサービス事業の発表を行っているわけで、今度はいいタイミングとなったようだ。Java、コンポーネント、OSS(オープンソースソフトウエア)、さらに今後はSOAなどが“脱・メインフレーム”のキーワードになってこよう。このようにメインフレームが毎年減少を続ける中で、IBMの運命はどうなっていくのか。答えはIBMの将来はかなり厳しいといわざるを得ない。一時期はコンサルティングやアウトソーシング事業で稼げるが、そう長くは続かないし、今後は市場での価格の下落現象がこれらの市場でも起こり、収益を上げるのが困難になってくる。IBMがメインフレームに代わる独占的ヒット商品をこれから生み出せるかというと、答えは限りなくNoに近い。結論として言えることは、「IBMは将来並みのIT企業に成り下がる」ということだ。現に直近の四半期ではついに売上高でHPに抜かれ、このままいくと06年度の売上高でHPに首位の座を明け渡すかもしれないという一大ピンチに見舞われているのだ。

 ここでは最近発表された主なマイグレーションサービス事業を紹介する。

 サントリーのソフト子会社のサンモアテック(大阪市北区)は、サントリーの“脱・メインフレームプロジェクト”で開発されたJavaバッチフレームワーク「SUNBATCH」の販売を開始した。SUNBATCHは、Javaバッチ処理を効率的に開発し、高性能に稼働させることができる。SUNBATCHの特徴は次のとおり。①パフォーマンスの向上=並列処理をすることにより処理時間の短縮を図ることができる②開発効率・保守性の向上=コンポートネント技術のEJBのメリットを生かしながら、バッチ処理システムを構築できる。SUNBATCHのフレームワーク開発によって、設計や実装の統一・標準化することができる③スケールアウトが容易=ジョブごとに実行サーバーを選択することができる。このため、マシンのハード増強などを必要とせず、空きサーバーリソースを有効活用することができる。

 サン・マイクロシステムは、旧バージョンのSolarisや他社のOS上で稼働するアプリケーションを、OSS(オープンソースソフトウエア)として公開した最新のSolaris10環境へ移行させる際の技術的検証作業および移行支援作業を行う「マイグレーションセンター」を本社内に設置した。同社はこの「マイグレーションセンター」を活用して、現在旧バージョンで稼働している多くのSunプラットフォーム、他社製UNIX、Linux、メインフレームなどを、最新のSolaris10環境に移行するマイグレーション・ビジネスを推進することにしている。Solaris10は、05年の提供開始以来現在まで400万以上のダウンロード実績を持つ。特徴は①互換性の維持で投資の保護②システムの将来性の明示③セキュリティの強化④数多くの世界記録を持つパフォーマンス⑤ハードウエアリソースの有効活用⑥50%以上のダウンタイム軽減―など。

 日本HPはデータリンク(東京都北区、井上英明社長)と、メインフレームシステムのオープンシステムへの移行に関して協業を開始した。データリンクの提供するシステム分析やメインフレーム上のアプリケーションを、オープンシステム上の最新技術で利用できるようにするサービス「アプリケーションモダニゼーションサービス」を提供する。今回の両社の協業には、日本BEAシステムズ、マイクロフォーカスの両社からの技術支援を受ける。同サービスは、メインフレームで構築された資産をJavaなどの最新技術によって利用したいなどの要望に応えたもので、システム分析、計画立案、設計、システム構築を行う。日本HPではこのような取り組みを「メインフレーム・オルタナティブ(MFA)プログラム」と名づけ推進することにしており、今回の協業はこの第1弾の取り組み。 (erpdata)