英語講師の仕事の息抜き日記

教室や身の回りで起こる、ちょっとした出来事を書き綴ってみました。
あなたの仕事の息抜きにお寄り下さい。

学校で習ったのとは違う英文法

2005-08-24 11:39:02 | 英語表現
今日は簡単な英文法まめ知識。 人気blogランキングへ

下の文を見てみて下さい。

To please Mrs. Gibson is not easy. (ギブソン夫人を喜ばせるのは簡単じゃない)

この文にどこかおかしなところ、直したいところはありますか?

どこにも直すところが無いように見えますよね?でも、同じ質問をアメリカの大学で英語の先生にするとたいてい一か所直されます。どこかわかりますか?

To please が Pleasing に直されます。訂正文は Pleasing Mrs. Gibson is not easy.

ここで、学校でしっかりと英文法を習った日本人なら、直す必要なんて無いはずだ、と気付くでしょう。To + 動詞は「不定詞」、名詞的用法では「~すること」という意味になり、To please「喜ばせること」という意味になります。だから主語になるはずです。

でも、知識あるアメリカ人にしてみると、不定詞を主語に置くのはおかしい感じがするのだそうです。

実際にわたしが Writing のクラスで、担当の先生から不定詞の主語を直されて驚き、時間が経ってから、大学院の研究の一環として、自分の学んでいたカリフォルニアの大学の英語学科の先生ほぼ全員にアンケートを作って「不定詞の主語」について尋ねたところ、8割の先生が直すと言っていました。(ただしESL専門に教えている先生では減って6割)英語科主任の言語学の教授に理由を尋ねると、"A gerund is more preferable in the subject position(動名詞のほうが主語にするにはふさわしいから)" と言っていました。

不定詞を主語に使うのは文法的には決して間違いではないけれど、実際には使われないので、不自然に感じる、ということのようです。

日本の学校できちんと英文法を習っても、実際にその通りに使われているとは限らない、という事を知りました。

実際に使われているかどうかを基準にした文法をdescriptive grammar (記述文法)といい、わたしはこれをきっかけに興味を持ちました。

次回は、アメリカ人の先生がイギリス英語をどう扱うか、ついてです。
それではまた。

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