秋の訪れ。

外に出たら秋の匂いがした。
あたしの苦手な季節が
急にやって来る。

いやだいやだって
何がということもなく
こわくて
早く死んでしまいたいと
切に願う。

オフフィスビルがひしめきあい
働く人がスタスタと歩き
私はどこかに
おいてけぼりだ。

誰も私の後ろを歩いていない
誰も私のことを振り返らない
置いていかないで
置いていかないで

置いていかれない場所へ
誰もいない場所へ
でも
そんな勇気はどこにもない。

私は
どこに向かっているんだろう。
また少し
迷い始める季節。

A5ランクの牛

楽しかっただろうか
私と一緒にいて。

大して面白い話もできず
大して盛り上がる相づちも打てず
自信はないけど
あなたと向き合う心構えだけは
できています。

少し恥ずかしくて
少し緊張して
何の話をしていたか
おぼろげ

また二人で
会ってくれるかな。

会ってくれたら
嬉しいな。

なきむし

どこまで泣き虫なのだろう。
緊張して
どうにもならない。

仕事で
涙を見せるのは
良いことではない。

わかっている。

涙を流せば許されるなんて思わない。

緊張しすぎているのだ
自信がなさすぎるのか
自信がありすぎて
壊れるのがこわいのか
どちらにしても

なんで泣いてしまうんだろう。

せみ

セミが鳴いている
ことが
日常の音になじんでいる。

土のなかで長年暮らして
大きくなって
空に飛び立つ。

そういえば
セミの脱け殻は
木の幹にくっついているけれど
土の中から
そこまでは
どうやってたどり着くのだろう。

きゅん。

どこまでわがままな女だろうか。
相手が迷惑と思わず
可愛がってくれるということに
甘えきっている。

会いたいから会おう
こうやって真っ直ぐに伝えられる
それが嬉しいんだ。

いつも恋をしていたい

この気持ちは
異常な恋愛依存なのだと
思っていたけど

大人になってからは
沢山の人に出会って
沢山の恋をして
心がきゅんとする機会は
良いことなのだとわかった。

恋愛体質で
だけど特にうまくいったことのない
学生時代を過ごしていて
大人になってから
うまくいくようになったわけでもないけど
きゅんとする気持ちが
沢山はじけると
色んなものがかわいらしく思えたり
体が軽くなって
活動的になれたり
人との出会いが増えて
きゅんが増えていく
良いことがたくさんある。

甘えられるうちは
甘えてもいいということが
わかったし
それはわがままではなくて
相手も嬉しいと捉えてくれるのだと
知った。

行き過ぎると
反省して
慎もうとも思うけれど
バランスをとりながら
「会いたい」って
素直に言ってみる。