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ボーク重子 非認知能力伸ばす習い事との向き合い方( 抜粋)

2019-02-14 10:09:12 | 日記
<ボーク重子さんインタビュー>

ボーク重子 非認知能力伸ばす習い事との向き合い方

●考えるべきは「その習い事に子どもがパッションを感じられるか」のみ

 習い事といえば、子育て中の人の大きな関心事。最近は習い事の種類もどんどん増えており、「どんな習い事を選んだらいいのか分からない」などと悩んでいる人も少なくないのではないでしょうか。

 「どうせやらせるなら、大人になってからの仕事につながるものを」などと、職業訓練の一環として習い事を考えてしまう人もいるかもしれませんが、ボーク重子さんが、子どもの習い事を選ぶ際に考えたことはたった一つ。「子どもがその習い事をすることでパッション(情熱)を持てるかどうか」でした。

 「子どもが心からのパッションを傾けられるものに出合えれば、非認知能力は必ず伸びていきます。パッションがあれば、主体性を持って行動するようになるので、どんな困難が立ちはだかっていても、努力や挑戦を続けることができる。何かに挑戦をすれば、必ず障害が起きます。それを何度も乗り越えるという経験を積むことが、回復力ややり抜く力を鍛え、自信や自己肯定感を育み、生きる力を強化することにつながっていくのです」
最終的にスカイさんが選んだのは、フィギュアスケートと同時進行で5歳から始めたバレエでした。「始めてすぐ、娘がバレエにパッションを感じていることが分かりましたし、実際、バレエに出合って以降、一度も辞めたいと言いませんでした。バレエも男性ダンサーと二人で踊るようになると、相手の腕の中に全力疾走で飛び込んでいってポーズをとったり、高く掲げられたりといろんな高度な技が入ってくるのですが、娘は『怖いけど大丈夫』と言っていました」

 バレエにパッションを傾けるようになったスカイさんは、楽しそうに練習に打ち込み、やがてプロからも声が掛かるまでの腕前になりました。興味深いのが、「他に天性の才能を発揮できる分野があったにも関わらず、そうでないバレエをあえて選んだ」という点です。

親から見て「上手なもの、向いているもの」が最適とは限らない

 「バレエは本来、バレエに合った骨格に生まれた人に向けてつくられているんです。娘の身体の骨格は完璧なバレエ向きではないので、理想的な骨格の人に近づくために人一倍努力しなくてはなりませんでした。でも、本人がバレエを心から好きという気持ちがあったので、努力を続けることができました。そうして所属するバレエ教室の中で、大勢いる生徒たちの中で選ばれ、主役を演じられるまでになれたのです」

 スカイさんはバレエを選びましたが、実はバレエよりももっと向いている競技が別にあったそうです。

 「娘は本当は競技スキーのほうが向いていて、レースチームに入るように何度も誘われました。というのも、雪国に住んでいて毎日のように滑っている男の子と競争をしても、年に1回しか滑らない娘が、全く遜色がないほどだったからです」とボークさんは振り返ります。

 多くの親は、「努力しなければ勝てないバレエより、最初から人より抜きん出ている競技スキーをやらせたほうがいい」と考えるところだと思いますが、ボークさんはそうは思わなかったそうです。

 「娘は競技スキーにそれほど興味を示さなかったためです。仮に競技スキーでオリンピック選手になれたとしても、本人は達成感を感じることはありませんし、そこに幸せはありません。習い事はあくまでパッションを育むことと人間力を育成することを目的としていたので、バレエに絞ることに迷いはありませんでした。でも娘はスキーも大好きで、今では一番の趣味の対象としています」

●子どもが嫌がる習い事はやらせる意味がない

 「一度始めた習い事は、どんなに子どもが嫌がっても何とか頑張らせ、続けさせなければ根性が育たない」などと考える人も多いかもしれません。ですがボーク重子さんは、その考えとは反対だといいます。

 「人生には大変なことがたくさんあるものです。ですから、習い事くらいは純粋に楽しめ、情熱を注げるものだけにしてあげたい。パッションがあれば、多少困難があったり、伸び悩んだり怠けたくなったりした時でも乗り越えていけるはずですから。それが結果的に、社会で生きていく力を身に付けていくことにつながるんです。

 私たち大人だって、好きではない仕事を『あなたは人より上手にできるから、この仕事をやりなさい』と言われたらイヤですよね。それは子どもでも同じです」

1 数多くの選択肢を示す

「習い事を選ぶのは子どもですが、子どもは機会を与えられなければ選ぶことはできません。数多くの経験をさせて、選択肢を広げてあげるのは親の仕事と考え、数多くの習い事にチャレンジさせてあげることを心がけてきました」

2 いろいろな人に会う機会をつくる

「人間は自分以外の他人から非常に多くの影響を受けるもの。子どもの世界を大きく広げてあげられるように、全く異なるバックグラウンドを持つ人と接触させる機会をたくさん作るよう意識してきました」

3 子どもの「フロー状態」を見逃さない

「子どもが、周りの音が聞こえないほどの極度の集中状態に入ることを『フロー状態』に入るといいます。それはまさに、子どもがパッションを感じている瞬間に他なりません。自分の子どもが新しい習い事にチャレンジしている時には、フロー状態に入っているか否か、注意深く観察するよう心掛けました」

4 好きなことが見つかるまで探し続ける

「好きなことは、ある日突然天から降ってくるものではなく、探さなければ見つからないものです。これぞ、という習い事になかなか出合えなくても、いつか必ず見つかると信じ、気長に探し続けました」

5 始め方、やめ方のルールを決めておく

「様々な習い事にチャレンジしてきたといっても、手当たり次第に手を出してきたわけではありません。新しい習い事を始める際には、必ず『3か月』『半年』といった期限を設け、期限内は辞めずに頑張るという、という親子ルールを設け、それを貫いてきました。また、同時期にやる習い事は二つまで、というルールも設け、次にやりたいことが出てきてもすぐに飛びつけない仕組みにしたことで、思い付きで行動せず、自分がやりたいことは何かをじっくり考える習慣を身に付けさせるようにしました」

何のためにやるの?」という質問を習慣に

 それでは、パッションを感じられる習い事が見つかったあとは、どうしたらいいのでしょう。ボークさんが心がけてきたのは、バレエを習い始めたスカイさんに「何のためにやるの?」という質問を繰り返すことでした。

 「目的意識を明確にさせるためです。こうした質問を繰り返されると、子どもは自分から目的を意識するようになります。それも上手になりたいといった自己実現の目的から、次第にもっと大きな目的を持てるようになってきます。社会の一員としての自覚が出てくるのです。娘が出した答えは『キラキラしたきれいな舞台を観てもらって、みんなに楽しい気分になってもらう』というものでした。自分一人のためじゃなくもっと大きな何かのために、そんな大きなビジョンが描けるようになると、さらなる努力ができるようになるといった好循環が生まれ、大きな成長につながっていきます」

●その習い事で将来プロになれるか迷ったらどうすべき?

 では、子どもが習い事に打ち込むあまり、勉強やほかの事に手が付かないほどになってしまったらどうすればいいのでしょうか。いくらパッションを持てる対象だとしても、その習い事を突き詰めたら必ず、将来プロになれ、食べていけるとは限りません。

 「私も、それはもちろん考えました。バレエはプロになってお給料をもらうには非常に狭き門。でも、『バレエでは食べていけないから、止めて勉強しなさい』と言ってしまうと、娘の中にあるパッションを殺してしまうことになります。それでは娘は毎日何を楽しみに生きていくのでしょうか? そこで『パッションと共に生きていくには、どうしたらいいと思う?』と娘と話し合いました。『勉強をして自分の幅を広げておくといいと思う』という結論に至り、娘は自分の判断で、勉強にも力を入れることにしました。バレエの仲間は、高校を辞めて一日中バレエの学校で練習するようになり、娘もバレエの先生から『早く高校を辞めなさい』と言われましたが、娘は高校を辞めず、学業との両立を目指しました」

 ハードな練習と毎日の勉強を両立させるためには、夜はしっかり寝ないと心身が持ちません。「娘は自然と、自分で時間配分を考えるようになり、バレエから帰宅したあと何時まで勉強して、何時までに寝るかを自分で考え、実践するようになりました。こうした計画性や実行能力が身に着いたのも、パッションがあったからこそ。パッションは問題解決の原動力なのです」

 「何もうちの娘が特別なわけじゃないんです」と、ボークさん。「本人の心の底から湧き上がる“パッション”こそが、子どもの心を動かし、子どもを大きく成長させる原動力になると知ってほしい。お子さんが小さい時は、ぜひ習い事でいろいろチャレンジしながら、パッションの芽を育てていただきたいと思います」