今考え中

よくある留学日記・・っていうのが以前の副題だったけど、留学終わっちゃったなぁ

楽しい土曜の夜の過ごし方 後編

2005-11-28 | Weblog
ではご期待にお答えして続きを

病院に行く途中、一瞬具合の良くなったアダムが
「もしかして大丈夫かもしれない」
なんて言い出したけど、結局病院についてからも痛みは襲ってきて、なかなか止まる気配がない。なのに、診察に呼ばれるまですごく長くかかるのは日本もそうかもしれないけどイギリスの病院の常で(あんまり行ったことないけどたぶんそうなんだろう。)、そういうことは3年半の修行で考えなくても分かっていた私は密かにしっかりと本を持ってきていた。でも、痛みを必死にこらえているアダムの隣でさすがに「だめんずうぉ~か~」を読むのは気が憚られる上に、読み始めたら絶対アダムはだめんず(ダメな男)かどうかを考えながら読んでしまうことは必至だし、しかもこんな姿を見ながらだととだめんずだって思ってしまいそうな自分を止めることはできそうにないので、それはあまりにも可哀想だと思って、代わりにスーパードクターKこと壇上さんと待合室の人間観察をすることにした。

すると、来るは来るは、警察官に連行されたごっつい男たち(手錠つき)。ここは警察署かっていうの。ふと気が付くと、隣に頭から血を流している男性が手錠をつけて座っている。やっぱりいい気はしないけど、まあ手錠してるし、隣にはしっかり警察官もついていることだし、ここはじっくり観察させてもらうことにする。警察官は女性で、手錠男のうだうだ長い話を意外にも優しくじっくり聞いてあげている。聞き耳を立てていると、手錠男は誰かのこと(多分奥さんかガールフレンド)を心配していて、しきりに彼女は大丈夫かって聞いている。そしたら警察官は「大丈夫よ」なんて言っていたら、その無責任な言い方が気に入らなかったらしく、次第に激昂してくる男。ついに女性警察官のかわりにガタイのいい男性警察官が来て、すると一気に静かになる手錠男。そういうのが次々にやってきて、合計で少なくとも4本の手錠を見た。

その後、私は診察に呼ばれたアダムに付き添っていたんだけど、壇上さんはそのまま人間観察を続けていて、ミニスカートとウサギの耳みたいなバンドを着けたクラブ帰りのお姉さんたちが警察官に「スマイル フォー アス」とか歌ってちょっかいだしていたとか、手錠男は結局病院で(!)手錠を外され、迎えに来た奥さんかガールフレンドにこっぴどく怒られていたとか、いろいろ見て人生勉強をしたようで、満足してご自宅にお帰りになられた。

あっ、そうそう、アダムは結局点滴と注射を2本打ってもらい、朝方にはなんとか吐き気も治まったので、朝6時には帰宅となった。それから寝て、でも献身的な私は朝10時には起きて薬局に行って薬を買ってきた。夕方にはもうアダムは全快で、胃ならしにスープでも作ろうかと思って、聞いてみたら、「どうしてもチキンフライドライスが食べたい」との一言。チキンフライドライスって・・・どう考えても病み上がりの胃に重すぎるよ・・。日本人だったら、おかゆとかスルッと喉に通るものでしょう?でも、イギリス人って病気になったら何食べるか知ってますか?トーストだって、トースト。意味不明。
結局、リクエストは叶えられることになって、いそいそとチャイニーズテイクアウェイに電話するアダム。何はともあれ、元気になって良かった・・・・。

スパードクターKこと壇上さん、本当にお世話になりました。あなたはリーズの宝です。
ひかるさん、いろいろとご迷惑、ご心配おかけしました。また懲りずに・・・なんてもう言えません。

楽しい土曜の夜の過ごし方 前編

2005-11-27 | Weblog
先月あった試験の前にアダムがお腹を壊した話はもうしたと思う。その時は、まあ前日に料理されたムール貝だったし、古いからあたったのだろうと思っていた。だから、土曜日に招待されたお宅で、そこでスターターとしてムール貝が出てきた時は、今回は新鮮だし、何てったってとってもとってもおいしそうだし、それに前もって「アダムさんの食べられないものってある?」って聞かれてて、貝のことをすっかり忘れてた私は「セロリくらいかなー。それも食べられないとかじゃなくて、味が大人すぎて好きじゃないだけなんです。」っていうどうでもいい答えを返していたから今更前の貝事件を持ち出すのも憚られて、「大丈夫よね?あれは古かっただけだからねー。」ってアダムにプレッシャーをかけて、本人も今回は大丈夫だろうと思って、たくさん食べてしまった。

そしたら1時間しないうちにアダムは「ウッ」ってなって、家に帰るまでに、トイレで1回吐いて、心配して送ってくれた車の中でも用意してくれていたゲロ袋の中に1回吐いて、車を止めてもらって外で吐いた。前回は回復するのに1日かかったけど、こんなに吐いたんだし、もう胃の中はカラッポだろうから、今回はすぐ良くなるだろうと思った。

この時点でもう前回は貝が古かったのが原因ではなくて、貝そのものに弱いってことがわかってたんだけど、ということは、逆に今回は新鮮な貝だったからダメージも100倍って感じで、帰ってからも症状は良くならないし、吐くものがないので胃液ばかりが出てくるようになって、そのうえ波のように激痛が訪れるようになった。ベッドの上でウンウン唸っているアダムを見て、これはヤバイとはじめて思って、リーズ日本人御用達のドクター壇上に、真夜中の1時半という時間にも関わらず電話を掛け、その日イングランド対サモアのラグビーの試合を見るためにロンドンまでドライブして疲れて眠っていたところを起こしてアドバイスを乞うことにした。ドクター壇上はすぐに家に駆けつけてくれることになった。この国では最高の医療サービスであるだろう往診のために、私はなにがなんだか分からなくなっているアダムに密かに勝負下着の真っ赤なパンツを履かせて待った。で、ドクター壇上が来て、やっぱり大事をとって病院に行こうということになり、車で応急外来のあるLGI(Leeds General Infirmary)まで送ってもらった。

次回に続く
乞うご期待
というか早く書かないともう忘れてしまう・・




最近理解不能なこと

2005-11-24 | Weblog
1.なぜに半袖ミニスカート?
こんなにこんなにこんなに寒いというのに、いるんですね、まだ半袖でうろうろしてる人。昨日見かけたのは、クラブ行くのでもないのに、ミニスカート&サンダルの人。どっか神経が切れているに違いない。

2.なぜにみのもんた?
起死回生を狙うNHK、年の瀬の目玉番組になぜみのもんた?大晦日に見たい顔か?繊細な味付けの年越しそばも、紅白見ながら食べたら、あの顔の脂が混ざったような味がするに違いない。まあ私は帰らないから関係ないけど。

3.なぜにはいと言うのか?
知らない人から電話がかかってきたとき、だいたい
「Is it Yuki?」
と最初に聞かれる。ゆきさんですか?って聞かれているのだからはいって言えばいいんだけど、いっつも
「はい。」
って言ってしまう。どこが間違ってるのかって?
はいははいでも日本語の「はい」なんです。
はいはHiだから、相手にしたら
「ゆきさんですか?」って聞いて、「こんにちは」って返事が来るようなものだ。
でも「ハーイ」じゃなくて、そこだけ「ハイッ」って感じ。
相手はYesかNoを待ってるのに、「こんにちは」しかもハーイじゃなくてハイッって言われて一瞬絶句する。それで、私もまたやってしまったって思う。いっつもいっつも。今日もやってしまった。なんでだろ?条件反射?

ついでにブーツも買った・・というか買ってもらった

2005-11-22 | Weblog
清水の舞台から飛び降りる気分でタイツを買った後、よりよいタイツライフまたスカートライフを送るために次は茶色のブーツが欲しくなった。というかこれも数年欲しい欲しいと思いながら先送りしていた件なんだけど、その日履いていた茶色の靴ではもう寒すぎて寒すぎて、今年の冬は厳しいらしいし、ブーツは必須ねと思いながら見ていたら、ちょうどセールでいいのを発見。おねだりしなくても、優しいアダムがちょっと早いクリスマスプレゼントということで買ってくれた。ラッキー。ルンルン気分で家に帰って早速部屋で履いてみると、??なんかおかしい。店でもおかしい感じはしたけど、原因発見。左足の内側の薄いソールがクシャクシャになってるのだ。不良品じゃないか!ということで早速次の日に交換してもらうため店に行く。そしたら案の定「その商品のそのサイズはもうストックがありません。」だって。不良品売りつけておいてよく言うよ。しかもごめんなさいの一言もなし。でもなもうこっちはそれくらいお手のものってもんなんだよ伊達に3年修行してるわけじゃねえんだよはっきり言ってそれぐらい想定の範囲内なんだよ。というわけでそれはお店で修理してもらうことになって、受け取りは今週中ってことになった。まあ期待はしてないけど。はあー、快適ブーツライフへの道のりは長い・・・・。

やっとタイツ買った

2005-11-20 | Weblog
ずっとずっと前から・・確か去年か一昨年あたりから買いたいと思っていた茶色のタイツを今日やっと買った。
前に持っていた茶色タイツは2足あって、一足は超薄くて、しかも履いているうちにずれ下がってくるという不便極まりないもので、それでも我慢して履いていたけど、この間スネのしたの方に小さい穴が開いてしまった。もうひとつのタイツは、なかなかの厚さで温かくて気に入っていたんだけど、毛玉がいっぱいできて、それでもそれを内側にして、つまり裏返しにして履いていた。そうするとつま先のところにマチが見えるんだけど、靴を履いたら分からないし、そんなこと気にする人はいないだろうと思って履き続けていたけど、ついにつま先に穴が開きだして、そしたらそれが目立つので裏返しにして履いていることも気付かれて、しばしば(デリカシーのない人に)指摘されるようになって、これは本気で新しいタイツを買わないといけないなーと思っていた。それが去年の冬で、そうこうするうちに冬が終わって、タイツのことなんかすっかり忘れていたら、また今年の冬が始まった。普段あまり黒系を身に着けない私にとって、茶色のタイツは黒のよりも必需品で、となると2足、しかも穴の開いたのが2足で冬を乗り越えるっていうのはどうも心許ない。それで、本格的にタイツ探しの旅を始めたんだけど、これっていうのがなかなか見つからない。最初は、(そんなセクシーじゃない)網タイツとか柄が入ったのもいいカナなんて思ってたけど、そんなの極寒のリーズで履いていたら凍死するだろうし、だいたいそういうのは高くて、6ポンド(1200円)以上する。そういう理由で、やっぱりシンプルなのが一番ってことで、出来るだけ厚めで無地のしっかりした茶色のタイツをターゲットに探し続けた。私の中でそういうベーシックなタイツは500円が相場で、ということはイギリスポンドでは2.5ポンドってことになるんだけど、これが全然見つからない。最低4ポンドか5ポンドするし、ここにあるだろうって思っていたPRIMARK(日本でいうユニクロみたいな量販店)では3ポンドからあったけど、茶色が見つからない。まあ4ポンドでもいいか、って自分を納得させて買えばいいんだけど、それだけ時間をかけた分、何年分かの執念があって、もしかしてリーズ労働者階級御用達のマーケットに行けばあるかな、タイツに800円はなー、とか、自分でもアホみたいと思うんだけどいろいろ考えてなかなか思い切りがつかず、もう気付けば11月も終わり頃になってしまった。まあジーパンとかズボンを毎日履けばいいんだろうけど、それもいろいろ不便があって、この頃の季節になるとだいたい毎日雨が降る。こっちにはズボンを買ったときに裾上げするっていう習慣がなくて、特に若い人は長いズボンの裾を引きずりながらよく歩いているんだけど、私も例外でなく、というかこっちで買ったズボンが日本人の私の足の長さに合う訳がなく、裾が地面に着いて、ビチャビチャになる。よく考えたら、これで家の中に入ったりするんだから、これってすごく汚いことだけど、もともと靴で家の中に入る習慣だし、みんながやってるから平気になってくる。そういう理由と、やっぱりー私も女の子だからー、スカートくらいはーちょっとは履いて、脚線美をアピールしたいナー、という理由もあって、やっぱりタイツが必要、となる。
で、結局買ったのはマークス&スペンサーの3足入り10ポンド(2000円)のタイツだ。アダムと一緒に買い物に行ったら、「どうしよう、どうしよう」って言う私に「3足の方が得だよ。それ買えば。」って鶴の一声で後押しされて、私のこの不条理なタイツを探す旅に終止符が打たれたのだった。なぜ、こんなに時間がかかったのかいうのと、しかもあんなに渋ったのに最終的には3足といえどもタイツに2000円も出せたのかというのは、今考えても自分でも不思議だけど、何はともあれこれから快適なタイツライフが送れると思えば万々歳だ。

ジャズを聴きに行く

2005-11-18 | Weblog
金曜日の夜は、アダムと一緒に隣町のウェイクフィールドというところまで電車で行って、ジャズを聴きにいった。その会場はなんとスポーツセンターのバーにいすを並べた場所で、観客はジャズマニアだろうと思われる50代60代の男性中心という渋い構成だった。たまにすごいソロとかあったら、「Yeahー」とか渋い声で合いの手が入る。演奏したのはNew Couriersというバンドで、5人のメンバーのうちオッサンが4人、若い青年が一人で、その青年がアダムが4歳から知っているという同郷の友達ジムだった。このバンドは、ガーディアン紙のレビュー欄に載るくらいだから、もちろんジムは若手有望株のドラマー兼ビブラフォンプレイヤーなんだけど、演奏すごく良かった!ジャンルとしては、コンテンポラリーボップでジャズ初心者の私にも聴きやすいし、面白かった。

しかしいつも思うのは、ジャズミュージシャンはなんか楽しそうでいいなーってことだ。私がやっているクラシックピアノは伴奏とかを除いて一人が基本だから、その道のりはいつも孤独だ。その分楽チンなこともあるけど、トリオなどのアンサンブルが基本のジャズは仲間がいる。それに何よりもいいなって思うのは、演奏の前の緊張がないってことだ。フラッと会場に現れて、ちょっとリハーサルして、ビール飲みながら(さすがにそれはないか)本番って感じで、うらやましい。これがクラシックだったら、ステージに上がるまで舞台袖で待機して、間違ったらどうしよう、とか、忘れて止まったらどうしようとか、いろいろ心配して緊張しないといけない。即興音楽のジャズではそもそも間違えるといった概念がないし、自分の好きなことを好きなようにすればいいし、その分気楽は気楽だと思う。多分。
そしたらジャズやればいいじゃないかって思うかもしれないけど、クラシックでガチガチに固まった私の頭ではもう即興なんて恥ずかしくて出来ない。あーでもやりたいなー。

みかん食べたい

2005-11-17 | Weblog
昨日、愛媛が誇るマルチタレント眞鍋かをりのブログを読んでいたら、みかんのことを書いていて、それから私の頭はみかんでいっぱいだ。
私の実家は正真正銘の愛媛のみかん農家(専業)で、みかんとは小さい頃からあって当たり前の親密な関係だ。家では、普通のみかんはもちろんポンカン、八朔(はっさく)、デコポン、ニューサマーオレンジとかいろいろ作っている。
今頃の時期がみかん農家とって一番忙しい時期で、休日になると子供も借り出されて家族総出で山に行ってみかん摘みをした。モノレール(これって分かる?)に乗れるのだけが唯一の楽しみで、あとはひたすらみかんを摘んでかごにいれるという単純作業がいやというほど続く。あと、面白いことといえば、みかん畑から見える素晴らしい風景(写真参照)だけど、そのころはこんな景色もあって当たり前だったから、別になんとも思っていなかった。
みかん摘みが終わって帰ったら、みかんは倉庫に運ばれる。その倉庫にはみかんがいっぱい詰まった何百というコンテナが置いてあって、そこによじ登ったら、まさにみかん天国って感じで視界にはみかんしか入らない。夜になると、次は選果っていう、売りに出せる形や色・サイズのいいみかんと売りに出せないみかんを選り分ける作業があって、それもよく手伝わされた。選り分ける種類のなかに、愛媛といえばのポンジュースにするためのみかんというカテゴリーがあって、それはだいたいサイズが小さいみかんなんだけど、それははっきりいって売り物のみかんよりもずっと美味い。小ぶりな分、美味しさがギューッと詰まっているって感じで、1個食べだすと止まらない。こたつに入って妹や弟たちとたくさん食べてたけど、すぐ下の妹はほんとにみかんファンで、毎年足や手の指がうっすらオレンジになるくらい食べてた(これほんとの話)。私は、なんか子だくさんでみかん農家って貧乏くさいイメージがあったし、どうせならみかんじゃなくてりんご農家がよかったなーなんて思ってたから、そんなにみかんファンではなかった。

大学生になって愛媛を出て一人暮らしをするようになっても毎年両親がアパートまでダンボール箱いっぱいのみかんを送ってくれたんだけど、それを大学の友達におすそわけするとすごく喜んでもらえて、その頃になって私は初めてみかん農家の娘であることの珍しさが分かって、みかんファンになった。東京に出た妹は、私より何倍も何倍も珍しがられ嬉しがられ、ちょっとおすそ分けしては、その味の虜になった友達に愛媛直産ダンボールいっぱいのみかんを売りつけて、それでもお店で買うよりもずっと美味しいし安いのでどんどん売れ、それで稼いだお金を年末の帰省の交通費の足しにして飛行機のチケットを買ってたくらいだ。

イギリスに来て、今年も去年も一昨年も冬はこっちで、正月に帰省してないから、もうずっとみかんを食べていない。こっちでもスペイン産の「Satsuma」っていう名前の日本のみかんみたいなのが売られているけど、はっきりいって全然おいしくない。名前もどうせなら「Iyo」にして欲しい。

あー、日本に帰ってコタツに入ってみかんを死ぬほど食べたい!そしてコタツの中でそのまま昼寝して、それで起きたらお年玉をもらいたい!





続いて静かな日曜日

2005-11-13 | Weblog
金曜日に練習したシューマンのクライスレリアーナの2番のメロディが頭の中で鳴り続けているので、今日は特別予定もないし、結局学校へ行って練習。
練習の途中、学校のホールで学校のオーケストラがコンサートをやっていたので、聴きに行く。このオケは、学生と地元の人たちで結成されていて、まあお世辞にもすごく上手とは言えないんだけど、小さい子も楽しめるようなファミリー向けのプログラムを組んであって、オケの特色をつかんでうまいことやってるなーと思った。聴衆も家族連れをはじめ結構いた。
ちょっと遅れて会場に入ると、演奏されていたのはサンダーバードの曲。しかも指揮台を見ると、5歳くらいの小さな男の子がイチニイチニと指揮棒を振っている。ニクイ演出じゃないか。。そのあと、指揮者はいつものジョンに代わり、グリークのペールギュントやエルガーのエニグマヴァリエーション、ブリテンの青少年の管弦楽入門など、クラシックの入門編に最適の曲が演奏された。
ひとつ面白かったのは、アメリカの作曲家クラインシンガーによる曲「チューバ吹きのタビーちゃん」。はじめて聴く曲だったけど、オーケストラの中でなかなかメロディーを吹かせてもらえないチューバの悲しみがナレーターつきでユーモラスに表現されていて、最後はハッピーエンドで終わる。
子供も大人もはみんな楽しんでいたようで、なんだか幸せな気分で会場を後にした。
友達とよく話すんだけど、クラシック音楽のコンサート会場って、本当にお年寄りの人たちばっかりだ。一番多いのは60代の人たちじゃないかな。この世代がいなくなった将来、クラシックのコンサートに行く人は激減するんじゃないだろうか。それとも、今クラシックを聴かない若い世代も年を重ねると聴くようになるのかな?そこらへんはよく分からないけど、裾野を広げるという意味でこのようなコンサートが開かれるのはとてもいいことだと思う。純粋に楽しいしね。

夜は、映画館に行って公開中の「ウォルスとグロミット」か「ブロークン・フラワーズ」を見たかったんだけど、友達少ないから一緒に行ってくれる人もおらず、かといって一人で行く気にもならず、結局テレビでやっていた「ロード・オブ・ザ・リング:二つの塔」を見ようとしたけど、ファンタジーって、なんかすぐ話が分からなくなるし苦手で1時間も持たなかった。しかも、主演のイライジャ・ウッドがいつも驚いたような困ったような顔をしているので、正直言って見ていてイライジャ・・じゃなくてイライラしてくる。ひとつだけ面白かったのは、途中出てくる怪物みたいなのが、高校の時の音楽の先生(女)にそっくりだったことだ。あれは、公開当時映画館で見たときびっくりしてしまった。そのあとは寝てしまったけど・・。このそっくりさは、分かる人にしか分からないけど、恋のから騒ぎで「ロード・オブ・ザ・リング」って呼ばれていた女の子より似てるって言えることには自信がある。
昨日の夜は「キリング・ミー・ソフトリー」やってたの見たけど、あれってコメディ?音楽とかキスシーンとか笑えて困った。こんな私はひねくれ者ですか?

静かな土曜日

2005-11-12 | Weblog
土曜日は補習校から1日が始まる。
担当していたクラスの生徒がみんな日本に帰国してしまったのと、私のビザの関係で、今はいろいろな事情から幼児部のクラスにヘルパーとしてボランティアで入っている。だから、もうスタッフでない以上、授業の準備とか大きな責任もないし、要はやることは学校に行って子供の面倒を見つつ遊ぶことだ。

今日はレストランごっこをやった。
これがなかなか本格的で、メニューは毛糸で作ったスパゲティーやラーメン、ピザ、お子様ランチ、ティッシュのアイス、テーブルはクロスがかかって花まで生けてある高級レストランだ。ウェイトレスは、ヒラヒラのフリルがついたエプロンを作って、女の子は大喜び。私は自称ホールマネージャーの役で、ウエイトレスに後ろからこそこそと「少々お待ちください、って言って。」とか指示を出す。みんな最初は恥ずかしそうだったけど、でもほんとは嬉しくて、それがなんとも可愛い。
私も1回その衣装を着たんだけど、そしたら保護者の一人が
「先生、似合いますねー。日本で今癒しカフェって流行っているらしくって、そこで働けますよ。」
って言うから、
「それ風俗ですか?」
と聞いたら、
「いや、違いますよ。おじさんとかよく行くらしいんですけど。」
って言っていた。それってやっぱり風俗じゃないの??

お昼は、ひかるさん・ボブ男さん夫婦とランチ。
いろいろ話していると、やっぱりこれからどうするの?みたいな話になる。
もう本当に身の振り方を決めないといけないタイムリミットは刻々と近づいている。少なくとも方向性だけでも。具体的に言えば、日本で生きていくか、イギリスで生きていくかっていうことになるんだけど、多分私の中ではある程度決意みたいなのは出来てるんじゃないかなと思う・・ってなんだか他人事のようだけど。でも、自分でいろいろ難癖つけて100%決意できないのはなぜだろう。住むところなんて、結局どんな場所もいい面も悪い面もあるわけで、決定的な違いはそこに属しているか属していないかだ。というか、属しているように感じるか感じないかだ。食事、言語、文化、社会・・・。属している感覚って時間で測れるところもあるだろうし、測れないところもあると思う。3年半の滞在で自分の居場所っていうのが広がったけど、やっぱり自分は日本人で帰るところは日本だ・・・なんていろいろゴチャゴチャ考えているとまたわからなくなってしまう。必要なのは勢いだね、勢い。
今週末はアダムはロンドンに行っているから私だけだったけど、ボブ男さんはクラシックにもジャズにも造詣が深く、この間アダムと初めて会った時にいきなりフリージャズの話で意気投合したらしく、今度ゆっくり会ってお話しようってことになった。

家に帰ってインターネットで猫のこと調べていたら、エリーに酷似した猫の写真を発見。リーズ近くの猫の保護所にいるらしい。早速問い合わせてみたけど、エリーではなかった。残念。
猫関係の組織とか機関とかはこっちにたくさんあって、飼い猫がいなくなった時に、捜す手伝いをしてくれる。エリーがいなくなった直後にいくつか電話したけど、エリーと思われる猫の情報は何もなかった。捜し方のアドバイスもいくつかもらって、ポスターとかも作って近くの大学などに貼ったけど、なしのつぶて。
まだやろうと思えばいろいろやれることはあるんだろうけど、そもそも元はノラ猫だった猫を1年間エサをやっていただけで、当のエリーには私たちに飼われているという意識はなかったんじゃないかなって考えると、帰ってきて欲しいというのも自称飼い主のわがままなのかな、なんて思う。
エリーが、好きで出て行ったのか、それとも帰りたくても帰れなかったのか、それは誰にもわからない。

猫には猫の生き方というものがある。猫は決して馬鹿な生き物ではない。猫がいなくなったら、それは猫がどこかに行きたくなったということだ。腹が減ってくたくたに疲れたらいつか帰ってくる。:村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」

ただひとつ願うのは、どこかで幸せに暮らしているということだけだ。それで、気が向いたら帰ってきてくれたら、すごく嬉しい。


再始動

2005-11-11 | Weblog
先週までバルセロナだの卒業式だのいろいろ遊んでいたけど、そういつまでも浮かれ気分ではいられない。
12月にはアンサンブルの本番とか伴奏とか受験とかあるし、1月にはまた1時間のソロコンサートがある。先週末は遊びながらもいろいろ心配になって最後にはパニックになってたけど、今週1週間、卒業したはずの学校へ毎日行って練習とリハーサルをしていたらなんとなく見通しもついてきて一安心。油断大敵だけど。。IDカードは去年のだし、練習室も勝手に借りてるけど、誰も何も言わない。そこらへんはかなり融通を利かせてくれる。

アンサンブルではストラヴィンスキーの兵士の物語をクラリネットとヴァイオリン、ピアノの編成で演奏するんだけど、これがなかなか。自分がこんなにリズム感悪いとは思わなかった・・。というか、左手でマーチを続けながら右手で3拍子とか5拍子とか無理ですから。あと1ヶ月しかないんだけどどうしたものやら・・。だれか左手弾いて下さい。

1月のコンサートは、リーズのシティカウンシルが主催するランチタイムコンサートシリーズで、この間弾いたリストのエステ荘の糸杉と噴水とシューマンのクライスレリアーナをやる。このクライスレリアーナ、一応3年前に全曲やったけど、まだ舞台にはあげていない。以前は、シューマンってあっちに行ったりこっちに行ったり理解不能って感じであんまり好きじゃなかったけど、これが今弾いてみると全然違う。ジュリアン(ピアノの先生)は、ベートーヴェンを弾いた後にシューマンをやると簡単に感じると思うよ、ハードワークのあとのホリデーのようなものだ、って言っていたけど、確かに、ベートーヴェンに比べて直接的な感情表現が許される分、弾いていて単純に楽しい。8曲のキャラクターピースの集まりだから、それぞれの曲のムードを適切に表現すればなんとなく形にはなる。ただ、シューマンの難しさと面白さは、英語でいうintimate(親密な・私的な)でいながらも聴衆に伝わるようにproject(表明する・はっきり大きく出す)することだ。それはまさにルプーがやっていたことなんだけど、私もちょっとでも近づけるようになりたいな。