SAITO Lab. BLOG

齋藤研究室

Heidegger Forum

2007-10-01 00:31:06 | Information
2007年の9月23日日曜日、京都の第二回ハイデガー・フォーラムで発表してきました。

前日からフォーラムは大賑わい。初日の9月22日は、「時間と存在」をめぐって、仲原先生の「時間と存在」の再構成をめぐる緻密なご発表を皮切りに、細川先生の「書き換え問題」や「メタ存在論」を包括的にとらえた『存在と時間』の体系構想をめぐるご発表、そして自然主義的アプローチから、新たな世界の把握可能性をさぐる植村先生のご発表、さらには飛び入りでジャン・グレーシュ氏の特別講演と、豪華ラインナップでした。

日曜日の私の発表は、一番手で朝早い時間の開始だったためすっかりのんびり構えていたのですが、気がつけば会場もいっぱいになっていました。

発表では、「ナトルプ報告」に即して、従来のハイデガー解釈における実践的フロネーシス重視の傾向に対して、本来的な意味での理論的なソフィアを重視すべきとの新たな主張を展開しました。短い発表だったために詳細な論証までは手が回りませんでしたが、ハイデガーの理論的思考の重視、さらにヌース(直観)の重視といった点を解明するための、一つの足がかりを提示できたと思います。司会をいただいた松本先生、ありがとうございました。また発表時の質疑応答や発表後の席での多くの方からのご意見は、大変参考になりました。ご質問やご意見お寄せいただいた方に、この場を借りてお礼申し上げます。

また細川亮一先生には発表時の写真を撮影、ご送付いただきました。細川先生、ありがとうございました(あいにくブログの制約で一枚しか掲載できず、残念・・・)。

続いて、森先生は自然主義的アプローチによって、ハイデガーの『弁論術』解釈から『自然学』解釈をつなげる斬新なご発表。坂下先生はアリストテレス研究の立場から、『動物運動論』をめぐるハイデガーの解釈を解読。そして小野先生は、アリストテレスに端を発する『存在と時間』の思想をエスカトンをめぐる「終末論」として大胆に考察。結局二日目のすべての発表の焦点となったのは、「存在者」ないし「自然」の身分であったと思います。

第二回フォーラムも大盛況でした。実行委員の皆さんはじめ、京都大学で会場運営にあたってくださったスタッフの皆さんに、心より御礼申し上げます。

来年のフォーラムは、学習院大学で開催予定。一年後が今から楽しみです。