鳥取県 曹洞宗 松風山 永明寺

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永明寺の薬師如来像の由来(因幡薬師霊場 第26番札所)

2012-12-18 20:30:54 | 【永明寺の由来・歴史】
  永明寺の開創期の歴史をたどってみると当寺に薬師如来像が奉安されている背景には、白鳳期の創建とされる岩井廃寺(国史跡)や平安期に開かれたとされる岩井温泉と密接な関わりがあることがわかります。
  永明寺開山の日外宗旭大和尚は、本光寺十世、長安寺開山です。本光寺は、永明寺の本寺であり、岩井温泉に鎮座する御湯神社の社地の字「弥勒堂」のあたりにあった天台宗の岩井廃寺(弥勒寺)を曹洞宗に改宗し、応永元年(1394年)に山名煕貴(一説に山名煕高)が開基となって再興された由緒ある名刹です。岐阜市にある岩井山延算寺には、岩井廃寺の薬師如来像(重要文化財)が移され奉安されています。本光寺は、日外宗旭大和尚のときに鹿野にある少林山讓傳寺の末寺と定められました。また、岩井温泉近くの宇治の利生山長安寺は、岩井温泉の源泉を発見し病を癒したとされる宇治長者こと藤原冬久の菩提寺です。平安期作の仏像を有する長安寺は、廃寺となっていましたが、日外宗旭大和尚が寛文元年(1661年)に本光寺の末寺として再興し開山となりました。
  日外宗旭大和尚は、晩年に隠居して過ごす適地を新井の道竹城の上屋敷に得ました。高僧が隠居する知らせを聞いた近隣の地主、庄屋などが競って浄財を喜捨し、鳥取藩主の池田光仲の治世に寺領を安堵されて、永明寺は、承応元年(1652年)に本光寺の隠居寺として開創されました。開創以来、永明寺は、釈迦牟尼仏を御本尊としていますが、承応四年(1655年)に薬師如来像が奉安されたことが如来像の背面に記されています。永明寺三世の厳洲太密大和尚(本光寺十五世)が伽藍を整備し、そのあとを引き継いだ永明寺四世の鳳洲道林大和尚(本光寺十八世)が永明寺の開創期の由来に関して安永四年(1775年)に『永明寺因由記』を漢文で著し詳述しています。
  永明寺二世の華山太梁大和尚(本光寺十四世)は、寛文七年(1667年)に本光寺が坂上から恩志に移転した後、本光寺御本尊が「拈華微笑の釈迦牟尼仏」のため「拈笑山」だった山号を本光寺開山の南章長勝大和尚(勅賜佛頂瑞應禅師)にちなんで享保十一年(1726年)に「瑞應山」と改めました。永明寺には、延享元年(1744年)に華山太梁大和尚が御湯神社の神祇官の占部後胤と渡部長門のもとめに応じ、神社の由来を漢文で著した『御湯神社本記』が所蔵されています。

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