奈良野英介の不思議体験

私の個人的な、不思議で神秘的な体験を綴ります。
合理性も論理性もない、低級な内容です。ご了承ください。

15)倒れなかった細い三本足の巨大水槽

2009-05-01 14:33:20 | 日記
 大阪に電子水を無料でくみ取りできるところがあると聞いたのは何年前だったか覚えていません。電子水や埋炭法は、一九九〇年代ごろに盛んに聞いたように思いますが、もう今では話題をほとんど聞かなくなりました。
 しかし、私は埋炭法もその方法を応用した電子水なるものにも、興味がずっとありましたので、大阪の実験施設を訪れてみたいとずっと思っておりました。
 そしてそれが実現したのは、阪神・淡路大震災の数カ月後でした。
 私はかなり心配をしておりました。あの地震の振動で設備が壞れてしまったのではないかと思ったのですが、大丈夫でした。
 その施設はなんと精米所でした。
「精米所に電子水の装置? どんな関連があるのでしょう」
 アポなしでふいに訪れた私に、担当の方は気さくに教えてくださいました。ここにはまず、埋炭がされているそうです。その上、精米の過程に、電子を放射する装置を組み込んであるそうなのです。そのためかどうか、ふつうの精米には不釣り合いの、白い大きな碍子があちこちの施設の土台に何段にも重なって置かれていました。
 聞けば、床下に電気(静電気らしい)が逃げないように、厳重に絶縁しているというのです。精米は、この厳重に絶縁された空中で行なわれます。なぜこんな施設が必要なのかというと、精米の過程では、もみ殻が剥がれてお米がむき出しになった時点で、お米の酸化がどんどん進み、新鮮味をどんどん失うので、それを防止するために、マイナス電子を特殊な機械で帯電させるためだそうです。
 岐阜の実験施設でも分かったことですが、目には見えませんが、電子が物質に与えられると、酸化が防止でき、食物などは新鮮な状態を長く保てるメリットがあるということです。今日では、マイナス電子の還元効果を言う人は多くなりましたが、当時は、新鮮な話として私はききました。この精米所でも、あえてこのような装置を導入したのは、精米すると味が落ちるのは酸化をするからで、常時電子を与えながら精米をすると、常に還元状態がたもたれ、たいへんに美味しいお米を精米できるということでした。
 しかし、この装置の絶縁の白い数段重ねの碍子は異様に見えました。これは発電所などで見かける光景そのままです。ここまで厳重な絶縁が必要なのでしょうか。
 私の疑問に、担当の方はテスターのようなものを取り出して、この装置にどれくらい電子が流れているか、見せてくれました。たしかに装置のスイッチを入れると、精米装置のあたりは、テスターの針がビンと触れます。しかし、担当の方が装置の一部に手を触れたとたん、テスターの針はゼロになりました。人が手を触れると、そこに帯電している電気が一気に人の肉体を介して地面にアースされてしまうということを、目の前で見せてくれたのです。厳重な絶縁体が必要な理由が分かりました。どうやら仕組みは複雑ではなく、大きな静電気を電気的に発生させ、マイナス電子を帯電させる装置のようです。
 こんな仕掛けで美味しいお米が食べられたら、すばらしいことです。
 さて、私が興味をもっていた電子水の装置は、お隣の部屋にありました。
 そこは六畳くらいの小さな空間でした。その真ん中に、直径二メートル以上、高さが一メートル数十センチ程度の円筒状の金属の入れ物がありますが、この円筒の巨大な入れ物の下に、たった三カ所、さきほど精米所で見た白い絶縁のための碍子が数段建てに重なって、金属の円筒を支えていました。つまり、この狭い空間に、三点で支えられた巨大な金属の円筒の入れ物がほぼ一メートルの高さで浮いているという感じなのです。
 これが、電子水を作る装置でした。中を覗き見ることはできませんでしたが、水で満杯になった水槽の中央に炭素棒代わりの備長炭があり、ここに電線を繋いで巨大な電気を帯電させ、一昼夜寝かせておくと、美味しい水ができあがるという装置なのです。
 私が驚いたのは、こんな大きくて水を入れると一トンは超えるであろう水槽が、たった三本の絶縁のための不安定な碍子の土台に乗っていることの不安でした。屈強な人が手で強く押したりしたら、ぐらりと土台の絶縁の碍子の足が倒れてしまいそうな危ういもので、とても気になったのです。事実、あの巨大な震災では、担当者の方が真っ先に思ったのは、この電子水の水槽が倒れてしまっただろうという心配でした。
 しかし、なんと、この装置は、震災前もその後の今も、このまま無事に存在していたのです。それには、担当者の方が一番驚かれたそうです。周囲はけっこういろいろと被害があったそうですから。
 たまたまこのあたりだけ、揺れが少なかったのかもしれません。あるいは、揺れでくずれかけても微妙なバランスでまたもとに戻って落ち着いたのかもしれません。明け方のことですからその現場を誰も目撃していませんから、どういう経過をたどったか、分からないのですが、倒壊して当然のものが、そのまま残っているというのは、やはり不思議な現象ではないでしょうか。