学校のない社会 大学のない世界

学校のない社会、大学のない世界に興味・関心のある方、ともに集いましょう。大学教員によるトラックバック等はご遠慮ください。

孤立型メモ

2006年08月07日 05時14分05秒 | オルタナティブ教育
最近ようやくアクセスできた興味深い話があるため紹介したい。

「イリノイ州、ナイルズ・タウンシップのアクション・ラーニング・センターの所長、ロバート・フィッゼルは、1975年に学習者と学校の組み合わせのための基礎的資料として、従来の学校やオルターティブ・スクールにおいて成功している生徒の特質を報告している。(中略)彼は、学校における成功ということについて50の変数を見出し、驚くべき結論を引き出した。すなわち、ある学校で成功することに関わる特性は、他の学校で失敗することとしばしば関係しているということである。(中略)フィッゼルは大部分のパーソナリティ特性で平均的、つまり中位にある生徒は、従来の学校環境で伸びると結論づけている。パーソナリティ変数においてかたよりがあり、「明確な差異を示している」人格をもった生徒は、オルターナティブスクール」の環境ではよりよく伸びるという。(中略)
さらにフィッゼルは、友達を求めないタイプで成人に関わることを求める「孤立型(‘loners’)をとりあげ、これらの生徒は独立したプロジェクトや、地域社会での活動に関わる現場学習・プログラムで立派な成績をあげているという。彼はまた、普通の学校でもオルターナティブスクールでも成績の上がらない生徒に着目して、「ひとつのオルターナティブでは充分とはいえない」という彼の結論を根拠づけている。フィッゼルはまた(中略)別のタイプの生徒やグループについても報告している。

「教育におけるオルターナティブ--選択の自由--」ヴァーノン・スミス、ロバート・バー、ダニエル・バーク著 角本 尚紀 中西 良夫 共訳 仲原 晶子監訳学苑社 1990.4 :113-114」

集団主義の学校教育は、こうした孤立型の人たちを排除する傾向がある。
こういうタイプの人にもあった学習環境があったほうがいい。
成人後は、労働(失業)環境の問題になる。
日本の職場では、集団主義が強い。だけど、孤立型の人だって、ひとりでやるほうがいい作業には向いているはずだ。むしろ、集団で私語をしたり、互いにもたれあいすぎて誰も上司の指示を理解していないといった職場の弊害を改善するリーダー役をはたすこともあるだろう。

*1イタリアやフランスでは、労働組合に加入していない個人が、組合のはじめたストライキに参加する権利を憲法保障している。
*2また、組合の結んだ労使協定は、未組織の個人にも適応される。
孤立型の個人のためにも、日本もこうした個人を個人であるだけで排除しないシステムをめざすべきだ。

*1 研究会・職場の人権の2006年5月定例会での脇田 滋の発言による。
*2 同上。