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コモディティ化とインターオペラビリティの相違

2004-11-13 | ◆ビジネス
サービス指向アーキテクチャー(SOA)の議論になると、ついWebサービスによるインターフェースの標準化とソフトウェアのコモディティ化を同一視してしまいがちである。

Webサービスの特性ゆえに、「簡単に」呼び出せる、とか「使った分だけ」料金を払う、とか「必要な機能だけ」を利用する、といった利便性の側面がSOAと結び付けられることが多い。そして「ユーティリティー・コンピューティング」というコンピューター・リソースを電気・ガス・水道と同じ概念のものとする考えが出てくる。すると、ソフトウェアもコモディティ化が進むと考えてしまいがちだ。

しかし、AlwaysOnのRoman Stanekの「SOA: Finally, We All Might Get Along」と題されたエントリーが、それが大きな間違いであることを気づかせてくれる。IBMやMicrosoftといったメイン・プレーヤがインターオペラビリティを確立するために協力しあっていることが画期的であるとした上で、次のように述べている。

Web services will make all software accessible in some way; therefore, all software can innately interoperate, and IT will become very flexible and easily reconfigurable. As a result, it can increase the value of software rather than create commodity markets.

つまり、インターオペラビリティはソフトウェアをコモディティ化するのではなく、むしろ価値を高めると言っているのだ。

確かにインターフェースが標準化されたところで、必ずしもソフトウェアの価値が下がるわけではない。むしろ付加価値の高いソフトウェアは、接続性が高まることでより価値が高まることになるだろう。唯一価値が下がると思われるのは、他のシステムと密結合されているが故に価値を維持できていた機能である。例えば、業務システムが独自にセキュリティの仕組みを持っていたとして、それを根拠として顧客から高い利用料を取ることは難しくなる可能性がある。なぜならば、その機能は今後より一層、専門性の高いベンダーによってASP的に提供される可能性が高いからである。

それゆえに、ソフトウェアはより専門性を高め、コモディティ化ではなく、より高付加価値化してゆくことになる。また、そうしなければソフトウェア会社は生き残ることが出来なくなるであろう。ゆえに、この先のエントリーでは、SOAをよりドラスティックながらもポジティブな変化として以下のように記述している。

Though not an entirely new concept, the rise of the SOA could be the most important paradigm shift in the IT world since the advent of client-server technology.

そして、この高付加価値化したソフトウェアをいかにして組み合わせていくかが、これからのシステム・インテグレーション・ベンダーに求められるスキルとなるに違いない。ついつい、この高付加価値化していくソフトウェアを、その結合容易性から「部品」と呼んでしまうあたりが、誤解の発端なのかもしれない。

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