●金正恩氏母・高英姫氏の献身、慈愛を強調 偶像化映像、50歳前後に集中 gooニュース
■出自隠し偽名で軍幹部へ説明
北朝鮮で上映が始まった金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の母、故高英姫(コヨンヒ)氏の映像は、高氏がいかに金正日総書記を献身的に支え、「国民の母」として慈愛にあふれるかを強調する。在日朝鮮人出身の出自に一切触れないのに加え、撮影は50歳前後の一時期に集中し、肝心の金第1書記がほとんど登場しないなど不可解な点も多い。偶像化映像作成の背景に何があったのか。
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「(金正日)将軍さまは兵士がいるところならどこでもお母さま(高氏)と向かわれた」「お母さまは将軍さまの健康と安寧が自分にかかっていると感じないことは一時もなかった」
《偉大なる先軍(軍事優先)朝鮮のお母さま》と題した約85分間映像では、こんなナレーションとともに金総書記の軍視察に同行する姿を映し「わが妻は軍人を一番大事にし、実の母親のように生活を気遣う。全国の母の愛を合わせてもこの思いにかなわない」との金総書記の言葉を引用して兵士への慈愛を礼賛する。
クライマックスは2002年6月26日の50歳の誕生日に行った演説で「喜びも栄光、悲しみも栄光、試練も栄光と考えて将軍さまと過ごしてきた」と語る高氏の肉声が収められている。女性兵士に親しく話しかけるなどさまざまな場面が収録されているが、冬なら青か白のコート、夏はベージュの半袖スーツ姿。ほとんどが40代後半以降の映像とみられ、一時期に撮影されたことをうかがわせる。
映像を公開した「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は「出自と関係しているのでは」とみる。高氏は在日出身の元踊り子という出自もあり金日成主席が正式な妻と認めなかった。公の場への登場は1994年の金主席死去後。98年以降、一部軍部が「平壌のお母さま」と祭り上げる動きを見せたことがある。映像はこの時期に撮られたとみられるが、この動きは2004年の高氏死去で頓挫した。
不可解な点は、本来、金第1書記を正当化するのが目的の映像なのに、一緒の映像があまりに少ないことだ。幼少のころの3枚の写真が一瞬映されるにすぎない。李教授は「1998年以降の偶像化の際には、後継者候補は次男の正哲(ジョンチョル)氏であり、三男の正恩氏は候補とみなされていなかったためだろう」と推察する。
字幕で作成は主体100年(2011年)と表示され、金総書記死去以前に編集されたとみられる。北朝鮮では在日出身の高氏の出自は最高機密で、映像でも一切触れていない。ただ、朝鮮労働党や朝鮮人民軍幹部向けの上映会では「リ・ウンシル」という偽名で説明されたという。漢字名は「李恩実」とみられ、正恩氏は父から「正」の字、母から「恩」の字を受け継いだと解釈されるようだ。
党機関紙、労働新聞が26日の高氏の誕生日を前に高氏を連想させる「母たちの思い」と題した論説を掲載、国民向けの偶像化の予兆とみられる。
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■正恩氏、内縁の妻は歌手
金正恩第1書記の内縁の妻が女性歌手だという情報が浮上している。RENKが北朝鮮関係者から得た情報によると、相手は「旺載山(ワンジェサン)軽音楽団」に所属するヒョン・ソンウォルという名前の女性とされる。
年齢や出身などは不明。母の故高英姫氏も「万寿台(マンスデ)芸術団」の踊り子出身で、事実であれば、金正日総書記と父子そろって“芸能人”を見初めたことになる。
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