デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
9.5.2. 水槽内の有機物
水槽内の有機物についての事情は、次の点で無機物と異なる。有機物が水槽に与える影響については、ほんの少ししか知られていないのだ。水中の多くの有機物質が魚の健康や生命維持に決定的に関与しているにもかかわらず、アクアリアナーが気にかけるその仕組みについてはほぼ解明されていない。
近年になり天然河川で、純粋な形、あるいはコロイド状態で溶解している数多くの有機物 - 特にアミノ酸、炭水化物、腐植酸、ビタミン、酵素 - などが確認されている。これらの有機物の起源は様々で、藻などによる光合成生成物の沈殿から生じていたり、水草や魚の分泌物であったりする。また、加水分解と微生物による分解活動によって、死滅した生物からも有機物が発生する。その他、生物にとって重要な有機物としてコロイド状に水に溶解したフルボ酸や腐植酸を析出する腐植質がある。腐植質は植物の残骸を不完全に分解し、水に溶解させる。
熱帯の河川でこれらの物質が大量に存在する場所では、水底に何百年にもわたって積み重なってきた沈殿物が見られる。調査によって、時にこの沈殿層は1~2mにも達することが明らかになった。これらは特に繊維組織を有する物質から構成されており、イオン交換機能(6.3.4. イオン交換樹脂参照)を持つ可能性がある。多くの学者は、この機能がこれら熱帯河川の極端に低い導電率の原因であると見ている。
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