デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
6.6.3. オーバーフロー
オーバーフローは、ここ数年で登場したアクアリウム向け技術の中で最も優れたもののひとつである。これは水槽表面の水をろ過槽へと導く装置で、水槽の水位によってろ過性能が左右されることがない。下にオーバーフローの主な2つの優れた特長を挙げる。
1. 水の表面に滞留する水槽にとって好ましくない要素(特にコケや藻の微小片、原生動物、油脂、カビなど)を効率よくろ過槽へと流す。
2. 取水口が水面近くにあるため、水槽内にあった今までのろ過器の取水口よりも基本的にメンテナンスが容易である。
ただしオーバーフローには、水が取水口へ吸い込まれる際に水中の二酸化炭素(CO2)が失われるという小さな欠点があるということを理解しておかなければならない。
オーバーフローという技術は素晴らしい発明であり、水槽における水の循環システムとしては現在絶対的な優位性を持つ。
しかし、オーバーフローの長所である水面近くからのみの水の吸い込みが、同時に欠点にもなることに注意しなければならない。水槽の表面だけから取水を行うと、水槽の底には水が活発に動かない部分ができ、生物の排泄物や枯れた水草、エサの残りといった比重の重い汚濁物が徐々に沈殿していく。その結果として水槽の隅や水草の下部、また流木などのディスプレイの下に大量のゴミが溜まってしまう。水槽設置後1~2年ほど経つと、これらのゴミが底砂に分厚く堆積しているのが観察できるだろう。
上記のような理由から、どのようなろ過器を使用する場合も水槽表面の水だけでなく、水槽底部の水も同時にろ過槽へ取り込めるようにしておくことを勧める。この際取水の割合は水槽表面から10%、水槽底部から90%が適切であろう。
この理想的な取水方法は1988年、ニュールンベルクの動物園内においてデュプラリウム(Duplarium)によって初めて実践され、世界に紹介された。
オーバーフローのための最新の取水ユニット。
水槽の表面と底部から理想的な割合で水をろ過槽に送る。
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